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四章

閑話 侍女の無駄話

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 私はフィリシーナ・テリジア様に仕えさせたいただいております。名をキナ、侍女にございます。

 本日からお嬢様は新たな婚約者となった、セルネスド陛下と夏休みの旅行をしに行くのです。そこについていくことになりました。お二人の邪魔をしてはいけないと思ったのですが、行き先はどうやらフォルス領地のようで、そこの侍女に面倒をかけるよりも私の方がよいとお嬢様からご指名をいただきました。といっても、私は元々専属侍女なので望まれればどこまでもついていきます。

 お嬢様がゼロ国へ来てからは、私も成長の日々です。初めて触れることが多くて緊張してしまいますが、頑張ってこなせるようになってきました。今日も、リフェイン領に着けば一つ大きな仕事がございます。それはリフェイン公爵家に勤める使用人の方々への挨拶です。無礼の無いようにするのは当たり前ですが、やはり初対面の方への挨拶というものは緊張するものです。

 お嬢様達と別れて使用人室へと向かいます。どうやら休憩時間の人が多いようで、幸いにも人が何人かいらっしゃいました。

「失礼いたします」

 扉を叩いて、部屋の中へ足を踏み入れました。

「王城より参りました。フィリシーナ・テリジア様の専属侍女を勤めているキナです。数日間ですがお世話になります」

 つっかえることなく自己紹介を済ませました。この、静かになる空気がいつも怖く感じますね。

「まぁ、貴女が専属侍女様でしたか!」

「じ、侍女様?」

「よかったらこちらに座ってくださいな。私達、是非ともお二人の話を聞きたくて」

「えぇ、会えるのを楽しみにしていました!」

「は、はぁ」

「それにしても侍女様の腕は確かよね。フィリシーナ様はとてもお綺麗ですけど、髪や肌がよく手入れされているのを見ると、侍女様の手腕がわかるというもの」

「えぇ。それにしても侍女様もお綺麗ね。どう手入れをしてらっしゃるの?」

「え、えぇと」

「フィリシーナ様はどんなおかた?」

「どのような恋の道を進んでらっしゃるのかしら」

 予想外の質問攻めにあいました。

 ゼロ国の公爵家に仕える侍女の方々はとても品があり綺麗な方々ばかりですが、お話好きでもあるようです。もちろん、箝口令は敷いてあるので決して外にはもらしませんが。

 ですが、話す内容や表情を見るからにお嬢様はとても良い評価をもらっているみたいです。それと同時に、セルネスド国王陛下がいかに慕われているかもわかりました。やはり、長年の苦労を知る方も多く今回の幸せは、民として喜ぶ人も多かったようです。
 
 主人であるお嬢様が誉められているのは嬉しいのですが、こんなにも質問攻めにあったのは初めてなので、お嬢様の元へ戻るのは予定よりもかなりかかってしまいました。

 それにしてもリフェイン家の侍女の皆さんはとても優しく、わからないことがあればいつでも聞いてくれとまで言ってくださいました。

 実はここ数日間に対する不安もあったのですが、皆さんのおかげで吹き飛びました。もちろん、王城の方々も負けないくらい親切ですよ。

 




 私は何だかんだ環境に恵まれていると感じます。
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