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第二章 命名研究機関との戦い

第三十三話 『ルール』

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「静かだな…」

俺達四人は離れた場所に竜で降り立ち、遺跡の中に侵入していた。
遺跡に音はなくそれは侵入に気づかれていない証でもあった。
しかし侵入して三十分は立つが誰も見ない。
一応蛇の眼を使い注視しているが、俺達と小動物以外に熱源は見えない。

「もしかしたら地下があるのかもしれない」
「なるなるほど、逃げるのにも最適ね。これはただの張りぼてって事」
「しかしそれでは入口がわかりませんね…大きな音を出すわけにはいきませんし」
「とりあえずは中心の神殿みたいなとことこに行ってみましょう」

--------------

<神殿遺跡内部>

「へぇ…なかなかなかなか雰囲気があるじゃない。サイ、ここは何の建物だったのかしら?」
「恐らく…かつて『女神』信仰の古い神殿ではないかと…」
「女神!?」

思わぬところから女神の名が出てビックリした。

「ええ、古い文献の神話ですが文明は『神』の名を名付けられた十二人の人間から産まれたと。人々はその人間達を崇め、各地にそれらを祭る神殿を建てたと記録があります。それから人類の文明は発展し、命名の研究や争いと共に信仰は徐々に薄れていきましたが…我が王都には未だに女神信仰は続いています。ここは女神信仰の産まれた地ですから」

そうだったのか、女神はそんな事一言も…
まぁわざわざ自分でそんな事言うような性格でもないけど。

「あたくしも小さいころころ司祭に何度も聞かされたわ!綺麗な慈しみの女神様の話!女性達の憧れよ!」

………

俺はそんな女神といやらしい事を何度もしていたのか。
信心深いわけではないが、さすがに悪いような気がしてくる。

「…ふむ、ここにも人の気配はないな…」
「待っててくれ、地下がないか捜してみる」

<蛇の眼>

地下…範囲が広いから歩きながら捜すしかないな。

「何をやっているなのなの?」
「地下に空洞が無いか探してるんだ、風の反響音を聴きながら」しゅるるる…
「風も操れるの?貴方一体いくつ能力があるあるのよ?」
「今のところ20くらいかな…」
「今のところって何何なの!?増える予定なの!?知りたいわ!あたくしの力ももしかしたら使えたりするのかしら!?」ぐいぐい
「ちょ、集中できないから後にしてもらえるか?」

しかしいくら捜しても地下に空洞なんか見つからない。
あてが外れた?
商人の心と記憶では確かにここのイメージを指していたのに。
あまりに暴力的なイメージが先行して入ってきたのでちゃんと見ていなかった事が悔やまれる。
もう少し調べるべきだった。

「…………………あれ?ふた二人は?」
「……え?」

気づくとリーフとサイがいなくなっていた。
広いから迷子になったのだろうか?
しかし辺りを見回しても熱源がどこにもない。
二人はどこに消えた?

「……罠でも仕掛けられていたのか」
「二人だけを音もなくどこどこかへ消す罠?そんなもの…」
「あり得るさ、どんな名前のやつがいるかわからないからな」
「…でもでも、二人なら平気よ!」
「だといいんだけど……」

スマホで連絡をとるという手段もあるが、もし隠れているような状況の場合スマホの操作をできないリーフにかけて音が鳴り事態を悪化させるような事は避けたい。
あくまで最後の手段だ。

「君の能力はとんでもない力だけど…その力で何か思いつかないか?」
「あたくしの?……できるかもしれしれないけど条件がそれに応じて厳しくなるのよ」
「条件?」
「あたくし自身が定める法にはそれに伴って成立させる条件があるあるの、そしてそれをクリアできなかった場合…あたくし自身に罰が働くのよ…例えば飛竜から飛び降りた時、息を止めていられたら無傷で着地できるとさだ定めたけど滑空時間は約3分56秒、ギリギリだったわ」

約4分!?
しかも自由落下しながら!?
しかし、納得する。それくらいクリアしないと少なくとも見えてもいなかった上空から飛び降りて無傷なんて成立しないのか。

「クリアできなかったらたら酷い罰がまっているところだったわ」

罰の前に普通に死んでいたと思うのだけど。

「しかも今回はどんな状況で二人が消え消えたのかもわからないわ、そういう場合法の定め方が曖昧なのよ。そうすると条件も必然的に達成困難なものになりかねない」

よくわかった、つまり【ルール】はルールを課す際自分にもルールを課して自分と対象にルールを守らせる事でを発動させられるんだ。
自分にルール(発動条件)を課し相手にルール(法)を課す。

そうすると確かにこの状況では厳しいな…
対象がいない上、自分にルールを課しても何をどう判明させたらいいのかわからない。

せめて物にでもルールを課せれば……

…………

物か…………
俺にならもしかしたらできるかもしれない。
確証はない。

それにそれをやるためには……。

「……」
「?どうしたしたのかしら?」

しかし迷っている場合だろうか……退引きならない状況に陥ってからでは遅いのだ。
アールステッドでアイを失いかけた時のように……
それに俺はこれからもっと強くならなければならない。
全てこれから頼む事の言い訳にすぎないが、恥を識ってでも俺は進まなきゃならない。

俺は覚悟を決め、ルールに頼む。

「ルール、俺に君の能力を分けてほしい」
「?」
「俺が君の能力を使えれば、リーフ達を見つけられるかもしれない」
「本当なのなの!?どういう事か教えてちょうだい!」

--------------

「キスと……性交するする事で相手の能力を使える…」
「あぁ、そして性交した相手の能力同士を俺なら組み合わせる事ができる…まだ使った事はないんだけど」
「……」
「頼む、早く捜し出さないと大変な事になるかもしれない。もちろん強制はできないんだけど…」
「……」
「無理…かなやっぱ…」
「あたくしにできる事ならなら構わないのだけれど…キスはともかく性交って何なのかしら?わからないわ」
「えーっと…」
「よくわからないけどそれでリーフ達は見つかるかるのよね!?教えてちょうだい!性交を!それにキスは何度もした事があるから平気よ!」

そうなのか。
しかしそういう相手がいるのなら余計にやりづらい。

「お父様とね!あたくしを溺愛してくださっているいるので何度もしてくるわ!それと同じでしょう!」

………これは下手をすると王に処刑されかねない。
だけど仲間のためだ、甘んじて受けよう。

こうして一国の姫君との禁断の時間が始まる。

--------------

----------

-------



「ナナシ……」

とうぎじょーの前で会ったお姉ちゃんに名前がにてる……
でも違う人なんだよね…?

「そうよ、とっても悪い人。早くしないとおともだちが死んでしまうわ」
「で…でも、わるい人でも殺しちゃいけないって巨人さんは言ってたもん…」
「そうねぇ…じゃあ巨人さんは死んじゃうけどいいの?」
「……や、やだ…」ぐすっ…
「全て貴女が決めるのよ、そうしないと願いは叶わないわ」
「………」

もっと幼い頃から知っていた、自分には特別なちからがあるって。
お父さんの事はよく覚えていない、でもお母さんからわたしがまだ赤ちゃんの頃に死んでしまったときいた。
どうして死んじゃったのかはわからないけど…
でもわたしにはお母さんがいたからさびしくなかった。

そのお母さんがよく言っていた言葉がある。

あなたは人が幸せになる事を常に思っていなさい、って。
そうすればあなたも皆も幸せになれるからって。
前はよく意味がわからなかったけど…
その後、お母さんもいなくなっちゃったけどすぐに巨人さんが来てくれたんだ。
それからはずっと巨人さん達がそばにいてくれた。
巨人さん達も言っていた、わたしには願いを叶えるちからがあるって。

だからいつもみんなが幸せになるように願いなさいって。
わたしお勉強はできないけどそれだけはわかるよ。

だから…

「できないよ……誰かが死ぬことをねがうなんて…できない」
「………………………………そう、仕方ないわね」

お姉さんはゆっくりとわたしに近づき、手を頭にのせた。

「…ふぇ…?」
「手荒にしたら願いが叶うかわからなかったけど、やるしかなさそうね」

突然酷い痛みが頭を襲う。

「あっ!?いやぁぁぁぁぁっ!」
「わたくしの名前は『人心掌握』、ヒトと呼ばれているわ。能力は人の心を意のままに操る事………さぁ、わたくしに心を渡すのよ」


激しい頭痛と薄れ行く意識、それが少女自身の意識が見る最後の光景となった。













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