優柔不断なちょろインは求婚者からの溺愛を断れない

episode.69

「せっかくだからリオンの髪飾りにも何か魔法を付与してあげましょうか」
私のにもリオンの魔法が入ってるし、と言うので髪飾りを持ってきてアンナに渡した。

髪飾りに手をかざしたかと思うとパァッと光った。
「はい終わり」
渡された髪飾りはアンナの魔力が感じられた。
「どんな魔法を付与してくれたの？」
私はまじまじとアンナはを見つめる。

「んーなんだと思う？じゃあ勝ったら教えてあげるわ。はい、チェックメイト」
アンナは王手をかけてくる。
当たり前だがその後何回しても勝てなかった。
なので私は初心者だからハンデが欲しいとお願いしたらすんなり了承してくれた。

「しょうがないわね。特別よ」
そう言って駒を何個か抜いてくれた。

それで一勝負したらやっと勝てた。
「ふふ、負けちゃったわね、実は付与したのは危機感知魔法よ。そんなにもったいぶって言うものでもないけどね。この前危険な目にあったから」
アンナはにこやかに笑っていた。

確かにこの前は危険な目にあったけど、私はわかってて自ら飛び込んだのだ。
それにレイがいろいろ付与しててくれてるから大丈夫だと思ってしまうが、アンナはあの現場にいたから心配してくれているのであろう。

危険な事なんてそうそう起こらないと思うからあまり意味はない気がするが、というかそれを言ったらレイの魔法もなのだけれど。
とりあえず私はありがとうとお礼を言った。

その後バックギャモンも一通りやり、休憩がてらお茶を飲みながらおしゃべりをした。
それにしてもアンナは強かった。
学校での成績に加え、家柄、容姿立ち振る舞いと本当に非の打ち所がないと言うか、やっぱり王妃様になるべく人なのだと思った。
男だったらスパダリなんじゃないかと思う。
最初は隣国の王太子ルートなんて、と気になってはいたがシャルルも優しそうな人だったし安心できた。
もし私が男性に転生していたらアンナを好きになっていたかもしれないな。

「リオン何考えてるの？」
私がいろいろ妄想に耽っていたらアンナに話しかけられた。

「えっとね…前も言ったけど、アンナはなんでも出来るなって考えてて。私が男だったら求婚してたなって思ってたの。あ、でもアンナに選んでもらえなかったかも。そしたら今のままの方がいいわね」

「それだったら私が男だったらうまくいってたんじゃないかしら？」
そんな事を言われそうかもしれないと私は笑った。

私達は楽しくおしゃべりをし、そろそろいい時間になったのでアンナを見送ることにした。