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第一部 妖精姫と忠犬従者
僕の女神……
しおりを挟む「どうしたの? 元気ないのね」
神楽舞の奉納が終わり宮殿に帰る道すがら、姫はフランシスの耳が垂れ下がり、尻尾がぺたんと落ちていることに気がついた。
「ご心配をお掛けしてすみません」
フランシスは弱々しく微笑んだ。
「どこか具合が悪いの?」
「いいえ、ただ。先程その白いご衣裳で舞っておられる姫さまが、あまりにも神々しくお美しかったので……。姫さまが僕の手の届かないところに、行ってしまうのではと――」
「まぁ。そんなこと、ないのに。わたくしはこれからもずっと、フランシスと一緒よ」
姫はフランシスの手を取り、両手でぎゅっと握って背の高い従者を見上げた。
(どうしたら、フランシスを元気にしてあげられるのかしら……)
「姫さまが僕のものだと、この明るい陽射しの中でも思えればいいのですが」
ユーリアは小首を傾げ、毎晩寝室に忍んで来るフランシスが閨の学びの中で「僕の姫さま」とうわ言のように呟いていたのを思い出す。
「フランシスは、明るい陽射しの中でしたいのね!」
ポンと手を叩いて頷くと、愛する従者の手を引いて、宮殿へ下る道から逸れ、手入れのされた林の中にずんずんと入って行った。
他の人々は先に道を降りていたので、最後尾にいた姫たちのことは誰も気づかない。
頭上から小鳥の鳴く声が聞こえ、風に木の葉が揺れてさわさわと音を立てる。
「姫さま、いったいどこへ」
そうして林の中の苔むした木の陰に座ると、戸惑う従者に「さあ」と手を伸ばした。
「本当に? いいのですか?」
フランシスは姫の前に片膝をつき、白い衣装に包まれた両膝をかき抱いた。
ユーリアは笑顔で頷き、胸の下で結ばれている組紐をするりと解いた。
単純な一枚の布で出来た古風な衣装がハラと落ち、姫の眩いばかりの白い裸身が木漏れ日射す青空のもとに晒された。
「ああ、ひめ、さま」
慌てて自分のマントを脱ぐと苔の上に広げて姫を寝かす。
「僕の女神……」
「来て、フランシス」
彼はごくりと唾を飲み込み、姫の膝を割り開く。
暖かな陽射しが金色の和毛に当たり、柔らかく発光しているように見える。
膝裏を持ち上げるようにして、さらに大きく広げれば丁度、薔薇色の花弁に木漏れ日が落ちた。
白い肌に咲く、美しい花。
息を潜め、震える指先で花弁をそっと開くと、隠されていた蜜口が露わになった。さらに大きく花弁を広げ、蜜口の奥まで明るい陽射しの元に晒し、覗き込む。
するとその時、つぅと薔薇色の花芯から透明な蜜がキラキラと輝きながら零れ落ち、姫のお尻の方まで伝い流れた。
「美しい……」
明るい空の下、本来は秘められるべきその部分を白日に晒され、愛する従者にじっと見つめられている。
ユーリアの心臓はトクトクと鳴り始め、次第に身体が火照って息が上がっていく。
フランシスの目からは、止めどなく涙が零れ落ちていた。
もう幾度もその花に己の欲望を突き挿し、精を放って来たのに。
彼は無垢で高貴な花を散らし、純潔を奪い、姫を性の対象とすることで、自分と同じ場所に引きずり堕とした。
そうしてなお、二人の立場は何一つ変わっていないことを思い知らされ、勝手に落ち込んでしまった。
そんなどうしようもない自分を、姫は救い上げようとしている。
どろどろとした己の劣情を前に、フランシスの姫はあまりにも無防備で疑いもなく、変わらぬ信頼を寄せてくれる。そしてすべてを曝け出し、この卑しい従者を受け入れようとしているのだ。
彼は、姫の密やかな花弁にうやうやしく口づけた。とろとろと零れる蜜を舌ですくって、秘裂を何度も往復させる。時折、柔らかな花弁を口で優しく食み、溢れる蜜をぴちゃぴちゃと舐め、啜った。
「んっ、んっ……ぁっ」
もどかしいような刺激に、姫が身動ぐ。
フランシスのズボンの中の欲望も耐えがたいまでに膨らんでいたけれど、今はことを急ぐつもりは少しもない。
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