生徒がどんどん消えていくんですが

ポケっこ

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授業中に体調不良を訴える子が出て、ソイツの報告をオレに任されてしまった。
職員室に電話をかける。先生に教えてもらった電話の仕方通り会話を進めていく。
「職員室ですかー?」
『は、はい』
次にクラス、名前を言う。
「こちら5年A組、アップルですー」
『え?アップル?』
次に用件を伝える。
「体調が悪い子がいて……」
『アップル!僕だよ!ないよーだよ!!』
次に詳細を伝える。
「熱はないって言ってるんですけど……」
『アップルってばー!!!』
最後に本人の意思を伝える。
「本人が早退したいって言ってるんですー」
次の瞬間。
『アップルーーーー!!!!!!』
なんだようるせえな!!電話なんだから聞こえ……
ん?この声は聞き覚えがあるな……ないよーか?
「ん、その声はないよーか?」
『そうだよ!ポケっこもいるよ!!』
「なんで職員室にいるんだ」
それからないよーは自分達の事情だけ長々と話し、オレに手伝ってほしいと言うのだ。
内容が全く入ってこなかったオレは、「ふ~ん…。じゃあさっきの早退したい子のこと、近くにいる先生に伝えといてくれ。じゃ」と返して電話を切ろうとした。
しかしないよーに引き留められ、職員室で集合しようと提案してきた。
丁度チャイムが鳴って休み時間に入ったから、いいかと思い許可した。オレは早速職員室に向かった。


10分後。
休み時間もそろそろ終わるというのに、ないよーとポケっこが全然姿を現さない。
オレは激怒して、電話で文句をぶつけてやった。
『ないよー君です』
「おい!いつまで経っても来ねぇじゃねーか!!」
しかし。
『は?僕達はもう職員室にいるし。そういうアップルこそ来ないのは?』
返ってきた生意気な態度にオレは顔を赤くした。
「ふざけんな!!オレはもういるんだよ!!」
『いないよ。ここには誰もいないよ!!』
オレは全てを諦めた。
「あぁもういいよ。2限目も始まるし。オレも調べるから、お前らもなんか調べとけ!!」
そう怒鳴って、勢いよく電話を切った。
そしてオレは、苛立ちが収まらないまま2限目を迎えたのだった。
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