【箱庭(ラインクラフト)】~お荷物として幼馴染みに殺されかけた俺は転生の創造主の力で世界を創り変える、勿論復讐(ざまぁ)も忘れずに~

司真 緋水銀

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第一章 箱使いの悪魔

#027.■BOSS戦②『vsゴーレム』

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「ちっ……調子に乗んじゃねぇ!! 変な奇術が使えるからってそれがなに!? あたしのゴーレムの凄さを見せてやるよっ!!!」

 エリーゼは労した策を止められたからなのか、ソウルの傲岸不遜(ごうがんふそん)な態度に気分を害したからか……激昂しながらゴーレムに両手を置き魔術を発動させる。雷の魔術を全身に通されたゴーレムは眼となる部分を怪しく光らせ、本物の生物かの如くその巨体を稼働させ始めた。
 ──瞬間、ゴーレムの上半身が捻(ねじ)れるように一回転する。姿勢を低く、両腕を大きく拡げたままに。それによりおおよそ全長15メートル──その全てが攻撃範囲となった。

【両腕薙ぎ払い】

ブォォォォンッ!!!!

「んっ!!」

 その勢いの凄まじさは、離れたところにいるマインにも薙いだ際に発生した風すらも届かせたほどで、マインは少し体をよろめかせる。直撃すれば先程のトロッコ以上のダメージを食らったであろう。

「おっとと、迂闊に近寄れねぇな」

 だが、ソウルは瞬時に空(くう)へと跳躍し回避していた。落空体勢のままに素早く詠唱し、魔術を発動させながら。

【ミリオ・ラナ・マグナ】

 放ったのは『火球』──火の初級魔術。ギルドでは制御できなかったソウルだったが今回は巧く発動できていた。威力を込めすぎず……初級魔術という呼称の通りに掌サイズの火の球を無数に放出する。

「あははっ!! バッカじゃない!? そんなのがゴーレムに通じると思ってんの!? 元々魔術障壁が張ってあるけどそんな魔術じゃ生身にすら火傷痕すらつかないって──」

ドォォンッドォォンッドォォンッ!!

「──っ!!?」
「なはは、はなからんなもん狙っちゃいねぇよ。鬱陶しい地雷を撤去してやっただけだ」

 火球は次々と埋められた地雷を爆破させる。あちらこちらの地面が抉(えぐ)られ土煙が舞い、出口へ通じる道は徐々に崩落していく。

「あんた何やってんの!!? バカじゃない!? 自分で逃げ道を無くして──」
「なははは! てめぇを逃がさなきゃそれでいいんだよ!!」

ドォォンッドォォンッドォォンッ……ガラガラガラガラガラガラ……

 着地するまでの僅かな間におおよそ全ての地雷を爆破し終える。辺り一面は轟々と煙に包まれ──溶岩による熱気を更に高めているように感じた。

(もうこれで退路は残されていない、あとは──)

 ──自然の摂理(じゅうりょく)により着地しようとした、その時、土の魔術が警告を告げる。そこには『無かった』はずの物が急に姿を見せたのだ。
 それは、新たな『地雷』だった。ソウルが決して見落としていたわけはない、ゴーレムの攻撃がくるまで確実にそこには存在しなかったものだ。
 やはり、このゴーレムは地雷を自在に『造ることができる』とソウルは直感する。

 彼が地に足を着けたその瞬間、これまでとは比べものにならない火力の爆発が襲った──

「あはははっ!! あたしのゴーレムは地雷を自由に造り出すことができるのっ!! これまでとは比べものにならない威力の地雷を設置してあげたわっ!! さぁっ───…………」

 ──だろうと思って先走り、ソウルの推測の答え合わせを口にしたエリーゼが数秒の間を置いて不可解な現状に顔を曇らせた。
 地雷は爆発せず、何事もなくソウルが地に足をつけて立っていたからだ。

「【箱庭(クラフト)】……」
「……は?? えっ?? 何それっ……!? 」

 更に地雷地面の箱をソウルが手に持っていたのだから混乱はひときわだろう。自身の思惑が悉(ことごと)く外れる事実と相まって奇怪な光景に見えるのは致し方ない事だ。
 
 ソウルはエリーゼとゴーレムの戦法を確信する。
 先に種明かしをしてしまえば──エリーゼは【雷魔術】でゴーレムの躯(からだ)を形成している。
 それを可能にしているのが地層に含まれている『砂鉄』だ。それを岩石ごと魔術で引き寄せ、召喚術かの如くゴーレムを形造っていた。レッドストーンを組み込むことにより電気回路を組み込んで魔術により可動可能としていた。
 そして、この廃坑には炭坑時代の名残からか……至るところに『火薬』が存在していた。勿論、地層に微量混じっているだけでそれだけで爆発するようなものではないが……廃坑とはいえ火山地に火薬が散りばめられているという事実にはソウルも多少肝を冷やした。
 とにかく、エリーゼはそれをかき集めゴーレムの躯体内で地雷をも精製しているわけだった。

(まぁこれらは全部……地面を箱庭化して分析した事で推論できたものだ。やはりまだまだ箱庭なくして俺は青い、もっと強くなる必要がある──まぁそれはさておき……)

【合成(シンザシス)】

 全てを把握したソウルは秘密裏に『ある物』を精製する、この場所と、戦闘経験のおかげで新たに作成可能となったものだ。
 そして剣を抜き、薙いだ。

【黒耀一閃】

 近づかないまでも、【黒耀剣(ネビリム)】は薙いだ先をも断絶する。その効果は【ネザー島】で実証済みだ。ゴーレムの躯体は胴から寸断される。

「───っ!! 調子にのんなっての!! ゴーレムは何度でも再生する!! あんたは大人しく実験台になってりゃいいんだよっ!!!」

【マグタリア・オン・バグス】

 再度、エリーゼの雷魔でゴーレムの下半身は形成されていく。周囲の岩盤は意志を持っているかの如く動き始め、エリーゼの下へ集っていく。その速度はまるで時をやり直したかのように一瞬で──上半身が地に倒れる前にその巨体は完成され持ち直された。
 エリーゼが乗り操作している限り、このゴーレムはまさに不死身といえるであろう。

「あっははははぁ!! 弱者(ゴミ)が頑張ろうと無駄なんだよ!! なに必死に抵抗しちゃってんの!? いいから早く死ね!! 美しいもの以外はこの世界に存在させない!!」
「なはは、そうか。じゃあな」
「……………は?」

 一層 昂(たかぶ)ったのち、ソウルの言葉を受けエリーゼはきょとんとする。
 全く気付いていないというその証だった。もう勝負が決しているということに──


カッ─────ドォォォォォォォォォォンッ!!!


 ゴーレムの躯体が一瞬の輝きののち、爆(は)ぜる。体内に取り入れたソウルからの【箱庭(プレゼント)】により。
 ソウルは合成した『それ』を箱庭で地面に埋め込み、収集させたのだ。その威力は絶大で……ゴーレムは上半身までも体内から爆散し、乗っているエリーゼをも巻き込むほどだった。

 エリーゼは爆風により舞い上がり、地面に叩きつけられる。

「────かっ!!?! がはっ!!?? はぁっ……!! はぁっ……!!」

 勿論、死なない程度に火薬量は調整されている。
 エリーゼには色々と聞かなきゃならないことがある故に──初めての合成でそこだけは不安だったソウルだったが……どうやら成功したようで、彼女は火傷はしていたが辛うじて息はあった。

 ソウルはエリーゼの髪を持ち上げ、諭すように優しく告げる。

「ゴミは存在しちゃあいけないんだよな? 安心しろよ、てめーらは俺がまとめて処理してやるから。さぁ、今度はてめーが実験台になる時間だ」

------------------------------------------
□{【合成】により【TNT爆弾】作成が可能になりました。
(・【砂】+【火薬】)
□{【合成】により【TNT爆弾(時限式)】作成が可能になりました。
(・【砂】+【火薬】+【レッドストーン】)
------------------------------------------

  
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