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二章第三節.イシハラナツイ、〈続〉〈続〉借金返済の旅

百四十.ダメレジスタンス

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〈レジスタンスアジト 闘技場〉

「ヤンキー、爺さん。お前らのステータスと『開発技術(ひっさつわざ)』、適性武器を教えろ」

 俺はムセンとずっこけ三人組に【職業展開】を修得させる為に二人の基本スペックを聞く。ムセンと猫娘は大体把握してるが、こいつらはまともに戦ってる姿を見た事もなければ武器も知らない。興味無いが、育成するには出来る事や伸ばす方向性、弱点を知らなければ始まらないからな。

「オレの武器(あいぼう)ぁこれだ。技術だとか何だとかは洒落くせぇからほとんど覚えてねーよ」

 ヤンキーは背中から『トンファー』を取り出した。成る程ね、はい次。爺さん。

「てめぇ!! 感想くらい言えや!!」
「ほっほっ……儂は適性武器などありゃあせんよ……じゃが技術は使えるぞぃ」
「使ってみてくれ」
「よいじゃろう……ほれっ」

 爺さんが技術を発動させる、すると小柄な体から突然光の球が放出した。ビー玉サイズの赤、青、緑、白ーー様々な光球が爺さんの周囲に浮遊している。
 これはあれだな、夜行チョッキの光。警備員などが夜の道路上で仕事する時に着てクルマや歩行者に存在を知らせ轢かれるのを防ぐためのやつ。

「ほっほっ、本気を出せば光度の強弱を調整したり飛ばしたりも出来るぞぃ」
「それだけか?」
「そうじゃ」
「実は酔拳が使えたりとかそんなオチは?」
「これだけじゃ」
「そうか」

 うむ、大体理解した。
 じゃあ早速ーー

「ちょっと待ちな! 平然としてるけど大丈夫なのかぃ!? 遊びに行くんじゃないんだよ?」
「うむ、武器や技術を使えぬのであれば使い処など無いに等しい」
「あーしですらちょっとは技術使えるのにマジうけるねヤンキー君」
「うるせぇよ!」

 レジスタンス組の三人、ギャル、アラサー、ゴボウ役者が異議を申し立てる。【職業展開】に関してはこいつらに一日の長があるからな、協力してもらっている。ついでにド=ゴーンにはこの三人の面倒も見つつ作戦の立案も頼まれている。

「アラサーって言うんじゃないよ!」
「お前らも似たようなもんだろう、ついでにギャルとアラサーの職業や技術も知りたいからステータスだけここに記せ」

------------------------------------
◇【ミチュリん(ギャル)】 職業【服飾屋】
∇『技術』
 〈裁縫〉レベル25 
 〈染色〉レベル20 
 〈接客〉レベル47 
 〈デザイン〉レベル30
∇【資格】
 〈インフルエンサー〉
∇【適性武器】
 ・針 ・糸 
------------------------------------
------------------------------------
◇【ツバキ・アマノメ(アラサー)】 職業【女忍者】
∇『技術』
 〈分身の術〉レベル12
 〈色香の術〉レベル10
 〈火遁・水遁・土遁の術〉レベル8
 〈変わり身の術〉レベル11
 〈体術〉レベル21
 〈隠密〉レベル7
 〈声帯模写〉〈変装〉〈他忍術〉……レベル1
∇『資格』
  忍検定弐級
∇『適性武器』
 ・苦無 ・縄 ・手裏剣 ・短刀
-----------------------------------

 ふむ、概ね予想通りだ。
 ギャルの職業は要するにアパレルだな、デザインから裁縫、販売まで一人でこなせるわけだ。地球から来たのかよこいつって言うくらいアパレルだ。

「いやー、小さい時から可愛い服をつくるのが夢でさー。でも貴族達にはうけないし、今のご時世可愛い服よりカッケー防具しか皆必要としてないんだよねー。あーし鍛冶なんかできねーし、つーことで底辺職にされちったって感じ、マジうけんね」
「よくわかった。アラサーの方は技術は一通り使えるが実用レベルには至らないって事か、忍者なんて上級職入りしてもおかしくないはずなのに」
「……その通りさ、諜報と忍は似ているようで違う。諜報員は隠密寄りのスキルが強いけど忍者は戦闘を視野にいれてるから戦闘寄り、武力志向の強いこの国からしてみれば忍者はどちらも中途半端だから諜報員の方が重宝されるわけさね」
「把握した、あとはムセンの回復、猫娘の素早さ、ゴボウ役者の演技(コピー)か。レジスタンスにいる他の奴等はどんな職業なんだ? 一応教えてくれ」
「……戦闘向きじゃあないから期待しないどくれよ? 職業展開を使える奴も他にはいない、こんな感じさね」

------------------------------------
〈レジスタンスメンバー表〉
・双子のアダマとリブ→→【結界士】(結界を張る職業。その場から離れられない、交代制。他に技術は使えない)
・介護のケアマネ→→【介護士】(高齢者のケアや世話はお手のもの。回復技術は使えない)
・掃除のスイープ→→【掃除屋】(どんな汚れも落とせる、趣味はゴミ拾い。バトルはできない)
・看板娘のルミリナ→→【料理屋接客】(常に笑顔の料理店看板娘。接客担当で料理はできない)※不在
・颯爽の異界人バッシュ→→【配達人】(異界では配達人だったが走る事しかできずこの世界では馬や竜車の方が速い)
・異界歌姫のラララ→→【歌い手】(楽器は弾けない)※不在
・奴隷職のスラン、ロクド、バルバ、レスク、マジタ→→【建築奴隷】(主に建築資材の荷運び)※不在
・奴隷職のサヨ、プンタ、チザル、アルミ、イルマ、シギー、タイカ、ツクシ→→【家事手伝い】(給金を使い、月何回かは外出可能)
・奴隷職のアーク、バルデア、ビヨン→→【炭鉱夫】※不在
・奴隷職のボルガ、イザンヌ→→【農夫】※不在
------------------------------------

 面子表に目を通す、様々な職業の奴等がいるようだ。
 ガキ達の名前もある、表では奴隷職として働きながら僅かな金と時間を使って裏でレジスタンス活動をしているわけか。

「不在って書いてる奴等は各地で働きながらその地域の情報を集めてあたぃ達に流すって役割もあるわけさ」
「ニャ~……中々に悲惨な現状だニャ……このメンバーで国をひっくり返す気なのかニャ……」
「肝心の奴が書かれてないぞ。リーダーのド=ゴーン、あいつの職業は? あいつが何をできるか把握しないと作戦を練るも糞もない、喩え底辺職だろうが使い処は何処かにあるんだからな」
「「「…………」」」

 レジスタンス組は一斉に黙る、なんか嫌な予感がするがそんなわけあるまい。レジスタンスを率いてる奴がまさかとは思うが。

「ばっはっはっ!!! 俺は【無職】だぜ!? ノージョブってやつだ!」

 入口からド=ゴーンが姿を現して言った。
 嫌な予感というのは当たるものだな、まさかのリーダーが【無職】。
 【無職】ってのはあれか? 何の技術も持ってないし資格も武器も無いってことか?
 
 成程、これは難度SSSクエストってわけだ。帰りたくなってきた。

     ーー大会開催まで残り10日ーー
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