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最終節.女子高生(おっさん)の日常と、いともたやすく創造されしNEW WORLD

番外編.動き始める者達

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「──せ、世界を救うってなんですかっ!? そんな設定……今まで出してこなかったじゃないですかっ!! 絶対後付けですよねっ!?」

──{……お主、段々アシュラに性格が引っ張られておらんか? いや……元々同じ人間じゃったな……一から説明するからよく聞くんじゃ}

 神様はそう前置きし、私に集中を促します。
 どうやらギャグ漫画にたまに入るシリアス展開だと悟った私は突っ込みを止めて全集中します。

──{2022年に起こる運命の収束は我ら神にも阻止できん巨大な力。無論、人間には観測すら不可能──それの来訪により世界は終焉を迎える………わしがアシュラを転生させたのはその運命をねじ曲げてもらうためじゃった}

「2022年……その年に人類は滅亡するんですか!? それよりなんでおじさんなんですか……? おじさんにそんな特殊な力があるって事ですか?」

──{いいや、。お主に宿っておるのは言うまでもなく……その美幌の力。人々を魅了するのにおいて『世界一の美少女女子高生』というのは間違いなく右に出る存在はないと断ぜられるじゃろう}

「そ……そんな事はないと思いますが………」

──{そして、そんなお主の内面に最も適した魂……それがアシュラのような『おっさん』じゃった。女子高生と中年オヤジの親和性が何よりも高いのは周知の事実……現に今の波澄阿修凪は何人(なんびと)の心をも掌握する存在になりつつあったじゃろう? つまり、【美少女中年】は何にも勝る最強の存在だという結論にわしらは至ったわけじゃ}

 私は反応に困ります。
 果たして神様は真面目に話しているのか……ふざけているのかわからないからです。
 この話はギャグなのか真面目(シリアス)なのか……おじさんならば間違いなく『そーゆー曖昧なの一番やっちゃ駄目なやつだから、反応し難いから』と文句をつけていることでしょう。

──{そして、あやつは最強の存在となりて神の能力を継承できるようになった。【自浄作用】【夢世界旅】……別世界で発現した【唯一極限簡単様式】。これらは本来【娚人】にしか扱えない『神の御業(みわざ)』──それを扱い、終焉を阻止できる存在を創ることがわしらの目論見じゃったのだ}

「それを最初に言っておけば……」

──{お主もわかるじゃろう? あの捻(ひね)くれまくった性格のアシュラにそれを伝えたらどうなるか……間違いなく素直に受け入れるとは考え難い……現に、あやつは『おち●ちんが恋しくなったから』などとわけのわからない理由で前世に帰ると抜かしおった……計画を変更し、なんとかこの世界に残らせるよう促しておった際に新しい世界が拓かれておったんじゃ}

「………それが、おじさんの転生した世界……ですか?」

──{うむ。賭けではあったが……【娚人】として新たにタイムリープした方が更に運命を阻止できる可能性が高かった。わしらはそれまでの能力を継承した新たな【波澄阿修凪】を誕生させた。しかし………}

 おじさんの記憶障害、神様の干渉不可、そして……時代のズレ──滅亡までのカウントダウンはすぐそこまで差し迫ってしまった……と神様は頭を抱えます。
 このままではおじさんは何も知ることなく、消滅への道を辿る……なんとかして記憶を取り戻させなければ運命はどの世界線をも呑み込んでしまう、とも。

──{キヨも方法を考えて様々な世界線を駆け回っておるが……わしは、アシュナ──お主に……いや、この世界線に賭けるのが一番可能性が高いと踏んでおる}

「……………私は、何をすればいいんですか?」

──{……アシュラに呼び掛けるのじゃ。どんな方法でも良い、あやつに通ずる手段を捜し……世界線、運命を跨(また)ぎ、声を届かせてもらいたい}

 おじさんの気持ちが、今、ようやくわかりました。
 違う次元へ行ってしまったおじさんと声を繋ぐ──平然と無茶苦茶な要求をしてくるこの御方をダメ神と呼びたくなるその気持ちが。

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