高スペックな義兄弟が出来たのですが。

ぱふぱふ

文字の大きさ
上 下
33 / 61
Lv5

これからの計画Ⅲ side奏多

しおりを挟む
渚と別れ、校門をくぐるとタイミング良く桜がフワリと舞い上がり「わぁ、凄い・・・」と真紘が目を輝かせた。そっと手を伸ばし、桜の花弁と戯れる様子はとても綺麗で思わず見入ってしまう。

それは1枚の美しい絵画のようで、何処からともなく取り出した携帯で無音のシャッターを切った後、他の生徒も真紘を見ていることに気が付いた。

「真紘、あれ貰いに行った方が良いんじゃない?」

夢中になっている真紘にリボンを持っている在校生を指差しながら声をかけ、他の生徒から隠しながら意識を違う方へずらす。真紘はハッとした表情になり、「うん」と頷いて向かっていった。

全く・・・無自覚にも程がある。あれではいい意味で目立ってしまう。不本意だが。離れたら何処で危ないめにあう真紘の良さに俺だけが気付いていれば良いのだが・・・。


   いっその事、閉じ込めてしまおうか。


・・・・・・なーんて。俺だって真紘の嫌がる事はしたくない。真紘には笑顔で、幸せでいてほしい。

そんな事を考えていたら真紘の用も済んだようだ。まぁ一応、最終手段として考えておいてもいいかと思いながら、真紘に「じゃあ、行こっか?」と言って一緒に玄関へと向かった。


真紘と別れて職員室へ向かう。俺は転校生の為、いきなり教室に入ったらパニックになる。ノックをして「失礼します」と扉を開けると、新しい担任らしき先生が出迎えてくれた。そこである程度説明を受けて他の生徒とは離れた所から入学式、始業式を受ける事になった。

他の生徒が入った後、端の方で先生方の近くで座って待っていると入学式が始まった。緊張しながらも前を向いて、立派に入場してくる真紘を微笑ましく見ながら拍手で出迎える。うん、可愛い。

しばらくつまらない話を聞いていると、新入生の方が少しざわついた。どうやら誰かが倒れてしまったらしく、先生方が向かっていった。これを気に早く終わらせてほしいと思いながら特に気にも止めていなかった。
生徒が出てきたので見てみると、

俺の目に映ったのはぐったりと倒れている真紘とその真紘を抱えて運ぶ男子生徒だった。

・・・・・・は?ま、ひろ・・・?

思考が、停止する。

全ての時がゆっくり刻まれていくように、目に映る全てのものがコマ送りで進んでいく。目の前を、通り過ぎていく。そのまま俺だけの時が止まってしまったかのように、俺は、動けなかった。

どれくらい、そうしていたのだろうか。

先生に声をかけられ、ハッと意識が覚醒し気がついた時には、真紘はもうとっくに居らず、始業式も終わった頃だった。

────────────────

「先生、俺体調悪いので保健室、行ってきます。」

歩きながら先生に言う。そのまま進行方向を変え、真紘が運ばれたであろう保健室へ走る。先生が「え」とか「は」とか言っているがどうでもいい。真紘以外、どうでもいい。

何で倒れたのか。体調が悪かったのか。いつから。ザザッ 朝カらなのか。ザッ それなら何デ気付かナかった。ザザッ 何でアの男子セイとが。ザ真ヒロは無ジなノか。ザザッ あのママ、目ガ覚めナカッたら。ザッ おレガ、まモレないかラ。ザザッ

    カァさん、ミたィニ  。ザー

ぐるグルぐるグると頭が回っていく。しかし向かう足は止めず止まらず、目的地へと向かう。砂嵐のあの音が、母さんの声が、耳から、離れない。

















  













┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

本当に申し訳ないのですが、あと1話、1話だけなので!すごく長くなってしまっていますがあと1話、お付き合い下さい_○/|_ 土下座
しおりを挟む
感想 76

あなたにおすすめの小説

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】 世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。 これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。 無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。 不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

病んでる愛はゲームの世界で充分です!

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。 幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。 席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。 田山の明日はどっちだ!! ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。 BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。 11/21 本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

処理中です...