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理科室の七不思議 第一グループ
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次の日の夜
藤花小に暗闇が再び戻ってくる。
げんきは、きはちとほぼ同時に校庭に到着した。
その二人を追ってくるように、じゅり、りお、えいと、坂上も校庭に到着した。
「あとは……しゅうだけだね」
人数を確認していたじゅりが言う。
すると、しゅうは体育館の裏から一瞬顔を出した。
それを見逃さなかったげんきは、しゅうに大声で話しかけた。
「おーい!なんでそっちから来るんだよ!」
しゅうは気まずそうに、そのまま一直線にこっちに走ってきて、
「間違えて幼稚園側から行っちゃったんだよ!」と答えた。
やっと着くと、しゅうは息を切らして「もう疲れたよぉ……」と告げた。
「知らんし」というりおの声は、げんきの言葉に掻き消された。
「じゃあ早速だけど七不思議探索だな。今夜はこれだ」
げんきはページを開ける。
そこには『理科室の七不思議』と描かれていた。何故かそのページだけ、少し汚れているように見えた。
「理科室?」
「てなわけで!第一グループ、行くぞ!」
げんきはそう言い残し、一人理科室の方に向かって走って行った。
「は!?早く行きすぎなんだよ」
きはちは怒りの表情を浮かべ、げんきについていった。
「……アイツらいっつも早いんだよ」
「……うん」
二人軽い会話を交わすと、じゅりとりおも追いかけて行った。
理科室は深い霧が立ち込めていた。
げんきはその様子を見て、数秒立ち尽くす。
「どうしたげんき?進まないのか?」
「いや……霧が……」と、げんきが言葉を返すと、
きはちは、その場を動かないげんきを追い越した。
「ほらげんき、ここでの七不思議は?」
「……その骨の人が動くらしい」
げんきは本を閉じ、骸骨の模型を見つめた。
模型は何もない理科室の中で壁側に堂々と設置されている。
「ちょっと待ってよ……」
やっと到着したりおとじゅりが弱々しく言う。
「…………」
げんきは骸骨と見つめ合う。
きはちは模型と手を繋いでいた。
「なんできはちは手繋いでんの?」
じゅりが問う。その問いには誰も答えなかった。
「…………動かなさそうだな」
「もうー!七不思議なんだから!夢ないなぁ」
りおは唇を尖らせる。何もない方が安全なのだが。
「じゃあもう帰るよ」
りおがさっさと理科室を出ようとした、その時だった!!
「お、おい!待て!りお!きはちが……!?」
「きはち!?」
りおは振り向いて室内を眺めた。
「……」
「いやだあ!!!離れたくない!!!別れたくない!!!親とぉ!!!!」
きはちは模型にしがみついて大泣きしている。
りおはその茶番劇にケリをつけた。
「きはちの親は下水道に住んでるんでしょ?」
「あ、そうだった!」
きはちは思い出すと、模型と別れを告げて理科室を出た。
「おい俺を置いてくなって!!」
げんきも慌てて理科室を後にする。
じゅりは最終確認に模型と見つめ合う。
その時、ほんの少し手が動いたように見えた。
じゅりは「……気のせいだよね」と小さく笑って、その場を離れた。
藤花小に暗闇が再び戻ってくる。
げんきは、きはちとほぼ同時に校庭に到着した。
その二人を追ってくるように、じゅり、りお、えいと、坂上も校庭に到着した。
「あとは……しゅうだけだね」
人数を確認していたじゅりが言う。
すると、しゅうは体育館の裏から一瞬顔を出した。
それを見逃さなかったげんきは、しゅうに大声で話しかけた。
「おーい!なんでそっちから来るんだよ!」
しゅうは気まずそうに、そのまま一直線にこっちに走ってきて、
「間違えて幼稚園側から行っちゃったんだよ!」と答えた。
やっと着くと、しゅうは息を切らして「もう疲れたよぉ……」と告げた。
「知らんし」というりおの声は、げんきの言葉に掻き消された。
「じゃあ早速だけど七不思議探索だな。今夜はこれだ」
げんきはページを開ける。
そこには『理科室の七不思議』と描かれていた。何故かそのページだけ、少し汚れているように見えた。
「理科室?」
「てなわけで!第一グループ、行くぞ!」
げんきはそう言い残し、一人理科室の方に向かって走って行った。
「は!?早く行きすぎなんだよ」
きはちは怒りの表情を浮かべ、げんきについていった。
「……アイツらいっつも早いんだよ」
「……うん」
二人軽い会話を交わすと、じゅりとりおも追いかけて行った。
理科室は深い霧が立ち込めていた。
げんきはその様子を見て、数秒立ち尽くす。
「どうしたげんき?進まないのか?」
「いや……霧が……」と、げんきが言葉を返すと、
きはちは、その場を動かないげんきを追い越した。
「ほらげんき、ここでの七不思議は?」
「……その骨の人が動くらしい」
げんきは本を閉じ、骸骨の模型を見つめた。
模型は何もない理科室の中で壁側に堂々と設置されている。
「ちょっと待ってよ……」
やっと到着したりおとじゅりが弱々しく言う。
「…………」
げんきは骸骨と見つめ合う。
きはちは模型と手を繋いでいた。
「なんできはちは手繋いでんの?」
じゅりが問う。その問いには誰も答えなかった。
「…………動かなさそうだな」
「もうー!七不思議なんだから!夢ないなぁ」
りおは唇を尖らせる。何もない方が安全なのだが。
「じゃあもう帰るよ」
りおがさっさと理科室を出ようとした、その時だった!!
「お、おい!待て!りお!きはちが……!?」
「きはち!?」
りおは振り向いて室内を眺めた。
「……」
「いやだあ!!!離れたくない!!!別れたくない!!!親とぉ!!!!」
きはちは模型にしがみついて大泣きしている。
りおはその茶番劇にケリをつけた。
「きはちの親は下水道に住んでるんでしょ?」
「あ、そうだった!」
きはちは思い出すと、模型と別れを告げて理科室を出た。
「おい俺を置いてくなって!!」
げんきも慌てて理科室を後にする。
じゅりは最終確認に模型と見つめ合う。
その時、ほんの少し手が動いたように見えた。
じゅりは「……気のせいだよね」と小さく笑って、その場を離れた。
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