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1巻
1-3
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少しだけ打ち解けたところで、気になったことを聞いてみた。
「シンには婚約者はいないの?」
家から出ているとしても彼は侯爵子息だ。彼の年齢なら既婚か、婚約者がいてもおかしくない。
私と同居することに問題はないのだろうか。
「いないわね」
「恋人は?」
「いないわ」
婚約者がいないとしてもその歳で恋人がいないなんて。すごくモテそうなのに、なんだか不思議だ。
「今いい歳のくせにとか思った?」
「…………いえ」
「その通りだから大丈夫よ。……そうね、サン国とゼロ国では恋愛事情がかなりちがうわね」
「そうなんだ」
もしかしてあれか。恋愛結婚が主流で、身分は重視しないとかだろうか。
サン国では、貴族は政略結婚が当たり前だから、あまり恋愛結婚の話は聞かないけれど。
「恋愛結婚が多い、とか」
「いい線いってるけど、少し違うわね」
「少し?」
「えぇ。……シーナ。番という言葉を聞いたことはあるかしら」
「つがい? いえ、ないけれど」
「番っていうのはね、簡単に言えば、運命の相手ってところかしら。獣人の間ではよく知られていることよ」
「獣人……。ゼロ国には獣人がいるの?」
それは初耳だ。
「いえ、純血の獣人は遠い昔に滅びてしまったわ。今いるのは、獣人の血を引く人間に近い者達よ。もちろんそうでない人もいるわ」
「シンは?」
「あたしにも獣人の血が流れているわ。なんの獣人かはわからないけれど、あたしと同じで知らない人は多いわね」
「それだけ時が経ってるってことかな」
「確かにそうかもしれないわ。……それでね、その獣人の血を引く者達には番という感覚が引き継がれたのよ」
「そうなんだ……良かったね……?」
今ひとつ、番というものがわからないので反応に困る。
「良かったのか、悪かったのかは、人それぞれなのだけれど」
そう言うシンはどこか寂しそうに見えた。
「獣人の血を引く者達にとって番は唯一無二。運命の相手であって、代えのきかない存在ね」
「大切なものなんだね」
「えぇ。でも、簡単に見つかるものではないわ。昔は違ったのかもしれないけど、今は番に巡り合えるのは奇跡とも言われているわね」
「それはまたどうして……」
「人口増加も原因の一つだけれど、もっと深刻なのは番対象が他国にいるかもしれないってこと。年々番を求めるのを諦めて、普通の恋愛をする人が増えていることが理由。そういった人達は他国に移住する場合もあるの。ゼロ国の血を引く人が他国にもいるというわけだけど、流石にそこまで番を探しに行けないからね。おかげさまで出会える確率は低くなる一方よ。何十年も前なら、移住する人はまだ少なかったから、今に比べれば探すのは簡単だったでしょうね」
「そうなんだ……」
そう聞くと、確かにサン国とは全く違う。
「それでも獣人の血を引く者なら、一度は夢見るのよ。……番に出会うことを。だからあたしは正直、父様が羨ましいわ」
シンは遠くを見ながら呟く。
「どうして?」
「父様は、この代では珍しいくらい濃い獣人の血を引いているの。でも、番が見つからなくて、若い頃はかなり絶望していたみたい。獣人の血が濃ければ濃いほど、番を求める想いが強いと聞くからね。諦めて、生涯独身を貫こうとしたときに奇跡が起きたのよ」
そう言ってシンは優しく笑う。
「たまたま、その年は父様がサン国の留学生の面倒を見ることになってね。そこに現れたのが母様。父様の番だったのよ」
「まさに……運命、だね」
「全くその通りね。で、そこから父様の猛アプローチが始まったらしいわ。番なんてよく知らなかった母様は、最初は軽くあしらっていたらしいんだけど、あまりにもしつこい父様に折れたんだそうよ」
「折れた……」
折れるまでアプローチし続けたのなら、侯爵はすごいな。
話を聞くだけで叔母様への並々ならぬ執着を感じる。
「といっても、もちろん、今は幸せそうよ、母様」
「……何だかとても素敵な話ね」
「そう言ってもらえてよかったわ。まぁ、でも今は番がいると信じる者と信じない者がいる。後者は普通に恋愛をして結ばれるわ」
「シンはまだ出会っていないんだね?」
「そうよ。でもあたしはまだ恋愛願望はないのよね。仕事が楽しい時期で」
勝手な憶測だけど、シンはすごく仕事ができる人だと思う。父様の言っていた、会えばわかるを実感できた気がする。
「シーナは、これから少なくとも一年はゼロ国にいるのよね?」
「えぇ」
「なら、もう少し詳しく知っておくべきだわ」
という言葉とともに番についての濃い話が始まった。
「番に出会えて、あたしの父様みたいにとんでもなく幸せになれる人もいるけれど、番が見つからず、長い間絶望を味わい続け、亡くなる者も多いの」
番には思っていたよりも、残酷な面があるようだ。
「その……番が見つからない人達は、諦めて別の人と幸せになろうとしないの?」
「そうね。さっきも言った通り、そうする人達もいるわ。でも、それができない人もいる。あたしの父様みたいに、人よりも濃い獣人の血を引いていると、番以外を愛せないのよ。実際、今も苦しんでる人は多いの……」
「そういった人達は……普通に生活ができるものなの?」
「……いえ。ただひたすら永遠の眠りにつくまで仕事をしたり、学んだりしているわ。まるで日常を機械のように過ごしている」
「苦しみながら……」
想像すると、その姿はとても痛々しい。
「……どうなんでしょうね。実際は割り切ってそれなりに小さな幸せを得て暮らしているのかもしれないわ。けれど……さらに残酷なことにね、獣人の血が濃いとね、普通の人よりもはるかに長命になるのよ」
「そんな」
「えぇ……でも、当事者達がどう生きているかはわからないわ。あたしはそんなに血は濃くないし、父様以外にそういった人を知らないからね」
「そっか……」
番は、良いことばかりではない。むしろ、そうでないことの方が多いのかも。
「あ……ところでシン、番ってどうやったらわかるの」
「あぁ。……そうね。逆に聞くけど、どうやったらわかると思う?」
どうやったら。そう聞かれて思い浮かんだのは運命といえば赤い糸、くらいだ。でも、まさか見えるわけではないだろう。
「うーん……」
良い答えが見つからず、悩む。
「そんなに難しく考えなくて大丈夫よ。父様曰く、声を聞いて一瞬でわかったり、触ることでわかったり。家系によって違うみたい。ちなみに、我が家は声を聞いてわかるタイプね」
「へぇ……」
やっぱり糸は見えないのか。
「母様が番対象だったなら、シーナにもゼロ国の血が流れていそうね」
「言われてみれば……」
「シーナは自分に番がいてほしい?」
「え……いえ」
唐突な質問だ。
私には一応ユエン殿下という婚約者がいるし、獣人の血もかなり薄そうなので関係ないと思う。
「私には婚約者がいるから」
「あら。いるの」
「えぇ、一応」
それ以上聞かないでくれたのは、叔母様経由で事情を聞いていたからだろう。
「……私、父様がシンとの同居を許可した理由がわかったわ」
従兄とはいえ、父様が異性との同居を許可したことが少し不思議だった。
だが、父様はシンのことをよく知っていたのだろう。
「あら、何かしら」
「シンなら面倒見が良いし、任せられるって信用があったからよね」
「それは光栄ね」
ローゼ叔母様もかなり頼りにしているのだろう。
それが感じられる。私自身も話をしていてすごく安心する。同居人がシンで良かったなと思う。
「そろそろ着くわね」
「えっ、早いね」
「確かに、話をしていたらあっという間ね」
初めて聞く話ばかりで楽しかったからか、全く退屈しなかった。
いよいよゼロ国へ到着した。
初めて見る景色はサン国とは違う。
「うわぁ……」
目の前に広がるのは中世ヨーロッパに似た街並み。
そしてとても緑が多い。サン国はもう少し彩りが地味だ。
「すごく綺麗で落ち着くわ。すてきな雰囲気の街並みね」
「気に入ってもらえて良かったわ」
遠くに見える王城らしき建物もサン国とは規模が違った。景色一つで格の違いを感じる。
「さっそく王都にある自分達の家に行きたいところだけれど、まずは母様に会いに行かないとね。連れて来るように言われてるのよ」
「それはもちろん。これからお世話になるのだから、挨拶したいもの」
「しっかりしているわね」
「シンだって」
お互いを褒め始めるとすぐに、ソムファ侯爵家のものらしき馬車が到着した。
「ジェシン様、お待たせいたしました。お連れ様はフィリシーナ様ですね。どうぞお乗りください」
「なに、誰が迎えに来るかと思ったら、爺やだったの」
「はい。今、手が空いてるのは私のみですので」
「そんなに忙しいなら、挨拶はまた今度でも良かったんじゃないの」
シンが馬車から降りてきた年配の男性に声をかけた。その男性は笑みを浮かべつつ丁重に答える。
「奥様がどうしてもと」
「確かに母様は楽しみにしてたものね。なら早く行きましょう。シーナ、乗るわよ」
「お邪魔します」
ソムファ家の馬車はすごく広かった。乗り心地も良く、ゼロ国の豊かさが表れている。
「ここからどれくらいなんですか?」
「少々かかりますね。ソムファ家は王都から少し離れた領地ですので」
私の疑問に爺やさんは丁寧に答えてくれる。
「爺や、元気だった?」
「私なら元気ですよ」
「そう。なら、いいけれど。――あまり無理はしないでよ?」
「ジェシン様は相変わらず心配症ですね。大丈夫ですよ」
「爺やが自分のことに無頓着だからでしょう。倒れたりしないかいつも心配してるんだから」
「私はまだまだ働きますよ」
シンは心配症というより優しいのだと思う。爺やさんを大切にしていることがわかる。そんな微笑ましい会話を聞きながら、私はゼロ国の街並みに感動していた。
意外に短時間でソムファ家に着いた。到着すると、私は応接室へ案内された。
「母様がシーナと二人きりで話したいんですって。相手をしてもらえる?」
「もちろん」
ローゼ叔母様にそう言ってもらえるのは嬉しい。
「あたしは少しやりたいことがあるから、席を外すわね」
「わかったわ」
「ではシーナ、また後で」
そう言ってシンと別れた。
「フィリシーナ様、しばしお待ちください。ただいま奥様を呼んでまいります」
「ありがとうございます」
椅子に座って待機する。
応接室から見える王城は先程よりも鮮明に見えた。まるでゼロ国の象徴というような存在感だ。
「その景色は気に入ってもらえたかしら」
「え」
突然の声に驚いて振り向くと、父様に似た女性が立っていた。
「はじめまして。私はローゼ・ソムファ。貴女の叔母よ」
「あ、えっと……フィリシーナ・テリジアです」
急いで名乗り、カーテシーをする。
「貴女がシーナね。うふふ、よろしく」
「よろしくお願いします」
ローゼ叔母様は、私の想像以上に若々しい人だった。
叔母様は少し父様に雰囲気が似ているが、シンとも似ている。
「長旅ご苦労様。疲れているでしょう? ほらお掛けになって」
「ありがとうございます」
「ずっと会えるのを楽しみにしていたのよ」
「……と、言いますと?」
「ゼロ国の音楽の良さがわかるサン国の人ってなかなかいないんですもの。それが身内だったことが嬉しくてね」
純粋に喜ぶ姿は見ていてとてもほっこりする。
「それに留学の先輩としていろいろ教えないとと思って。知っておいてほしいことがたくさんあるの。何から話そうかしら」
あれこれ考えながら待っていてくれたのだ。
「ちなみになのだけど、ジェシンとは何を話したのかしら」
「シンのことやゼロ国の恋愛事情……番についてでしょうか」
「あら。番についてはもう知っているのね」
「はい」
「私の話も、もしかして聞いた?」
「……少しなら」
「あの子、変なことを言ってなければ良いけれど」
「それは大丈夫だと思います」
簡潔にまとめられた話だったから、詳しく聞いたわけではない。
「ねぇ、シーナ。もし貴女がこのゼロ国にいる、誰かの番だった場合……目をそらさずに向き合ってあげてほしいの。私は自分の夫の件で、彼らにとって番がどれほど大切か知ったわ。無下にすることがどれだけ彼らにとって残酷か……シーナにそんなことをしてほしくないの」
「私が誰かの番である可能性があるんですか?」
「断言はできないのだけれど…………私がそうだったから、テリジアの家系は獣人の血を引いているかもしれないわ」
「そうなんですね。……ですが私、一応婚約者がいまして」
「あら。その方はよく留学を認めたわね」
「……特に許可は得ていません。でも、その、不仲なので大丈夫かと」
「まぁ。……シーナ、貴女も大変なのね。でも思い切った決断ね。婚約者を置いて留学するなんて」
生き延びるためです、とは言えない。
「でも、私は人のことを言えないの」
叔母様は苦笑混じりに言った。
「とりあえず覚えておいてほしいのは、番についてはあまり深く考えなくて良いけれど、もし困ったことが起きたら遠慮なく私に相談してほしいということよ」
「わかりました! ぜひ、頼らせていただきます」
「ふふっ。……なんだか娘ができたみたいで嬉しいわ」
ソムファ家には二人の子供がいるが、どちらも息子で娘は存在しない。
叔母様がそう言ってくれて、私は嬉しくなった。
「ではシーナ。本題に入るのだけれど、シーナは舞踊をやりたいのよね」
「はい」
「となると、専門学校に入るのが一番だけれど……今すぐは入れないわね」
「時期ですか?」
「えぇ。次の募集はまだ先なの。それにしても、入学時期とは関係なく、シーナはまず基礎を学ばないと。専門学校に入ってからついていけるようにね」
「基礎、ですか」
「そう。幸い、学ぶ時間は十分あるわ。私の知り合いに舞踊に長けた人がいるから、その人に教わりましょう」
「そんな、何から何まで手配していただいて申し訳ないです」
「遠慮しないで。というか、シーナがゼロ国にいる間は、私達が家族よ。兄様に任された以上、私達が責任もってシーナの面倒を見るわ」
思ったより歓迎してくれて、すごく安心した。
「さぁ! そうと決まれば手配しないとね」
叔母様ははりきって立ち上がる。
それと同時に、応接室の扉が勢いよく開いた。
「あら」
「ローゼっ‼」
現れた男性は、すぐさま叔母様に駆け寄り、強く抱きしめた。
「ローゼ‼ どこにもいないから驚いたぞ……まさか応接室にいるなんて。ここで一体何をしていたんだ」
「……苦しいです。……私は言いましたよ? 今日は、姪であるシーナを迎える日だと」
「え」
叔母様の言葉を聞いて、ようやく男性は私に気づいたみたいだ。
「……すまない……来客中だったか」
先程までの甘えた様子は一瞬で消え、襟をただしながら私に向き直った。
「いえ……私はかまいません」
遠慮がちに答えると、叔母様による紹介が始まった。
「シーナ、この人が私の夫でソムファ侯爵よ。あなた、こちらが私の姪で、サン国のテリジア公爵の娘フィリシーナよ」
「はじめまして。サン国から参りました。フィリシーナ・テリジアと申します」
「君がフィリシーナか。私は」
侯爵が叔母様から少し離れて自己紹介しようとしたとき、再び勢いよく扉が開いた。
「父様! こんなところにいたのですか‼ また貴方は、仕事を投げ出して母様のところに!」
シンに似た、シンよりも歳上に見える男性が勢いよく入ってきた。
「くそ、見つかったか」
「あら。また仕事を投げ出したんですか?」
「ち、違うぞ、ローゼ」
「違わないでしょうが! これ、私じゃわからないんですよ!」
慌てて弁明したけれど、男性はすぐに否定する。おそらくだがこの男性がシンの兄なのだろう。
そう考えていると、男性の後ろからシンが呆れた顔で現われた。
「ごめんなさいね、シーナ。少しうるさい家なの」
叔母様も苦笑いをしている。
叔母様と話していただけなのに、いつの間にかソムファ家大集合である。
「どうせ来たのなら、全員挨拶しなさい。シーナが困っているでしょう」
「そ、それはすまない。……はじめましてフィリシーナ嬢、ソムファ侯爵だ。以後よろしく」
「よろしくお願いします」
「同じくはじめまして。長男のエディド・ソムファです。よろしく」
何というか、シンとは違って苦労人という雰囲気を持った人だ。
「よろしくお願いします」
「うちの父様と兄様が驚かせてごめんなさいね」
シンがフォローをする。
「大丈夫よ」
「さ、自己紹介は終わりましたし、書斎に戻って仕事です」
エディドさんは侯爵の肩をつかんだ。
「早すぎるぞ、エディ。もう少しローゼと……」
「終わりませんよ、仕事が!」
「ロ、ローゼ……」
侯爵はまるで今生の別れのような表情をする。
そして叔母様に助けを求める。
「エディ、それは急ぎの案件?」
「はい、とっても」
エディドさんが即答するあたり、何かとても大切な仕事なのだろう。
「ですって。早く仕事を終わらせてきてください」
「嫌だ……まだローゼといる」
いつの間にか、最初に見た甘えた様子に戻る侯爵。
「全く我儘ですね。私は今、可愛い姪と話してるんですよ? 邪魔、するんですか」
今度は叔母様が侯爵にプレッシャーをかける。
「いや……そんなつもりは」
「仕事を終わらせてきてからなら、いくらでも相手をしますから。エディとシンを困らせないでください」
「……本当だな?」
「えぇ、もちろん」
「…………わかった」
「はい! そうと決まれば行きますよ」
侯爵の了承の声とともに、エディドさんが首根っこを掴んで引きずっていった。
「じゃ、シーナ、またね」
シンもそれに続いて、三人は書斎へ戻っていった。
「シンには婚約者はいないの?」
家から出ているとしても彼は侯爵子息だ。彼の年齢なら既婚か、婚約者がいてもおかしくない。
私と同居することに問題はないのだろうか。
「いないわね」
「恋人は?」
「いないわ」
婚約者がいないとしてもその歳で恋人がいないなんて。すごくモテそうなのに、なんだか不思議だ。
「今いい歳のくせにとか思った?」
「…………いえ」
「その通りだから大丈夫よ。……そうね、サン国とゼロ国では恋愛事情がかなりちがうわね」
「そうなんだ」
もしかしてあれか。恋愛結婚が主流で、身分は重視しないとかだろうか。
サン国では、貴族は政略結婚が当たり前だから、あまり恋愛結婚の話は聞かないけれど。
「恋愛結婚が多い、とか」
「いい線いってるけど、少し違うわね」
「少し?」
「えぇ。……シーナ。番という言葉を聞いたことはあるかしら」
「つがい? いえ、ないけれど」
「番っていうのはね、簡単に言えば、運命の相手ってところかしら。獣人の間ではよく知られていることよ」
「獣人……。ゼロ国には獣人がいるの?」
それは初耳だ。
「いえ、純血の獣人は遠い昔に滅びてしまったわ。今いるのは、獣人の血を引く人間に近い者達よ。もちろんそうでない人もいるわ」
「シンは?」
「あたしにも獣人の血が流れているわ。なんの獣人かはわからないけれど、あたしと同じで知らない人は多いわね」
「それだけ時が経ってるってことかな」
「確かにそうかもしれないわ。……それでね、その獣人の血を引く者達には番という感覚が引き継がれたのよ」
「そうなんだ……良かったね……?」
今ひとつ、番というものがわからないので反応に困る。
「良かったのか、悪かったのかは、人それぞれなのだけれど」
そう言うシンはどこか寂しそうに見えた。
「獣人の血を引く者達にとって番は唯一無二。運命の相手であって、代えのきかない存在ね」
「大切なものなんだね」
「えぇ。でも、簡単に見つかるものではないわ。昔は違ったのかもしれないけど、今は番に巡り合えるのは奇跡とも言われているわね」
「それはまたどうして……」
「人口増加も原因の一つだけれど、もっと深刻なのは番対象が他国にいるかもしれないってこと。年々番を求めるのを諦めて、普通の恋愛をする人が増えていることが理由。そういった人達は他国に移住する場合もあるの。ゼロ国の血を引く人が他国にもいるというわけだけど、流石にそこまで番を探しに行けないからね。おかげさまで出会える確率は低くなる一方よ。何十年も前なら、移住する人はまだ少なかったから、今に比べれば探すのは簡単だったでしょうね」
「そうなんだ……」
そう聞くと、確かにサン国とは全く違う。
「それでも獣人の血を引く者なら、一度は夢見るのよ。……番に出会うことを。だからあたしは正直、父様が羨ましいわ」
シンは遠くを見ながら呟く。
「どうして?」
「父様は、この代では珍しいくらい濃い獣人の血を引いているの。でも、番が見つからなくて、若い頃はかなり絶望していたみたい。獣人の血が濃ければ濃いほど、番を求める想いが強いと聞くからね。諦めて、生涯独身を貫こうとしたときに奇跡が起きたのよ」
そう言ってシンは優しく笑う。
「たまたま、その年は父様がサン国の留学生の面倒を見ることになってね。そこに現れたのが母様。父様の番だったのよ」
「まさに……運命、だね」
「全くその通りね。で、そこから父様の猛アプローチが始まったらしいわ。番なんてよく知らなかった母様は、最初は軽くあしらっていたらしいんだけど、あまりにもしつこい父様に折れたんだそうよ」
「折れた……」
折れるまでアプローチし続けたのなら、侯爵はすごいな。
話を聞くだけで叔母様への並々ならぬ執着を感じる。
「といっても、もちろん、今は幸せそうよ、母様」
「……何だかとても素敵な話ね」
「そう言ってもらえてよかったわ。まぁ、でも今は番がいると信じる者と信じない者がいる。後者は普通に恋愛をして結ばれるわ」
「シンはまだ出会っていないんだね?」
「そうよ。でもあたしはまだ恋愛願望はないのよね。仕事が楽しい時期で」
勝手な憶測だけど、シンはすごく仕事ができる人だと思う。父様の言っていた、会えばわかるを実感できた気がする。
「シーナは、これから少なくとも一年はゼロ国にいるのよね?」
「えぇ」
「なら、もう少し詳しく知っておくべきだわ」
という言葉とともに番についての濃い話が始まった。
「番に出会えて、あたしの父様みたいにとんでもなく幸せになれる人もいるけれど、番が見つからず、長い間絶望を味わい続け、亡くなる者も多いの」
番には思っていたよりも、残酷な面があるようだ。
「その……番が見つからない人達は、諦めて別の人と幸せになろうとしないの?」
「そうね。さっきも言った通り、そうする人達もいるわ。でも、それができない人もいる。あたしの父様みたいに、人よりも濃い獣人の血を引いていると、番以外を愛せないのよ。実際、今も苦しんでる人は多いの……」
「そういった人達は……普通に生活ができるものなの?」
「……いえ。ただひたすら永遠の眠りにつくまで仕事をしたり、学んだりしているわ。まるで日常を機械のように過ごしている」
「苦しみながら……」
想像すると、その姿はとても痛々しい。
「……どうなんでしょうね。実際は割り切ってそれなりに小さな幸せを得て暮らしているのかもしれないわ。けれど……さらに残酷なことにね、獣人の血が濃いとね、普通の人よりもはるかに長命になるのよ」
「そんな」
「えぇ……でも、当事者達がどう生きているかはわからないわ。あたしはそんなに血は濃くないし、父様以外にそういった人を知らないからね」
「そっか……」
番は、良いことばかりではない。むしろ、そうでないことの方が多いのかも。
「あ……ところでシン、番ってどうやったらわかるの」
「あぁ。……そうね。逆に聞くけど、どうやったらわかると思う?」
どうやったら。そう聞かれて思い浮かんだのは運命といえば赤い糸、くらいだ。でも、まさか見えるわけではないだろう。
「うーん……」
良い答えが見つからず、悩む。
「そんなに難しく考えなくて大丈夫よ。父様曰く、声を聞いて一瞬でわかったり、触ることでわかったり。家系によって違うみたい。ちなみに、我が家は声を聞いてわかるタイプね」
「へぇ……」
やっぱり糸は見えないのか。
「母様が番対象だったなら、シーナにもゼロ国の血が流れていそうね」
「言われてみれば……」
「シーナは自分に番がいてほしい?」
「え……いえ」
唐突な質問だ。
私には一応ユエン殿下という婚約者がいるし、獣人の血もかなり薄そうなので関係ないと思う。
「私には婚約者がいるから」
「あら。いるの」
「えぇ、一応」
それ以上聞かないでくれたのは、叔母様経由で事情を聞いていたからだろう。
「……私、父様がシンとの同居を許可した理由がわかったわ」
従兄とはいえ、父様が異性との同居を許可したことが少し不思議だった。
だが、父様はシンのことをよく知っていたのだろう。
「あら、何かしら」
「シンなら面倒見が良いし、任せられるって信用があったからよね」
「それは光栄ね」
ローゼ叔母様もかなり頼りにしているのだろう。
それが感じられる。私自身も話をしていてすごく安心する。同居人がシンで良かったなと思う。
「そろそろ着くわね」
「えっ、早いね」
「確かに、話をしていたらあっという間ね」
初めて聞く話ばかりで楽しかったからか、全く退屈しなかった。
いよいよゼロ国へ到着した。
初めて見る景色はサン国とは違う。
「うわぁ……」
目の前に広がるのは中世ヨーロッパに似た街並み。
そしてとても緑が多い。サン国はもう少し彩りが地味だ。
「すごく綺麗で落ち着くわ。すてきな雰囲気の街並みね」
「気に入ってもらえて良かったわ」
遠くに見える王城らしき建物もサン国とは規模が違った。景色一つで格の違いを感じる。
「さっそく王都にある自分達の家に行きたいところだけれど、まずは母様に会いに行かないとね。連れて来るように言われてるのよ」
「それはもちろん。これからお世話になるのだから、挨拶したいもの」
「しっかりしているわね」
「シンだって」
お互いを褒め始めるとすぐに、ソムファ侯爵家のものらしき馬車が到着した。
「ジェシン様、お待たせいたしました。お連れ様はフィリシーナ様ですね。どうぞお乗りください」
「なに、誰が迎えに来るかと思ったら、爺やだったの」
「はい。今、手が空いてるのは私のみですので」
「そんなに忙しいなら、挨拶はまた今度でも良かったんじゃないの」
シンが馬車から降りてきた年配の男性に声をかけた。その男性は笑みを浮かべつつ丁重に答える。
「奥様がどうしてもと」
「確かに母様は楽しみにしてたものね。なら早く行きましょう。シーナ、乗るわよ」
「お邪魔します」
ソムファ家の馬車はすごく広かった。乗り心地も良く、ゼロ国の豊かさが表れている。
「ここからどれくらいなんですか?」
「少々かかりますね。ソムファ家は王都から少し離れた領地ですので」
私の疑問に爺やさんは丁寧に答えてくれる。
「爺や、元気だった?」
「私なら元気ですよ」
「そう。なら、いいけれど。――あまり無理はしないでよ?」
「ジェシン様は相変わらず心配症ですね。大丈夫ですよ」
「爺やが自分のことに無頓着だからでしょう。倒れたりしないかいつも心配してるんだから」
「私はまだまだ働きますよ」
シンは心配症というより優しいのだと思う。爺やさんを大切にしていることがわかる。そんな微笑ましい会話を聞きながら、私はゼロ国の街並みに感動していた。
意外に短時間でソムファ家に着いた。到着すると、私は応接室へ案内された。
「母様がシーナと二人きりで話したいんですって。相手をしてもらえる?」
「もちろん」
ローゼ叔母様にそう言ってもらえるのは嬉しい。
「あたしは少しやりたいことがあるから、席を外すわね」
「わかったわ」
「ではシーナ、また後で」
そう言ってシンと別れた。
「フィリシーナ様、しばしお待ちください。ただいま奥様を呼んでまいります」
「ありがとうございます」
椅子に座って待機する。
応接室から見える王城は先程よりも鮮明に見えた。まるでゼロ国の象徴というような存在感だ。
「その景色は気に入ってもらえたかしら」
「え」
突然の声に驚いて振り向くと、父様に似た女性が立っていた。
「はじめまして。私はローゼ・ソムファ。貴女の叔母よ」
「あ、えっと……フィリシーナ・テリジアです」
急いで名乗り、カーテシーをする。
「貴女がシーナね。うふふ、よろしく」
「よろしくお願いします」
ローゼ叔母様は、私の想像以上に若々しい人だった。
叔母様は少し父様に雰囲気が似ているが、シンとも似ている。
「長旅ご苦労様。疲れているでしょう? ほらお掛けになって」
「ありがとうございます」
「ずっと会えるのを楽しみにしていたのよ」
「……と、言いますと?」
「ゼロ国の音楽の良さがわかるサン国の人ってなかなかいないんですもの。それが身内だったことが嬉しくてね」
純粋に喜ぶ姿は見ていてとてもほっこりする。
「それに留学の先輩としていろいろ教えないとと思って。知っておいてほしいことがたくさんあるの。何から話そうかしら」
あれこれ考えながら待っていてくれたのだ。
「ちなみになのだけど、ジェシンとは何を話したのかしら」
「シンのことやゼロ国の恋愛事情……番についてでしょうか」
「あら。番についてはもう知っているのね」
「はい」
「私の話も、もしかして聞いた?」
「……少しなら」
「あの子、変なことを言ってなければ良いけれど」
「それは大丈夫だと思います」
簡潔にまとめられた話だったから、詳しく聞いたわけではない。
「ねぇ、シーナ。もし貴女がこのゼロ国にいる、誰かの番だった場合……目をそらさずに向き合ってあげてほしいの。私は自分の夫の件で、彼らにとって番がどれほど大切か知ったわ。無下にすることがどれだけ彼らにとって残酷か……シーナにそんなことをしてほしくないの」
「私が誰かの番である可能性があるんですか?」
「断言はできないのだけれど…………私がそうだったから、テリジアの家系は獣人の血を引いているかもしれないわ」
「そうなんですね。……ですが私、一応婚約者がいまして」
「あら。その方はよく留学を認めたわね」
「……特に許可は得ていません。でも、その、不仲なので大丈夫かと」
「まぁ。……シーナ、貴女も大変なのね。でも思い切った決断ね。婚約者を置いて留学するなんて」
生き延びるためです、とは言えない。
「でも、私は人のことを言えないの」
叔母様は苦笑混じりに言った。
「とりあえず覚えておいてほしいのは、番についてはあまり深く考えなくて良いけれど、もし困ったことが起きたら遠慮なく私に相談してほしいということよ」
「わかりました! ぜひ、頼らせていただきます」
「ふふっ。……なんだか娘ができたみたいで嬉しいわ」
ソムファ家には二人の子供がいるが、どちらも息子で娘は存在しない。
叔母様がそう言ってくれて、私は嬉しくなった。
「ではシーナ。本題に入るのだけれど、シーナは舞踊をやりたいのよね」
「はい」
「となると、専門学校に入るのが一番だけれど……今すぐは入れないわね」
「時期ですか?」
「えぇ。次の募集はまだ先なの。それにしても、入学時期とは関係なく、シーナはまず基礎を学ばないと。専門学校に入ってからついていけるようにね」
「基礎、ですか」
「そう。幸い、学ぶ時間は十分あるわ。私の知り合いに舞踊に長けた人がいるから、その人に教わりましょう」
「そんな、何から何まで手配していただいて申し訳ないです」
「遠慮しないで。というか、シーナがゼロ国にいる間は、私達が家族よ。兄様に任された以上、私達が責任もってシーナの面倒を見るわ」
思ったより歓迎してくれて、すごく安心した。
「さぁ! そうと決まれば手配しないとね」
叔母様ははりきって立ち上がる。
それと同時に、応接室の扉が勢いよく開いた。
「あら」
「ローゼっ‼」
現れた男性は、すぐさま叔母様に駆け寄り、強く抱きしめた。
「ローゼ‼ どこにもいないから驚いたぞ……まさか応接室にいるなんて。ここで一体何をしていたんだ」
「……苦しいです。……私は言いましたよ? 今日は、姪であるシーナを迎える日だと」
「え」
叔母様の言葉を聞いて、ようやく男性は私に気づいたみたいだ。
「……すまない……来客中だったか」
先程までの甘えた様子は一瞬で消え、襟をただしながら私に向き直った。
「いえ……私はかまいません」
遠慮がちに答えると、叔母様による紹介が始まった。
「シーナ、この人が私の夫でソムファ侯爵よ。あなた、こちらが私の姪で、サン国のテリジア公爵の娘フィリシーナよ」
「はじめまして。サン国から参りました。フィリシーナ・テリジアと申します」
「君がフィリシーナか。私は」
侯爵が叔母様から少し離れて自己紹介しようとしたとき、再び勢いよく扉が開いた。
「父様! こんなところにいたのですか‼ また貴方は、仕事を投げ出して母様のところに!」
シンに似た、シンよりも歳上に見える男性が勢いよく入ってきた。
「くそ、見つかったか」
「あら。また仕事を投げ出したんですか?」
「ち、違うぞ、ローゼ」
「違わないでしょうが! これ、私じゃわからないんですよ!」
慌てて弁明したけれど、男性はすぐに否定する。おそらくだがこの男性がシンの兄なのだろう。
そう考えていると、男性の後ろからシンが呆れた顔で現われた。
「ごめんなさいね、シーナ。少しうるさい家なの」
叔母様も苦笑いをしている。
叔母様と話していただけなのに、いつの間にかソムファ家大集合である。
「どうせ来たのなら、全員挨拶しなさい。シーナが困っているでしょう」
「そ、それはすまない。……はじめましてフィリシーナ嬢、ソムファ侯爵だ。以後よろしく」
「よろしくお願いします」
「同じくはじめまして。長男のエディド・ソムファです。よろしく」
何というか、シンとは違って苦労人という雰囲気を持った人だ。
「よろしくお願いします」
「うちの父様と兄様が驚かせてごめんなさいね」
シンがフォローをする。
「大丈夫よ」
「さ、自己紹介は終わりましたし、書斎に戻って仕事です」
エディドさんは侯爵の肩をつかんだ。
「早すぎるぞ、エディ。もう少しローゼと……」
「終わりませんよ、仕事が!」
「ロ、ローゼ……」
侯爵はまるで今生の別れのような表情をする。
そして叔母様に助けを求める。
「エディ、それは急ぎの案件?」
「はい、とっても」
エディドさんが即答するあたり、何かとても大切な仕事なのだろう。
「ですって。早く仕事を終わらせてきてください」
「嫌だ……まだローゼといる」
いつの間にか、最初に見た甘えた様子に戻る侯爵。
「全く我儘ですね。私は今、可愛い姪と話してるんですよ? 邪魔、するんですか」
今度は叔母様が侯爵にプレッシャーをかける。
「いや……そんなつもりは」
「仕事を終わらせてきてからなら、いくらでも相手をしますから。エディとシンを困らせないでください」
「……本当だな?」
「えぇ、もちろん」
「…………わかった」
「はい! そうと決まれば行きますよ」
侯爵の了承の声とともに、エディドさんが首根っこを掴んで引きずっていった。
「じゃ、シーナ、またね」
シンもそれに続いて、三人は書斎へ戻っていった。
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