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同棲の始まり
命の代償
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――は?
ポカンと口を開けたまま、二の句が継げないでいるルカをよそに、フィンは続ける。
「七日前の夜だ。お前を初めて抱いたのは。」
「・・・一週間前?」
思わず、ルカは眉をひそめる。
一週間前の夜とは、ちょうどルカがショーンとマフィアの屋敷に乗り込んだ夜である。
俄かに心がざわつく予感がした。
何故か、この先の話を聞いてはいけない気がする。
そんなルカの心を見透かすように、フィンの澄んだ声で響く。
「あの夜、崖の上で大きな炎が上がっていた。オレはそれを近くで見ようと泳いでいて、海の中でお前を見つけた。」
瞬間。
“実は、お前が人魚に助けられたんじゃないかって、噂になってるんだぜ”
ショーンがそんな事を言っていたと、ルカは思い出す。
「・・・ま、待てよっ!じゃ、じゃあ、お前がオレを助けたって言うのか?なら、オレの腹の傷は?オレはあの時、銃で撃たれていたはずだっ!」
「ああ、確かに腹に穴は空いていたな。それどころか、肌もあちこち焼け焦げていたが、全部、オレが治した。」
――そんな。
そんなバカなと言いたいが、つじつまは合っている。
人魚の血肉は、人間に永遠の命を授けると伝説にもあるくらいだ。
もちろん、その伝説も真実かどうかわからないが、もし人魚にそんな力があるならルカの傷を治す事など、いとも簡単にやってのけそうな気がして。
それなら、撃たれたはずの傷痕が綺麗に消えているのも納得できた。
だが。
ルカは、ハタと気付いた。
――オレ、コイツと肉体関係、持っちゃってるんだよな?それってつまり・・・。
人魚の体液を取り込んだであろう事は違いないわけで、そうなると、もしかして血肉を食した事と同じ事になるのではと、そんな疑問が沸く。
「・・・一応、聞いとくけど。人魚の血肉を食べると、不老不死になるって話は本当か?」
俄には信じがたい話だが、それにはフィンは頷いて見せる。
どうやら、この伝説は本物らしい。
「・・・じゃあ、もしかして。オレ、不老不死になってるとか?」
けれども、フィンはそれには首を横に振った。
「いや、お前は不老不死じゃない。一度、死んだ人間に血肉を与えても、不老不死にはできないと海神様は言った。」
「へぇ、海神様なんているのか」と、ルカはそうのんきに思い掛けて、実はものすごい事をさらりと言われたのだと、ようやく気づく。
――“一度、死んだ人間”???
「お、おい、ちょっと待てっ!お前、今、オレが死んだって――」
「そうだ。お前は死んだ。それをオレが生き返らせた。」
――コイツ、何、言ってんだ??
信じられないようなものを見るように、ルカはフィンへと眼差しを向けた。
フィンはただ溺れかけていたのを助けたのではなく、死んでいたのを蘇らせたと、ありえない事を言っている。
――死んだ?このオレが??
フィンにはその自覚がなかった。
確かに、銃弾の傷は酷かったし、自分でも死を覚悟して海へ飛び込んだはずだった。
けれど、本当にそのまま死んだなんて。
「ウソだ。信じらんねぇ。」
「ウソじゃない。」
「だって、オレ、今、普通に生きてるし。」
「オレのおかげだ。」
フンと鼻であしらうように言われると、さすがに腹立たしい気持ちにもなる。
けれども、もし本当に死んでいたところを、この人魚によって蘇らされたのなら。
一応、礼くらい言っておくべきなのだろうかとルカは思い始めたのだが、フィンの話にはまだ続きがあった。
「確かにお前は今、生きているが、それは一時的なものだ。オレの力でも、死んだものを完全に生き返らせる事は出来ない。」
「・・・は?それって、どういう――?」
「さっきも言ったろう?お前はオレがいないと生きられないと。放っておけば、お前は七日後に死ぬ。お前の命をつなぎ止めるには、オレが必要だ。」
瞬間。
頭から冷水を浴びせられたような気がした。
「はは。何、それ。笑えねぇ。それって、お前がオレと寝た事と関係あんのか?」
「お前を生かすためにした事だ。」
「じゃあ、何か?オレがこの先、生きてくためには、ずっとお前に抱かれてろって言うのかよ?!」
「そうだ。生きたいのなら。」
――冗談だろ?!
ポカンと口を開けたまま、二の句が継げないでいるルカをよそに、フィンは続ける。
「七日前の夜だ。お前を初めて抱いたのは。」
「・・・一週間前?」
思わず、ルカは眉をひそめる。
一週間前の夜とは、ちょうどルカがショーンとマフィアの屋敷に乗り込んだ夜である。
俄かに心がざわつく予感がした。
何故か、この先の話を聞いてはいけない気がする。
そんなルカの心を見透かすように、フィンの澄んだ声で響く。
「あの夜、崖の上で大きな炎が上がっていた。オレはそれを近くで見ようと泳いでいて、海の中でお前を見つけた。」
瞬間。
“実は、お前が人魚に助けられたんじゃないかって、噂になってるんだぜ”
ショーンがそんな事を言っていたと、ルカは思い出す。
「・・・ま、待てよっ!じゃ、じゃあ、お前がオレを助けたって言うのか?なら、オレの腹の傷は?オレはあの時、銃で撃たれていたはずだっ!」
「ああ、確かに腹に穴は空いていたな。それどころか、肌もあちこち焼け焦げていたが、全部、オレが治した。」
――そんな。
そんなバカなと言いたいが、つじつまは合っている。
人魚の血肉は、人間に永遠の命を授けると伝説にもあるくらいだ。
もちろん、その伝説も真実かどうかわからないが、もし人魚にそんな力があるならルカの傷を治す事など、いとも簡単にやってのけそうな気がして。
それなら、撃たれたはずの傷痕が綺麗に消えているのも納得できた。
だが。
ルカは、ハタと気付いた。
――オレ、コイツと肉体関係、持っちゃってるんだよな?それってつまり・・・。
人魚の体液を取り込んだであろう事は違いないわけで、そうなると、もしかして血肉を食した事と同じ事になるのではと、そんな疑問が沸く。
「・・・一応、聞いとくけど。人魚の血肉を食べると、不老不死になるって話は本当か?」
俄には信じがたい話だが、それにはフィンは頷いて見せる。
どうやら、この伝説は本物らしい。
「・・・じゃあ、もしかして。オレ、不老不死になってるとか?」
けれども、フィンはそれには首を横に振った。
「いや、お前は不老不死じゃない。一度、死んだ人間に血肉を与えても、不老不死にはできないと海神様は言った。」
「へぇ、海神様なんているのか」と、ルカはそうのんきに思い掛けて、実はものすごい事をさらりと言われたのだと、ようやく気づく。
――“一度、死んだ人間”???
「お、おい、ちょっと待てっ!お前、今、オレが死んだって――」
「そうだ。お前は死んだ。それをオレが生き返らせた。」
――コイツ、何、言ってんだ??
信じられないようなものを見るように、ルカはフィンへと眼差しを向けた。
フィンはただ溺れかけていたのを助けたのではなく、死んでいたのを蘇らせたと、ありえない事を言っている。
――死んだ?このオレが??
フィンにはその自覚がなかった。
確かに、銃弾の傷は酷かったし、自分でも死を覚悟して海へ飛び込んだはずだった。
けれど、本当にそのまま死んだなんて。
「ウソだ。信じらんねぇ。」
「ウソじゃない。」
「だって、オレ、今、普通に生きてるし。」
「オレのおかげだ。」
フンと鼻であしらうように言われると、さすがに腹立たしい気持ちにもなる。
けれども、もし本当に死んでいたところを、この人魚によって蘇らされたのなら。
一応、礼くらい言っておくべきなのだろうかとルカは思い始めたのだが、フィンの話にはまだ続きがあった。
「確かにお前は今、生きているが、それは一時的なものだ。オレの力でも、死んだものを完全に生き返らせる事は出来ない。」
「・・・は?それって、どういう――?」
「さっきも言ったろう?お前はオレがいないと生きられないと。放っておけば、お前は七日後に死ぬ。お前の命をつなぎ止めるには、オレが必要だ。」
瞬間。
頭から冷水を浴びせられたような気がした。
「はは。何、それ。笑えねぇ。それって、お前がオレと寝た事と関係あんのか?」
「お前を生かすためにした事だ。」
「じゃあ、何か?オレがこの先、生きてくためには、ずっとお前に抱かれてろって言うのかよ?!」
「そうだ。生きたいのなら。」
――冗談だろ?!
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