22 / 37
第二部 妖精姫の政略結婚
姉姫の閨教育と初夜
しおりを挟むアンナリーナ姫は、妹姫に大切なことを伝えるために、言葉を選びながら話し始める。
姉姫の閨教育の指導権を持っているシーグルドは、アンナリーナの状態をよく見ながら兄弟たちに的確な指示し、彼女を更なる高みへと導いて行った。
それによって、アンナリーナは心と身体を開かれ、すべてを解放し、閨教育は最終段階を迎えたのだった。
「想像してみて。信頼する従者に背後から抱きしめられ愛撫されながら、他の犬妖精のモノを次々と受け入れる様を……。兄弟とはいえ、それぞれ形も大きさも違っていたの。
ユーリアも知っての通り犬妖精族の王子たちは皆、逞しくて持ちモノはたいそう立派。注がれる子種は熱く射精は長い――。
そうしてわたくしは、複数の男たちを受け入れることを学んだのだわ」
壮絶な閨の学びを、姉姫は淡々と静かに語った。
「お姉さま……。嫌じゃなかったのですか?」
呆然としながら、ユーリアは質問した。
「シーグルドが必要だと言うのなら、その通りだろうと思ったの。彼はわたくしよりも、色んなことを理解しているから」
姉姫とシーグルドは視線を交し、微笑んだ。
「そして、ついにわたくしの第一夫、ヴェランデル侯爵との初夜が来て――」
ヴェランデル侯爵は、姫たちの父王よりも年上の男だった。髪はシルバーグレイで恰幅が良く、姉妹の父王より老けて見えた。
侯爵は従妹姫の夫でもあり、子も成していたが不慮の事故によって嫡男を亡くしてしまった。
従妹姫は息子を失ったショックで心身を病み、療養地で静養している。
侯爵は従妹姫にもう子を望めない事、そして領地を継ぐ嫡男が必要だからと王家に新たな通婚を申し込む。
それを受けて賢者会が開かれ、姉姫が推薦されると、父王は婚姻を承認した。
「侯爵がのしかかり膣内に子種を注ぐ間、わたくしはずっと見届け役のシーグルトの手を握っていました」
アンナリーナと第一夫の初夜にも、犬妖精の従者が側に居て心と身体を支え続けていたのだった。
夫がことを終え、さっさと夫婦の寝室を出ていくと、シーグルトが姉姫に寄り添った。
「お疲れさまでした、姫。もう少しだけ、ご辛抱なさってください」
シーグルトは姉姫のお尻の下にクッションをあてがい、下腹を高くして子種が零れないようにした。
「孕みやすくするために、もうしばらくこの体勢で」
そうして姉姫に上掛けを掛けてから隣に横たわるとアンナリーナに腕枕をして、もう片方で乱れた頭髪を撫でた。
「アンナリーナさま、本当によく頑張りました。とてもご立派でした」
姉姫の眼尻からつぅと涙が伝い落ちると、シーグルトは唇で舐め取っていく。
アンナリーナは夫に射精される瞬間、シーグルトと視線を絡め絶頂したのだった。
姉姫とその従者は指と指を絡めあい、ぐっと力を入れて握った。
「シーグルドが居てくれたから……」
「私は何時でも、姫の側に居ます」
ここまで話し終えると、姉姫はクッションにもたれてため息をつき、そこに立っているシーグルドに手を伸ばした。シーグルドは屈んでその手を取ると、うやうやしく手の甲に口付けた。
二人の間に流れる親密な空気と、姉姫のシーグルトへの絶対的な信頼がユーリアの心を打った。
「ユーリア、これで分かっていただけたかしら。わたくしたちが王族の務めを果たすために、犬妖精たちが全身全霊をかけて支え、仕えてくれることを」
「――犬妖精族は、姫さま方に仕えるために光と豊穣の神より生かされているのです」
シーグルドは胸に手を当てて、二人の姫に優雅な所作で礼をした。
「お姉さま、では……。ご結婚された後も彼と――?」
「もちろん、閨を共にしているわ」
それを聞いて、はっとするユーリア。
「――シーグルトさま、宮廷医が往診に見えましたが……」
姉姫の侍女が宮廷医の来訪を告げに来ると、ユーリアは慌てて立ち上がり暇を告げた。
0
お気に入りに追加
804
あなたにおすすめの小説


巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
責任を取らなくていいので溺愛しないでください
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。
だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。
※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。
※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる