墜落する、衛星【心象風景短編集1】

第21話 ガラパゴス諸島のイグアナ

キラキラしたインフルエンサー
うらやましいような　そうでもないような
同じ女性のはずなのに　どうしてこんなにちがうのだろう
わたしはたぶん
ガラパゴス諸島のイグアナ


　SNSが苦手だ。作家として、営業用のアカウントを運用したほうがいい。ぜったいにそのほうがいい。
　わかっちゃいるのだが、やりたくない。やっても、長続きしない。
　商業出版して間もないころ、張り切って運用していた。
　しかし、ネット社会の荒波に揉まれて、疲れてしまった。

　まず、情報が多すぎる。しかも、真偽不明の情報だから、自分でジャッジしないといけない。
　面倒くさがりなわたしには、重荷だった。

　みんな、写真を撮るのが上手。自撮りも、物撮りも。
　おしゃれな洋服を着て、すてきな場所におでかけして、おいしいものを食べて。すごくアクティブ。
　わたしなんて、年中部屋着だし、出不精だし、ぱっと作れる地味な食べ物が好き。

　キラキラインフルエンサーさん方は、恋に仕事に忙しそう。
　華やかで憧れるけど、大変そう。
　わたしも、同じ女性のはずだけど、どうしてこんなにちがうのかなぁ。
　どう頑張っても、彼女たちのようにはなれない。来世生まれ変わっても、なれない。
　なんだかわたしは、ガラパゴス諸島で独自に進化したイグアナみたいだなと思った。

　だが、わたしはそんな自分のことを、そんなにきらいではないのだ。