上 下
25 / 268
第1節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われる復讐

25.女子高生(おっさん)vsDQN④

しおりを挟む

「よぉ、お前か俺様の舎弟共に嘗めたクチ聞きやがったのは。マジでいい女じゃねえか……だが、女だからって容赦してやると思うなよ?」
「………」

 放課後、DQNのリーダーである【巽(たつみ)龍道(たつみち)】に体育倉庫に呼び出された。巽は前世と同じで、この時期にはほとんどサボりで今まで学校に来ていなかった。だから俺(アシュナ)とは初対面らしい。
 
「ハハッ、随分威勢がいいたぁ聞いてたが……どうやら俺様にビビっちまってるみてぇだぜ? 可愛い気があるじゃねぇか、なぁ? たっぷり虐めて楽しんでやろうぜ」

 王様気取りで跳び箱の上に脚を組んで座り、笑う巽のその様は猿山の大将にしか見えない。マサオをイジメの対象にしていた実行犯である取り巻きのDQN達(部下A.B.C)が返事として愛想笑いをする。
 実はこいつら部下達も巽が怖くてつき従っているだけだと俺は知っているが……だからと言ってそれがイジメをしていい理由にはならない。前世の分も含め、全員まとめて制裁してやろう。

 計画した作戦は単純明快だーー俺(アシュナ)をイジメている現場を録画して皆に晒す。ただそれだけ、この場は俺がDQN共を誘導して創ったものだ。つまり俺は囮。
 外ではマサオがカメラを回し、様子を収めている。更には事前に学年主任ガハラを時間差でここに呼び出している。
 
「さぁお前ら、まずはひん剥いてやれよ。俺様がカメラに収めといてやっからよ。まだ手ぇ出すんじゃねーぞ、一番は俺様だからな」

 いやらしい笑みを浮かべながら、巽は取り巻き共に指示を出す。予想よりもいい展開になってきたと内心でほくそ笑む、女子を襲うとなればより一層、罪は増す。

 唯一の懸念だったのはマサオの言った通り、権力により『揉み消される』事だった。巽の親が息子を庇い、校長ら教師勢が学校の体面と圧力により黙認してしまうことーー前世では恐らくそんな事が罷(まか)り通っていたのだろう。そう考えると腸が煮え繰り返る。

(マサオ君、前世の俺(アシュラ)、イジメで泣き寝入りしていた人達ーーその恨みは晴らしてやる)

 より真実味を増すため、俺はか弱く怯えた演技をする。瞳に涙を溜め、かすれた声を少し漏らして後退りした。

(実際にこんな奴らに触らせるのもサービスするのも嫌だが……少しくらい制服を破かせるくらいしないといけないな……大袈裟に動いて破かせるか)

 そんな事を考えていた瞬間ーーまったく予想外の事態が巻き起こった。

 巽の部下【AとBとC】が俺に伸ばした手を止め、反転し、巽に一斉に襲いかかったのだ。

「「ーーなっ!!?」」

 俺と巽は同時に驚きの声をあげる。
 取り巻きの部下共は三人がかりで巽を捕らえ、叫んだ。
 
「巽さんっすんませんっ!!! 俺達、イジメてる間にこの女にマジで惚れちまったんス!!! だからっ……テメーにこいつをやるわけにはいかねぇんだよぉっ!! 権力がなんぼのもんじゃーい!!!」

 またしても、知らぬ間にアシュナは男達を【魅了(チャーム)】してしまっていたようだ。て、いうか作戦が台無しなんですけど?! どうしよう!?

            〈次回 DQN編第一部決着〉

 

 
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...