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四章
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しおりを挟む簡単な話が終ったところで、まずは基礎練習をするための体づくりをすることにした。
「ストレッチや柔軟体操をして、体をほぐします。体が軽く動かす為にも、特に柔軟は忘れてはいけませんよ」
「はい」
「今から教えるものは覚えれば自分一人でもできるので、私と会えない日も頑張ってみてください」
「わかりました!」
こうして、ナターシャは舞踊への道へと踏み出したのである。
どこまで教えられるかと悩み始める。柔軟を初めて行うとしたら、数日かけなければ効果は発揮されない。それを待ってるだけだと、何も教えられないだろう。私がここにいられる日数は限られている。
「先生、こうですか?」
「そうそう、あって……えぇ!」
「ど、どうしましたか!」
驚くことにナターシャは物凄く柔らかかった。それだけでなく、ずっと準備をしてきたと思うくらい軽い動きを見せた。
「ナターシャさん、舞踊のようなことを学んだことは?」
「と、特にはありません!」
「……だとしたら才能かしら」
まだ幼いということもあるのだろうが、どのみちこの状況はとてもありがたい。
「あ、あの先生……私は才能がないのでしょうか」
「いえ、逆よ。逆ですよナターシャさん。もう準備できてある体ならば、早速教えることができるから」
「ほ、本当ですか!」
「えぇ。それで考えたのだけれど……」
ナターシャは両親への申し訳ない気持ちを持ちながらも、ようやく見つけた興味の先をどえにか伝えたいようにみえた。だが、それを本心と見てもらえるかの不安もあるようだった。
そこで考えたことがある。
「基礎で学ぶ演目を何か一つ選んで、習得してみませんか。もちろんサポートはたくさんしますから。そして、ご両親に披露しましょう」
「……!!」
きっとナターシャには舞踊の才能がある。そう直感した。あとは本人のやる気次第たが、そこも大丈夫に思う。
「たとえば下手でも構いません。踊りきれば、ここまで打ち込めたという証拠になります」
「確かに……」
「それに舞踊は才能の有無も大事ですが、それよりも大切なのは努力の数だと思っています。だから、ナターシャさんがやる気なのであれば心配しなくても大丈夫ですよ」
「……そう、ですか?」
「えぇ。こんなに偉そうに言ってますが、私自身もまだまだ学生で学び多き身です。よければ一緒に成長しましょう」
ナターシャからは良い刺激を受けながら、何か大きなものか吸収できる気がした。
「……は、はい。私、頑張りたいです。下手でも両親へ本音を伝えたいと思います!」
「全力でお手伝いします」
「お願いしますっ」
強い決意を決めたナターシャと共に、まずは演目から決めることにしたのである。
そして私は教えることの大切さを知ることになる。
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