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五章
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しおりを挟む予想外にもエディさんはラドのことを気に入り、様々な質問を投げ掛けかていた。それにシンが嫉妬したのも最初だけで、すぐにエディさんと一緒に色々と尋ねていた。
「まだ婚約者がいないのか」
「はい」
「これだけカッコよければ、ご令嬢方が放っておかないでしょう」
「そう、ですね」
「それとも恋愛に悩みがあるなら聞くわよ」
「ないです」
「ラドナード、従兄弟なんだ。砕けた口調で話してくれて構わないぞ」
「わかっ……た」
少し戸惑いながらも応えるラド。
男性二人から同時に質問責めに会う機会など中々ないために、慌てながらも会話を試みる。その姿は緊張も感じたが、どこか楽しそうで笑みも見られた。
三人の距離が縮まるのに時間はかからなさそうだ。
一度お手洗いにとシトさんの案内の元、ラドは席を外した。
「それにしてもあっちは大丈夫かしら」
「母上は大丈夫だろうな。問題は……」
「お互いのお父様ね」
「うん……」
「にしてもよ?あたし達、シーナのお父様を初めて見たのだけど、お母様にそっくりだわ」
「あぁ。雰囲気がどことなく似ている」
「あまり考えたことがなかったけれど、二人並ぶと確かに似ていますね」
「間違いなく兄妹だな」
少し離れた所で見守りながら会話を続ける。
「それにしても良かったわ、嫌われなさそうで」
「嫌われる?」
「だってそうでしょう。シーナのお父様からしたら、うちのお父様は大切な妹を奪った存在になるから」
「確かにそうだな」
そういう捉え方も確かにあるだろう。だが、嫌うことも恨むこともうちのお父様なら絶対にしない。そう断言できる。
「……お父様は叔母様の幸せを一番に考えると思うから、今侯爵の隣に立って幸せな姿を自分のめで見れて満足してると思うよ」
「まぁ。できる男ね」
「いらん心配だったな」
「そんなに心配していらして……?」
「あぁ。一週間ほど業務がまともに出来ないほどには思い悩んでいたな。いい迷惑だった」
「そんなこと言ってしっかりと手伝うんですもの。お兄様もできた男ね」
「シンに言われても嬉しくない」
「酷すぎじゃない?!」
ふと侯爵の立場を考えた時、心配になる気持ちはよくわかる気がした。私もシトさんに会った時は不安を覚えたものだから。やはりパートナーとなる相手の親族に良く思われたいのは、皆一緒なのだ。
「それとは反対にお母様は楽しみすぎて眠れてなかったけれどね」
「珍しく幼い姿を見たな」
「叔母様が……想像できない」
「知らせの手紙を大切そうに持ちながら、くるくる回ってたのよ」
「くるくる回って……」
「ジェシン、余計なことを言うものではありません」
いつの間にか叔母様が近くに来ていた。シンは悪びれることなく応答する。
「あらお母様」
「叔母様」
「久し振りねシーナ。息子達をお兄様に紹介したくて」
「行くわ」
「行きます」
一緒に行くことを考えたが、ラドを待つことを選び笑顔で見送った。
交流はまだまだ続きそうだ。
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