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episode.80
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「バレてしまったので今度から言い訳なんかしないで普通に会いに行きますね」
王子は優しい眼差しを私に向ける。
また来る事が決まってしまった。
「あ、でもこの間は私がたまたま家にいましたけど、いきなり来られるといない時もあるのでご連絡頂いた方がいいかと…」
(これってなんか会う約束をしてる?)
「週末はレイの家に行ってしまってるのでほとんどいないのですが…」
(私は一体どうしたいの……?)
よくわからなくなって私はしどろもどろになってしまった。
「そんなに深く考えないでください。意外に私も忙しい身なのですよ」
そう言って王子は笑っていた。
王子はやる事が多いから私に比べて全然忙しいのだ。
それこそ休みの日も公務がたまるくらいに。
「そうですよね。またよかったら遊びにいらしてください」
私は照れながら笑顔でそう答えた。
馬車が到着し、私と王子は庭に向かう。
「お手をどうぞ」
そう言って私の手を引いてくれる。
私はゲームでなんとなく知っていたが、実際のお城の庭はかなり広い。
というより城ってこんな大きいのってくらい大きかった。
更に花が咲いているガーデンスペースも一通り見ていたらかなり時間がかかりそうな感じの広さがあった。
もしかしたら前に家に来た時持って来てくれた薔薇はここのものかもしれない。
中に入ると色とりどりの花が咲いていた。
ここを散歩するのは楽しそうだ。
私達は二人並びながら花を見ながら歩く。
しかし私は少し気になる事があった。
(いつまで手を繋いでいるのかな…)
最初馬車を降りた時に手を引いてもらったまま今も繋いでいる状況だったのだ。
エスコートされてるというより、普通のカップルのように指を絡ませて繋いでいる。
私はチラリと横にいる王子を見た。
その視線に気づいてどうかしましたかと言われた。
「あの、ずっと手を繋いでるのが気になってしまって…」
私はそれが気になって集中できなかった。
ああと王子は小さく呟いた。
「私が繋ぎたいから繋いでいるのですよ。リオン嬢を好きだから今は離したくないのです」
王子は笑顔で答え、反対の手を私の腰に回して立ち止まった。
そう言われて私は一気に顔が赤くなった。
「あなたははっきりと言葉で言われるのが好きかと思って。前に私の声が好きと言っていましたし。それに行動で伝えても気づかないふりをされるので」
王子はニヤリと笑った。
そして私の身体を軽く自分の方に引き寄せる。
「私は言葉で言うのは苦手なのですが、ちゃんと言ったら意識してくれますか?リオン」
王子は私の瞳を見ながら名前を呼んでくる。
「あの、クリスティ様……」
私も何故か王子の名前を呼んでしまっていた。
けれど恥ずかしくて視線を逸らした。
その瞬間王子の顔が近づき、唇にキスを落とされた。
しばらく唇を重ね、離した後、今回はなかった事にはしませんよと言われてしまった。
私は頬が熱くなってしまって王子の胸に顔をうずめしばらく抱かれていた。
そんな私を見ながら王子はポンポンと背中を叩いた。
「まあでも一緒に花を見たいと言ったのは本当なので行きましょうか」
私達は指を絡ませてガーデンを周った。
王子は優しい眼差しを私に向ける。
また来る事が決まってしまった。
「あ、でもこの間は私がたまたま家にいましたけど、いきなり来られるといない時もあるのでご連絡頂いた方がいいかと…」
(これってなんか会う約束をしてる?)
「週末はレイの家に行ってしまってるのでほとんどいないのですが…」
(私は一体どうしたいの……?)
よくわからなくなって私はしどろもどろになってしまった。
「そんなに深く考えないでください。意外に私も忙しい身なのですよ」
そう言って王子は笑っていた。
王子はやる事が多いから私に比べて全然忙しいのだ。
それこそ休みの日も公務がたまるくらいに。
「そうですよね。またよかったら遊びにいらしてください」
私は照れながら笑顔でそう答えた。
馬車が到着し、私と王子は庭に向かう。
「お手をどうぞ」
そう言って私の手を引いてくれる。
私はゲームでなんとなく知っていたが、実際のお城の庭はかなり広い。
というより城ってこんな大きいのってくらい大きかった。
更に花が咲いているガーデンスペースも一通り見ていたらかなり時間がかかりそうな感じの広さがあった。
もしかしたら前に家に来た時持って来てくれた薔薇はここのものかもしれない。
中に入ると色とりどりの花が咲いていた。
ここを散歩するのは楽しそうだ。
私達は二人並びながら花を見ながら歩く。
しかし私は少し気になる事があった。
(いつまで手を繋いでいるのかな…)
最初馬車を降りた時に手を引いてもらったまま今も繋いでいる状況だったのだ。
エスコートされてるというより、普通のカップルのように指を絡ませて繋いでいる。
私はチラリと横にいる王子を見た。
その視線に気づいてどうかしましたかと言われた。
「あの、ずっと手を繋いでるのが気になってしまって…」
私はそれが気になって集中できなかった。
ああと王子は小さく呟いた。
「私が繋ぎたいから繋いでいるのですよ。リオン嬢を好きだから今は離したくないのです」
王子は笑顔で答え、反対の手を私の腰に回して立ち止まった。
そう言われて私は一気に顔が赤くなった。
「あなたははっきりと言葉で言われるのが好きかと思って。前に私の声が好きと言っていましたし。それに行動で伝えても気づかないふりをされるので」
王子はニヤリと笑った。
そして私の身体を軽く自分の方に引き寄せる。
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「あの、クリスティ様……」
私も何故か王子の名前を呼んでしまっていた。
けれど恥ずかしくて視線を逸らした。
その瞬間王子の顔が近づき、唇にキスを落とされた。
しばらく唇を重ね、離した後、今回はなかった事にはしませんよと言われてしまった。
私は頬が熱くなってしまって王子の胸に顔をうずめしばらく抱かれていた。
そんな私を見ながら王子はポンポンと背中を叩いた。
「まあでも一緒に花を見たいと言ったのは本当なので行きましょうか」
私達は指を絡ませてガーデンを周った。
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