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20'おかしな脱毛
88. まるだし雑談
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(哀香視点)
私は駅前にいた。
以前から通っている駅前の医療脱毛。通い始めてからだいたい半年になる。1ヶ月ほどのインターバルをおいて定期的に行っていた。
「いらっしゃいませ~」
受付の女性が陽気なオーラを放ちながら出迎えてくれた。いつも私は「あ、どうも」と、ぎこちない返事をしてから待ち時間を過ごす。
待合室は思いのほか混んでいて何人かの女性が座っている。予約していた時間ぴったりになると私の名前が呼ばれた。数人の女性たちを尻目に施術室に向かう。
私の脱毛を担当してくれる人は、予約が取りやすい人。だから、いつも同じ人を指定してる。
施術室でショーツを脱ぎ、用意された紙パンツを履いた。契約したプランはVIOだから、上着は脱がなくていい。部屋に入るとベッドの上にちょこんと座って先生を待った。
──今回はどんな雑談をしよう?
ぽけーっと考えた。
しばらくして、女性のスタッフの人が様子を確認しにきた。着替えが済んだのを見るとニコッと微笑んで「少々お待ちください~」と担当の人を呼びに行った。
そして彼がきた。
「哀香ちゃん久しぶりー」
「お久しぶりです」
1ヶ月ぶりの再会。若作りした痩せ型の金髪の中年男性。名前は佐藤さん。
「じゃあ早速始めようか」
私はベッドに横になった。
「今回もVIOの脱毛ね」
「は、はい……」
VラインとIラインとOライン。私はこの男性にデリケートゾーンを脱毛してもらっている。脱毛治療なのはわかっているけど、やっぱり恥ずかしい。彼は男性だから。
「じゃあ脱がすからね」
「お願いします……」
彼が紙パンツに手をかけると、ぎゅっと裾を握っていた手の力を緩める。私は恥ずかしさを表すため、ひざをすりすりと擦り合わてアピールする。
「力抜いてね」
優しく声をかけてくれて、紙パンツがずらされ、するりと足首まで脱がされた。
──これじゃあ脱がされるために履いてるみたい……。
紙パンツを履いた意味はあったのだろうか?
診察台に体を乗せ、形だけの最後の抵抗をする。モジモジと股を擦り合わせる。
「えへへ、やっぱり何度見せても恥ずかしいですね……」
照れ隠しをするためにヘラヘラと笑った。
「いやらしい気持ちはないから安心してね」
「は、はい。分かってます……いつもありがとうございます」
私はベッドの上で体制を変えて、診察台の上で股を開いた。
佐藤さんが見下ろす眼前で、私は下半身裸のまま大胆な姿になる。社交マナーの講師が見ていたら失神する。おっぴろげ状態。
「触るよ?」
股を覗き込みながら彼が言った。この脱毛サロンに通い始めて、佐藤さんには何度も恥ずかしい場所を見てもらっている。お互いに慣れたもんだ。
「んっ」
彼の指が皮膚に触れた。私の一番恥ずかしい部分の皮膚を広げて、内部まで覗き込むために観察している。
ムズムズする。
……この感覚は何度やってもなれない。だからこそ、私は興奮していた。
──親しくもない人に恥ずかしい場所を見せるのってどうして気持ちがいいんだろう?
好きな人に裸を見せる照れ臭さとは別種の快感。これも私の性癖なのだろう。なので私は趣味と実益を兼ねて脱毛に通っている。ごめんなさい真面目な気持ちで脱毛に行ってる世間の皆さん。
でも、これは興味深い研究テーマでもある。何言ってるの変態? って思うのも分かる。でも、ちょっと聞いてほしい。正直言って裸を見せるだけなら、セックスに誘えば違和感なく脱げる。でもそれは性行為が主目的であって、全裸を見てもらうっていう特別感が薄れると思うのだ。慣れ親しんだ夫婦の裸より、見ず知らずの人のパンチラのほうが新鮮味があるでしょ? なにごともマンネリはよくない。
私はじっくり裸を見てほしい派の変態だ。
「あっ」
彼の吐息がお股に触れて、私の体がビクってなった。
「だいぶ毛も少なくなってきたね。産毛もなくなってきたよ」
「そ、そうですか……?」
「うん。もうほとんど見えない」
──恥ずかしい場所の産毛一本一本まで男の人に見られちゃってる!
「……っ」
彼がグニっと肉を引っ張る。お股をまじまじと見るのを許可している。無理やり見せているわけじゃなくて同意の上。男性の前で股を開いて大事な部分をまじまじと観察されている……。
知り合いに見せるのも、見ず知らずの人に見せるのも、どっちも興奮する。そして、彼との関係はその中間に位置している。中途半端な関係だ。
「あっ……、っ……」
見せるのは恥ずかしい。けど見て欲しい。その気持ちがないまぜになって、お股が変な気持ちになってくる……。私は恥ずかしさと快感を味わうためにキュッと唇を噛んだ。
「すみません……濡れてきちゃいました」
「うん。じんわりと湿ってるよ」
間近で見つめる佐藤さんにはバレバレだった。彼はティッシュで湿り気を拭き取ってくれた。お股に刺激が加わって反応してしまうのは、よくある事らしい。生理現象だから仕方ない。私は濡れやすい子だと彼には認識されている。
「じゃあ続きするね」
佐藤さんが優しく言った。私は恥ずかしいのを我慢して、ゆっくりと足を開いていく。
「ん……っ」
彼は視線を落として観察している。
──ああ、見せてる……。私の恥ずかしい場所……全部見られちゃってる……。
「そ、そういえば……」
その気恥ずかしさを誤魔化すために私は口を開いた。彼と雑談しようと思ったのだ。
「この前、初めて男の人とエッチしました」
「えっ、そうなの? エッチっていうのは……」
「セックスです」
私の股に顔を埋める彼の表情は伺えなかった。反応がまだ帰ってきていない。私の選んだ雑談の話題に何を思ったのだろうか?
「初めてだったんですけど、意外とあっさりで、……あっ、ご、ごめんなさい……。こんな話、こんな状況でする話題じゃないですよね」
私は口を抑えた。何をペラペラと喋ってるんだろう……バカみたい。わざとらしい顔をしておどけてみた。
「……いやー嬉しいな。若い子のえっちな話聞かせてくれて。それで?初体験はどうだったの?」
彼はお股を触りながら聞いてきた。私の割れ目をムニムニと触っている。
「……あっ。初めてはよくわからなかったんですけど、その後何回かセックスして気持ちよくしてもらいました」
「そうなんだ。優しくしてもらった?」
「ちょっと激しかったんですけど……頑張って耐えました。それで、あの、私のお股がつるつるなの喜んでくれて……脱毛してよかったなって思っています。なのでいつもありがとうございます」
「どういたしまして。僕も毎回通ってくれてる女の子が初体験を終えてなんだか複雑な気分だよ……」」
彼は私の大事なトコロを丁寧に優しく撫でてくれた。目の前で膣を触られちゃってる。佐藤さんが見ている。私はここに男性器を受け入れた……。
「んっ……あっ……」
くすぐったくて声が漏れてしまう。
「そっか。ここに男のチ◯コが入っちゃったんだね」
「はい。入れちゃいました」
──お股を見られながら……こんな恥ずかしい話をしちゃってる♡
近所のおじさんと世間話するみたいな何気ない雰囲気で、自分の恥ずかしい部分を見られながら雑談をしている。猥談だ。
「彼氏に初めてをあげたの?」
「あ……えっと、彼氏ではないんですけど……」
「違うの?」
「はい……付き合ってはないです……」
「へーそうなんだ。哀香ちゃん清楚風なのに意外にあそんでるんだねぇ」
「か、からかわないでください……そ、そんなんじゃ……」
「ごめんごめん」
なんで私は大事な部分を丸出しにして、こんな話をしているのだろう?
「えへへ……私ったら佐藤さんになんて話をしてるんでしょう……」
「別にいいんじゃない。関係性がないから話せるって事もあるでしょ?」
「そうですね……知り合いだったらこんな話できなかったかもです。しかもお股を見せながら。でもお股はある程度信頼してないと見せれませんよね……」
「僕も哀香ちゃんみたいな美人の股間を見てるって、冷静に考えると照れちゃうよ」
「美人だなんて……おだてないでください。あっ、いやらしい気持ちはないんですよね?」
「もちろん。僕は女の子をいやらしい目で見てないよ。仕事だからね」
そう言いながら彼は股をくぱっと開いて、中を観察した。
「あっ……っ♡」
私はピクっと反応して、思わず声が出てしまった。
「哀香ちゃんってすごく可愛いしスタイルもいいよね。気軽におしゃべりしてくれておじさんも楽しいよ」
褒めてもらって悪い気はしない。むしろ嬉しい。
「黙々と作業されると恥ずかしくないですか? 話してくれると気が紛れるっていうか……。普段他人には絶対見せないところ見せちゃってるので……」
「男に見せるのは嫌じゃないの? 絶対嫌って子もいるよ?」
私はわざわざこ佐藤さんの出勤日に合わせて予約を入れている。
「むしろ綺麗な女性に見せるほうが嫌な気がします。それに今更、佐藤さん以外に脱毛してもらうのも変ですし……なんだか安心するんです」
「信頼してくれて嬉しいよ。じゃあ次はOラインの確認をしようか?」
「あ、はい」
Oラインとはお尻の穴の周りの毛である。なので私はその部分を彼に見てもらうため、施術台にうつ伏せになった。
慣れた動作でお尻を向ける。たぶんすでに後ろからチラチラと何もかもが見えているはず。知りながらも私は無防備に後ろを晒していた。
それから佐藤さんに肛門周辺を見やすくするため、自ら尻たぶを割り開いた。
「いつも自分から見せてくれてありがとうね」
「いえ……すみません。汚い場所を見てもらっちゃって……」
「別に汚いとは思わないよ」
「一応はあの……脱毛の日は念入りに洗ってはいるんですが……」
「僕に見せるために綺麗にしてくれてるんだね」
「はい、あ、マナーとして」
彼は丁寧にOラインを指先でなぞった。ムズムズして声が漏れてしまう。
「……ん♡」
「何度見てもきゅっと締まってて可愛いね」
「あはは……意識すると恥ずかしいですね」
「本当だ。ヒクヒクしてるよ」
「わ、わざわざ言わないでくださいよ!」
私は頬を赤らめた。まじまじと観察されながら感想を言われるのは、さすがに恥ずかしい。
「ほーら。お尻の穴つんつん」
「わっ♡」
肛門をツンツンと指で刺激された。まるで軽い冗談みたいに行われたとんでもない行為。しかし、不思議な事にこの部屋には謎のほがらかな空気が漂っていた。
「もう……セクハラですよ!」
私は尻たぶをキュッと閉じて、彼を睨んだ。ぷりぷりと頬を膨らませて怒る。
「ごめんごめん。哀香ちゃんが可愛いからついやっちゃったよ」
「もー! やっぱり楽しんでるじゃないですか!?」
「あはは、ごめんね」
「真面目にお願いします。すっごく恥ずかしい思いをしてるんですから……こんな場所、信頼してる人にしか見せられないんですよ!」
不満を言いながらも私は、また同じ姿勢になってお尻の穴をさらした。
「うん、ごめんね」
彼は謝りながらお尻をさすってくれて、再び私の肛門に指を添えた。ほじほじと穴をほじる。
「ん……くっ」
まるで冗談みたいな空間。
セクハラでは済まされない行為をされたはずなのに、ヘラヘラ笑って許す女。もう1◯歳の大学生なのだから、もう少し大人な対応をとるべきかも。客観的に考えれば『親しくもない人に恥部を見せながら談笑する』って状況は異常だ。私たちのやりとりを初めて見た人にとっては、違和感しかなくて、ご都合主義展開なのだろう。しかし、人間には関係性がある。
あなたにとっての異常が、どんな場合も異常だとは限らない。
私はこの数ヶ月で佐藤さんとの関係性を築いてきた。彼だって最初からこんな感じだったわけじゃない。彼に会うたびに、少しづつ、少しづつ、慣らしていった。今では佐藤さんと下半身丸出しで冗談を言い合える関係になっていた。
正確に言えば、私がそう誘導した。っていうのが正しい。
世間知らずでおバカな女の子の演技は上手くいった。
「ごめんね許して。僕と哀香ちゃんの仲でしょ?」
「佐藤さんには毎回見られちゃってますからね……いまさら恥ずかしがっても遅いかもです。特別ですよ」
佐藤さんは今ではかなり馴れ馴れしく接してくる。
「なんだか寂しいな。こんなに仲良くなったのにあと1~2回で脱毛が終わっちゃうなんて」
「あっ、そうなんですか。じゃあもう恥ずかしいところ見せなくてもいいんですね。よかったです」
「えー? そんなあっさり言わないでよ。最後まで責任持ってやらせてもらうから」
「嘘です。えへへ。佐藤さん以外に気軽にここ見せられませんよー。よろしくです」
チロっと舌を出して、いたずらっ子の表情で笑った。
「……」
「……どうしました?」
私のお尻の穴を見ながら佐藤さんが沈黙した。何か引っ掛かる部分があったかな? あざとすぎただろうか。会話って難しい。こういうとき相手に考える時間を与えてはいけない。
「えっと。私のお尻の穴に何か付いてますか……?」
私は沈黙に耐えきれず自分から口を開いた。「あっ、もしかしてペーパーの残りとか!?」拭き残しがあったと思った。さすがに恥ずかしすぎるから、慌ててお尻の穴のを両手で隠す。
「なんで言ってくれなかったんです!?」
「……ああごめん違うよ!綺麗だよ! いやね、哀香ちゃんみたいな若い子にさ、恥ずかしいところを見せてもらってるなんて、あれ?っと思ってね。不思議っていうか……。大学生なんだよね?」
「ふふ、なんですかそれ。変なのー」
──ちょっと疑われてる? もっとバカな子を演じた方がいいかな?
「私って人見知りなんですけど、親しくなった人には緊張しなくなるんです! ほら、こんなポーズもできちゃいます! これも佐藤さんを信用してるからなんですよ?」
そうして私は自分の膣に指をあてがい、くぱっぁっと拡げて見せた。前転するみたいな体勢になり、股の間から顔を出して満面の笑みを浮かべた。
「あはは、哀香ちゃんすごい美人で頭も良さそうなのに子供っぽいよね」
佐藤さんが茶化して笑った。バカじゃなかったらこんな格好できるわけがない。
「私よく天然だって言われちゃうんですよぉ。だからですかね」
「うん、哀香ちゃんは天然だね。可愛いよ」
「えへへ……ありがとうございます」
これは女からのアドバイスだけど自分を『天然』って言っちゃう女の子は、だいたい天然じゃない。要注意。でも佐藤さんは騙されちゃったみたい。
「……でも子供っぽい哀香ちゃんももう処女じゃないんだよね。いつまで処女だったの、最近?」
佐藤さんは話を蒸し返した。私の成長が嬉しいらしく、わざとらしく「ふむふむ」と呟いている。視線を感じて局部がピクピクする。
「そ、そうですね。誕生日にホテルでしてもらいました……えっと、先月の中頃ですかね?」
「最近じゃん。なんだか残念だなぁ」
「え? なんでですか?」
猫のポーズのまま振り向くと佐藤さんはやれやれと言った具合に、わざとらしいジェスチャーで肩をすくめた。その仕草の意図を汲み取れなくて首を傾げた。
「だって哀香ちゃんのVIOは僕が育てたのに」
「育てたってなんですか!?
思わずツッコミを入れてしまった。でも、彼の言いたい意味が分かっていた。脱毛は毛穴の一本一歩をレーザーなどで焼いていく。つまり私は佐藤さんに恥部の毛穴の一本一本まで見せてしまったのだ。
「いやね、哀香ちゃんが初めてセックスする瞬間が見たかったなって」
「あはは。そんな姿、知り合いに見せれるわけないじゃないですか。佐藤さんとは中途半端に仲良しになっちゃいましたし……」
──どうしても見たいなら録画してありますよ?
「今と恥ずかしさに変わらないと思うけどなぁ」
「全然違いますよー!」
今こうしている時でさえ、私は下半身丸出し。足を開いているから後ろから具はモロ。肛門も手で広げてしまっている。こんな私が何を言っても無駄かもしれない。
「今は、脱毛中ですし……佐藤さんはお仕事中ですから。なんとか恥ずかしさに耐えれてます」
「え? 僕だって男だし、哀香ちゃんみたいな美人な子がオ◯ンコとお尻を丸出しにしてて、なにも感じてないわけないよ?」
「え!?そうなんですか!?」
「うん。まあね」
「へー……。あ、えっと……照れちゃいますね。……どうしましょう。大丈夫だと思ってたのに……」
あからさまに動揺してみせた。
──やっぱりいやらしい目で見てたんだ……。
じつは薄々は気づいていた。だって、こんな異常な状況が成立するには相手の協力も必要なはずだから。だから私は「本性を表したかな?」っと冷静に思った。
──どうしよう……。襲われちゃうかな?
「うそ、うそだよ! もちろん、仕事中には思ってないから安心してね!」
「なーんだぁうそですか。びっくりしちゃいました。……って仕事中以外は思ってるんですか!?」
「それはまあ……。あはは、ごめんごめん」
「否定してくださいよ! もー!」
佐藤さんが笑って誤魔化した。私も笑って誤魔化された。ギャグ漫画みたいなやり取り。
「だってさ何回も哀香ちゃんのデリケートゾーンを脱毛してきたわけだし、愛着があるっていうか」
「もう! 勝手に愛着を持たないでください!」
私はお尻を見せつけてプリプリ揺らして怒った。
「……でもさ、本当に残念だな。哀香ちゃんみたいな可愛い子の初めてを奪えてたら一生の思い出になったのに。羨ましいよその男が」
「あはは。一生の思い出なんて、大袈裟ですよ」
「いや、男はそういうの忘れないもんだよ」
「そうなんですか?」
私だってあの衝撃的な処女喪失を忘れたわけじゃない。そういえば、男性は名前をつけて保存。女性は上書き保存って聞いた事がある。
私も思い出は大切にしておきたいタイプだけどなぁ……って思う。
「佐藤さんは当然、経験済みですよね? セックスを……」
「うん。まあね。娘もいるし」
「あ、娘さんいるんですよね。何歳なんですか?」
「今年で1◯歳かな。大学生だよ」
「……え? 私と同い年じゃないですか。そういえば佐藤さん、私のお父さんと同い年って言ってましたね」
「うん。だから哀香ちゃんを娘みたいに思ってたんだ。娘とこんな話できないから嬉しかったよ」
「私も……お父さんとこんな恥ずかしい話できません」
なんかこの話、この人と前もした気がする。デジャブ。
「なのに不思議です。お父さんと同い年の佐藤さんにこんな恥ずかしい格好を見せてるなんて」
「娘は絶対に見せてくれないだろうね」
「ですよね。あはは。私のお父さんって結構厳しい人なので、なんだか佐藤さんは仲良しお父さんって感じでホッとします」
「本当? なんだか嬉しいなぁ。家では娘には気持ち悪がられてるし」
「でも、娘さんだって、どうしても見せなきゃいけないって状況に追い込まれたら、見ず知らずの中年男性よりは、お父さんを選ぶと思います。 そんな状況があるかは分かりませんけど」
「そうかなぁ?」
「それが家族のつながりですよ」
なんの気もない会話だった。いい話風にまとめてしまった。私が下半身丸出しって状況が全てを台無しにしていた……。
「……」
「どうしました?」
佐藤さんが沈黙した。たまに彼は突然、黙り込む。
「あ、ごめん。なんか哀香ちゃんのお◯んこに僕の視線が吸い寄せられちゃった」
「もー!今日はなんだか、そういう冗談が多いですよ!」
私はプクッと頬を膨らませて怒ったふりをした。
「でも、これは脱毛治療なので、ノーカウントなんですかね?」
「そうだね。ノーカンだね」
「よかったですね。セクハラで訴えられなくて」
そうして私は尻たぶを両手で左右に開き、またアナルを見せつける。すると彼はまた私の肛門をツンっとつついた。また私はプリプリと怒った。
──そうこれはノーカウント……ただの医療行為だから……ノーカン……ノーカン……♡
彼の指でこちょこちょと愛撫されて、自然と腰が震えてしまう。
佐藤さんが恥部を念入りに確認している。穴の入り口が何度も開け閉めされて「うーんよく見えないなー」って声が何度も聞こえる。「ん? まてよ?」とか「なるほど、なるほど」とか考えている風の声が聞こえる。
何をそんなに確認するモノがあるんだろう?
──ここは肛門外来だったっけ? それとも泌尿器科?
全ては茶番劇。
私は笑いを堪えていた。この佐藤って人は、私が頭の悪い女の子を演じているのを利用して、平然とエッチなセクハラをしている。もちろん私が変態なのが悪いのだから、彼を責める気はない。いままでけっこう思わせぶりな発言や態度をして、彼の反応を楽しんでいた。
その結果、このギャグみたいな雰囲気が完成した。
──でも、この脱毛もあと何回かで終わりかぁ。
感慨深く思った。
次はどうやって見てもらおうかな?
これも私の露出活動の一つ。
「哀香ちゃん?」
「あっ……はい」
私は我に帰った。恥部をいじられながらぼーっとしてしまった。佐藤さんが何か言いたげにこちらを見ている。なんだろう? やけに真剣な目をしている。
「あ、あのー……もしよかったらなんだけど……おじさんに見せてくれないかな?」
「見せる? ってなんです。もう恥ずかしいところは見せちゃってますけど……」
「いや。まだ見せてないところがあるよね?」
「?」
彼は沈黙してから口を開いた。
「……哀香ちゃんの乳首」
佐藤さんがニヤリと笑った。
私は駅前にいた。
以前から通っている駅前の医療脱毛。通い始めてからだいたい半年になる。1ヶ月ほどのインターバルをおいて定期的に行っていた。
「いらっしゃいませ~」
受付の女性が陽気なオーラを放ちながら出迎えてくれた。いつも私は「あ、どうも」と、ぎこちない返事をしてから待ち時間を過ごす。
待合室は思いのほか混んでいて何人かの女性が座っている。予約していた時間ぴったりになると私の名前が呼ばれた。数人の女性たちを尻目に施術室に向かう。
私の脱毛を担当してくれる人は、予約が取りやすい人。だから、いつも同じ人を指定してる。
施術室でショーツを脱ぎ、用意された紙パンツを履いた。契約したプランはVIOだから、上着は脱がなくていい。部屋に入るとベッドの上にちょこんと座って先生を待った。
──今回はどんな雑談をしよう?
ぽけーっと考えた。
しばらくして、女性のスタッフの人が様子を確認しにきた。着替えが済んだのを見るとニコッと微笑んで「少々お待ちください~」と担当の人を呼びに行った。
そして彼がきた。
「哀香ちゃん久しぶりー」
「お久しぶりです」
1ヶ月ぶりの再会。若作りした痩せ型の金髪の中年男性。名前は佐藤さん。
「じゃあ早速始めようか」
私はベッドに横になった。
「今回もVIOの脱毛ね」
「は、はい……」
VラインとIラインとOライン。私はこの男性にデリケートゾーンを脱毛してもらっている。脱毛治療なのはわかっているけど、やっぱり恥ずかしい。彼は男性だから。
「じゃあ脱がすからね」
「お願いします……」
彼が紙パンツに手をかけると、ぎゅっと裾を握っていた手の力を緩める。私は恥ずかしさを表すため、ひざをすりすりと擦り合わてアピールする。
「力抜いてね」
優しく声をかけてくれて、紙パンツがずらされ、するりと足首まで脱がされた。
──これじゃあ脱がされるために履いてるみたい……。
紙パンツを履いた意味はあったのだろうか?
診察台に体を乗せ、形だけの最後の抵抗をする。モジモジと股を擦り合わせる。
「えへへ、やっぱり何度見せても恥ずかしいですね……」
照れ隠しをするためにヘラヘラと笑った。
「いやらしい気持ちはないから安心してね」
「は、はい。分かってます……いつもありがとうございます」
私はベッドの上で体制を変えて、診察台の上で股を開いた。
佐藤さんが見下ろす眼前で、私は下半身裸のまま大胆な姿になる。社交マナーの講師が見ていたら失神する。おっぴろげ状態。
「触るよ?」
股を覗き込みながら彼が言った。この脱毛サロンに通い始めて、佐藤さんには何度も恥ずかしい場所を見てもらっている。お互いに慣れたもんだ。
「んっ」
彼の指が皮膚に触れた。私の一番恥ずかしい部分の皮膚を広げて、内部まで覗き込むために観察している。
ムズムズする。
……この感覚は何度やってもなれない。だからこそ、私は興奮していた。
──親しくもない人に恥ずかしい場所を見せるのってどうして気持ちがいいんだろう?
好きな人に裸を見せる照れ臭さとは別種の快感。これも私の性癖なのだろう。なので私は趣味と実益を兼ねて脱毛に通っている。ごめんなさい真面目な気持ちで脱毛に行ってる世間の皆さん。
でも、これは興味深い研究テーマでもある。何言ってるの変態? って思うのも分かる。でも、ちょっと聞いてほしい。正直言って裸を見せるだけなら、セックスに誘えば違和感なく脱げる。でもそれは性行為が主目的であって、全裸を見てもらうっていう特別感が薄れると思うのだ。慣れ親しんだ夫婦の裸より、見ず知らずの人のパンチラのほうが新鮮味があるでしょ? なにごともマンネリはよくない。
私はじっくり裸を見てほしい派の変態だ。
「あっ」
彼の吐息がお股に触れて、私の体がビクってなった。
「だいぶ毛も少なくなってきたね。産毛もなくなってきたよ」
「そ、そうですか……?」
「うん。もうほとんど見えない」
──恥ずかしい場所の産毛一本一本まで男の人に見られちゃってる!
「……っ」
彼がグニっと肉を引っ張る。お股をまじまじと見るのを許可している。無理やり見せているわけじゃなくて同意の上。男性の前で股を開いて大事な部分をまじまじと観察されている……。
知り合いに見せるのも、見ず知らずの人に見せるのも、どっちも興奮する。そして、彼との関係はその中間に位置している。中途半端な関係だ。
「あっ……、っ……」
見せるのは恥ずかしい。けど見て欲しい。その気持ちがないまぜになって、お股が変な気持ちになってくる……。私は恥ずかしさと快感を味わうためにキュッと唇を噛んだ。
「すみません……濡れてきちゃいました」
「うん。じんわりと湿ってるよ」
間近で見つめる佐藤さんにはバレバレだった。彼はティッシュで湿り気を拭き取ってくれた。お股に刺激が加わって反応してしまうのは、よくある事らしい。生理現象だから仕方ない。私は濡れやすい子だと彼には認識されている。
「じゃあ続きするね」
佐藤さんが優しく言った。私は恥ずかしいのを我慢して、ゆっくりと足を開いていく。
「ん……っ」
彼は視線を落として観察している。
──ああ、見せてる……。私の恥ずかしい場所……全部見られちゃってる……。
「そ、そういえば……」
その気恥ずかしさを誤魔化すために私は口を開いた。彼と雑談しようと思ったのだ。
「この前、初めて男の人とエッチしました」
「えっ、そうなの? エッチっていうのは……」
「セックスです」
私の股に顔を埋める彼の表情は伺えなかった。反応がまだ帰ってきていない。私の選んだ雑談の話題に何を思ったのだろうか?
「初めてだったんですけど、意外とあっさりで、……あっ、ご、ごめんなさい……。こんな話、こんな状況でする話題じゃないですよね」
私は口を抑えた。何をペラペラと喋ってるんだろう……バカみたい。わざとらしい顔をしておどけてみた。
「……いやー嬉しいな。若い子のえっちな話聞かせてくれて。それで?初体験はどうだったの?」
彼はお股を触りながら聞いてきた。私の割れ目をムニムニと触っている。
「……あっ。初めてはよくわからなかったんですけど、その後何回かセックスして気持ちよくしてもらいました」
「そうなんだ。優しくしてもらった?」
「ちょっと激しかったんですけど……頑張って耐えました。それで、あの、私のお股がつるつるなの喜んでくれて……脱毛してよかったなって思っています。なのでいつもありがとうございます」
「どういたしまして。僕も毎回通ってくれてる女の子が初体験を終えてなんだか複雑な気分だよ……」」
彼は私の大事なトコロを丁寧に優しく撫でてくれた。目の前で膣を触られちゃってる。佐藤さんが見ている。私はここに男性器を受け入れた……。
「んっ……あっ……」
くすぐったくて声が漏れてしまう。
「そっか。ここに男のチ◯コが入っちゃったんだね」
「はい。入れちゃいました」
──お股を見られながら……こんな恥ずかしい話をしちゃってる♡
近所のおじさんと世間話するみたいな何気ない雰囲気で、自分の恥ずかしい部分を見られながら雑談をしている。猥談だ。
「彼氏に初めてをあげたの?」
「あ……えっと、彼氏ではないんですけど……」
「違うの?」
「はい……付き合ってはないです……」
「へーそうなんだ。哀香ちゃん清楚風なのに意外にあそんでるんだねぇ」
「か、からかわないでください……そ、そんなんじゃ……」
「ごめんごめん」
なんで私は大事な部分を丸出しにして、こんな話をしているのだろう?
「えへへ……私ったら佐藤さんになんて話をしてるんでしょう……」
「別にいいんじゃない。関係性がないから話せるって事もあるでしょ?」
「そうですね……知り合いだったらこんな話できなかったかもです。しかもお股を見せながら。でもお股はある程度信頼してないと見せれませんよね……」
「僕も哀香ちゃんみたいな美人の股間を見てるって、冷静に考えると照れちゃうよ」
「美人だなんて……おだてないでください。あっ、いやらしい気持ちはないんですよね?」
「もちろん。僕は女の子をいやらしい目で見てないよ。仕事だからね」
そう言いながら彼は股をくぱっと開いて、中を観察した。
「あっ……っ♡」
私はピクっと反応して、思わず声が出てしまった。
「哀香ちゃんってすごく可愛いしスタイルもいいよね。気軽におしゃべりしてくれておじさんも楽しいよ」
褒めてもらって悪い気はしない。むしろ嬉しい。
「黙々と作業されると恥ずかしくないですか? 話してくれると気が紛れるっていうか……。普段他人には絶対見せないところ見せちゃってるので……」
「男に見せるのは嫌じゃないの? 絶対嫌って子もいるよ?」
私はわざわざこ佐藤さんの出勤日に合わせて予約を入れている。
「むしろ綺麗な女性に見せるほうが嫌な気がします。それに今更、佐藤さん以外に脱毛してもらうのも変ですし……なんだか安心するんです」
「信頼してくれて嬉しいよ。じゃあ次はOラインの確認をしようか?」
「あ、はい」
Oラインとはお尻の穴の周りの毛である。なので私はその部分を彼に見てもらうため、施術台にうつ伏せになった。
慣れた動作でお尻を向ける。たぶんすでに後ろからチラチラと何もかもが見えているはず。知りながらも私は無防備に後ろを晒していた。
それから佐藤さんに肛門周辺を見やすくするため、自ら尻たぶを割り開いた。
「いつも自分から見せてくれてありがとうね」
「いえ……すみません。汚い場所を見てもらっちゃって……」
「別に汚いとは思わないよ」
「一応はあの……脱毛の日は念入りに洗ってはいるんですが……」
「僕に見せるために綺麗にしてくれてるんだね」
「はい、あ、マナーとして」
彼は丁寧にOラインを指先でなぞった。ムズムズして声が漏れてしまう。
「……ん♡」
「何度見てもきゅっと締まってて可愛いね」
「あはは……意識すると恥ずかしいですね」
「本当だ。ヒクヒクしてるよ」
「わ、わざわざ言わないでくださいよ!」
私は頬を赤らめた。まじまじと観察されながら感想を言われるのは、さすがに恥ずかしい。
「ほーら。お尻の穴つんつん」
「わっ♡」
肛門をツンツンと指で刺激された。まるで軽い冗談みたいに行われたとんでもない行為。しかし、不思議な事にこの部屋には謎のほがらかな空気が漂っていた。
「もう……セクハラですよ!」
私は尻たぶをキュッと閉じて、彼を睨んだ。ぷりぷりと頬を膨らませて怒る。
「ごめんごめん。哀香ちゃんが可愛いからついやっちゃったよ」
「もー! やっぱり楽しんでるじゃないですか!?」
「あはは、ごめんね」
「真面目にお願いします。すっごく恥ずかしい思いをしてるんですから……こんな場所、信頼してる人にしか見せられないんですよ!」
不満を言いながらも私は、また同じ姿勢になってお尻の穴をさらした。
「うん、ごめんね」
彼は謝りながらお尻をさすってくれて、再び私の肛門に指を添えた。ほじほじと穴をほじる。
「ん……くっ」
まるで冗談みたいな空間。
セクハラでは済まされない行為をされたはずなのに、ヘラヘラ笑って許す女。もう1◯歳の大学生なのだから、もう少し大人な対応をとるべきかも。客観的に考えれば『親しくもない人に恥部を見せながら談笑する』って状況は異常だ。私たちのやりとりを初めて見た人にとっては、違和感しかなくて、ご都合主義展開なのだろう。しかし、人間には関係性がある。
あなたにとっての異常が、どんな場合も異常だとは限らない。
私はこの数ヶ月で佐藤さんとの関係性を築いてきた。彼だって最初からこんな感じだったわけじゃない。彼に会うたびに、少しづつ、少しづつ、慣らしていった。今では佐藤さんと下半身丸出しで冗談を言い合える関係になっていた。
正確に言えば、私がそう誘導した。っていうのが正しい。
世間知らずでおバカな女の子の演技は上手くいった。
「ごめんね許して。僕と哀香ちゃんの仲でしょ?」
「佐藤さんには毎回見られちゃってますからね……いまさら恥ずかしがっても遅いかもです。特別ですよ」
佐藤さんは今ではかなり馴れ馴れしく接してくる。
「なんだか寂しいな。こんなに仲良くなったのにあと1~2回で脱毛が終わっちゃうなんて」
「あっ、そうなんですか。じゃあもう恥ずかしいところ見せなくてもいいんですね。よかったです」
「えー? そんなあっさり言わないでよ。最後まで責任持ってやらせてもらうから」
「嘘です。えへへ。佐藤さん以外に気軽にここ見せられませんよー。よろしくです」
チロっと舌を出して、いたずらっ子の表情で笑った。
「……」
「……どうしました?」
私のお尻の穴を見ながら佐藤さんが沈黙した。何か引っ掛かる部分があったかな? あざとすぎただろうか。会話って難しい。こういうとき相手に考える時間を与えてはいけない。
「えっと。私のお尻の穴に何か付いてますか……?」
私は沈黙に耐えきれず自分から口を開いた。「あっ、もしかしてペーパーの残りとか!?」拭き残しがあったと思った。さすがに恥ずかしすぎるから、慌ててお尻の穴のを両手で隠す。
「なんで言ってくれなかったんです!?」
「……ああごめん違うよ!綺麗だよ! いやね、哀香ちゃんみたいな若い子にさ、恥ずかしいところを見せてもらってるなんて、あれ?っと思ってね。不思議っていうか……。大学生なんだよね?」
「ふふ、なんですかそれ。変なのー」
──ちょっと疑われてる? もっとバカな子を演じた方がいいかな?
「私って人見知りなんですけど、親しくなった人には緊張しなくなるんです! ほら、こんなポーズもできちゃいます! これも佐藤さんを信用してるからなんですよ?」
そうして私は自分の膣に指をあてがい、くぱっぁっと拡げて見せた。前転するみたいな体勢になり、股の間から顔を出して満面の笑みを浮かべた。
「あはは、哀香ちゃんすごい美人で頭も良さそうなのに子供っぽいよね」
佐藤さんが茶化して笑った。バカじゃなかったらこんな格好できるわけがない。
「私よく天然だって言われちゃうんですよぉ。だからですかね」
「うん、哀香ちゃんは天然だね。可愛いよ」
「えへへ……ありがとうございます」
これは女からのアドバイスだけど自分を『天然』って言っちゃう女の子は、だいたい天然じゃない。要注意。でも佐藤さんは騙されちゃったみたい。
「……でも子供っぽい哀香ちゃんももう処女じゃないんだよね。いつまで処女だったの、最近?」
佐藤さんは話を蒸し返した。私の成長が嬉しいらしく、わざとらしく「ふむふむ」と呟いている。視線を感じて局部がピクピクする。
「そ、そうですね。誕生日にホテルでしてもらいました……えっと、先月の中頃ですかね?」
「最近じゃん。なんだか残念だなぁ」
「え? なんでですか?」
猫のポーズのまま振り向くと佐藤さんはやれやれと言った具合に、わざとらしいジェスチャーで肩をすくめた。その仕草の意図を汲み取れなくて首を傾げた。
「だって哀香ちゃんのVIOは僕が育てたのに」
「育てたってなんですか!?
思わずツッコミを入れてしまった。でも、彼の言いたい意味が分かっていた。脱毛は毛穴の一本一歩をレーザーなどで焼いていく。つまり私は佐藤さんに恥部の毛穴の一本一本まで見せてしまったのだ。
「いやね、哀香ちゃんが初めてセックスする瞬間が見たかったなって」
「あはは。そんな姿、知り合いに見せれるわけないじゃないですか。佐藤さんとは中途半端に仲良しになっちゃいましたし……」
──どうしても見たいなら録画してありますよ?
「今と恥ずかしさに変わらないと思うけどなぁ」
「全然違いますよー!」
今こうしている時でさえ、私は下半身丸出し。足を開いているから後ろから具はモロ。肛門も手で広げてしまっている。こんな私が何を言っても無駄かもしれない。
「今は、脱毛中ですし……佐藤さんはお仕事中ですから。なんとか恥ずかしさに耐えれてます」
「え? 僕だって男だし、哀香ちゃんみたいな美人な子がオ◯ンコとお尻を丸出しにしてて、なにも感じてないわけないよ?」
「え!?そうなんですか!?」
「うん。まあね」
「へー……。あ、えっと……照れちゃいますね。……どうしましょう。大丈夫だと思ってたのに……」
あからさまに動揺してみせた。
──やっぱりいやらしい目で見てたんだ……。
じつは薄々は気づいていた。だって、こんな異常な状況が成立するには相手の協力も必要なはずだから。だから私は「本性を表したかな?」っと冷静に思った。
──どうしよう……。襲われちゃうかな?
「うそ、うそだよ! もちろん、仕事中には思ってないから安心してね!」
「なーんだぁうそですか。びっくりしちゃいました。……って仕事中以外は思ってるんですか!?」
「それはまあ……。あはは、ごめんごめん」
「否定してくださいよ! もー!」
佐藤さんが笑って誤魔化した。私も笑って誤魔化された。ギャグ漫画みたいなやり取り。
「だってさ何回も哀香ちゃんのデリケートゾーンを脱毛してきたわけだし、愛着があるっていうか」
「もう! 勝手に愛着を持たないでください!」
私はお尻を見せつけてプリプリ揺らして怒った。
「……でもさ、本当に残念だな。哀香ちゃんみたいな可愛い子の初めてを奪えてたら一生の思い出になったのに。羨ましいよその男が」
「あはは。一生の思い出なんて、大袈裟ですよ」
「いや、男はそういうの忘れないもんだよ」
「そうなんですか?」
私だってあの衝撃的な処女喪失を忘れたわけじゃない。そういえば、男性は名前をつけて保存。女性は上書き保存って聞いた事がある。
私も思い出は大切にしておきたいタイプだけどなぁ……って思う。
「佐藤さんは当然、経験済みですよね? セックスを……」
「うん。まあね。娘もいるし」
「あ、娘さんいるんですよね。何歳なんですか?」
「今年で1◯歳かな。大学生だよ」
「……え? 私と同い年じゃないですか。そういえば佐藤さん、私のお父さんと同い年って言ってましたね」
「うん。だから哀香ちゃんを娘みたいに思ってたんだ。娘とこんな話できないから嬉しかったよ」
「私も……お父さんとこんな恥ずかしい話できません」
なんかこの話、この人と前もした気がする。デジャブ。
「なのに不思議です。お父さんと同い年の佐藤さんにこんな恥ずかしい格好を見せてるなんて」
「娘は絶対に見せてくれないだろうね」
「ですよね。あはは。私のお父さんって結構厳しい人なので、なんだか佐藤さんは仲良しお父さんって感じでホッとします」
「本当? なんだか嬉しいなぁ。家では娘には気持ち悪がられてるし」
「でも、娘さんだって、どうしても見せなきゃいけないって状況に追い込まれたら、見ず知らずの中年男性よりは、お父さんを選ぶと思います。 そんな状況があるかは分かりませんけど」
「そうかなぁ?」
「それが家族のつながりですよ」
なんの気もない会話だった。いい話風にまとめてしまった。私が下半身丸出しって状況が全てを台無しにしていた……。
「……」
「どうしました?」
佐藤さんが沈黙した。たまに彼は突然、黙り込む。
「あ、ごめん。なんか哀香ちゃんのお◯んこに僕の視線が吸い寄せられちゃった」
「もー!今日はなんだか、そういう冗談が多いですよ!」
私はプクッと頬を膨らませて怒ったふりをした。
「でも、これは脱毛治療なので、ノーカウントなんですかね?」
「そうだね。ノーカンだね」
「よかったですね。セクハラで訴えられなくて」
そうして私は尻たぶを両手で左右に開き、またアナルを見せつける。すると彼はまた私の肛門をツンっとつついた。また私はプリプリと怒った。
──そうこれはノーカウント……ただの医療行為だから……ノーカン……ノーカン……♡
彼の指でこちょこちょと愛撫されて、自然と腰が震えてしまう。
佐藤さんが恥部を念入りに確認している。穴の入り口が何度も開け閉めされて「うーんよく見えないなー」って声が何度も聞こえる。「ん? まてよ?」とか「なるほど、なるほど」とか考えている風の声が聞こえる。
何をそんなに確認するモノがあるんだろう?
──ここは肛門外来だったっけ? それとも泌尿器科?
全ては茶番劇。
私は笑いを堪えていた。この佐藤って人は、私が頭の悪い女の子を演じているのを利用して、平然とエッチなセクハラをしている。もちろん私が変態なのが悪いのだから、彼を責める気はない。いままでけっこう思わせぶりな発言や態度をして、彼の反応を楽しんでいた。
その結果、このギャグみたいな雰囲気が完成した。
──でも、この脱毛もあと何回かで終わりかぁ。
感慨深く思った。
次はどうやって見てもらおうかな?
これも私の露出活動の一つ。
「哀香ちゃん?」
「あっ……はい」
私は我に帰った。恥部をいじられながらぼーっとしてしまった。佐藤さんが何か言いたげにこちらを見ている。なんだろう? やけに真剣な目をしている。
「あ、あのー……もしよかったらなんだけど……おじさんに見せてくれないかな?」
「見せる? ってなんです。もう恥ずかしいところは見せちゃってますけど……」
「いや。まだ見せてないところがあるよね?」
「?」
彼は沈黙してから口を開いた。
「……哀香ちゃんの乳首」
佐藤さんがニヤリと笑った。
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