5A霊話

ポケっこ

文字の大きさ
上 下
21 / 25

事実

しおりを挟む
「レイは…………レイは霊だったんだね」


「―え?」

 突然の発言にレイは目を丸くする。
そして、一人一人と目を合わせていくが、誰もその言葉に驚いてはいなかった。
「な、何を言ってるの!?私は今ここに、この場にいるじゃない!!」
レイは声を荒げて反言した。
げんきは、他のみんなに話した事を、レイにも静かに語った。
「……俺のお母さんから聞いたんだ。お母さんの名前は、神奈《かんな》だ」
「神奈……!?あの、仲の良かった……?」
レイはその言葉に驚愕する。
げんきはレイの問いには答えず、話を進めた。
「お母さんが『小学校を卒業したすぐ後に、仲の良かった友達が病気で死んじゃった』って言ってたんだ」
「………その子の名前は?」
レイはそう訪ねた。
げんきは小声で静かに答えた。





「………影山 レイ」



 名前を呼ばれてもレイはまだ、事実を受け入れられないでいる様子だ。
「嘘……でしょ?私は今いるんじゃ……」
「信じられないかもしれないけど、卒業アルバムにものっていたし、俺のお母さんからも聞いたから間違いないよ」
声を和らげてげんきが言った。


 暫くの無音と沈黙が続く。やがて、レイは小さく苦笑いをした。
「―そっか…。そうだったんだね。私は死んじゃってたんだね。病気がちで友達と遊ぶ事も少なくて……もっと学校に行きたかったなぁ……」
最後の一声は今にも消え入りそうなくらいに弱々しかった。

 その後の沈黙を破るようにしゅうが提案した。
「そうだ!今からドッジボールしようぜ!」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

宵宮君は図書室にいる ~ 明輪高校百物語

古森真朝
ホラー
 とある地方都市にある公立高校。新入生の朝倉咲月は、迷い込んだ図書室で一年先輩の宵宮透哉と出会う。  二年生で通称眠り姫、ならぬ『眠り王子』だという彼は、のんびりした人柄を好かれてはいるものの、図書室の隅っこで寝てばかり。でもそんな宵宮の元には、先輩後輩問わず相談に来る人が多数。しかも中身は何故か、揃いも揃って咲月の苦手な怪談っぽいものばかりだった。  いつもマイペースな宵宮君は、どんな恐ろしげな相談でも、やっぱりのほほんと受け付けてはこう言う。『そんじゃ行ってみよっか。朝倉さん』『嫌ですってばぁ!!!』  万年居眠り常習犯と、そのお目付役。凸凹コンビによる学校の怪談調査録、はじまりはじまり。

怨念がおんねん〜祓い屋アベの記録〜

君影 ルナ
ホラー
・事例 壱 『自分』は真冬に似合わない服装で、見知らぬ集落に向かって歩いているらしい。 何故『自分』はあの集落に向かっている? 何故『自分』のことが分からない? 何故…… ・事例 弍 ?? ────────── ・ホラー編と解決編とに分かれております。 ・純粋にホラーを楽しみたい方は漢数字の話だけを、解決編も楽しみたい方は数字を気にせず読んでいただけたらと思います。 ・フィクションです。

鎌倉呪具師の回収録~使霊の箱~

平本りこ
ホラー
――恐ろしきは怨霊か、それとも。 土蔵珠子はある日突然、婚約者と勤め先、住んでいた家を同時に失った。 六年前、母に先立たれた珠子にとって、二度目の大きな裏切りだった。 けれど、悲嘆にくれてばかりもいられない。珠子には頼れる親戚もいないのだ。 住む場所だけはどうにかしなければと思うが、職も保証人もないので物件探しは難航し、なんとか借りることのできたのは、鎌倉にあるおんぼろアパートだ。 いわくつき物件のご多分に漏れず、入居初日の晩、稲光が差し込む窓越しに、珠子は恐ろしいものを見てしまう。 それは、古風な小袖を纏い焼けただれた女性の姿であった。 時を同じくして、呪具師一族の末裔である大江間諭が珠子の部屋の隣に越して来る。 呪具とは、鎌倉時代から続く大江間という一族が神秘の力を織り合わせて作り出した、超常現象を引き起こす道具のことである。 諭は日本中に散らばってしまった危険な呪具を回収するため、怨霊の気配が漂うおんぼろアパートにやってきたのだった。 ひょんなことから、霊を成仏させるために強力することになった珠子と諭。やがて、珠子には、残留思念を読む異能があることがわかる。けれどそれは生まれつきのものではなく、どうやら珠子は後天的に、生身の「呪具」になってしまったようなのだ。 さらに、諭が追っている呪具には珠子の母親の死と関連があることがわかってきて……。 ※毎日17:40更新 最終章は3月29日に4エピソード同時更新です

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

ill〜怪異特務課事件簿〜

錦木
ホラー
現実の常識が通用しない『怪異』絡みの事件を扱う「怪異特務課」。 ミステリアスで冷徹な捜査官・名護、真面目である事情により怪異と深くつながる体質となってしまった捜査官・戸草。 とある秘密を共有する二人は協力して怪奇事件の捜査を行う。

本当にあった怖い話

邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。 完結としますが、体験談が追加され次第更新します。 LINEオプチャにて、体験談募集中✨ あなたの体験談、投稿してみませんか? 投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。 【邪神白猫】で検索してみてね🐱 ↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください) https://youtube.com/@yuachanRio ※登場する施設名や人物名などは全て架空です。

終焉の教室

シロタカズキ
ホラー
30人の高校生が突如として閉じ込められた教室。 そこに響く無機質なアナウンス――「生き残りをかけたデスゲームを開始します」。 提示された“課題”をクリアしなければ、容赦なく“退場”となる。 最初の課題は「クラスメイトの中から裏切り者を見つけ出せ」。 しかし、誰もが疑心暗鬼に陥る中、タイムリミットが突如として加速。 そして、一人目の犠牲者が決まった――。 果たして、このデスゲームの真の目的は? 誰が裏切り者で、誰が生き残るのか? 友情と疑念、策略と裏切りが交錯する極限の心理戦が今、幕を開ける。

処理中です...