高スペックな義兄弟が出来たのですが。

ぱふぱふ

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これからの計画Ⅳ side奏多

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誰も居ない廊下

明るい筈なのに先が暗い

後ろからアノヒトのコエが聞こえる

変わらない景色

ぐるグルぐルぐるループしている



そう感じてしまうほど俺は焦っていた。俺は守れないのか。傷つけてしまうのか。俺は─────。

「  奏   多  」

ガンッ!

勢い良く扉を開ける。振り切るように、頭から消し去るように、二度と、思い出さないように。

「真紘ッ!」

大切な人真紘の名前を、呼ぶ。
その人の足を手を身体を目を、真っ直ぐ見る。

「に、いさん?どうしてここに・・・。」

戸惑っている真紘にふらふらと近づいて抱き締める。真紘は抵抗する様子もなく、ただ、困惑しているようだった。

「心配、した・・・」

俺が震えを誤魔化すようにそう囁くと、真紘が「ごめん、心配かけて・・・。」と言って軽く俺の袖を掴んだ。その言葉に感情を上手く出せず、更に強く抱き締める。
あぁ温かい。心音が聞こえる。真紘がいる。

夢中になって抱き締めていたが、真紘に苦しいと少しもがかれたので「あ、ごめん」と一言言ってそっと離れる。もっと傍にいたかったけど。

体調はもう大丈夫なのかと聞くと、俺を安心させるように優しく「大丈夫」だと答えてくれる。
・・・本当に大丈夫なのか?本当は俺を安心させる為に無理をしているんじゃないのか?このままだと教室に戻るとか言い出しそうだし、先手を打っておかなければ。

「じゃあ今日は早退しようか。俺と一緒に帰ろう?」

立ち上がり、そう言って手を差し出せば、少し迷っていたもののそっと俺の手を握り返してくる。こうすれば真紘は断れきれない。

「・・・じゃあ先生、俺真紘送って行くので。ありがとうざいました。」

俺達の様子にポカーンとしている保健室の先生に、お礼と断りを入れて真紘の手を引っ張り、歩き出す。真紘も慌てて先生にお礼を言ってついてくる。

「では」と一言言ってから保健室の扉を閉めて荷物を持つ。自分の荷物も真紘の荷物も、保健室に向かう途中に持ってきていた。

玄関へ向かう途中、真紘が俺のことをチラチラ見ながら何かを考えていた。もしかして・・・

「先生に許可を貰ったから大丈夫だよ」

俺が質問される前に言うと、真紘は目を丸くして何で分かったの?!という顔をした。真紘は分かりやすいなと思いながら、分かりやすい事を指摘すると、またうーんと悩み始めた。
その様子も可愛らしくて、思わず顔がほころぶ。

今日は失態だった。
もう二度と同じ事は繰り返さない。
俺が真紘とずっと居られるように。

ケイカクヲ。



俺の可愛い真紘。

どうかいつまでも俺の傍に───。




side奏多 END













┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

side奏多 これからの計画 END です!
ようやく本編へ戻れます!長かった(´;ω;`)

ここまで長くする予定は無かったのですが書いているうちにどんどんどんどん長くなってしまって・・・お付き合い頂き有難うございました。といってもまだまだこれからなので、これからもご愛読の方、よろしくお願いします((。´・ω・)。´_ _))ペコリン



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