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これからの計画Ⅲ side奏多
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渚と別れ、校門をくぐるとタイミング良く桜がフワリと舞い上がり「わぁ、凄い・・・」と真紘が目を輝かせた。そっと手を伸ばし、桜の花弁と戯れる様子はとても綺麗で思わず見入ってしまう。
それは1枚の美しい絵画のようで、何処からともなく取り出した携帯で無音のシャッターを切った後、他の生徒も真紘を見ていることに気が付いた。
「真紘、あれ貰いに行った方が良いんじゃない?」
夢中になっている真紘にリボンを持っている在校生を指差しながら声をかけ、他の生徒から隠しながら意識を違う方へずらす。真紘はハッとした表情になり、「うん」と頷いて向かっていった。
全く・・・無自覚にも程がある。あれではいい意味で目立ってしまう。不本意だが。離れたら何処で危ないめにあう真紘の良さに俺だけが気付いていれば良いのだが・・・。
いっその事、閉じ込めてしまおうか。
・・・・・・なーんて。俺だって真紘の嫌がる事はしたくない。真紘には笑顔で、幸せでいてほしい。
そんな事を考えていたら真紘の用も済んだようだ。まぁ一応、最終手段として考えておいてもいいかと思いながら、真紘に「じゃあ、行こっか?」と言って一緒に玄関へと向かった。
真紘と別れて職員室へ向かう。俺は転校生の為、いきなり教室に入ったらパニックになる。ノックをして「失礼します」と扉を開けると、新しい担任らしき先生が出迎えてくれた。そこである程度説明を受けて他の生徒とは離れた所から入学式、始業式を受ける事になった。
他の生徒が入った後、端の方で先生方の近くで座って待っていると入学式が始まった。緊張しながらも前を向いて、立派に入場してくる真紘を微笑ましく見ながら拍手で出迎える。うん、可愛い。
しばらくつまらない話を聞いていると、新入生の方が少しざわついた。どうやら誰かが倒れてしまったらしく、先生方が向かっていった。これを気に早く終わらせてほしいと思いながら特に気にも止めていなかった。
生徒が出てきたので見てみると、
俺の目に映ったのはぐったりと倒れている真紘とその真紘を抱えて運ぶ男子生徒だった。
・・・・・・は?ま、ひろ・・・?
思考が、停止する。
全ての時がゆっくり刻まれていくように、目に映る全てのものがコマ送りで進んでいく。目の前を、通り過ぎていく。そのまま俺だけの時が止まってしまったかのように、俺は、動けなかった。
どれくらい、そうしていたのだろうか。
先生に声をかけられ、ハッと意識が覚醒し気がついた時には、真紘はもうとっくに居らず、始業式も終わった頃だった。
────────────────
「先生、俺体調悪いので保健室、行ってきます。」
歩きながら先生に言う。そのまま進行方向を変え、真紘が運ばれたであろう保健室へ走る。先生が「え」とか「は」とか言っているがどうでもいい。真紘以外、どうでもいい。
何で倒れたのか。体調が悪かったのか。いつから。ザザッ 朝カらなのか。ザッ それなら何デ気付かナかった。ザザッ 何でアの男子セイとが。ザ真ヒロは無ジなノか。ザザッ あのママ、目ガ覚めナカッたら。ザッ おレガ、まモレないかラ。ザザッ
カァさん、ミたィニ 。ザー
ぐるグルぐるグると頭が回っていく。しかし向かう足は止めず止まらず、目的地へと向かう。砂嵐のあの音が、母さんの声が、耳から、離れない。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
本当に申し訳ないのですが、あと1話、1話だけなので!すごく長くなってしまっていますがあと1話、お付き合い下さい_○/|_ 土下座
それは1枚の美しい絵画のようで、何処からともなく取り出した携帯で無音のシャッターを切った後、他の生徒も真紘を見ていることに気が付いた。
「真紘、あれ貰いに行った方が良いんじゃない?」
夢中になっている真紘にリボンを持っている在校生を指差しながら声をかけ、他の生徒から隠しながら意識を違う方へずらす。真紘はハッとした表情になり、「うん」と頷いて向かっていった。
全く・・・無自覚にも程がある。あれではいい意味で目立ってしまう。不本意だが。離れたら何処で危ないめにあう真紘の良さに俺だけが気付いていれば良いのだが・・・。
いっその事、閉じ込めてしまおうか。
・・・・・・なーんて。俺だって真紘の嫌がる事はしたくない。真紘には笑顔で、幸せでいてほしい。
そんな事を考えていたら真紘の用も済んだようだ。まぁ一応、最終手段として考えておいてもいいかと思いながら、真紘に「じゃあ、行こっか?」と言って一緒に玄関へと向かった。
真紘と別れて職員室へ向かう。俺は転校生の為、いきなり教室に入ったらパニックになる。ノックをして「失礼します」と扉を開けると、新しい担任らしき先生が出迎えてくれた。そこである程度説明を受けて他の生徒とは離れた所から入学式、始業式を受ける事になった。
他の生徒が入った後、端の方で先生方の近くで座って待っていると入学式が始まった。緊張しながらも前を向いて、立派に入場してくる真紘を微笑ましく見ながら拍手で出迎える。うん、可愛い。
しばらくつまらない話を聞いていると、新入生の方が少しざわついた。どうやら誰かが倒れてしまったらしく、先生方が向かっていった。これを気に早く終わらせてほしいと思いながら特に気にも止めていなかった。
生徒が出てきたので見てみると、
俺の目に映ったのはぐったりと倒れている真紘とその真紘を抱えて運ぶ男子生徒だった。
・・・・・・は?ま、ひろ・・・?
思考が、停止する。
全ての時がゆっくり刻まれていくように、目に映る全てのものがコマ送りで進んでいく。目の前を、通り過ぎていく。そのまま俺だけの時が止まってしまったかのように、俺は、動けなかった。
どれくらい、そうしていたのだろうか。
先生に声をかけられ、ハッと意識が覚醒し気がついた時には、真紘はもうとっくに居らず、始業式も終わった頃だった。
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「先生、俺体調悪いので保健室、行ってきます。」
歩きながら先生に言う。そのまま進行方向を変え、真紘が運ばれたであろう保健室へ走る。先生が「え」とか「は」とか言っているがどうでもいい。真紘以外、どうでもいい。
何で倒れたのか。体調が悪かったのか。いつから。ザザッ 朝カらなのか。ザッ それなら何デ気付かナかった。ザザッ 何でアの男子セイとが。ザ真ヒロは無ジなノか。ザザッ あのママ、目ガ覚めナカッたら。ザッ おレガ、まモレないかラ。ザザッ
カァさん、ミたィニ 。ザー
ぐるグルぐるグると頭が回っていく。しかし向かう足は止めず止まらず、目的地へと向かう。砂嵐のあの音が、母さんの声が、耳から、離れない。
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本当に申し訳ないのですが、あと1話、1話だけなので!すごく長くなってしまっていますがあと1話、お付き合い下さい_○/|_ 土下座
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