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1巻
1-1
しおりを挟むプロローグ
私が幼い頃から母は恐怖の対象だった。
母は自分の思い通りに事が進まないとすぐに癇癪を起こす。そんな母から逃げることも抵抗することもできなかった。
「フィリシーナ。いいこと、テリジア公爵家に生まれたからには、何としてでも王子の婚約者になるのよ」
母の最大の願いであった、この国、サン王国王子との婚約。私に選択肢はなかった。母の願いを叶えるために結ばれたと言ってもいい。婚約を結んでからも不安が絶えなかった。その座を誰かに奪われないように常に周りを牽制し、王子に少しでも興味を持ってもらおうと努力を続けた。王子の顔色を窺いながら、結局いつも気にするのは母の反応だった。
そんな日々を過ごしていた――
◇ ◆ ◇ ◆
母が死んだ。
事故だった。そして葬儀が行われた。一連の出来事はあまりにも急だった。
母を見送ったその日の夜。私は一人、部屋でベッドに腰を掛けて感傷に浸っていた。
母が亡くなって悲しいという気持ちがないわけじゃない。ただ、想像以上に安堵したことが複雑だ。
大きな負担が消えて緊張からも解放されたせいか、急に眠くなった――かと思えばそれはひどい頭痛に変わり、声も出せずに私は意識を失った。
◇ ◆ ◇ ◆
一人の少女が、楽しそうに踊っているのが見えた。あれは創作ダンス、だろうか。初めて見るはずなのになぜか彼女の踊りに見覚えがある。一つ一つの動きがしなやかでかつ力強いものを感じる。流れている音楽は、聞いたことがない曲。なのにどこか懐かしい気分になる。見たことない衣装はとても馴染み深い。
一生懸命踊る少女。大学生くらいだろうか。
――いや違う。あれは大学を卒業した後、ある舞台のオーディションの練習風景だ。少女はそのオーディションに賭けていて、努力を重ねてきた。
母と二人暮らしで、いつも舞踊を馬鹿にする母を見返したかった。オーディションも絶対に受からないと言われた。
だからこそどうしても受かりたかった。絶え間なく練習する、その姿を応援したい。けれど、きっと声は届かない。それに、私は知っている。そのオーディションは受けることもできずに、直前に事故で命を落とすのだ。
その瞬間、一気に記憶がよみがえってきた。
目の前にいる少女は自分だ。
もっと早く思い出せたかもしれない。だけど、そんな余裕はどこにもなかった。
やっと思い出せたことが嬉しくて、涙ぐむ。少女は練習を続ける。曲が終わり、少女は立ち止まる。するとこちらを向き、まるで私が見えているように笑った。
「頑張ってね!」
そう、言われた気がした。
何に対してかはわからないが、その言葉を合図に私は再び意識を手放した――
第一章
目を覚ますと、以前とは少し違う不思議な感じがする。見慣れているはずの部屋がすごく豪華なように感じた。前世を思い出したからだろう。
「そういえば、フィリシーナ・テリジアってどこかで聞いたことが……」
記憶を辿ると、思い当たるものがあった。
「……嘘でしょ」
フィリシーナ・テリジアの名前と容姿は前世で見たことがあった。とある乙女ゲームの悪役令嬢として。
私が大学生の頃、悪役の末路が悲惨すぎると話題になったゲームだった。
もともとそういう類のゲームはしたことがなかったが、話題になったことで興味が湧き、やってみた。プレイした感想としては、本当に悪役の行く末はバッドエンドしかなく、同情するほかなかった。
身分差の恋をテーマにしたよくある乙女ゲームで、ヒロインの伯爵令嬢は王宮勤めをしながら自分より身分の高い攻略対象者達と恋に落ちる。
攻略対象者の一人である王子の婚約者が私――フィリシーナ・テリジアだ。
攻略対象者に関係なく、フィリシーナは悪役に設定されており、ヒロインがどのルートを選んでもフィリシーナは死んでしまう。
ゲーム内のフィリシーナはヒロインに嫌がらせをしたり、無視したりするが、敵役の末路としては過剰だ。そもそもルートによっては出番が少なかったりなかったりするのにひどすぎる。
ネットに出回った話では、製作者達がざまぁ要素が欲しくて無理矢理そうなったのだとか。
一通りプレイして納得したが、今はっきり製作者を恨む。
「なんてもの、作ってくれたのよ……」
ヒロインになりたいわけではないが、よりによって、あのフィリシーナとは。本当に運がない。
途方に暮れている場合じゃない。どうにかしなければ。
数日が経った。母の葬儀から日が経ち、周りも日常に戻りつつあった。
そんななか、とりあえず状況を整理しようと机に向かった。
あの乙女ゲームの舞台はフィリシーナが二十歳のときのものだ。そして、今私は十八歳。まだ開始まで時間がある。
諦める必要はない。できる限りのことをするべきだ。
ゲームとの相違点はあるだろうか。
「確か、ゲームでは王子とフィリシーナの仲は良くなかった」
むしろかなり嫌われていたはずだ。その点は同じだ。
婚約を維持するために、かなりしつこくしたし、面倒な女であった自覚もある。
母や家の名誉のために続けてきたが、その母は亡くなった。
それに名誉を守るためなら、王子と仲むつまじいイメージでないと。
婚約者となったのが九歳の頃だから、もう少しで十年経つ。十年かけて築いた関係を二年で覆すのは厳しい。
何か案がないかと考え始めたとき、部屋にノック音が響いた。
「失礼いたします」
「え、えぇ」
「おはようございます、お嬢様。もう少しで朝食の用意が整いますので、ご案内いたします」
「わかったわ」
「ではこちらへ」
侍女は終始にこやかに接してくれる。
ゲームをプレイしているときはフィリシーナと家族や使用人達との仲は悪いと思っていたけれど、そんなことはなかった。
フィリシーナはテリジア公爵家が大好きでとても大切にしている。王子の婚約者を続けた理由はそこにもあるだろう。
日頃から周りを気遣い、そして家族や使用人もフィリシーナを大切にしている。
王子との婚約の話が出たとき、父は無理をする必要はないと言ってくれた。婚約してからも皆何度も私のことを案じてくれた。それくらい仲は良好だ。
ゲームのフィリシーナはテリジア公爵家を守るために頑張っていたのかもしれない。頑張りすぎて、演技をやめられなくなって不運な末路を辿ったのだろう。
そう考えると、今前世を思い出したのは、本当に不幸中の幸いだなと感じる。侍女の背中を見つめながらそう思った。
朝食をすませ、家の書庫へ向かった。
何とか打開策はないか、本から何か得られないかと思い、壁一面に広がる本棚を眺めた。
「何かないかなぁ」
とりあえずこの国、サン国について復習しようと、関連する本に手を伸ばす。
「よいしょ……」
数冊持って、読書スペースへ移動する。
サン国はこの世界では大きくもなく、小さくもない、中規模の国である。
この世界は0から9までの数字がそのまま国名になっている。何の順番かはよく知らないが、覚えやすい名前だ。サン国と似たような規模の国が多い中、一つだけ別格の国が存在する。
帝国であるゼロ国。
領土の広さも豊かさも違う。ゼロ国はほかの国から頭一つ抜きん出ている。
しかし、ゲームには出てこなかった気がする。隠しキャラでさえサン国の人間で、他国は基本関わりがなかった。
「バッドエンドを回避するには……どうしたらいいかな」
なにも思い浮かばず、ページをめくる。
「……留学制度、か」
サン国には留学制度がある。
貴族の子女を対象にしたものだが、この制度を恐れる者は多い。
理由はただ一つ、留学先がゼロ国だからである。豊かな国ならさまざまなことが学べるのではと思うが、そんなに甘くないのが現実だ。
ゼロ国とサン国では学問も武術も何もかも違う。遥かにゼロ国の方が進んでいる。そして、文化もかなり違う。
例えば音楽。サン国ではバイオリンやピアノなどの優雅なものに人気がある。だが、ゼロ国は全く違うらしい。
貴族の子女がゼロ国に行くと、プライドをへし折られるのだそうで、皆留学したがらない。
国同士の制度なので毎年一人以上は留学しなくてはいけないのだが、いつの間にか立候補者が出なくなったそうで強制的な方法に変わった。王家と公爵家を除いた貴族の子供を候補に、くじ引きする。くじを引くのは毎年留学関係を担当する貴族だが、恨まれやすくこちらもやりたがる者はいない。何ともお粗末なやり方だが、これなら公平ではある。サン国の未来を担う王家や公爵家の子供は除外される。留学とは国にとって重要な人物が行くものであるはずなのだが、この制度では逆なのだ。
「今年ももう少しでくじ引きの季節になるな……」
私は対象者ではないが、貴族の子女にとっては大事な季節。そんなことを考えながら本を閉じた。サン国については思っていたより知っていたし、覚えていた。
これ以上読んでも仕方がない。ほかの本を広げる。
「あ……ゼロ国についての本がある。まだ本が傷んでないし父様がそろえたのかな。だとしたら意外かも」
公爵家の子女はくじ引きから除外されるので、テリジア家にゼロ国の本があるのは意外である。
「読んでみよ」
好奇心が湧いて本を手に取った。
そういえば、サン国では未知と言われているゼロ国の音楽は、具体的にどんなものなのだろう。本に載ってないか、ペラペラとめくる。
「あ、あった」
そこに書かれたものを目にして、私は手が震えた。
ゼロ国の音楽――
それは、私が前世で親しみ、心の底から愛したものだった。
〝バイオリンやピアノのような優雅な音楽ではなく、思い切り踊るための舞踊曲を中心とした音楽が主流である〟とある。
「本当に……⁉」
前世の光景を思い出す。踊りに全力を注いだ日々。
あまりにもこの世界には似合わなくて、ないと思っていた。
それでも、他国に行けばそれはあるのだ。
「奇跡みたい」
すごく舞い上がっていた。嬉しすぎて何も考えられない。
「とりあえず、落ち着こう」
……一旦冷静にならないと。
でも、これなら納得がいく。サン国のどんなに優れた音楽の才能を持つ者でも、ゼロ国では歯が立たない。
文化が違うのだから仕方ないが、系統の違う文化を一から学ぶのはかなり困難だ。誰も行きたがらないはずだ。私だって前世がない状態でゼロ国に行こうとは到底思わない。でも、今は違う。
もう一度舞踊ができるなら行きたいと強く思う。この状況なら、行きたいと言えば行ける気がする。そして、この制度は今後に利用できる。
サン国のゼロ国への留学制度はとても緩く、期間は決まっていない。これは、〝最低でも一年間学びなさい〟ということなのだが、皆一年学んだら逃げるように帰国する。
これを逆手に取ればゲームの始まる二十歳以降もいられるかもしれない。もしかしたら、ゲームをシナリオ通りに戻そうとする力が発生するかもしれないが、一か八かやってみたい。
命が助かり、自分のやりたいことができるなんて、まさに一石二鳥だ。留学しない手はないだろう。確か、まだ留学者は決まってないはずだ。なら、私がなれる可能性はある。
「そうと決まれば、父様と話し合わなくては……!」
すぐにでも話したいが、父様はとても忙しいということもあり、なかなか話す機会がない。
いつも娘であるわたしを大切にしてくれ、婚約も、辛いならいつでも解消してかまわない、家のことなら気にする必要などないと気遣い続けてくれた。そんな父様だから迷惑掛けたくなくて、平気なように振る舞ってきたが……
もうそんなことを言える状況じゃなくなった。上手く言えるかわからないが、留学について話してみよう。
「今日は家にいるかな」
いつもは王宮で働く父様だが、本当にたまに、家の書斎で仕事をすることがある。
今日には家にいるだろうか、書斎に行くだけ行ってみよう。いなかったら執事のロイに予定を聞こう。
そう考えながら書庫を出て、父様の部屋へ向かった。
コンコンとノックをする。
「誰だい?」
返事があった。父様は部屋にいた。
「フィリシーナです」
「シーナ……入りなさい」
「失礼します」
許可を得て書斎に入る。
父様の書斎に入るのは、すごく久しぶりな気がする。
「とりあえず座りなさい」
「はい」
書斎にあるソファーに腰かける。
父様も、向かいのソファーに座った。
「シーナ。久しぶりだね、元気にしていたかい?」
「はい。私は元気です。父様こそお体は?」
あまり会えないので、体調が心配だ。
前世を思い出してから話し方に違和感があったが、すぐ慣れた。
「はは。僕は大丈夫だよ」
父様はそう言うけれど、少し疲れているように見える。
「そうですか……。無理はなさらないでくださいね」
「無理はしてないよ。……それよりちょうど良かった。シーナに聞きたいことがあるんだ」
「なんでしょう」
「王子との婚約についてだが……どうする?」
どうする、と聞いてくるのはおそらく解消するかということだ。
父様はずっと気に掛けてくれていた。私がこの婚約を望んでなかったのも知っている。止めようとして母と何度も揉めた。結局母が癇癪を起こし、説得を断念する父様の姿を幾度となく見て、私は申し訳なく感じていた。
「第一王子であるユエン殿下とは……あまりうまくいってないのだろう? その上、シーナは無理ばかりしている」
「そう、ですね」
思わず苦笑いになる。
父様は私達が不仲であることを知っている。
たとえ会う機会は少なくても、しっかりと娘のことを考えてくれる。私の父がこの人で良かったと改めて感じた。
「テリジア家は……無理に王家と繋がりを持たなくともやっていける。そして王家も……ユエン殿下も我らの後ろ盾がなくとも、いずれ王になられるだろう」
「確かにそうですが……」
いつもと変わらず、したいようにしなさいと提案してくれる。
いつもと違うのは、もう私を縛る者がいないのだから、決断するなら今だと示唆しているところだ。
だが、こちらから願い出た婚約をこちらから解消するというのも非常識な話。
できなくはないが、王家やほかの公爵家からの風当たりが強くなってしまう。それは私の本意ではない。だから、私から婚約解消はできない。穏便に済ませたいのなら、殿下から言ってもらうほかないのだ。
「それがいかに非常識なことか、存じております、父様」
「だが……」
家名に傷がついても守ろうとしてくれる父様の姿に、思わず目頭が熱くなる。
「父様のお心遣い、感謝いたします。ですが、そうするつもりはありませんわ」
テリジア家を守りたいという気持ちなら、私だって負けない。
それに、そもそもは母の言いなりだった私が蒔いた種なのだ。責任は自分で取るべきだ。だから打開策は自分一人で考えなくては。
「そうか……」
父様は残念そうな表情をする。
父様が私のことを考えてくれたのは本当に嬉しい。こんなに娘思いの父親なら留学も認めてくれるかも、と期待が高まる。いよいよ本題に入ろうと意気込む。
「父様。今日は相談があって来たのです」
「相談?」
「はい……できるだけ叶えたい願いがありまして」
「願い……何かな?」
今度こそ娘の力になれると喜ぶ父様に、留学という爆弾を投下するのは気が引けるが、仕方がない。
「ゼロ国への留学制度がありますよね」
「あぁ、それか。それなら大丈夫だよ。我が家は対象外だから。シーナは絶対に選ばれることはないよ」
そっか。普通は留学と言ったらそういう反応になるか。
これは誤解される前に、さっさと本意を告げねば。
「いえ、違います」
「違う?」
「私はゼロ国へ留学したいのです‼」
言った後、目をそらしてしまったが、こういうのは言ったもん勝ちかなと思い、肩の力を抜いた。
落ち着いてから再び父様を見る。すると見事に固まっていた。
誰も行きたがらないゼロ国に、まさか自分の娘が行きたいと言い出すなんて普通なら考えないもの。
「…………シーナ」
父様は、戸惑いながらこちらを見た。
「本気……かい?」
「はい」
「ゼロ国……あのゼロ国だよ?」
「はい。父様の言うあのゼロ国に行きたいのですが」
「………………えぇ……」
驚くのは当然だけど、暗いオーラが見えるのはなぜだろう。
「シーナ……ゼロ国は……お前が思っているほど良い国ではないよ」
「……良い国かどうかはさておき。私はゼロ国の音楽の文化にとても興味を持ったのです」
早く踊りたい。
その気持ちが沸々と湧いてくる。これはサン国では決してできないこと。この世界にないのならば諦めるしかなかったが、ゼロ国にはあってさらに留学という手段まで揃っている。
諦める理由はない。
「音楽……。それほどまでにか?」
「はい。私にはとても魅力的です」
「…………。まるでローゼだな」
呆然としていた表情は懐かしいものを思い出すように変わった。
「ローゼ? 叔母様ですか」
ローゼ・テリジア。
父様の妹であり、私の叔母。
ずいぶん前に亡くなったはず。
「あぁ。……ローゼはな、今ゼロ国にいるんだ」
「え! ……亡くなられたのでは?」
「いや……生きている。やむを得ない事情でこちらの国に帰ってこれなくなってな。この国では死んだということになっているのだ」
やむを得ない……。まさか犯罪に巻き込まれたとか?
「今、叔母様はゼロ国で過ごされているのですね?」
「あぁ。むこうで結婚し、子供もいる」
「それはそれは……」
それなられっきとしたゼロ国の国民だ。
だから帰ってこられないのかな。
「ローゼは父に勘当され、二度とテリジア家の敷居をまたぐことはない。だが、私は兄妹としての縁は切っていないから、何度か連絡をとっているんだ」
「そんなことが……」
叔母様を思い出したのか、父様は穏やかに微笑んだ。
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