17 / 207
序章第一節 警備員 石原鳴月維、異世界に上番しました。
■十五話番外編 異議申し立て ※ムセン視点
しおりを挟む----------------------------
……………………はい? 今………この方、何て仰いました……? 聞き間違いでなければ、イシハラさんと結婚したいと仰いませんでしたか?
いやいや、そんなはずありませんよね……。面識すらないイシハラさんと何故そうなるか意味がわかりませんもん…。
「断る」
「ダメ?」
「駄目だ」
「んー……そっかぁ、じゃあどのくらいしたら結婚してくれる?」
「四年後くらい」
「四年かぁー……長いなぁ。うん、わかった。じゃあアタシ隣で待つよ、それなら良い?」
「無き事もないにすべからず」
「わかったー、じゃあアタシ、イシハラ君についてくね」
「ちょちょちょちょっと待ってください!!」
私は思わず二人の会話に割り込みました。
(何ですか今の会話!? 全く理解不可能だったのですが会話として成立していましたか!? でも何故かお二方は通じ合っていましたが……本当に二人共面識ないんですか!?)
「何だ?」
「何だじゃありませんよ! け、結婚の意味わかってるんですか!?イシハラさん!」
「婚姻……夫婦間の継続的な性的結合を基礎とした社会的経済的結合で、その間に生まれた子が嫡出子として認められる関係」
「何ですかそのどこかから引用したような台詞は! 充分わかってるじゃないですか! なのに何故契約でもするかのようにホイホイと受けてしまうのですか!」
「結婚と契約は広い意味では同義だろう」
「そうですけどそういう事じゃありませんよ!!」
「何を怒ってるんだ、そもそも受けた覚えはない。四年後くらいといったんだ」
ダメです!話がまるで噛み合いません!
「ねぇねぇ、何で四年後くらいなの?」
「まだ俺が無職だからだ」
「なるほどー、しっかりしてるんだー。でも大丈夫だよ、アタシお金いっぱいあるし」
「そもそもお前いくつだ」
「15歳」
「この世界での婚姻できる年齢は?」
「………17」
「どちらにせよ駄目だろう、だから四年後くらいだ」
「ちぇー、もしかしたら早まる?」
「無き事もあらず」
「わかったー、じゃあ待ってる」
何ですかこの会話!? 何か暗号めいたものでも使ってます!?
「シュ、シューズちゃん! 冗談だよね!? 僕達がついてるのに!」
「そ、そうそう! 何でこんな得体の知れないやつなんかに!?」
このシューズという方の周囲にいた男の人達も何かざわざわしてますけど関係ありません!
「関係無い人達は騒ぐなら出ていってください!! 病室ですよ! これは当事者達の問題なんですから!」
バタンッ!!
私も当事者ではない無関係な立場ですけど関係ありません! 私は周囲の関係無い人達を追い出しました。
「そ、そもそも貴女は何のつもりでイシハラさんに結婚なんか申し込んでいるのですか!? 初対面ですよね!?」
「うん、そうだよ。でもいい人がいたら初対面でも関係ないよー。アタシはその為に今まで試験受けてたんだから」
「け、結婚相手を見つけるためにですか!?」
「うん、今までいい人いなかったから。これが初めてのプロポーズだけど問題ないよね?」
「大いにあります! よく知りもしない相手と結婚などできるはずもないです!」
「それはこれから知っていくんだよー」
「……そ、そもそもお相手の了承を得て初めて成り立つものですよ!」
「うん、四年後の了承は得たしアタシは待ってるよー」
ダメです!こっちの方ともまるで話が通じません!まるでイシハラさんが二人いるようで……女性のイシハラさんです!一体何を考えてるのか全くわかりません!?
「そ、そうやって色んな人に結婚を申し込んで周りの人達に気を持たせて……何か企んでいるのではないですか!?」
あれ? 私も何言っているのか段々わからなくなってきました……そもそも何で私がこんなに意固地になっているのでしょうか……?
イシハラさんに結婚してほしくないから………?
そ、そんなわけありませんよ! まだ出会って数日なんですからそんな気持ち抱くはずが………
そう! この世界にいるうちはイシハラさんを支えるって誓ったばかりじゃないですか! それです! 私はお世話になっているイシハラさんを守るんです!
「うん? あ、さっきまでいた人達のこと? あの人達は今までの試験からアタシに勝手についてきてる人達だよー、アタシが頼んで一緒にいるわけじゃないよー」
「そ、それを拒否しないのですか?」
「うん、だってどうでもいい人達だし、いてもいなくても変わらないよね」
可哀想な言い方ですけど……見るからに年下の女の子につきまとっているんですから同情の余地はありませんね。
「そろそろいいかなぁ? アタシ、イシハラ君のとこに行きたいなぁ」
「え!? あ……あれ!? イシハラさんはどこに行ったんですか!?」
「関係ない人達と一緒に出ていったよー」
馬鹿なんですかあの人は!? 何で当事者が何喰わぬ顔でさっさと退出してるんですか!?
そうでした! あの人はそういう人でした!
「それじゃあアタシは行くね」
シューズという女の子は出ていってしまいました。
私も追いかけたいですけど……そうしたら病人の方が一人になってしまいます……私がついていないと。大丈夫ですよね……イシハラさんなら…。
------------------------------------
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる