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第二章 命名研究機関との戦い
第三十五話 刺客達
しおりを挟む「皆!しっかりするにゃ!」
「エ……エレ……にゃん……無事……なの……?」
エレは皆を回収し、離れた場所へ降り立った。
「大丈夫だにゃ!今アイちゃんが来てくれるからそれまで頑張るんだよぅっ!」
エレ以外の皆も爆発の影響を受け、酷い火傷を負っていた。
タッタッタッタッ……
「皆!大丈夫!?」
そこへアイが駆けつける。
「人魚さん達のケガが酷いにゃ!」
【氷の造花】!
ピキピキピキッッッ!
「……う…」
「あ……」
「……っ」
「……ん」
人魚を初め、ドワーフリザード獣人の皆も回復する。
最後は古心だ。
「……アイっちも……無事……?」
「アイっちってゆうなってば!アンタの方が重傷でしょ!」
ピキピキピキ……
「……ふぅ……助かったよ…」
「それで敵はどうしたにゃ!?」
「佰仟と殺が戦ってる!二人は爆発の時とっさに離れたから大丈夫だって!」
「流石だにゃ、わたし達も加勢に行くよぅ!」
「いらないって!それよりも他にも敵がいるかもしれないから早く町に行けって!」
「二人を置いてくの!?」
「……………そうかもしれないにゃ、人魚さん達から離れるわけにはいかないし。戦えるのはわたしとアイちゃんしかいないんだよ」
「…………」
「まずは町へ送り届けてから!そしたらまた戻る!それしかないでしょ!」
「……わかったにゃ!皆乗って!町に急ぐよ!」
--------------
◇
バンバンバンバンバンバン!
銃弾が六発
×百倍
600発の銃弾がスキンヘッドの男を襲う。
「無駄っつってんだろコラァッ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォォォォォンッ!!
まるで連発された花火のような爆発音があたりに木霊する。
もちろん爆破も同時に四方八方で巻き起こった。
銃弾は全て爆破されたようだ。
「………」
「あらあら、綺麗~。残念ね~、銃弾なんかアタシ達には通用しないわよ~」
「ならこれはどうでありますか?」
ザシュッ
殺は素早く動き、後ろに回り女に『殺』と刻んだ。
「あらあら~残念、見えてたわよ、あなたが攻撃したのは…む・し♪」
刻んだはずの部分がモゾモゾと蠢き、飛散する。
それは小さな虫の大群だった。
「気持ちの悪い女でありますね」サッ
その場を離れる殺。
「爆破遣いに虫遣いか、全能配下の者のようだが…単なる鉄砲玉だな」
「見た目とキャラが既に単なる雑魚キャラであります」
「何だとコラァッ!!」
「あらあら~言ってくれるじゃない~、でもね、アタシ達も雑魚に用はないの。アナタ達の大将に用があるのよ~」
「そうだぜ!ナナシってのを出せっつってんだろーが!」
「残念だがうちの大将も貴様ら雑魚には興味がない、用があるならそちらの大将自ら出てこいと伝えておけ」
「言ってくれんじゃねーかよオイ!」
スキンヘッドの男は佰仟に向け手をかざす。
その瞬間、佰仟のすぐ目の前で爆発が起こった。
ドオオォォォォォォンッ!!
佰仟は膝から崩れ落ちる。
「口ほどにもねーなコラァッ!」
「分身だ」
チャキッ
佰仟は既にスキンヘッドの後ろにいた。
銃を頭に当て引き金を弾こうと構える。
「知ってるわよ」
虫を遣うらしい女が言い放つ、
佰仟の周りには既に大量の羽虫がいた。
羽虫は一斉に光を放つ。
「……っちっ!!」
ドオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
爆発は折り重なり一つの大爆発を起こした。
「一十佰仟…数字遣いの傭兵。そしてアナタは闇の暗殺ギルド頭領、忌み名の殺。それくらいの情報掴んでないと思った?」
サァァァァァァッ………
爆煙は消えたがそこに佰仟の姿はない。
「あらあら~木の裏に隠れてたって無駄よ~」
平原の横には点々と木の密集地帯が存在し、確かに佰仟はその裏にいた。
爆発の影響を受けたのか、頭からは一筋の流血が流れ落ちている。
殺は女の名を推察する、虫遣いというのはその場での推察ではあったが間違ってはいないと思う。
しかし、本当に女の能力なのかははっきりしない。
もしかしたら男の方が虫を遣い、女の方が爆破を起こしているのかもしれない。
佰仟も同じ考えをしていた。
この場でそれを確認するには爆破と虫を避けながら、攻撃を続け確かめるしかない。
仮に名乗ったとしてもそれが真実かを確認する術はないのだから。
両者の考えは一致し、即座に動く。
狙いは隙のありそうなスキンヘッドの男。
銃弾と短刀による同時攻撃による一点集中撃破を狙う。
バンバンバンバンバンバンッ!
「しっつけぇんだよコラ!」
スキンヘッドの男の前後で爆破は巻き起こる。
銃弾は全て弾き落とされる。
ドォンドォンドォンドォンドォンドォンッ!!
しかし後ろには殺が迫っていた。
(やはりこの男、虫を媒介として爆破を起こしているであります。自由に爆破を起こせるわけではないのであります!そうでなければ、私達自身を爆破しすぐに決着をつければ良い事。しないのはそれができないから。まだ油断はできないでありますが、だとすれば虫にさえ気をつければこの男の攻略は容易いであります!)
ピッ
爆破を避けた殺は男の足にインクを飛ばした。
『殺』
ガクン!
「おぉ!?何だ!?」
足に文字を書き、その機能を殺いだ。
片脚の機能を失い、膝をつくスキンヘッド。
「貴方はもう終わりであります」
「あらあら~、そういう能力だったのね~。解ったからもういいわ、ばいばい」
「!?」
パッ
突如、殺の目の前が真っ暗になった。
一縷の光さえない漆黒の闇。
それが何を意味するのか……殺は瞬時に判断する。
殺は視界を奪われたのだ。
(な、何を…どうやってやったのでありますか!?あの女の能力!?いや、それよりもまずは…)
殺は経験により一瞬でその謎の事態に精神は対応したがそれでも遅かった。
「殺っ!!!」
数字遣いの男が殺の名を叫んだ。
「もう遅ぇよ、コラ」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッ!
忌み名と呼ばれる少女、殺は爆散し、その場に散った。
--------------
◇
「……誰かがいる」
「え!?」
ルールは俺の言葉に身構えるが、そういう意味ではない。
俺は神殿の記録する過去の映像を見ていた。
先行する俺とルール、その後ろにいるリーフとサイ。
更にその後ろにもう一人、見覚えのない少年がいたんだ。
年は見た目…十歳かそこら。
パーマのかかった金髪にクリクリとした丸い茶色の瞳。
成長途中のとても可愛いらしい少年だった。
そして白衣、その小さい体と身長にはとても似合わない大きさの白衣をズリズリと引き擦っている。
「……おかしい」
子供がこんな場所にいる事ではなく、この存在にリーフが全く気づいていない事。
先行していたとはいえ、俺も全く気づかなかった。
「どうどうしたのよ!?誰がいるの!?」
「……ちょっと待ってくれ…」
子供は徐々にリーフに近づいていた。
そして、すぐ後ろに…まるでリーフの陰のように一緒に歩いていた。
子供はリーフに手を伸ばす
リーフはそれでも気づいていなかった。
「!」
子供がリーフの背中を叩いた。
その瞬間、リーフはまるで瞬間移動でもしたかのようにその場から消え去った。
「なっ…!?」
同じ事をサイにもした少年自身も、瞬間移動して消えていった。
そこで、一時パワーアップした俺の能力は失われ映像は途切れる。
俺は現実に戻った。
「………」
「何があったのたの!説明して!」
--------------
----------
-------
「…………」
過去の映像の全てを聞いた姫様は少し考えこんだ後、言葉を発した。
「その少年……もしかしたらたら知ってるかもしれないわ」
「本当か!」
「特徴だけ聞いた限りではではね、かなり有名な子よ。恐らくだけどけど名前はブリッジ…わずか11歳にしてして『命名研究機関』に所属する天才少年よ」
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