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十七話 ホワイトホール
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ないよー君の微かな独り言を逃さず、俺は前を向いた。
白い煙がかかっているポータル。まるでそれは、あのブラックホールの対照のようで―。
「みんな!行きがブラックホールだったから、これはきっと帰るためのポータルだ!!急いで中に入って!!!!」
勉が叫んだ。
「待て!!ポータルには入らせないぞ!!」
後ろからの監視員の声はとても近くで聞こえた。
俺達は最後の力を振り絞り、ホワイトホールに向かって疾走した。
体がポータルをすり抜けるような感覚になる。見ると、少し離れたところでアップルがパソコンを持って立ちはだかっていた。
アップルから見えている視点では、恐らくブラックホールから俺達が出てきたという感じだろう。
俺達三人は声を合わせてアップルに伝えた。
「今だ!!!」
アップルはキーボードを押し、ブラックホールを消した。
俺はポータルから完全に上がった。振り返るとそこにあったポータルは綺麗さっぱり消失していた。
監視員もこっちに来ようとしていたんだろうけど、アップルがポータルを消したおかげで金黒に収まったようだ。
そうだ、お礼を言わなければ。
「あ、ありがとう!」
「ありがとう……」
「ありがとう!!」
バラける三つの「ありがとう」。
アップルは少し顔を赤く染めていた。
「……やりたくてやったわけじゃないから」
相変わらず素直じゃないなぁとため息を吐いていると、ないよー君と勉は床に倒れてしまった。
「あぁーーー!!暑い!!足も疲れた!!本当、あんなに走ったのいつぶりだ!?」
続いて俺も倒れ込んだ。床のひんやりする冷たさが丁度良かった。
アップルがポケットからハンカチを取り出したのが見えた。俺は咄嗟にハンカチを奪い取り、額に流れる汗を拭いた。
ブラックホールが消えたことにより、神隠しの被害者の増加は防いだ。俺はガッツポーズをした。
藍田は助けられなかったけど、これでもう大丈夫―。
俺たちはそれぞれの教室に戻った。
白い煙がかかっているポータル。まるでそれは、あのブラックホールの対照のようで―。
「みんな!行きがブラックホールだったから、これはきっと帰るためのポータルだ!!急いで中に入って!!!!」
勉が叫んだ。
「待て!!ポータルには入らせないぞ!!」
後ろからの監視員の声はとても近くで聞こえた。
俺達は最後の力を振り絞り、ホワイトホールに向かって疾走した。
体がポータルをすり抜けるような感覚になる。見ると、少し離れたところでアップルがパソコンを持って立ちはだかっていた。
アップルから見えている視点では、恐らくブラックホールから俺達が出てきたという感じだろう。
俺達三人は声を合わせてアップルに伝えた。
「今だ!!!」
アップルはキーボードを押し、ブラックホールを消した。
俺はポータルから完全に上がった。振り返るとそこにあったポータルは綺麗さっぱり消失していた。
監視員もこっちに来ようとしていたんだろうけど、アップルがポータルを消したおかげで金黒に収まったようだ。
そうだ、お礼を言わなければ。
「あ、ありがとう!」
「ありがとう……」
「ありがとう!!」
バラける三つの「ありがとう」。
アップルは少し顔を赤く染めていた。
「……やりたくてやったわけじゃないから」
相変わらず素直じゃないなぁとため息を吐いていると、ないよー君と勉は床に倒れてしまった。
「あぁーーー!!暑い!!足も疲れた!!本当、あんなに走ったのいつぶりだ!?」
続いて俺も倒れ込んだ。床のひんやりする冷たさが丁度良かった。
アップルがポケットからハンカチを取り出したのが見えた。俺は咄嗟にハンカチを奪い取り、額に流れる汗を拭いた。
ブラックホールが消えたことにより、神隠しの被害者の増加は防いだ。俺はガッツポーズをした。
藍田は助けられなかったけど、これでもう大丈夫―。
俺たちはそれぞれの教室に戻った。
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