15 / 20
十三話 牢屋にて
しおりを挟む
「んあぁー……」
意識を取り戻し、視界に刑務所のような場所が広がった。俺の隣にはまだ倒れているないよー君もいた。
あたりを見渡し、今の状況が分かった。
俺とないよー君は、学園を抜け出そうとしたことにより牢屋に連れて行かれたようだ。
ここ学校だぞ!?そんな所あるのか!?場所的には刑務所だが……地下の施設とかなのか?
ないよー君も起きて状況を把握した様子だった。
「刑務所みたいだけど……学校にこんな所あるとは思えないから、ルール違反した生徒を捕まえる施設なんじゃないかな?これが一生の罰?」
よく見ると、別の牢屋にも生徒が捕えられていた。牢屋は沢山あった。ないよー君の考察は合っていそうだった。
一生の罰―っていうことは、この牢屋で一生を過ごすのか!?
「そうみたいだ」
左からどこか聞き覚えのある声が聞こえた。
俺とないよー君はゆっくり声のした方向に視線をずらす。
―声の主は勉だった。
「「勉!!!」」
俺達の声が綺麗に重なった。勉の姿を目にするのは久しぶりのように感じた。
「神隠しは実在していたよ。オイラはブラックホールみたいなポータルに吸い込まれてこっちに来たんだ」
勉もブラックホールに吸い込まれて来たらしい。そうだ、勉は前に神隠しのことを調べていたから色々知っているかもしれない。
「この学園を探索していたら、途中で悠馬と藍田と佐々木に会ったんだ。三人も神隠しに遭っていたみたい」
あの佐々木もここに。やっぱり、俺達は神隠しに遭遇してしまったのだ。
佐々木のことは夏休み中誰も目にしたことがないという噂が流れていた。実家に帰っていたと思われていたが、こっちに来ていたか。
「……他に何かあれば教えてほしい。僕ら来たばかりなんだ」
ないよー君が勉に伝えた。勉は四つほど間を置いた後、「分かった」と返し、ここについての話を始めた。
「ここへの行き方は、あのブラックホールの中に入ること一つ。体育館にあるロゴが「白」から「黒」に変わっている為、この学園は『金黒学園』と呼ばれている。金白学園の裏の世界なんて説もある」
ないよー君の言った通り、ロゴは名前に関係があったようだ。改めて、ないよー君は本当に賢いなぁと思う。
「……調べたり考えたりして分かったことはここまで。まずは牢屋から脱出しないといけない」
勉から有力な情報を得た俺達は、勉と共に牢屋の脱出方法を考えることにした。
牢屋の細い鉄の柱の隙間は、とても俺達が通り抜けられそうな幅ではなかった。
鍵は掛けられていて、鍵の代わりになりそうなものもなかった。
しかも牢屋の前には監視員が座っていて、抜け出せたとしても見つかるに違いない。
「な、ないよー君。こっから出られそうにないけど……監視員もいるし」
ないよー君は監視員を見つめている。
すると、監視員のポケットに何か光るものがあった。
―鍵だ!!
「あの鍵、何かの拍子に落ちたりしないかなぁ……」
ないよー君がポツリと呟いた。
そうなってくれると良いんだが、監視員がそんなミスするか?
でも―なんとかしないと、俺達は死ぬまでこのままなんだ。金白学園でも心配の声が上がっているだろう。そして神隠しの被害も広がって……
その時、俺の目に藍田が映った。藍田は牢屋の鍵を開けてもらって、外の世界へ歩き出していた。
「ないよー君!!勉!!藍田が出してもらってるよ!!」
俺はそう叫んだ。が、二人とも驚いてはいなかった。
「……ダメなんだよ」
「え?」
ないよー君がボソッと何か喋ったけれど聞こえなかった。
「……藍田は洗脳されているんだ」
「ええっ!?」
思わず大声を出してしまい、慌てて口を手で覆った。
洗脳!?そんな!洗脳されないと出れないのか!?
「洗脳されると金黒学園の生徒となって、また新しい洗脳者が現れるのを待っている。何日も牢屋にいると自然と金黒側になっている、というのを見たことがある」
(嘘だろ……!?)
俺は絶望感に襲われた。ないよー君も黙っていた。
よく考えれば、俺達はただ学校に通っていただけだったのだ。それなのに神隠しなんて現象に遭遇して、こんな裏世界に―。
勉が不安そうにこっちを見ていた。何かマズいことを言ってしまったのだろうかと心配になっているに違いない。何か話さなければ。
「つ、勉。脱出方法を考えないと」
「!!そ、そうだね。何かないかな……」
俺、ないよー君、勉は、この牢屋から、施設からの脱出プランを練るのだった。
意識を取り戻し、視界に刑務所のような場所が広がった。俺の隣にはまだ倒れているないよー君もいた。
あたりを見渡し、今の状況が分かった。
俺とないよー君は、学園を抜け出そうとしたことにより牢屋に連れて行かれたようだ。
ここ学校だぞ!?そんな所あるのか!?場所的には刑務所だが……地下の施設とかなのか?
ないよー君も起きて状況を把握した様子だった。
「刑務所みたいだけど……学校にこんな所あるとは思えないから、ルール違反した生徒を捕まえる施設なんじゃないかな?これが一生の罰?」
よく見ると、別の牢屋にも生徒が捕えられていた。牢屋は沢山あった。ないよー君の考察は合っていそうだった。
一生の罰―っていうことは、この牢屋で一生を過ごすのか!?
「そうみたいだ」
左からどこか聞き覚えのある声が聞こえた。
俺とないよー君はゆっくり声のした方向に視線をずらす。
―声の主は勉だった。
「「勉!!!」」
俺達の声が綺麗に重なった。勉の姿を目にするのは久しぶりのように感じた。
「神隠しは実在していたよ。オイラはブラックホールみたいなポータルに吸い込まれてこっちに来たんだ」
勉もブラックホールに吸い込まれて来たらしい。そうだ、勉は前に神隠しのことを調べていたから色々知っているかもしれない。
「この学園を探索していたら、途中で悠馬と藍田と佐々木に会ったんだ。三人も神隠しに遭っていたみたい」
あの佐々木もここに。やっぱり、俺達は神隠しに遭遇してしまったのだ。
佐々木のことは夏休み中誰も目にしたことがないという噂が流れていた。実家に帰っていたと思われていたが、こっちに来ていたか。
「……他に何かあれば教えてほしい。僕ら来たばかりなんだ」
ないよー君が勉に伝えた。勉は四つほど間を置いた後、「分かった」と返し、ここについての話を始めた。
「ここへの行き方は、あのブラックホールの中に入ること一つ。体育館にあるロゴが「白」から「黒」に変わっている為、この学園は『金黒学園』と呼ばれている。金白学園の裏の世界なんて説もある」
ないよー君の言った通り、ロゴは名前に関係があったようだ。改めて、ないよー君は本当に賢いなぁと思う。
「……調べたり考えたりして分かったことはここまで。まずは牢屋から脱出しないといけない」
勉から有力な情報を得た俺達は、勉と共に牢屋の脱出方法を考えることにした。
牢屋の細い鉄の柱の隙間は、とても俺達が通り抜けられそうな幅ではなかった。
鍵は掛けられていて、鍵の代わりになりそうなものもなかった。
しかも牢屋の前には監視員が座っていて、抜け出せたとしても見つかるに違いない。
「な、ないよー君。こっから出られそうにないけど……監視員もいるし」
ないよー君は監視員を見つめている。
すると、監視員のポケットに何か光るものがあった。
―鍵だ!!
「あの鍵、何かの拍子に落ちたりしないかなぁ……」
ないよー君がポツリと呟いた。
そうなってくれると良いんだが、監視員がそんなミスするか?
でも―なんとかしないと、俺達は死ぬまでこのままなんだ。金白学園でも心配の声が上がっているだろう。そして神隠しの被害も広がって……
その時、俺の目に藍田が映った。藍田は牢屋の鍵を開けてもらって、外の世界へ歩き出していた。
「ないよー君!!勉!!藍田が出してもらってるよ!!」
俺はそう叫んだ。が、二人とも驚いてはいなかった。
「……ダメなんだよ」
「え?」
ないよー君がボソッと何か喋ったけれど聞こえなかった。
「……藍田は洗脳されているんだ」
「ええっ!?」
思わず大声を出してしまい、慌てて口を手で覆った。
洗脳!?そんな!洗脳されないと出れないのか!?
「洗脳されると金黒学園の生徒となって、また新しい洗脳者が現れるのを待っている。何日も牢屋にいると自然と金黒側になっている、というのを見たことがある」
(嘘だろ……!?)
俺は絶望感に襲われた。ないよー君も黙っていた。
よく考えれば、俺達はただ学校に通っていただけだったのだ。それなのに神隠しなんて現象に遭遇して、こんな裏世界に―。
勉が不安そうにこっちを見ていた。何かマズいことを言ってしまったのだろうかと心配になっているに違いない。何か話さなければ。
「つ、勉。脱出方法を考えないと」
「!!そ、そうだね。何かないかな……」
俺、ないよー君、勉は、この牢屋から、施設からの脱出プランを練るのだった。
20
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる