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最終節.女子高生(おっさん)の日常と、いともたやすく創造されしNEW WORLD
203.女子高生(おっさん)と約束⑦
しおりを挟む豚の悲鳴は、学校中に響き渡った。
いくら離れた場所とはいえ、人がやって来るのは時間の問題だろう──俺は、ヒマリに向き直って告げる。
「ヒマリ、気を強く持って。たぶん色々聞かれることになるだろうけど……キミに一切の非は無いし、泣き寝入りすることもない。できることなら事実を明るみに出してほしい、もう二度と……同じ過ちを辿る女の子がいなくなるように……」
「………はずみくん………」
それだけ言って、俺は携帯電話をヒマリへ渡す。
こっちも時間の問題でいつ阿修羅の意識が戻るかわからない、そうなった時のために証拠品は彼女に託したのだ。
「…………ゎたし、ばかだよね……もっと、最初から……あなたやみんなに頼ればよかったのに………」
「……今からでも、頼ればいい。待ってて、必ず、また、救いに来るから」
「……………?」
言葉の意味を理解できなかったのか……ヒマリは不思議そうな表情をして首をかしげた。
──と、そこで意識が朦朧(もうろう)とし始める……この世界の俺が目を覚ます予兆だった。
記憶の引き継ぎはできない──気がついたら修羅場に巻き込まれて災難だろうけど……頼むぞ、なんとか察してくれよこの世界の阿修羅。
「──絶対、キミを、守ってみせるから」
そんな台詞と共に、夢は終わりを迎えた。
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「豚ぁっっ!!!」
「はっ、はひっ!! アシュナ様っ!!?」
目を覚ました俺は、真っ先に学校へと走り、職員室へと向かって扉を叩き開いて叫んだ。
豚野郎は何も知らず呑気にくつろいでいた。別世界の出来事とは言え……顔を見たら怒りの炎がより一層勢いを増したので胸ぐらを掴んで問い詰める。
「ヒマリに何したの!! しらばっくれたらその短小皮被りチ●コもぎとるから覚悟しろよ!!」
「は、はひぃっ……ひ、樋廻にですか……?」
「失礼しま~す……あ……あれ? アシュナちゃん……」
ちょうどそこへ、ヒマリが訪れた。
突然飛び込んできた俺に驚いている教師一同と同様にこちらを見て何とも言えない表情をして固まったが、みるみる内に顔を強張らせ、叫んだ。
「……高原せんせー……! アシュナちゃんに変なことするの……もうやめてくださいっ!!」
「…………え?」
言葉の意味も理解できないが……なによりヒマリの怒鳴る姿を初めて見た俺も呆気に取られる。
「私に……変なことってなんのこと……?」
「だって……最近のアシュナちゃん……高原せんせーに話しかけられて凄くイヤそうな表情してたから……前まではそんな事なかったのに……だから、もしかしたらせんせーに変な事されてるんじゃないかって思って心配で……」
「……………あ」
もしかして──ここ最近……阿修凪ちゃんが学校生活を送っていたことで以前のアシュナとの違いを感じて心配してくれていたのだろうか。それが……ヒマリに異変をもたらした要因となっていた?
──『あ……そういえば……この豚さんに話しかけられたことがあった気がします……なんか「苛めてください」とか「踏んでください」とか言われて凄く不快だったので無視してたのですが……』
「だからか……ヒマリ、心配かけてごめん……」
「じゃあ……アシュナちゃん何もされてないんだ……よかったよ~……」
「私はむしろヒマリがこいつに何かされてるんじゃないかと思って……」
「ふぇ? わたし? 一年生のときはお尻とか触られてたけど……ちょうど去年くらいかな? そっからはなにもないよ~」
「よし、社会的に殺そう。先生方、今の聞きましたよね? 他の女生徒も被害に合ってるので追及してください」
俺の発言に青ざめる高原は、教頭らに奥に連れていかれたけどもうそんな事はどうでもよくて、俺はヒマリを抱き締めた。
ともかく、俺がアシュナに憑依して高原と対決したからこの世界のヒマリの【運命】とやらは回避できたってことなのだろう。
【運命】なんて、いともたやすく変わるもの。
その確かな事実と手応えは、行き詰まっていた現状を打破する一縷(いちる)の光となって希望を照らしてくれた。
「ぇへへ~……ねぇ、アシュナちゃん……また、『おじさんぷれい』ってやつ……してほしいな……?」
「うひひ……じゃあ指導室で『中年教師×天然女子高生』設定でしよっか? あ、ミクとも約束してるからそこにギャルも加えて……」
──『おじさんがえっちな事するんなら結局変わってないじゃないですかっ!』
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