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1 嫉妬に狂った彼氏が3Dプリンター持参で私の職場にやってきた件

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【登場人物】

白沢しらさわユキ 7人の独身男性に囲まれて仕事をしている。

桜路おうじよう ユキの彼氏で、ユキの会社にオフィス機器を卸している会社の営業。

小嶺 ユキの会社の社長

小早川 ユキの会社の先輩でヤリチン

小沢 ユキの会社の先輩でアナル偏執狂

小野 ユキの会社の先輩

小原 ユキの会社の先輩

小谷 ユキの会社の先輩

小田 ユキの会社の先輩 クソ真面目


【本文】


「ユキ、行ってらっしゃい。気をつけてね。俺は客先直行だから、もう少ししたら出るけど」
 陽くんはそう言うと、私にキスをした。
「気をつけるって?」
「ほら、ユキの職場って男ばっかだからさ。毎日心配でしょうがないんだよ」
「そんな、心配することないのに。じゃあね」
 私は陽くんの家を出た。
 
 超ラブラブな週末を過ごした月曜の朝。また一週間仕事だと思うと面倒いけど、陽くんにも職場でちょくちょく会えるからまあいいか。
 私は、男性社員ばかりの小さな会社で事務兼経理の仕事をしている。ベンチャー系の企業で、社長と六人の社員は皆それなりに若く独身で、優しくて、見てくれも悪くないので、入社した当初はきっとこの中の誰かと職場恋愛することになると思っていた。
 何人かの先輩には食事にも誘われて、でも、その先を期待しても、全く進展しない。おかしいなあ、と思ったら私を食事に誘った人のうちのひとりが彼女持ちだったことから争いが勃発し、なぜか全員で、私には手を出さないという協定が結ばれてしまったらしい。
 なぜだ?
 そんな協定結ばなくても……と思ったけどみんな私のことを大切にしてくれるので居心地は悪くない。
 そうこうしているうちに、うちの会社にオフィス機器を卸している会社の営業である陽くんにぐいぐいアタックされてつき合うことになった。陽くんは、イケメンで優しくて、最高の彼氏なんだけど、心配性で嫉妬深いのが玉にキズだ。つき合い始めて間もない頃に、スマホをチェックされ、退会せずに放置していたマッチングアプリを見つけられてしまい、とんでもないお仕置きをされたことがある。
 
 いつもの電車に乗れたので、陽くんにメッセージを打とうとして、バッグの中のスマホを探した。
 え? ない? 充電したまま忘れて来ちゃった?
 今電車を降りて戻ったら会社には遅刻してしまう。いや、確かにバッグに入れたはず。ってことは、陽くんの抜き打ちスマホチェックか?
 うわああ、やばい。
 浮気とかはもちろんしてないから、スマホを見られても疚しいことなんてないけど。
 いや、あれ見られたらやばい。でも、単なる妄想だし、なんにも悪いことしてないし……。
 陽くんの仕事が忙しく、しばらく会えなかったことがあった。私はひとり遊びができるよい子なので、普段なかなか会う機会のない女友達と飲みに行ったりして気を紛らわしていた。でも、私はもともと性欲が強いのか、長い間エッチしていないと、人には言うのを憚(はばか)られるような妄想に走ってしまう。
 妄想といっても、実現したいなんて思っていないので、エッチな小説や漫画でこっそり発散させたり、誰にも見せないスマホのメモに時々妄想日記を書いているだけだ。
 こういうのを性癖というのか? できれば陽くんには知られたくないけど……いや、困ったなあ。
 私の人に言えない性癖のひとつは、機械姦だ。
 どうも私にはMっ気があるらしく、拘束されて、おもちゃをあちこちに貼り付けられて、抵抗できない状態で何度もイかされるというエロ漫画の広告を見て以来、その絵が頭にこびりついて離れない。
 それから、通販で拘束椅子とか、おもちゃ各種、ピストンマシーンなどを探し出しては、妄想に耽(ふけ)り、そのうちにバラバラのセッティングでは満足できなくなって、ブロイラーの処理をする一体型の機械みたいなものに吊るされて、壊れるまで快楽漬けにされるという妄想をするようになった。変態だな、私。
 もうひとつの性癖もやっぱり変態度がかなり高い。
 機械もいいけど、複数プレイも捨てがたく、申し込めば輪姦してもらえるというサイトがあって、もちろん動画も購入できるので、そのサンプル動画をガン見している。
 見るだけでは飽き足りなくなり、申込書に記入して、でも送信しないというのを繰り返している。
 でも、よく考えてみれば、輪姦に最も適したシチュエーションは私の職場ではないか。
 協定なんか結んじゃって、大事に見守られてるけど、ある日私が重大なミスをして、社長に叱られて、他の営業社員たちにも超迷惑がかかっちゃって……。
「この借りは、身体で返してもらうからね」
「や、止めてください。何でもしますから……」
「じゃあ、俺たち全員に奉仕してもらおうか」
 なんていう、エロ小説みたいなものを、うっかりメモ帳に書いてしまっていた。あれ、陽くんに見られちゃったらどうしよう…。

  
 出社してからは、請求書の処理やら、見積もりのチェックやら、出張の手配やらで忙しく、陽くんのことは忘れて仕事に没頭していた。
 お昼少し前に、陽くんが重そうな段ボール箱を持って、オフィスにやってきた。爽やかな営業スマイルを浮かべてはいるけど、目が全然笑っていない。
 こ、怖い……。
「やあ桜路くん、今日は一体?」
 小嶺社長が、いぶかしげに陽くんが持ってきた箱を見る。
「あのう、新製品の3Ⅾプリンターのデモンストレーションをさせていただこうと思って」
「いや、うちの会社には必要ないと思うけど……」
「社長にデモンストレーションの内容をお話させてください。白沢さんちょっと外してくれる?」
 陽君と小峰社長がパーテーションで仕切られた社長のブースでひそひそ話をしているのを遠巻きに眺めながら、言い知れぬ不安が込み上げてくる。
 しばらくして私は社長に呼ばれた。
「ユキちゃん、オフィスの文房具補充しておいてくれないかな」
「あの……最近文房具ってみんな使わないので……でも通販で少し注文しておきますね」
「いや、通販じゃなくて……来客用の茶碗とかもほら、もうちょっとおしゃれなのを見繕みつくろってきてくれるかな。お昼もかねてゆっくりでいいから」
 何だかよくわからないけど、何か私がオフィスにいてはまずいようなことをしようとしているのか?
「わかりました」
 私がオフィスを出ようとすると、陽くんが追いかけてきた。
「陽くん、私のスマホ返して」
「ユキって、あんなやらしいこと考えてたんだ」
「……見たんだ。でもただの妄想だから。陽くんを怒らせるようなことは何にもしてないよ」
「とにかく、お仕置きするから。スマホはお仕置きが終わったら返してあげる。ほら、早く買い物行ってきな」
 私はふらふらと会社のビルを出た。
 




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