優柔不断なちょろインは求婚者からの溺愛を断れない

アンナside

初日に教室に入りどこに座ろうか見渡していたら、目が釘付けになってしまう子がいた。

人形みたいに整った顔でとても可愛い。
私が男だったら絶対彼女を好きになるだろう顔だった。
緊張して一瞬声をかけるのを戸惑ったけど、ここで行かなかったら後悔すると思って思い切って声をかけた。
近くで見たら更に可愛かった。

私は緊張をほぐす為にくだけた感じで喋った。
彼女はすごく優しそうないい子だった。

ランチをしながら彼女は私の男性の好みを聞いてきた。
特に今まで好きになるような人がいなかったのでインスピレーションが合う人と答えた。

実際に王子を見ても何も思わなかったし、婚約者候補の方と合っても特に心が揺さぶられたりはしなかった。
婚約者候補のレイ・スタンリーは絶対合わないと思った。
彼自身も明らかに私に興味がなかったし、全部婚約を断っているみたいだったからちょうどよかった。

けど、まさか彼女が彼の婚約者になっているとは思わなかった。
彼女のような子が好みだったら私を選ぶわけないと思った。

実際彼は彼女の前で、私が今まで見た事のない顔をしていた。
おそらく彼女の前以外ではしない顔である。
明らかに周りの目も気にせず溺愛しているし、彼女もそれを受け入れていた。

私のことは視界にも入っていないようで彼女とだけ話し、去っていった。

彼女はいつもあんな感じと言っていたけど、二人きりの時はもっと愛されているんだろう。
そんな感じがした。

私が彼女に対するこの感情は何かわからないけど、彼女には幸せになってほしいと思う。