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プロローグ

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 ──かつて、海賊は荒海を渡り、肥沃ひよくな大地を発見した。
 その島は邪悪な魔女たちによって支配されていた。海賊は力を合わせ、相当数の魔女を火炙りにした。
 解放された島民は額突ぬかずき、島を統治してほしいと海賊に乞うた。
 海賊は願いを聞き入れ、仲間うちから優れた者を王に選んだ。
 新しい国『ウサンディサーガ』が建国されると、魔女の生き残りが現れた。
 和平の証として、王は最後の魔女を娶った。美しく賢い妃を、王はたいそう慈しんだ。

 魔女は王子をひとり産み落とすと、自らの肉体に火を放って叫んだ。

「略奪の王よ! 欲で濁った眼では、真実を見通せまい。うぬらの罪を、我らは決して赦さない。聖なる魔女は幾度も現れる。そうして、きさまの子孫に呪いをかけるだろう。愛を知らぬまま、孤独に死す呪いをな!」

 最後の魔女は炎のなかで笑いながら死んだ。炎が燃え移った王子の顔は焼けただれ、視力を失っていた。
 愛する妃を喪い、哀れな赤子を抱いて王はむせび泣いた。
 王は後添えをもらい、子宝にも恵まれたが、渇きはついぞ癒えなかった。

             『ウサンディサーガ島唄 聖魔女の鉄槌』より
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