死に戻る俺の経験値無双

めんどー

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第一章

今日の様子は死亡のち死亡

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 それは、目が覚めた時のような、ぼーっとしていたときから意識が戻ってくるような、そんな、何とも奇妙な感覚だった。

「え?え?」

混乱して棒立ちのニクロス、迫る大剣、その血飛沫が赤黒い扉を、一層濃くさせた。ニクロスは、そうしてその一生を終えた。

  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

「な、何が……!」

間一髪のところでボスの袈裟斬りをしゃがんで避ける。

「生きてる…のか?」

ボスの振り下ろしを避けながらそう呟く。

「とにかくコイツをどうにかしねぇと……な!」

ボスの振り下ろしをその剣で受け流す。

(よし!)

ボスの体勢が大きく崩れた。右足で踏ん張っているおかげか、転倒してはいないが、大きなチャンスと言えるだろう。

斬れるのであれば。

「浅ぇっ!」

ニクロスの斬撃はボスの足の筋肉を浅く斬り裂くのみで終わった。

「ゴァァァアアァ!」

大気を震わせる咆哮と威圧。それは、弱い餌ニクロスが、獲物に変わる瞬間だった。

咆哮ハウルか!よりによってこんな時に…)

ニクロスはボスを斬るために、近づいていた。当然、ボスの大剣の射程距離に収まっている。そうして、ボスの横薙ぎでその一生を終えた。

  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

「はぁ…はぁ…」

(またか!とりあえずボスを倒さねぇと!)

袈裟斬りを避け、ファイアーボールを放つ。有効打とは思わない。だが、積み重ねが大事だ。一歩一歩着実に、相手を追い詰めていく。最低限の体捌きで攻撃を躱し、次の攻撃までの無駄を無くす。

「!」

(アーチャーとメイジがリスポーンしやがった!)

咄嗟に土魔法で短剣の様な物を作り、ゴブリンメイジへと投擲する。

「ギャッギャッ!」

ゴブリンが醜悪な声で喚き立てる。それは悲鳴か。それとも怒りか。

(命中!だが…殺せてはいないな。もう一発…)

「って、うぉい!危ねえだろクソゴブ!」

ボスの振り下ろしを間一髪のところで避ける。

「でも賢いとはいえゴブリンか。振り下ろし、横薙ぎ、袈裟斬り。レパートリーはそんだけだ。もう当たらねぇよ!」

ボスの攻撃を凌ぎつつ、まずはゴブリンメイジにトドメを、そして、ついにゴブリンアーチャーにもトドメを刺した。

(これであとはボスだけだ!他のリスポーンが来る前にとっとと終わらせる!)

もう、そこからは作業。振り下ろしを避け、ファイアーボール、横薙ぎをしゃがんで避け、袈裟斬りを飛び退すさって躱し、ファイアーボール。振り下ろしを避け、ファイアーボール、横薙ぎをしゃがんで避け、袈裟斬りを飛び退すさって躱し、ファイアーボール。振り下ろしを避け、ファイアーボール、横薙ぎをしゃがんで避け、袈裟斬りを飛び退すさって躱し、ファイアーボール。振り下ろしを避け………

「そろそろ魔力がキツい!一旦休みてぇ!それに咆哮ハウルの時くらいまで削ったから備えねぇと…!」

(その構えは咆哮ハウルの時の!耳を塞いで全力で退却!)

壁際に着いた時、咆哮ハウルが来た。

「ゴァァァアアァ!」
「うっせぇんだよ!汚い声で鳴くなクズが!!お前も死ね!」

もう既に3度殺されているから当然だろうが、それはそれはとんでもない怨嗟の籠った声だった。

「ギッ…ギャギャァ!」
「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」

ニクロスの剣がボスへと迫る。そしてその足を……斬り落とした。

(……は?………え?)

咄嗟に自身を鑑定する。

◇鑑定結果◇
ニクロス・トゥーム
13歳 黒髪黒眼
最大体力値 C
最大魔力値 D
戦闘系スキル:
『剣術(6)』2up!
『短剣術(1)』
『斧術(1)』
『槍術(1)』
『投擲術(3)』
魔法系スキル:
『火魔法(3)』
『水魔法(2)』
『風魔法(2)』
『土魔法(4)』
『光魔法(1)』
『回復魔法(1)』
『アイテムボックス(2)』1up!
耐性系スキル:
『睡眠耐性(1)』
『疲労耐性(6)』1up!
『苦痛耐性(3)』new!
生産系スキル:
『家事(4)』
『農耕(2)』
『鍛治(1)』
思考系スキル:
『鑑定(6)』
『算術(4)』
『語学(2)』
『並列思考(5)』1up!
特殊系スキル:
『回帰』

(く、苦痛耐性が生えてる…それもいきなり…!)

「ゴバッ!ガッ、~~~!!!」

余所見をしたニクロスは投げられたボスの大剣で腹を貫かれ4度目の生を閉じた。

  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

「死んどけこのクソゴブ!単純なカス!クズ!ボ……………………

……まあ、色々あって、20階層の特殊個体のボスは死んだ。その死体は、意外なことに首を一太刀で死んでいたそうだ。
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