16 / 79
15. 呼び出しという名の買収
しおりを挟む「マッデン……だよな?」
ジキムートの言葉に一同がうなずく。
「くっ……」
レキは抱えていた物を離し、なんとか立とうとしていた。
「くくっ、ノーティス。おぬしが言う事は本当だったみたいだの。このレキだったか? わしでもなかなか見たことが無い、美しい女がいると」
舌なめずり一つ。
その直後に突然、地面から沸き上がった水の群れがレキを絡めとっていく。
「グゥっ!?」
水に周りをまかれ、レキがうなる。
周りは水。
逃げ場がなく、ゆっくりと狭まる包囲網をにらみつける事しかできないでいた。
「ほぅほぅなんぞ、その奇麗な褐色の肌は。 貴族共は全員が色白いからのぉ。こういう趣向は稀じゃ。いや、初めてじゃぁっ! ヒヒッ。どうして今までココに来んだったか、全くっ。神もいじらしい事をしてくださるっ!」
「……シュっ!」
その時だった。
〝ムードブレイカー(自己中)″ジキムートが走った。
壁を蹴ってつたい、一気に住民たちを横目に後ろに回ろうとする。
「……」
その姿をマッデンが睨んだ――瞬間。
バキンっ!
「何っ!?」
壁にあった壁面が一気に、突如氷に代わる。
「だがこれなら!」
未だ遠い住民の裏。
ジキムートは剣を壁に刺し、その氷を逃げきっ……。
パキパキパキッ!
剣がへし折れたっ!
一瞬にして氷が剣に浸食し、芯まで凍らせたのだ。
ジキムートは住民の中へと落ちてしまうっ!
「はっ!?」
いきなりの現実。
ゴディンの力ならば通用した事が、通じない。
その事実にジキムートは声すら出せないでいる。
ドタンっ!
そして、地面の感覚。
「クッ!?」
「全員気を抜くなっ! 行くぞっ」
叫び、漆黒のローラが駆けて……っ!
「……」
彼女が動こうとすると目の前に、20……30、いや40っ!
氷の刃が突然、出現した。
「なっ!?」
詠唱なしに、とんでもない量のマナが溢れる。
それはまるで壁のような、視界を埋め尽くす程の氷の刃。
狭い空洞に逃げ道はない。
(クソっ!? 呪いを使うしかないのか……。だが……っ)
ちらりとノーティスを見たローラ。
(コイツを信じるなんてシャクだが、この呪いは今使う訳にはいかないっ! この作戦、どんな犠牲を払ってでも遂行してみせるっ! お嬢様っ。お嬢様ーっ!)
彼女は賭けに出た。
愛する者の名を、心の中で叫びながら……。
「グアァァッ!?」
「そは水を食うモノなり。吸えよ食えよ肥え太れ……っ」
ノーティスは呪文を詠唱し始める。
「〝ディセクレト(神話、そして咎人)〟……か、〝アーク・エンクレイヴライト(聖域現出)〟っ。消えよこの、神の盟約を破る愚か者がっ! 目に入れるにも汚らわしいわっ」
水の聖域の現出。
その瞬間また、この世界が水で覆われてしまうっ!
そしてノーティスもローラと同じく、数多の氷を放たれてしまうが――。
「グッ!?」
雨あられと降り注ぐ攻撃を、水の魔法障壁でなんとか防いだノーティス。
そして銀髪を翻し、すぐに氷の魔法で反撃にでようとしたが……。
「……」
フッ。
マッデンに魔法構成を睨まれただけであっさりと、ノーティスが張った魔法の障壁もろとも、ノーティスの魔法全てを消滅させられてしまったっ!
「なにっ……ディスペルされたっ!?」
単一の魔法しか使えないのだ。
属性に絶対的に秀でた人間の支配。それが行き届いてしまう。
「第3階級の私の魔法が――。駆け引きも無しにこんなっ!? 馬鹿なっ!?」
魔法階級が上から3番目に属する彼女の魔法ですら、例外では無いという事。
マッデンの前では、水のマナを『扱う事』すらかなわない。
相手を魔法世界から駆逐する。これこそが本当の聖域の意義で、攻撃的な使い方である。
「くそっ!?」
瞬間ノーティスが大きく飛んで、マッデンから逃れようとするが……っ!
「ふむぅ……」
マッデンが笑いそして――。
ノーティスの目の前に氷の刃40、50……100っ!
増える氷の刃が、ノーティスを睨みつけている。
「はぁ……はぁ」
その場からは動けなくなってしまう彼女。
「ククッ……。さてさてぇ。楽しむか」
「くぅっ!?」
マッデンは、水の牢獄にレキを閉じ込めてしまった。
あっという間に傭兵の精鋭を圧倒し、レキを自分のもとに寄せるマッデン。
水を自由に、意図したとおり、見事に動かして見せる。
「水を……。この水の量を維持して操れるなんてっ!? しかも強度も高いっ! クッ。これが本物の神の右腕っ!? ゴディンなんて比じゃない力じゃないかっ」
水に呑まれながら、レキがうめく。
この世界では水と言わずどのようなマナでも、1回単発の使い切りだ。
マナを維持し、操り続ける行為。
それは圧倒的に高位な魔法練度と、何と言っても魔力容量が必要だった。
「ほぉ、やはり近くで見るとメンコイなぁ、ぶふっ。これ程小麦に焼かれても、しっかりと美しいキメと張りっ。下民よ~。良いぞっ! わしに捧げるには十分よっ! 褒めて遣わすっ!」
高らかに笑いを上げるマッデン。
「くっ、離せっ、この豚がっ!」
ばしゃっ! ばしゃしゃっ!
体幹の強いレキの、激しい抵抗を封じ込めれるだけの水の水量と強度。
これを維持し続けるマッデンは今、MPを秒単位で失っているハズ。
だが全くもって魔力に窮する気配がない。
「何を言う? 安心せよ女。我は人間の中にありて、最も神に近しき者っ! 水神様直々にお認めになった存在よ~。胸を張れっ! 我に愛される事は、神に愛されたと同義だっ! 誇り高い一族の、さらには頂点者の子を産めるのであるっ。歓喜せよ」
「かっ神に愛されたと同じだとっ!? 貴様はただの人に過ぎないっ! 高貴な我らの真の支配者。崇高なるマナの仕手。神よこの男に罰をっ!」
「歓喜……せよっ」
グギュウっ!
マッデンが笑うと、水が締まりをきつくする。
「ぐぁぁっ!?」
レキを取り巻く水圧が一気に跳ね上がり、ヨダレを垂らしてレキがうめく。
「ほれ。神をあがめよ。子が……我が神に等しき男の種が、欲しいじゃろ?」
「ヒッ!?」
マッデンが言葉をつむぐと水が――。
レキを取り巻く水が、彼女の装備を外していく。
「ここで一つ、楽しんでおこうかのぉ? たんと水に冒され、奇麗になると良い」
あっという間に水圧で鎧を外し、胸の部分をさらけ出させられたレキ。
薄紅色の突起があらわにされてしまう。
そしてそのまま腰元のズボンまでもが、水に剥がされていく。
「くっ、やめろっ!」
「ほぉ、胸が小ぶりか。まぁ仕方ない。これならノーティスのほうが良かったがのう。――そうじゃそうじゃ、あとで水でも入れて、膨らませるのも良いじゃろうて。うんうん、その小さいのも一応たっぷり遊んでから、好みに入れ替えるか。それでは……」
「クソがっ! 僕はお前の人形じゃないんだよっ!」
レキが唇をかむ。
だがマッデンには実際、そう言った着せ替え行為ができるのだろう。
マナに選ばれるとは、そう言う事だった。
「汚い言葉を使うなっ、メスが。娼婦みたいな言葉は断じてならんぞ小娘っ! ふぅ全く。じゃが……まぁ、威勢が良いのも初めだけじゃろうて。これを受ければ考えも変わるじゃろう。いっひっひっ」
ブタのような顔が歪み、水が数本ウネウネと指のような物を這いださせた。
「……」
何か、途方もなく嫌な予感に身震いするレキ。
「今から水で子宮の中までキレイにしてやるぞ。汚れも消えるし、薄汚い病気も消える。良い事じゃぁ。それにコレをすると、娘どもが静かになる。どんな貴族のじゃじゃ馬も、わしの命令には絶対服従じゃったわぃっ! 体の芯まで水に犯される感覚に、恍惚を覚える者さえおったんじゃあっ!」
「この豚が……っ!?」
レキのコメカミがヒクつく。
大勢の住民の前、レキは群れる水の触手に蹂躙されようとしている。
大勢に好機の目で見られ、そして考えたことも無い、人体実験のような人体洗浄法で辱められようとしているのだ。
「くぅううっ!?」
そして、パンツに水が入ろうとした時レキは――笑った。
ジキムートの言葉に一同がうなずく。
「くっ……」
レキは抱えていた物を離し、なんとか立とうとしていた。
「くくっ、ノーティス。おぬしが言う事は本当だったみたいだの。このレキだったか? わしでもなかなか見たことが無い、美しい女がいると」
舌なめずり一つ。
その直後に突然、地面から沸き上がった水の群れがレキを絡めとっていく。
「グゥっ!?」
水に周りをまかれ、レキがうなる。
周りは水。
逃げ場がなく、ゆっくりと狭まる包囲網をにらみつける事しかできないでいた。
「ほぅほぅなんぞ、その奇麗な褐色の肌は。 貴族共は全員が色白いからのぉ。こういう趣向は稀じゃ。いや、初めてじゃぁっ! ヒヒッ。どうして今までココに来んだったか、全くっ。神もいじらしい事をしてくださるっ!」
「……シュっ!」
その時だった。
〝ムードブレイカー(自己中)″ジキムートが走った。
壁を蹴ってつたい、一気に住民たちを横目に後ろに回ろうとする。
「……」
その姿をマッデンが睨んだ――瞬間。
バキンっ!
「何っ!?」
壁にあった壁面が一気に、突如氷に代わる。
「だがこれなら!」
未だ遠い住民の裏。
ジキムートは剣を壁に刺し、その氷を逃げきっ……。
パキパキパキッ!
剣がへし折れたっ!
一瞬にして氷が剣に浸食し、芯まで凍らせたのだ。
ジキムートは住民の中へと落ちてしまうっ!
「はっ!?」
いきなりの現実。
ゴディンの力ならば通用した事が、通じない。
その事実にジキムートは声すら出せないでいる。
ドタンっ!
そして、地面の感覚。
「クッ!?」
「全員気を抜くなっ! 行くぞっ」
叫び、漆黒のローラが駆けて……っ!
「……」
彼女が動こうとすると目の前に、20……30、いや40っ!
氷の刃が突然、出現した。
「なっ!?」
詠唱なしに、とんでもない量のマナが溢れる。
それはまるで壁のような、視界を埋め尽くす程の氷の刃。
狭い空洞に逃げ道はない。
(クソっ!? 呪いを使うしかないのか……。だが……っ)
ちらりとノーティスを見たローラ。
(コイツを信じるなんてシャクだが、この呪いは今使う訳にはいかないっ! この作戦、どんな犠牲を払ってでも遂行してみせるっ! お嬢様っ。お嬢様ーっ!)
彼女は賭けに出た。
愛する者の名を、心の中で叫びながら……。
「グアァァッ!?」
「そは水を食うモノなり。吸えよ食えよ肥え太れ……っ」
ノーティスは呪文を詠唱し始める。
「〝ディセクレト(神話、そして咎人)〟……か、〝アーク・エンクレイヴライト(聖域現出)〟っ。消えよこの、神の盟約を破る愚か者がっ! 目に入れるにも汚らわしいわっ」
水の聖域の現出。
その瞬間また、この世界が水で覆われてしまうっ!
そしてノーティスもローラと同じく、数多の氷を放たれてしまうが――。
「グッ!?」
雨あられと降り注ぐ攻撃を、水の魔法障壁でなんとか防いだノーティス。
そして銀髪を翻し、すぐに氷の魔法で反撃にでようとしたが……。
「……」
フッ。
マッデンに魔法構成を睨まれただけであっさりと、ノーティスが張った魔法の障壁もろとも、ノーティスの魔法全てを消滅させられてしまったっ!
「なにっ……ディスペルされたっ!?」
単一の魔法しか使えないのだ。
属性に絶対的に秀でた人間の支配。それが行き届いてしまう。
「第3階級の私の魔法が――。駆け引きも無しにこんなっ!? 馬鹿なっ!?」
魔法階級が上から3番目に属する彼女の魔法ですら、例外では無いという事。
マッデンの前では、水のマナを『扱う事』すらかなわない。
相手を魔法世界から駆逐する。これこそが本当の聖域の意義で、攻撃的な使い方である。
「くそっ!?」
瞬間ノーティスが大きく飛んで、マッデンから逃れようとするが……っ!
「ふむぅ……」
マッデンが笑いそして――。
ノーティスの目の前に氷の刃40、50……100っ!
増える氷の刃が、ノーティスを睨みつけている。
「はぁ……はぁ」
その場からは動けなくなってしまう彼女。
「ククッ……。さてさてぇ。楽しむか」
「くぅっ!?」
マッデンは、水の牢獄にレキを閉じ込めてしまった。
あっという間に傭兵の精鋭を圧倒し、レキを自分のもとに寄せるマッデン。
水を自由に、意図したとおり、見事に動かして見せる。
「水を……。この水の量を維持して操れるなんてっ!? しかも強度も高いっ! クッ。これが本物の神の右腕っ!? ゴディンなんて比じゃない力じゃないかっ」
水に呑まれながら、レキがうめく。
この世界では水と言わずどのようなマナでも、1回単発の使い切りだ。
マナを維持し、操り続ける行為。
それは圧倒的に高位な魔法練度と、何と言っても魔力容量が必要だった。
「ほぉ、やはり近くで見るとメンコイなぁ、ぶふっ。これ程小麦に焼かれても、しっかりと美しいキメと張りっ。下民よ~。良いぞっ! わしに捧げるには十分よっ! 褒めて遣わすっ!」
高らかに笑いを上げるマッデン。
「くっ、離せっ、この豚がっ!」
ばしゃっ! ばしゃしゃっ!
体幹の強いレキの、激しい抵抗を封じ込めれるだけの水の水量と強度。
これを維持し続けるマッデンは今、MPを秒単位で失っているハズ。
だが全くもって魔力に窮する気配がない。
「何を言う? 安心せよ女。我は人間の中にありて、最も神に近しき者っ! 水神様直々にお認めになった存在よ~。胸を張れっ! 我に愛される事は、神に愛されたと同義だっ! 誇り高い一族の、さらには頂点者の子を産めるのであるっ。歓喜せよ」
「かっ神に愛されたと同じだとっ!? 貴様はただの人に過ぎないっ! 高貴な我らの真の支配者。崇高なるマナの仕手。神よこの男に罰をっ!」
「歓喜……せよっ」
グギュウっ!
マッデンが笑うと、水が締まりをきつくする。
「ぐぁぁっ!?」
レキを取り巻く水圧が一気に跳ね上がり、ヨダレを垂らしてレキがうめく。
「ほれ。神をあがめよ。子が……我が神に等しき男の種が、欲しいじゃろ?」
「ヒッ!?」
マッデンが言葉をつむぐと水が――。
レキを取り巻く水が、彼女の装備を外していく。
「ここで一つ、楽しんでおこうかのぉ? たんと水に冒され、奇麗になると良い」
あっという間に水圧で鎧を外し、胸の部分をさらけ出させられたレキ。
薄紅色の突起があらわにされてしまう。
そしてそのまま腰元のズボンまでもが、水に剥がされていく。
「くっ、やめろっ!」
「ほぉ、胸が小ぶりか。まぁ仕方ない。これならノーティスのほうが良かったがのう。――そうじゃそうじゃ、あとで水でも入れて、膨らませるのも良いじゃろうて。うんうん、その小さいのも一応たっぷり遊んでから、好みに入れ替えるか。それでは……」
「クソがっ! 僕はお前の人形じゃないんだよっ!」
レキが唇をかむ。
だがマッデンには実際、そう言った着せ替え行為ができるのだろう。
マナに選ばれるとは、そう言う事だった。
「汚い言葉を使うなっ、メスが。娼婦みたいな言葉は断じてならんぞ小娘っ! ふぅ全く。じゃが……まぁ、威勢が良いのも初めだけじゃろうて。これを受ければ考えも変わるじゃろう。いっひっひっ」
ブタのような顔が歪み、水が数本ウネウネと指のような物を這いださせた。
「……」
何か、途方もなく嫌な予感に身震いするレキ。
「今から水で子宮の中までキレイにしてやるぞ。汚れも消えるし、薄汚い病気も消える。良い事じゃぁ。それにコレをすると、娘どもが静かになる。どんな貴族のじゃじゃ馬も、わしの命令には絶対服従じゃったわぃっ! 体の芯まで水に犯される感覚に、恍惚を覚える者さえおったんじゃあっ!」
「この豚が……っ!?」
レキのコメカミがヒクつく。
大勢の住民の前、レキは群れる水の触手に蹂躙されようとしている。
大勢に好機の目で見られ、そして考えたことも無い、人体実験のような人体洗浄法で辱められようとしているのだ。
「くぅううっ!?」
そして、パンツに水が入ろうとした時レキは――笑った。
2
お気に入りに追加
2,539
あなたにおすすめの小説
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
悪役令嬢に仕立て上げたいのならば、悪役令嬢になってあげましょう。ただし。
三谷朱花
恋愛
私、クリスティアーヌは、ゼビア王国の皇太子の婚約者だ。だけど、学院の卒業を祝うべきパーティーで、婚約者であるファビアンに悪事を突き付けられることになった。その横にはおびえた様子でファビアンに縋り付き私を見る男爵令嬢ノエリアがいる。うつむきわなわな震える私は、顔を二人に向けた。悪役令嬢になるために。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
婚約破棄を、あなたのために
月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの?
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる