上 下
112 / 268
第4節 巻き起こる様々な試練と それをいともたやすく乗り越える女子高生(おっさん)の日常

番外編.女子高生(おっさん)の父の見るテレビ〈※父視点〉

しおりを挟む

〈波澄家 リビング〉

 皆様、こんばんは。
 波澄家の大黒柱であり、二人の可愛い娘を持つ父こと【波澄(はずみ)柾(まさき)】であります。一体、私は誰に宛てて説明しているのであろうか……。

「ただいまー」

 今は日曜日の昼間、特に予定もなくリビングのソファーに腰かけて何の気なしにTVを見ていると午前中に何処かへ出掛けていた世界一美しく可愛い、娘のアシュナが帰ってきた。(もう一人の娘も同率一位)
 アシュナは女子高生にして、大手出版社専属の小説家としても既に社会に出ており、父親としては心配でありながらどこに出しても恥ずかしくない──どころか世界に知らしめたい自慢の娘として成長している。

 しかし、去年の暮れごろから何やらアシュナの様子がおかしい。
 それまでも容姿は完璧たる女性でありながら男と遊ぶことが多く、『男の子とゲームしたりする方が気楽だから』とまさかの年越しに部屋に男を招いたりしていたが……それはきっと同い年の女の子たちが大人になっていくのについていけない思春期特有の現象かと自分を無理矢理納得させていた。
 だが、タバコを吸おうとしていたり、競馬に手を出そうと持ちかけてきたり、家ではサバ缶やわさび漬けなどを好んで食すようになったり……と、もはや中年としか思えない趣味嗜好に度肝を抜かれっぱなしだ。

(男の影響かと思っていたが……母さんに調査してもらったところ不純異性交友の気配は無いらしい……どころか女の子に興奮する性癖が垣間見えると聞いた……果たしてアシュナの情緒はどこにあるのだろうか)

「あ、父さんただいま。母さんたちは?」
「二人で買い物に出かけたぞ」
「そっかー私もテレビ見ようかな」

 アシュナはそう言いながら、なにやら手に持つ買い物袋をあさりながらソファーに横になった。

「……なんだそれは?」
「え? しじみの佃煮と牛乳だけど。以外にこの合わせ方が癖になるんだよねー、父さんも食べる?」
「……いや、いい……」
「そう? ……ぷはぁー、五臓六腑に染み渡るぜげーっぷ」

 果たして、日曜の真っ昼間に父親と一緒にテレビを見ながらしじみの佃煮を食べてげっぷをする美少女は真っ当なのだろうか、と頭を抱える。

 話は変わるが、私にはささやかだが憧れていることがある。
 それは『娘とのチャンネル権の奪い合い』だ。
 野球中継や将棋チャンネルを見たい父親とドラマや歌番組が見たい娘との何気ない日常のやり取り…………今がまさに絶好のチャンスなのではないかと思い、リモコンを死守しながらチャンネルを変える。

 さすがに日曜の昼間とだけあって、各局とも若い女の子が観そうにないものばかりだ。しかし、うちは有料多チャンネルにも加入しているので誘発するように有料チャンネルにて韓流ドラマや音楽番組をつけては回してみる。
 すると想いが通じたのかアシュナはしじみを食べながら私に言った。

「ちょっと父さん、見てたんだから回さないでよ」
「あ、ああすまん。どの番組だ?」
「父さんが観てた旅番組だよ、あ~やっぱこの齢になるとバラエティーとかうるさくて見てらんないね、静かな旅番組が一番落ち着く~。あ、釣りとか競馬中継とかでもいいよ?」
「お前いくつだ!? そんな女子高生いるか!」


しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...