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十一話 授業
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体育館でロゴを見た時、もう少し分かっていた。
「学校のロゴは学校名の漢字の一部を取り入れているよね」
というないよー君の言葉。
ロゴが違うということは、学校名も違うんだ。
真実を知り、俺達は暫く固まる。
「金白学園じゃないなら、俺のクラスはどうなってるんだ?ここ一応学校だろ?」
「確かに。じゃあ、4年A組の教室行ってみよう」
俺達は階段を上がり、4Aの教室に飛び込んだ。
階段で走ったせいで体力を使い、足が疲れてしまった。
教室は授業中だった。
「ポケっこさん、ないよーさん、何分遅刻したと思ってるんですか?一限目も来ませんでしたね?」
担任は古里先生のようだ。俺達の名前も知っている。こっちでも授業というものはあるみたいだ。
1限目は確か、図書室を探索してたっけ。金白学園とこっちは授業の時間は同じか?
「ちょっとこっち来なさい」
そう言われ、俺とないよー君は廊下に呼び出された。
「貴方達このようなことは固く禁止されているんです!!授業は9時40分からなんです!!今は10時!!20分も遅刻しているんですよ!!」
そんなこと、言われなくても分かってる。学園を探検くらいしたくらい良いじゃないか。
「もう……次はありませんからね」
先生はそう残し、教室の中に戻っていった。
怒られて俯きながら、俺とないよー君は自分の席に座った。
「はい、というわけで、途中から行きます。この学園の決まり、分かる人いますかー?」
誰も手を挙げなかった。俺とないよー君は遅れて来たし、こっちには今日来たから何も知らない。知っているのは金白学園ではない、何処かの学園ということだけだ。
「誰も分からないんですか?今まで何を勉強してきたのかな?」
古里先生はこんな煽るような言い方はしない。
「分からないなら仕方ないですね。ポケっこさんとないよーさんもさっき来ましたしね。じゃあもう一回教えてあげましょう」
(学習内容はこっちの学園の常識なのか?やっぱり、授業内容も違う……)
「まず一つ目。校長先生の言うことには必ず従う。校長先生はこの学園のルールを決める最高権力者です。必ず従い、敬いましょう。二つ目。授業には必ず参加する。当たり前ですね。たとえ体調不良でも勉強しましょう。三つ目、給食は必ず食べる。この学園で給食を残すことは絶対に許されません。昼休みが始まるチャイムが鳴っても、完食するまで自由は与えません。四つ目、制服以外は着用禁止。汚すことも固く禁じられています。おや、ポケっこさんとないよーさんはその服……制服の上から着ているんでしょうか?なら大丈夫です。五つ目―」
俺は絶句していた。この学園は狂っているのか!?校長先生のはまぁ分かるけど体調不良でも授業参加って!!早くここから脱出しなきゃいけないな……。
その瞬間俺は金白学園に感謝した。今じゃ、こことは比べ物にならない易しさだと感じられた。
ふとないよー君を横目で見た。ないよー君も俺を横目で見ていた。そして俺達は、気持ちが通じ合ったかのように同時に頷いた。
「先生!」
俺の隣にいた子が手を挙げた。
「その決まりってどうにかならないんですか?」
古里先生は笑って答えた。
「馬鹿ですね、どうにもならないですよ。変えたければ校長先生に頼むしかないです。ちなみにこれらのルールを一つでも破ると、一生の罰が与えられますので気をつけるように。あ、もうこんな時間?では二十分の休みをとりましょう」
そうして俺達はニ限目を終えた。
「ないよー君、ちょっとこっち来て」
授業後、俺は真っ先にないよー君の元に走った。
「何?」
俺はないよー君を廊下に呼び出した。
「この学園狂ってるんじゃないか!?体調不良でも保健室に行けないってヤバいだろ!!」
俺は小声で話した。先生の耳にでも入ってしまったらとんでもない。
「うん。早くここを抜け出さないと……」
そして俺とないよー君は、休み時間の間に学園脱出計画を立てるのだった。
「学校のロゴは学校名の漢字の一部を取り入れているよね」
というないよー君の言葉。
ロゴが違うということは、学校名も違うんだ。
真実を知り、俺達は暫く固まる。
「金白学園じゃないなら、俺のクラスはどうなってるんだ?ここ一応学校だろ?」
「確かに。じゃあ、4年A組の教室行ってみよう」
俺達は階段を上がり、4Aの教室に飛び込んだ。
階段で走ったせいで体力を使い、足が疲れてしまった。
教室は授業中だった。
「ポケっこさん、ないよーさん、何分遅刻したと思ってるんですか?一限目も来ませんでしたね?」
担任は古里先生のようだ。俺達の名前も知っている。こっちでも授業というものはあるみたいだ。
1限目は確か、図書室を探索してたっけ。金白学園とこっちは授業の時間は同じか?
「ちょっとこっち来なさい」
そう言われ、俺とないよー君は廊下に呼び出された。
「貴方達このようなことは固く禁止されているんです!!授業は9時40分からなんです!!今は10時!!20分も遅刻しているんですよ!!」
そんなこと、言われなくても分かってる。学園を探検くらいしたくらい良いじゃないか。
「もう……次はありませんからね」
先生はそう残し、教室の中に戻っていった。
怒られて俯きながら、俺とないよー君は自分の席に座った。
「はい、というわけで、途中から行きます。この学園の決まり、分かる人いますかー?」
誰も手を挙げなかった。俺とないよー君は遅れて来たし、こっちには今日来たから何も知らない。知っているのは金白学園ではない、何処かの学園ということだけだ。
「誰も分からないんですか?今まで何を勉強してきたのかな?」
古里先生はこんな煽るような言い方はしない。
「分からないなら仕方ないですね。ポケっこさんとないよーさんもさっき来ましたしね。じゃあもう一回教えてあげましょう」
(学習内容はこっちの学園の常識なのか?やっぱり、授業内容も違う……)
「まず一つ目。校長先生の言うことには必ず従う。校長先生はこの学園のルールを決める最高権力者です。必ず従い、敬いましょう。二つ目。授業には必ず参加する。当たり前ですね。たとえ体調不良でも勉強しましょう。三つ目、給食は必ず食べる。この学園で給食を残すことは絶対に許されません。昼休みが始まるチャイムが鳴っても、完食するまで自由は与えません。四つ目、制服以外は着用禁止。汚すことも固く禁じられています。おや、ポケっこさんとないよーさんはその服……制服の上から着ているんでしょうか?なら大丈夫です。五つ目―」
俺は絶句していた。この学園は狂っているのか!?校長先生のはまぁ分かるけど体調不良でも授業参加って!!早くここから脱出しなきゃいけないな……。
その瞬間俺は金白学園に感謝した。今じゃ、こことは比べ物にならない易しさだと感じられた。
ふとないよー君を横目で見た。ないよー君も俺を横目で見ていた。そして俺達は、気持ちが通じ合ったかのように同時に頷いた。
「先生!」
俺の隣にいた子が手を挙げた。
「その決まりってどうにかならないんですか?」
古里先生は笑って答えた。
「馬鹿ですね、どうにもならないですよ。変えたければ校長先生に頼むしかないです。ちなみにこれらのルールを一つでも破ると、一生の罰が与えられますので気をつけるように。あ、もうこんな時間?では二十分の休みをとりましょう」
そうして俺達はニ限目を終えた。
「ないよー君、ちょっとこっち来て」
授業後、俺は真っ先にないよー君の元に走った。
「何?」
俺はないよー君を廊下に呼び出した。
「この学園狂ってるんじゃないか!?体調不良でも保健室に行けないってヤバいだろ!!」
俺は小声で話した。先生の耳にでも入ってしまったらとんでもない。
「うん。早くここを抜け出さないと……」
そして俺とないよー君は、休み時間の間に学園脱出計画を立てるのだった。
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