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第二部 一章

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 いよいよ明日は入学式だ。
 同じ学校に通うこととなった私とセドのについて最終確認が行われた。
 部屋には私とセド、シトさんとルーカスが集まっていた。

「先ずはフィナからだな」

「はい。では確認いたします」

 ルーカスが詳細が書かれた冊子を読み上げる。

「入学者名フィリシーナ・テリジア。サン国の留学生として舞踊専門学校へ入学。専攻は舞踊。留学中の後見人は血縁関係のあるソムファ侯爵家である。これより、フィリシーナ様は書類上ソムファ侯爵家に滞在しそこから通学するとなっております。これに関しては、侯爵家にも了承済みにございます」

 丁寧な説明に、理解した意思を伝えるために頷く。

「シーナは大丈夫そうだね。……問題は兄様かな?」

「だな」

 それは私も気になっていた所だ。
 さすがに、一国の王が若返って専門学校に入学しますなどと正直に言える筈もなく。
 一体どのように対処したのだろうか。

「続いて陛下です。入学者名セドリック・ロダン。ロダン侯爵家の次男、専攻は舞台制作と書類上はなっています」

「セドリック・ロダン……?」

 まるで他人である。セドの要素は何処にもない。それにしても、セドリック・ロダンなどという人物を勝手に作り上げて良いものだろうか。

「ロダン侯爵とは旧知の仲なんだ。俺が本当に学園生活をしていた頃の側近でもある。今は息子が外交を担当しているがな。奴に似て優秀だ」

 ロダン侯爵は割と早くに結婚をしており、セドと違ってそこまで長命でもないので既に家督は息子が継いでいるのだそう。継いだ息子の子供が私と同い年のようだ。

「ロダン侯爵は自ら各国を見る方法で外交をしてくれてるんだけど、そこの次男坊は小さい頃から祖父の話す他国に興味を持ったことが原因で学園に通わずとにかく父について世界を旅しているみたい。貴族という世界にまるで興味がないから、彼のことを知る友人というのもこの国にはいないようだね。だから今回名前を貸してもらうことにしたんだ」

 簡単にまとめると、セドがセドリックとして
専門学校で学ぶということだろう。

「今回、を担当するロダン侯爵家ということもありシーナの留学中のサポートをに任す形にしたんだ」

「はい。ロダン家の者であれば何も問題はありませんからね。今回はそういう名目で陛下はフィリシーナ様とある程度傍にいられる筈ですよ」

「あぁ。だからフィナ、安心してくれ」
 
 近くにいてくれるのはもちろんありがたいが、シトさん曰く九割がセドが如何に自然に私の近くにいられるかを中心に考えた結果だとか。

「もちろん、学校に行く身だ。舞台制作の知識を完璧にしてみせよう」

「それを使う場所があるといいね」

 これまで以上にない棒読みで軽くあしらうシトさん。

「お互いに頑張りましょう、セド」

「あぁ」

 学べるだけでありがたいので、細かい事を気にしないことにした。それに、セド本人がやる気なので止めはしない。何というか、本当に完璧にこなす姿が想像できる。

 確認が終わり、部屋へと戻ると明日の準備をして眠りへとつく。








 緊張するのは当たり前、眠れなくても仕方ない……。
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