5A霊話

ポケっこ

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体育館の七不思議 第二グループ

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「ふおおおおおおおお!!!!!」
体育館に着くと、えいとは奇声をあげて床を走り回った。
坂上はそれを見て、「ヤバい、しぬwww」と咳の混じった笑い声を発していた。
体育館に着いたしゅうはその狂った状況を目の前に、一つ大きなため息を吐く。
「で?ボールをつく音は……」
「なさそうだけど……」
「いてっ!」
えいとは誰かにぶつかって床に倒れ込んだ。
「えーっと大丈夫ですか……ってっ!?」
えいとは謝ろうとしたが、すぐに言葉を止めた。
「えっ!?嘘!?!」
「……!?」
三人は目を疑う。
それもそのはず、その人の正体に誰もが驚愕した。

えいとがぶつかったのは、5Aの担任―中林先生だった。

 暫く沈黙が流れる。
そしてようやく先生が口を開いた。
「えっ!?えいと!?なんでいるの!?」
「なんでいるのって言い方」
「今、夜の11時ですよ!?毎日の宿題に、9時までに寝るっていうのが一年の頃からあったはずです!!坂上さんもしゅうさんもいるけど!!普通だったらありえませんからね!?」



「いやこれには訳があって……七不思議を確かめに来たんです」
「七不思議?」
普段耳にしない言葉を聞き、先生は少し動揺する。
「知りませんか?」
「聞いた事はあります。内容までは知りませんけど……それで11時に体育館にいるわけですか?」
「はい」
「でも、もう遅いから早く帰りなさい」
ここで反論すると長くなりそうだと感じたえいとは、素直に返事をする事にした。
「はい!今すぐ帰ります!!」
普段からとんだことばっかりしているからだろうかと先生が考え込んでいると、そこにはもう三人の姿がなくなっていた。
大人しく帰ったと解釈し、先生は隠し持っていたボールをつき始めた。

「げんきー!!」
不意に名前をよばれ、げんきは振り向いた。
「どうだった?」
坂上はどう返そうか迷う。そして少し考えると、「何もなかった」と笑いながら答えた。
げんきは、えいととしゅうが来たのを確かめると本を取り出し、声を出した。
「じゃあ次の七不思議は……」
 その時、きはちの体操服が鮮やかに映し出されていくのが分かった。
「満月だ―」
空を見つめてしゅうが呟いた。
そのまま暫くその満月を見ていた。
どれくらい時間が経ったのか……我に返り、きはちに目をやると、なんとうたた寝をしていた。きはちを起こして、続きの七不思議探索は明日する事にした。

「じゃあ一旦帰ろう。また明日の夜な!」
げんきはそう言って、狭い通路の帰り道を急いだ。
げんきのその靴の跡を辿るように、他のメンバーも家に戻った。
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