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第二部 一章
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しおりを挟む簡易的な挨拶の後、フォルス夫人と二人きりの女子会をすることになった。
「改めまして、フィリシーナです。フォルス夫人とお呼びしても?」
「もちろんですよ。では私はテリジア嬢とお呼びしますね」
「はい」
初対面ということもあり、かなり緊張を感じている。それに対して夫人からは穏やかな雰囲気以外感じず、それに感心してしまうほどであった。
「テリジア嬢は舞踊を学びに来た留学生でもあるとラウルから聞いています。何だか珍しいですね」
「サン国とは全く違う文化ではありますが、逆にそこに惹かれたので……」
「なるほど。私はこの国の人間でありながら、あまり舞踊には詳しくないのです」
「そうなんですね」
「でも、演劇なら少し経験がありますよ」
「やっぱりですか!」
あの演技力を見てからだと、少しというよりもかなりの経験者だと感じる。
「あ……すみません。先程の姿を見て、凄いなと感じたもので」
「謝ることは何もないです。というより、褒め言葉は何度聞いても嬉しいですね」
「あの、いくつか質問しても……?」
「構いませんよ」
「演劇は、学園や専門学校で触れたのでしょうか」
「私は専門学校で学びましたね。当時舞踊をする令嬢は多くても、演劇をする令嬢は少なかったので身分は隠していましたが」
夫人は、シトさんと出会ったのは卒業後らしくそれまでは自分の好きなものを追い求めていたのだとか。辺境伯爵家の生まれではあるが、跡継ぎには兄がいて家の繋がりを強化するのには姉がいたためかなり自由に育つことができたんだとか。
「でも、私は演劇の中でも演技というより脚本の方に興味を持ってたんですよ。いつか一つでもいい劇が作れたらなぁと」
「なるほど……」
「ラウルと出会って人生が一変してからはそんな暇がなくなってしまいましたけどね。でも後悔はしていません。凄く幸せなので」
そう笑みをこぼす姿は、夫人の言葉の説得力を感じるほどに幸せそうだった。
「子供が成長した今は、領地に引きこもって本ばかり読んでます。外に出ないせいで、血色があまり良くないんですよね」
「とても綺麗な肌だと思います。夫人は私の父と同じくらいの年齢とお聞きしましたが、全くそう見えなくて」
「わぁ。本当ですか?十代で若々しいテリジア嬢からそう言われると照れますね」
その後は美容について色々と教えてもらった。思った以上に夫人は話すのが上手いし、会話好きに見える。
「私、今まで引きこもってばかりであまり話す相手がいなかったんです。歳はかなり離れてますが、良ければ話し相手にこれからもなってくれると嬉しいです」
「もちろん、是非とも喜んで!!」
夫人から喜ばしい提案をされて、思わず変な言葉になってしまったが良しとしよう。
機会があれば、また演劇関係の話をしたい。
私たちの仲が深まるのには時間はかからなかった。
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