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二章第一節 一流警備兵イシハラナツイ、借金返済の旅
百十八.またなんかやっちゃいました?
しおりを挟む前方の遺跡群からはここぞとばかりに魔物が湧いて出る。
しかも半端な魔物達じゃない、レベルの高い魔物が一斉にエンカウントしてこっちに向かってきた。
まぁ、だからここに登ったんだけど。
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◇・『巨大怪鳥(ジャイアントバード)』×10
・『文明残滓の守護者(ゴーレム)』×5
・『彷徨えるはぐれ鬼(ギガントオーガ)』×30
・『物言わぬ殺戮兵士(アンデッドナイト)』×50
が現れた!!!
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「な、な、何ニャあの数!? しかもゴーレムや鬼なんて桁違いの魔物までいるニャ!! いくら活性化してるからって多すぎるニャよ!!」
「ちっ! 先制決めて群れに突っ込んじまうか!?」
「バカ言うなニャ!! こっちが大破するだけニャろうが!?」
魔物の群れを見て二人はギャアギャア騒いでいる。
まったく、警備兵なのに冷静さを欠いてどうするんだ。
それに対してじいさんはというと至って冷静に手綱を握ったまま動かない。
やはりさすがに年の功だけはある。
「ぁぁぁ……なにか騒がしいのぅ……それよりもそろそろ飯にしてくれんかのぅ」
違った、現状を認識してないだけだったこのジジイ。
「騒いでないでこのまま進むぞ。どうせ目的地は遺跡の奥だろう?」
「ニャアッ! 何言ってるニャ進めるわけニャいニャ! この状況で馬が進むわけっーー」
【一流警備兵+光の騎士 融合技術『誘導の光』】
俺はライトセイバーを目映いばかりに光らせる。
目的は馬が尻込みして退くのを阻止する為、この光を見た生物は一定時間誘導に従うとかそうじゃないとか。
「馬、いいからそのまま突っ込め、魔物を誘導する」
〈ヒヒィィィィィィンッ!!!〉
馬はその指示に従ったのか迷う事なく魔物に突っ込む。
「ニャんでぇっ!? ナツイにゃん何したんニャあっ!?」
眩しかったのか目を閉じていた猫娘達は正気のままのようだ。
ふむ、この技術は目を瞑ってるやつやサングラスをかけてる奴には通じないという事だな。
太陽拳が効かなかった天下一武闘会の司会者のように。
まぁそんな事はどうでもいい。
ライトセイバーを構え、魔物達に向ける。
「退いてもらうぞ」
【一流警備兵技術『強制冥界交通誘導』】
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・巨大怪鳥は冥界の狭間へと吸い込まれた!
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【一流警備兵技術『終日・魔物通行止め』】
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・文明残滓の守護者の時は止まり、朽ち果てていった!
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【一流警備兵技術『絶・対敵無力化』】
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・彷徨えるはぐれ鬼達は突如闘気を失い、へたり込んだ!
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俺は車を交通誘導するかの如く、ライトセイバーをやる気なく振って技術を連発で発動させる。
ふむ、でかいのはあらかた片付いたな。
あとはワラワラいる鎧甲冑を着た魔物の兵士だけだ。
すると、魔物兵士達の何人かが弓を構えて突進する馬車に狙いを定めている。
杖を持つ魔物兵士達もいる、そいつらは次々と炎球や氷の刃を産み出す。
あれは属性技術とかいうやつだな、まさか魔物の兵士までもがそんなもん使えるとは思わなかった。
炎の球や氷の刃の標的は勿論この馬車だろう。
そして、雨のような数の矢や炎や氷は一斉に放たれた。
【一流警備兵 技術(ユニークスキル)『安全領域・改【Aバリアケードによる保安区画】』】
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・自身の周囲広範囲に『Aバリ』と呼ばれる鉄製のバリケードを設置する。カラーコーンの安全領域とは違い、周囲の人物達も対象にして身を守る。更にイシハラの定めた区間に個数制限なく設置できるため、バリケードの道を造る事も可能。
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どうやら進化したらしい『安全領域』は俺の周囲を起点にして馬の進む道一直線にバリケードを張った。
これまでは対象一人しか守れなかった技術が今度は広範囲になったようだ。
Aバリは矢や炎や氷を完全に跳ね返し、馬車を何事もなく進ませる。
凄いなAバリ、流石Aバリ。
攻撃が一切通じない事と自分たちにお構い無く突進してくる馬車に戸惑いを見せた魔物兵士達は一目散に退散する。
グサッ
「ん?」
何か変な感じがしたから振り向いてみると剣を持った魔物兵士が一体馬車によじ登ってきていた。
そして俺の腹を剣で貫いていた。
だから何かお腹のあたりが変な感じがしたんだな、危ない危ない。
【一流警備兵技術『無の極意+流風の極意』】
俺はダメージを体の外に逃がし、腹の傷を完治させた。
何か腹に違和感を覚えたおかげで腹減ってきた、この魔物兵士のせいだな。
イライラした俺は魔物兵士の喉あたりにチョップして吹き飛ばした。
【一流警備兵技術『護身術』】
バシィッ!!
吹き飛んだ魔物は馬車から転げ落ちていった。
これは正当防衛と言えよう。
魔物は全て片付いたようだ、カタツムリ。
あとは遺跡の奥にたどり着くまで心静かに、静寂に包まれながら寝るとしよう。
バリケード張ってあるし魔物も来ないだろう、安眠安眠。
「ニャ……ニャ……ニャ……ニャにそれぇ!? ナツイにゃん!! びっくりさせるにも限度があるニャよ!? 何回も聞くけどあんた一体何者なんニャよ!?」
「……んなアホな……デタラメすぎんだろオイ……」
「ほっほっ……イシハラ・ナツイ君か……久々に面白そうな若者じゃわい……きゃつならば……『あれ』にも出場できるかもしれんの……」
なんか猫娘達が三者三様驚いたり呆然としたりしている。
「ZZZ え? 俺またなんかやっちゃいました?」
俺は寝ながら言ってみたい台詞30位くらいのやつを言った。
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