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五話 『神隠し』と現実
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翌日の休み時間。
自分の机で大人しく絵を描いていると、ないよー君が寄ってきた。
自由帳を引き出しにしまうと、ないよー君は口を開いた。
「今日悠馬休みなんだって」
「へえ。珍しいな」
今まで毎日登校していた悠馬。いつも元気そうだったのに。
「親からの体調不良の電話もなくて、詳しいことは分からないんだ」
するとクラス一の秀才、田中 勉がやって来た。
「オイラ、最近面白いこと調べたんだ!」
俺とないよー君の視線は勉に集まり、「何?」とないよー君が聞く。
「この学校、『神隠し』っていう現象が起きるらしいんだよ!神隠しってのは、人が何の前触れもなく行方不明になることを神の仕業だと捉えた概念さ」
「神隠し……」
初めて聞いた言葉だ。
人が行方不明に―
何の前触れもなく―
……悠馬が急に休みになったのって……
「……………なんて、現象でしょ?そんなアニメみたいなこと本当にある?」
気づけばないよー君が反論していた。勉は少し焦った反応を見せている。
「いや、ほ、本当なんだって!この学校では違っても、神隠しは実在するんだ!信じてくれよ!!」
必死に叫ぶ勉を、ないよー君は呆れたような目で見ていた。勉が可哀想になってきた。俺は半信半疑といったところだが、やはり嘘のような話である。
俺も何か話そうとした時、丁度チャイムが鳴り勉やないよー君は自分の席に着いてしまった。
授業が始まっても、神隠しの話が頭の片隅にあった。
翌日の朝。
悠馬は来る気配もなく、それどころか藍田 菊まで欠席の話が聞こえてきた。
もしかして勉の話は本当なのか……?
そんな筈ない。これは偶然だ。神隠しなんて現象、あったらとんでもない。
まだ信じがたいが、欠席者が一人増えたことで可能性も大きくなっている。
一応警戒はしておこう。
自分の机で大人しく絵を描いていると、ないよー君が寄ってきた。
自由帳を引き出しにしまうと、ないよー君は口を開いた。
「今日悠馬休みなんだって」
「へえ。珍しいな」
今まで毎日登校していた悠馬。いつも元気そうだったのに。
「親からの体調不良の電話もなくて、詳しいことは分からないんだ」
するとクラス一の秀才、田中 勉がやって来た。
「オイラ、最近面白いこと調べたんだ!」
俺とないよー君の視線は勉に集まり、「何?」とないよー君が聞く。
「この学校、『神隠し』っていう現象が起きるらしいんだよ!神隠しってのは、人が何の前触れもなく行方不明になることを神の仕業だと捉えた概念さ」
「神隠し……」
初めて聞いた言葉だ。
人が行方不明に―
何の前触れもなく―
……悠馬が急に休みになったのって……
「……………なんて、現象でしょ?そんなアニメみたいなこと本当にある?」
気づけばないよー君が反論していた。勉は少し焦った反応を見せている。
「いや、ほ、本当なんだって!この学校では違っても、神隠しは実在するんだ!信じてくれよ!!」
必死に叫ぶ勉を、ないよー君は呆れたような目で見ていた。勉が可哀想になってきた。俺は半信半疑といったところだが、やはり嘘のような話である。
俺も何か話そうとした時、丁度チャイムが鳴り勉やないよー君は自分の席に着いてしまった。
授業が始まっても、神隠しの話が頭の片隅にあった。
翌日の朝。
悠馬は来る気配もなく、それどころか藍田 菊まで欠席の話が聞こえてきた。
もしかして勉の話は本当なのか……?
そんな筈ない。これは偶然だ。神隠しなんて現象、あったらとんでもない。
まだ信じがたいが、欠席者が一人増えたことで可能性も大きくなっている。
一応警戒はしておこう。
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