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episode.58
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私は胸の鼓動を抑え自分の部屋に戻った。
少し庭に出ただけで王子に会うとは思わなかった。
わざわざ私の為に尋ねて来てくれたのが嬉しかったのだ。
王子が住んでいる城から私の家はかなり遠いし、この辺りは特に何もないので用事がある事ほぼないだろう。
それなのに忙しい最中時間を作ってくれてありがたかった。
私がベッドに横たわっていると部屋のドアをノックする音が聞こえた。
返事をするとメイドのリサが入ってきた。
「アルバート様がお見えですがお通して宜しいですか?」
「え、アル?」
私はびっくりしてベッドから起きた。
大丈夫と伝えて急いで準備した。
「リオン、急に来てしまってすみません。近くを通ったものですから、一目会いたくて来てしまいました」
今度はアルバートがやってきた。
今日は一体なんなのだろうか。
そして近くを通ったと言っているが、再度言うがこの辺りには何もない。
明らかに私の家を目指して来たのだろう。
しかしいきなり来ると準備や心構えなどあるので一報連絡頂きたいものだ。
「わざわざ寄ってくれてありがとう。勉強教えてくれる約束も進んでいなかったから私も会いたかったの」
会いたかったのは嘘ではない。
パーティーから結構日が経ってきてしまい、私もそろそろ勉強を教えて貰いたいと思っていたのだ。
しかし学校内で偶然会う事もなく今に至っている。
皆んなやはり手紙で連絡を取り合っているのかと思った。
「私はいつでも大丈夫なのでリオンの予定に合わせます。今日これからでも教えて差し上げましょうか?」
今日は特に予定もなかったのでアルが大丈夫ならと教えてもらう事にした。
早速教えてもらったが、とてもわかりやすくて理解しやすかった。
アルバート自体も頭が良いのに更に教えるのも上手いなんてすごいと思った。
しかしアルバートとの距離がやたら近い。
家庭教師でもこんなに近くはない。
真面目に教えてくれていたが、私はそこが少し気になっていた。
そんな事を思いながら私アルバートの方を少し見た。
「ん?どうしました?どこかわからないところでも?」
私に優しい眼差しを向けてくる。
「そうじゃなくて、なんか近いから緊張するなって思ってたの」
私はアルバートと目が合ったので視線を逸らした。
「緊張しているなんて、もしかして私を意識してくれてるのですか?」
そう言ってアルバートは更に近づき私の瞳を覗いた。
少し庭に出ただけで王子に会うとは思わなかった。
わざわざ私の為に尋ねて来てくれたのが嬉しかったのだ。
王子が住んでいる城から私の家はかなり遠いし、この辺りは特に何もないので用事がある事ほぼないだろう。
それなのに忙しい最中時間を作ってくれてありがたかった。
私がベッドに横たわっていると部屋のドアをノックする音が聞こえた。
返事をするとメイドのリサが入ってきた。
「アルバート様がお見えですがお通して宜しいですか?」
「え、アル?」
私はびっくりしてベッドから起きた。
大丈夫と伝えて急いで準備した。
「リオン、急に来てしまってすみません。近くを通ったものですから、一目会いたくて来てしまいました」
今度はアルバートがやってきた。
今日は一体なんなのだろうか。
そして近くを通ったと言っているが、再度言うがこの辺りには何もない。
明らかに私の家を目指して来たのだろう。
しかしいきなり来ると準備や心構えなどあるので一報連絡頂きたいものだ。
「わざわざ寄ってくれてありがとう。勉強教えてくれる約束も進んでいなかったから私も会いたかったの」
会いたかったのは嘘ではない。
パーティーから結構日が経ってきてしまい、私もそろそろ勉強を教えて貰いたいと思っていたのだ。
しかし学校内で偶然会う事もなく今に至っている。
皆んなやはり手紙で連絡を取り合っているのかと思った。
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私に優しい眼差しを向けてくる。
「そうじゃなくて、なんか近いから緊張するなって思ってたの」
私はアルバートと目が合ったので視線を逸らした。
「緊張しているなんて、もしかして私を意識してくれてるのですか?」
そう言ってアルバートは更に近づき私の瞳を覗いた。
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