獣人公爵様に溺愛されすぎて死にそうです！〜乙女ゲーム攻略ダイアリー〜

アンナside

そして彼は婚約者になってほしいと提案してきた。
今までの話しの流れでは理解できなかった。

何故婚約者になって欲しいのか、彼はその理由について語ってきた。

彼は立場上妃を迎えなくてはいかない。
しかし執事に対する気持ちがある故、女性との行為はしたくない。
もし結婚しても出来るだけ自由にしていいし、子供も養子をもらえばいいと。
そして何不自由ない生活を約束するし、できる範囲で要望は全て答えると言ってきた。

私の容姿や立ち振る舞いを褒めたのも今まで自分が口うるさく女性の好みを言ってきたせいで、中途半端な令嬢だと迎えるのが難しいのだ。

そしてそれは私にもいえる事だった。
私は彼女と今までの関係を続けていきたいが、公爵家という立場上いずれ自分も婚約者をあてがわられるであろう。

そうなれば今ここでこの王太子と婚約してしまった方が随分と生きやすくなるのではと思った。

確かにお互いの利益は一致している。

しかし何故こんな話を私にしたのだろうか。

彼は直感だと答えた。
周りが敵だらけの中で生きる彼は自分の直感を頼りに生きているのだ。

そういえば、私も彼女に男性の好みを聞かれたときインスピレーションと答えたっけ。
そう思いと私と彼は似ているのかもしれない。

けれど今日返事をするのは難しいと思ったので時間が欲しいと言った。
また学校の方にも顔を出すようでその時にという事になった。

おそらく今日の出来事を彼女は聞いてくるであろう。
そしたら私はどんな顔で答えればいいのだろうか。