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あの時の記憶 side ?

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「きゃあっ!やめて!やめて下さい!!」

ドゴッドスッ

殴られる音が部屋の中に響く。

「うるさいッ!俺が!居なきゃ!何にも!出来ない!出来損ないが!俺に!指図するな!」

男は女を殴りながら暴言を吐く。

それを俺は見ていた。

見ている事しか出来なかった。

あの男に近づいたら何をされるか分からない。

怖い。

何も出来ない無力な自分が嫌なのに、怖くて、恐ろしくて、最後には我が身可愛さで何も、出来ない。

「いやぁ!やめてぇ!!」

女の・・・母の叫びが聞こえる。

「この!愚図が!!」

殴る音とあの男のコエも聞こえる。

耳を塞いでも、逃げることは出来ない。

悲痛な叫びもコエも音も。

「・・・チッ。使えない女が。」

男は最後に女に蹴りを入れ、俺の方をゆっくり向いた。

ニタァと口角を上げ、少しずつ近づいてくる。 

しかし俺は逃げない。いや、逃げることは出来ない事、許されない事なのだ。

だから逃げては、いけない。

矛先が俺に向く。

距離が狭まってゆく。 


──あぁ、なんて俺は無力なのだろうか


せめて、母だけでも助けられれば良いのに。

力がない俺は助ける事も出来ず、母の優しい思いを台無しにして、今日も “お仕置き” が始まる。

何も出来ない俺に。

あの男は俺に向けて言う。

俺が、全部悪いのだ。と。

金が無いのも、飯が無いのも、痛い思いをするのも、自分が上手くいかないのも、この女を救えないのも、

全部、全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部

全部。

俺がいるから。

全て上手くいかないのだ。と。

理不尽だ。なんてものは無い。

ただただ俺はそれを受け入れるしかない。

初めから分かっていたじゃないか。

逃げることは出来ない。

俺に、救いなどない。ことなど。

分かっている・・・筈なのに。


どうしても逃げたいと思うのは

どうしても救いを求めてしまうのは


少しくらい許されるだろうか。

それも許されないのだろうか。


さて、現実逃避はこれで終わりにしよう。

俺は向かい合わなければならない。

たとえ理不尽でも無茶苦茶でも。

できるだけ痛くありませんように。

すぐ終わりますように。



そう、祈って、今日も俺は──────。

























┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

すみません!遅れました!
す、滑り込みセーフには・・・なり・・・ませんね。
すみません_○/|_ 土下座

話が~進まない~(  ˙-˙  )

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