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第一部 妖精姫と忠犬従者
触ってもいい?
しおりを挟むユーリアは、成長したフランシスの裸を見るのは初めてだ。
彼がベッドに膝立ちしたままリネンのシャツを脱ぐと、細身に見えた身体にはしなやかな筋肉がつき、腹筋は割れている。
「随分と鍛えているのね? 私も少し運動しようかしら」
自分のふにふにとした柔らかいお腹の肉を摘まみ、フランシスが毎日用意してくれるおやつの甘いお菓子を考えなしに食べていたことを少し後悔する。
「姫さまは、そのままでいいんです」
姫は起き上がってフランシスににじり寄ると、お腹の筋肉を撫でてその感触を確かめた。触れられた手の感触に、フランシスはびくりとして反射的に腹を引っ込める。
「あら、これは……?」
ズボンの前が不自然に膨らんでいるのをいぶかしく思ったユーリアは、彼の下履きごと両手で掴んで一息に引き降ろした。
すると、ぶるんと肌色の屹立が飛び出し、おへその辺りまで反りかえった。
「あ、姫さま……」
「まぁぁ!」
ユーリアは両手を口にあてて、フランシスの下半身をしげしげと見つめる。
薄緑色の巻き毛の下生えからそそり立つ雄茎は、先端は丸くピンク色をして傘高になっていた。
「赤松林で採れる香のいい茸の形に似ているわ。触ってもいい?」
好奇心いっぱいの姫に、フランシスは頬を赤らめながらコクリ、と小さく頷いた。
「すべすべしているのね」
ユーリアは固く張りつめた肉茎を指先でさすさすと撫でた。すると熱い肉棒はふるふると震え、先端の小さな孔から透明な雫が盛り上がってきた。
その先端を人差し指でちょんと突くと、フランシスは敏感な孔に思わぬ刺激を受けて「あ!」と叫けぶと、乱暴に姫の肩を掴んで押しやった。
「だ、だめですっ」
「わ、わたくし、なにか間違ったことをした?」
うろたえる姫に、フランシスはブンブンと首を振った。
「いいえ。姫さまはとっても正しいことをしましたよ! でも僕の方で、始まってもいないのに、終わってしまう危険性があるというかっ……!」
フランシスは、眉を寄せて困惑している姫がとっても愛しくなり、その薄桃色の唇にちゅっと音を立ててキスをした。さらに、小鳥がついばむようなキスを繰り返し、姫の背中に手を当てるとゆっくりとベッドに押し倒す。
「ああ、僕の姫さまは、なんて愛らしいんだ」
姫のこめかみから金色の髪に指を差し入れ、髪をハーフアップにしていたヘアピンを外す。指で梳いて、大切な髪が絡んでしまわないよう枕の横に流した。
「ねえ、フランシス。貴方のその、持ちモノ? もう少しよく見せて欲しいのだけれど」
「えっ?」
急に積極的になって来た姫に、戸惑うフランシス。
「以前、動物の交配を見たことがあって……それを使って交配をするのよね? 辺境伯も、同じもモノを持っているんでしょう?」
「同じだなんて、とんでもない! 僕のコレは、まっさらで未使用の綺麗な新品の道具です。辺境伯は自領に幾人も愛人を持つ女たらしですから、当然使い込まれ黒ずんだ中古品で……」
「そう。貴方のモノは新品なのね。通りで綺麗な肌色だと思ったのよ。先っぽはピンク色だし。でも私が使ったら、中古品になってしまうのね」
悲し気な顔の姫に、フランシスは慌てた。
「これはっ、姫さまのために取って置いたんです。ぜひとも、お使いくださいっ」
フランシスのモノを心配してくれる姫の優しさと愛らしさに思わず、ふんっと鼻息を荒くしてしまう。
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