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第5節 女子高生(おっさん)の日常と、いとも愛しい夏休み

156.女子高生(おっさん)、保健室の秘め事③

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「──ね、私の身体……どうかな……?」
「………き、綺麗すぎて………見れません………」

 静寂──カーテンに区切られた空間内には、もうお互いしか存在していなかった。心臓から響く音も、ふわりと鼻を抜ける汗と花の香りも、瞳に映るのも、瞳に入れたいのも──きっと二人だけ。ここはもう、二人だけのもの。

 水着を腰の辺りまで下ろした俺は必然、揺れる双丘の秘めた花園までを──初めて、自分以外の異性に、ありのままに晒して馬乗りになった。お互いにもう、逃げ道を無くすかのように。
 コクウ君は為されるがまま、俺にマウントをとられている……自然と裸を堪能できる位置どりになったのに彼は最後の抵抗心からか……はたまた、気恥ずかしさからか、紅くなった顔を隠すためか……すぐに目を逸らして壁の方を見つめていた。

 そんな彼の挙動に、女性である器の内部(からだ)が愛おしさに支配される。

 なにこれ、キュン死にそう……心臓が爆発する。
 大事な秘部を異性に見せるのがこんなにも気持ち良いだなんて……おっさんが言うとまるで露出狂の台詞みたいだけど、今は女の子で、晒したのはみんな大好きおっぱい──逮捕される理由は何処にもありはしない。

(このまま……保健室で……………………)

──待って……──

 ふと、誰かの声が聞こえた気がした。

(彼とえっちなことを…………………)

 そうだよ、ここまでしておいて……そんな気にさせておいて誘っておいてお預けなんて彼が可哀想だ。
 そう、もう俺は女なんだからなにもおかしくない……いや、おかしい。心は男なのに。

──お前は処女を重んじてたんじゃないのか? 結婚するまで婚前交渉は良くない──

──考え方が古いよ、えっちしてからお互いを知るなんて今じゃ当たり前でしょ──

 俺の頭の中に【女子高生】と【おっさん】が出て来て対立し始めた。普通、こういう時って天使と悪魔じゃない? まぁ女子高生は天使みたいなもんだし、おっさんは悪魔みたいなもんだけれども。

──そういったものを嫌悪してたのがお前じゃないのか?──

──それができるような人生になったんだからやって当然でしょ? なんのためのタイムリープなの?──

「…………んんんんぅっ!! はぁ……はぁ……」
「お、お嬢……? だ、大丈夫ですか……?」
「……………ごめん! 本当にごめん! やっぱりダメ!ここ保健室だし……付き合ってもいないのに、気持ちもはっきりしてないのにそこまでできない………」

 コクウ君は驚いた表情をして、こちらを向く。
 それはそうだろう──おっさんが彼の立場でもきっと残念がるだろうし怒るかもしれない。

 けど、やっぱり欲に流されて順序を飛ばすような真似は良くない。
 マナーもエチケットもソーシャルディスタンスも、守るものがなくなったおっさんだけど……それでも自分の中のルールだけは守るべきだ。
 保健室はえっちする場所じゃないし、交際もしてない相手とするなんて風紀の乱れは許せない。
 人にそう説くなら……まず自分が守る──それが、おっさんのルールだ!

「自分から誘っておいて……本当にごめんなさい……でもコクウ君の事が嫌なわけじゃない。それだけは本当で……でも、ごめんなさ──」

 誠心誠意、謝罪しようとすると、彼に抱き締められた。体もおち●ちんも何もかもが固いけど、その表情だけは柔らかくなっていた。

「いいんです、突然で驚きはしましたけど……それがお嬢だと俺はそう思います。勿論……お嬢が望んだのなら応えようとは思っていましたが……俺も、その……覚悟が決まっていなかったので…………こうしているだけでどうにかなってしまいそうなので……」
「あ……あはは、お詫びってことで……存分に柔らかいの堪能していーよ」
「……ふふ、それでこそお嬢です。尚更、好意を感じるようになりました」

 よかった、怒ってないみたいだ。
 しかし、裏腹に中々に腕を離そうとはしない。しばらくそうしていると……彼は悪戯顔をして──口を耳に近づけて囁(ささや)いた。

「……もしも次、こうなった場合は俺も覚悟決めてくるんで……お嬢も覚悟してくださいね」
「んぅっ……!!」
「……凄く可愛いですお嬢……俺は生涯、貴女に忠誠を誓います」

 ヤバい。せっかく性欲に打ち克ったのに……男に悪戯されるのも悪くないかもしれない。
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