××な君にヒロイン役は似合わない

有村千代

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おまけSS 酔っ払いにほだされて…(2) ★

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 玲央は疑問に思っていた。雅も成人して酒が飲める歳になったというのに、大して嗜まないのは何故だろうかと。
 訊けば、「俺が飲んじゃったら、あなたを介抱できないじゃないですか」と言う。自宅で飲むくらいならいいだろうと、その夜は玲央の家で酒を交わすことになったのだが、
「ほら、どうせなんだからもっと飲めよ」
「玲央さん、それアルハラじゃないですか?」
(ぶっちゃけ、俺がもう飲めないから押し付けてるんだけど)
 余裕がありそうな雅を見て、勝手に酒をグラスに注いでしまう。
 そんなことを繰り返しているうちに、雅の目つきが変わっていることに気づいた。調子に乗って、少し飲ませすぎたかもしれない。
「雅? おーい、大丈夫か?」
「……したくなっちゃいました」
「は?」
「玲央さんのこと、襲いたくなっちゃいました」
 静かに言ったかと思えば、雅は肩を掴んで荒々しく口づけてきた。玲央の唇を吸い、口内を分厚い舌で蹂躙し、強引に舌同士を絡ませ――もう滅茶苦茶だ。
「んっ、んんんっ……!?」
 突然のことに玲央が動揺していると、口づけが解かれてクスッといやらしく笑われる。
「どうしようかな。玲央さんに舐めてもらおうかな」
「え……いや、な、なに言ってんだよ? 明らかにおかしいぞ、今のお前ッ」
「あなたを前にして、おかしくならない方がおかしいですよ」
 意味不明なことを言いながら、雅はおぼつかぬ足で立つ。そして、カチャカチャと音を立ててベルトを緩め始めた。
「待て待てっ! ンなもん出すな! おおお落ち着けっての!」
「すみません、もう無理です。我慢なんてできっこない」
「おい! ちっとは人の話をッ!?」
 強い力で顎を掴まれては拒否することもできない。そのまま雅は腰を寄せ、勃ちあがった自身を押し付けてきた。
「くっ、んんッ!」
 屹立が口内にゆっくりと侵入してくる。その質量といったら舐めるどころではなく、反射的に涙が滲んだ。
「ほら、もう少し頑張って――もっと奥まで咥えて?」
「んっん、ん!」
「……はは、お口いっぱいになっちゃいましたね。苦しがってる玲央さんも可愛い」
 冗談ではない。こちらは歯を立てないようにするので精一杯なのに、何を言っているのだろうか。そう思うのに、
「あれ? こんなことされて興奮しちゃうんですか?」
 足で股間をぐりぐりと擦られる。玲央のそこは、スキニーの布を押し上げるように主張していた。
「ん、ふっ……んんっ」
 雅の足先が弄ぶように屹立を撫でてきて、玲央はゾクゾクと体を震わせる。屈辱感を味わいながらも、どうしようもなく快感に感じてしまうのだった。
「ほんと、玲央さんって淫乱なんだから……俺のことそんなに煽らないでくださいよ」
「ん、うっ! うぐ!?」
 玲央の頭をしっかり固定したうえで、雅が腰を振ってくる。
 遠慮などない。まるで秘所のように口を使われ、無理矢理に犯されているようだ。
「ッ! ん、ぐッ、ぅ、んんッ!」
 口内が激しい水音を立てて、絶えず唾液が零れ落ちていく。
 雅の逞しいものは、荒々しいピストン運動のうちに存在感を増して、顎が外れるのではないかと思えてしまうほどだ。呼吸もままならず頭が朦朧とする。
「うぅ~ッ! んん、んんんっ!」
 涙を零しながら、赤子のように言葉にならない声をあげた。
 しかし、夢中になっている雅が聞くはずもなく、そのうち荒い息を吐きながら、
「玲央さん、出しますよ……っ」
「ぅぐっ!? ン、ううぅッ!」
 待ったをかける余裕もない。小さく呻き声が聞こえたと同時に、口内に熱い体液が放出された。
 非情にも喉奥まで入り込んだせいで、玲央は思い切りむせてしまう。
「げほっ、ごほっごほっ! おえっ……お、お前な!」
 やっと解放されたところで、白濁を吐き出しながら睨みつける。
 涙で歪んだ視界では、相手がどんな表情を浮かべているかわからないが、今日の彼は確実にどこかおかしい。
(酒の勢いでフツーこんなコトするか!? どうなってんだよ!?)
 などと考えていたら、ぎゅっと抱きすくめられた。熱い体温が伝わってきてドキリとさせられてしまう。
「あの……雅、サン?」
「玲央さんってば可愛すぎ……どうしてこんなに可愛いんですか? めちゃくちゃに犯したくなっちゃいます」
「おかっ!? ちょ、ちょっとタンマ!」
「あれ? 抵抗するんですか?」
 射抜くように、雅が真正面から見つめてくる。そして、
「強引にされるのだって、いいんでしょう?」
 甘い囁きが玲央の胸をくすぐった。
 何故こんなにも生意気なのだろう。そう思いつつも、逆らうことなんてできやしない。
「や、その、俺は……」
「ふふ、口ばっかり。本当に嫌なら、いつもみたいに叩いてくれていいんですよ?」
「………………」
 下着が先走りでじっとりと濡れていた。苦しいながらに快感を得てしまった自分がいて、すでに欲望は限界だった。
「玲央さん?」
「っ……」
 強烈な羞恥と屈辱。けれども、結局は性欲が打ち勝って、玲央は小さく悪態をついてから身を委ねた。普段より激しく、乱暴なまでに抱かれたのは言うまでもないだろう。
 余談だが、翌日の彼はまったく記憶にないようで、玲央は怒り散らしたのだった。
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