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15’悠莉処女喪失
73.選んだ男
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(悠莉視点)
「ねえ。悠莉、知ってる?」
「なに?」
「ある大学で行われた心理学の実験なんだけど……」
それは何気なく始まったある日の会話。哀香と普通に遊んで一緒にお茶したときの他愛もない雑談。
「えっとね『通りすがりの人に今からセックスしない?』ってお願いする実験」
「……は?」
唐突に哀香が口にした言葉に思わずぴくっと反応してしまった。くすっと笑った彼女が話を続ける。
「雰囲気とか関係なしにいきなり聞くの。どれぐらい成功するんだろう? ってそれを調べる実験。この実験の面白いところは男女によって成功率に大きな差がでたこと」
どういうことだろう? そんなお願いを誰も聞くわけがない。もし私が道端でそんなことを聞かれたら、そもそも立ち止まらないし、睨むか蹴りを入れるだろう。
ナンパだってもうちょっと言葉の量がある。言葉の薄っぺらさは同じくらいだけど。
「男性から女性にそのお願いをした場合の成功率はとても低かった。普通の容姿の人だとほぼ0%、イケメンの人でも3%しか成功しなかったの。性交だけに」
あたりまえの実験結果、3%でも多いくらいだ。面白くするためなのか哀香は容姿に似合わないくだらない冗談を言った。
「でもね。女性から男性にお願いする場合は全然違っていた。普通の容姿の人でも60%、美人の女性にいたっては80%の男性がYESと答えたの」
「そんなに?」
あまりの違いに驚いた。思いの外、面白いデータなのかもしれない。普通に驚いた。
「悠莉は、どう思う?」
「なにが?」
哀香は私の目を覗き込むようにじっと見つめた。
「この実験結果」
「……別に。やっぱり男って卑猥だなって。キモ」
「え、可哀想。お願いしただけなのに……。悠莉って男の人への当たり強いよね」
「当たり前でしょ。そんなお願いしてくるヤツ、絶対チャラいもん」
「もし悠莉がこのお願いを男性にして断られたら傷つくでしょ?」
「……そもそもするわけないでしょ!? 絶対に嫌!」
顔が熱くなった。想像した場面を振り払うように頭を振る。そんな場面は今後、絶対あり得ない! 仮に向こうから土下座で頼まれても「死ね」って言って蹴りを入れてやるつもり。私から男に『お願い』をする状況が起こるわけないのだ。絶対。天地がひっくり返っても。
なんで哀香はこんな話を始めたのだろう? って思って彼女を見ると、なぜかモジモジとしていた。恥ずかしそうに周りをチラチラしている。
「あのね。でもね……。私そういう命令されるの嫌いじゃないから、悠莉にいつでも命令してほしいなって思ってて。あの男性を誘惑してセックスしてこい!って言われて処女を失うのも悪くないかなって……成功率最低60%はあるから。だからあの約束忘れないでね?」
「……変態すぎない?」
私はドン引きした。
これは、哀香がまだ処女を失う前の話。
その時は、また彼女の悪趣味が始まったと思って適当に「はい、はい」と相槌をすると、いつのまにか話は流れて過去へ消えていった……。
はずだった。
でも、今。
私はその時の記憶が蘇っていた。
──どうしてこんなことになってしまったんだろう?
自分から男を誘ってセックスをする……。しかも……処女を……。
ハッとした。
私は変態。私は変態。私は変態。私は変態。私は変態。
正常な精神状態では耐えられないから必死に言い訳して、自分を騙そうとした。
強気にいけ。何も考えるな。
私が求めているのは『哀香を嫉妬させること』そのために男を利用するだけ。これからするセックス自体に深い意味なんてない。ない。たとえそれが処女でも……。
だから、呼び出した男にも深い意味があるわけじゃない。ただの道具だ!
ピンポーン!
と、インターフォンが鳴った。
心臓が飛び出すかと思った。
私がごちゃごちゃ考えながらワンルームの部屋を全裸で歩き回っていると、突然の音がした。
恐る恐るモニターを確認すると、その男が映っている。
なんで来たんだ! ってチッっと舌打ちをした。
……私が呼び出したからだった。
もう後戻りはできない。哀香が処女じゃなくなったあの瞬間、私の運命は確定してしまったのだ。
大丈夫。きっと大丈夫。
だって、高校生あたりから周りの友達や同級生が「ぜんぜん大したことなかったよー」とか「ちょっと痛いだけ」「すぐ終わっちゃた」とか、そんな経験談を話し始めていた。みんな当たり前にやっていること。
だから私も……。きっと大丈夫。
私は玄関に駆け出した。
勢いよくドアを開け放ち、男に向かって叫ぶ。
「遅い!!早く入れ!」
「うわぁ! 裸!」
間抜けな声で驚いた男をブチギレながら部屋に招き入れた。困惑する男の腕を引っ張りドアを閉めさせる。ガチャリと鍵を閉ざして余計な邪魔が入らないように密室を作った。
もう止まれない。全てを勢いに任せて押し切らなければダメだ。少しでもためらったら心が揺らぐ。
やりきらなければならない。事前に考えた計画どおりに……。
「……っ」
「……え?」
その男と目が合った。
私は今からこの男で処女を捨てる……。
***
「え? え? どういうこと!? 」
その男はドアが開いた瞬間、全裸の私を見て混乱していた。
「は、早く入れって言ってんの!」
男の毛むくじゃらで太い手を引っ張るとじっとりと汗で湿ってて、うげぇってなる。体重をかけているのに動かない。何キロあるんだろう。百キロはあると思う。腹がぽっこりと出てて、腕も足も丸太みたいに太い。
「……っ」
「……えっと……?」
困惑しながらもしっかりと私の恥ずかしい部分に視線が吸い込まれている。いじらしくていやらしい。
──またこいつに見られちゃった……。
「……ひ、久しぶりだね……ゆ、ゆうりちゃん」
男が私の名前を呼んだ。その唇がねっとりと噛み締めるように動いて、嫌悪感が全身を襲う。
「は? 名前おぼえてんのキモ」
「え、うん。そりゃぁ……あんなこと忘れられないよ」
私だってあれを忘れたわけじゃない。でも、この男が私の名前を憶えているなんて思わなかった。この男は……やま……おか? だ? 多分、山田? こいつに興味もなかったから記憶していない。
いずれにせよ私はこの男を知っていた。
こいつは配達員の男。去年の春このワンルームに荷物を届けに来た中年で小太りの男だ。すごくキモいだけでなんの変哲もないこいつをピンポイントで憶えている理由はかなり特殊。
かつて私と哀香はこいつに裸を見せつけた。
哀香が裸を見せたいって計画を立てて、それに付き合う形で私もこいつに全裸を晒した。……それに、見られるだけじゃなくて触るのを許してしまった。
今ならわかるけど、あの時、私は『哀香の胸を揉ませるために自分の胸を揉ませた』のだと思う。哀香を誘き寄せるために。
結局、この男を利用しただけ。
そして、今回もそう!
余計な関係値とか、余計な言葉はいらない。
──成功率60~80%
数字が頭に浮かんだ。
余計なことを考える前に本題に入ってしまおう。
「私とセックスしなさい!」
だから私は屈辱を押し殺して言葉をぶつけた。キッと男をにらむ。
──言っちゃった! 言っちゃった! 言っちゃった!
「……え!?」
男はわかりやすくギョッとした。
「な、なんで?」
「……し、したいから」
「え? いや、でも……え?……ご、ごめん、すごく気持ち悪い聞き間違いをしちゃったんだけど……シックス? ソックス?」
「顔だけじゃなくて耳まで悪いの? セックス!」
男は明らかに動揺していた。
「早く!」
私は男の手を両手で引いた。オドオドする男をワンルームの室内に連れ込むと、置かれたカメラに気づいたのかビクッとした。
「え? え? どういうこと?」
「罰ゲームなの。キモいおっさんとセックスしてハメ撮りするっていう……。証拠を撮らなきゃいけないの! だから仕方なくなの!」
「え? ええ!?」
「ほら、カメラの前で服脱いで。早く」
私は男に命令した。用意してきた嘘。さっさと納得しろ ってキレそう。
「あ、あの……ゆうりちゃん?」
「 な、なに? 気安く名前呼ばないでくれる?」
男が私の名前を呼んだ瞬間、全身に鳥肌が立った。気持ち悪い。吐き気がする。でも我慢しないと……。キレちゃダメだ。
「ご、ごめん。でも……最近の子ってエグい罰ゲームするんだね……えっと、その……本当にするの?」
「なに? 不満でもあるの? あんたなんかが?」
「そ、そういうわけじゃなくて! だって僕……ハゲたおっさんだし……ちょっと太ってるし……でも、ゆうりちゃんは若くて……美少女だし……。なんで僕なんかが選ばれたのかなって……」
「べ、別に誰でもよかっただけ。深い意味があってアンタを選んだわけじゃないから! 調子乗んな!」
それは本心だった。私が声を荒げると男はビクッとしてペコペコと謝りだす。「ごめん、ごめんねぇ」と。なんて無様な姿なのだろう。頭が禿げるのは仕方ないとしても、散らかすみたいな変な形で残すくらいなら、スキンヘッドにすればいいのに。それに太っているのは「ちょっと」じゃない「かなり」だ。それと私は意味もなく謝るヤツが大嫌い。あと熱くもないのに汗だくなのはなんで? 出汁でも絞ってんの?
──私は本当にこんなやつに処女を……?
油断すると絶望しそうになる。ダメダメダメダメダメダメ! 考えるな!
「それに……僕……その、童貞だし……」
「……アンタ何歳?」
つい聞いてしまった。
「今年で45歳……ゆ、ゆうりちゃんは?」
「1◯歳だけど……」
うげって思って正直に答えてしまった。見るからに童貞。こいつが年齢に見合わない子供ぽっさを醸し出すのはそのせいなのだろうか? 私だって処女だけどこいつよりは精神年齢が高い自信がある。(そういえばこいつ10年以上ひきこもってたって言ってたな……本当? 嘘でしょ?)
じつはこの男が童貞なのはすこし関係があった。
この1週間、誰で処女を捨てようかと考えていた。最初は哀香と同じ方法で、あの3人組を使おうかと思ったのだけど……、眠ったまま身体を自由にされるなんて怖ずぎるから嫌。そして、起きていたとしても私の処女を奪ったあいつらの得意げな顔なんて見たくなかった。初めてで勝手がわからないことをあいつらに教わるなんて私のプライドが許さない。
相手も初めてなら余計なことを思われなくて済む。今まで経験してきた女と比べられるとか最悪だ。
そう思って身近な「経験のない男」を考えたのだけど、知り合いなんてもってのほか。ネットとかアプリで探すなんて信用も確証もない。……じゃあどうする? って考えた時、この男の顔が浮かんでしまった。
1年前この男は聞いてもいないのに私に言った。
──「君みたいな美少女の裸を見れるなんて思わなかった。最近いいことなくって、中年童貞だし」と。
だから、こいつを使おう。そう思ったのだ。
こいつは道具こいつは道具こいつは道具こいつは道具こいつは道具こいつは道具こいつは道具。
頭の中を言葉で埋めて、自分が考えた最悪の計画を納得しようとする。
「さっさとアンタも脱ぎなさいよ!」
私は男の服を引っ張った。
「ほ、本気なの?」
男はこの後に及んでもぐだぐだして、オロオロしていたけど、こいつの事情なんて私は知ったこっちゃない。道具のくせに生意気だ。
私は有無を言わさずカメラの録画を開始した。
賽は投げられた。私の処女喪失が始まる……。
***
「早く抱いて」
自らの運命を男に委ね、だらんと腕を下げた。考えないようにしていたけど私は全裸だった。
「……っ」
とんでもないことをしているってことぐらいわかっている。
男はゴクリと生唾を飲み込むと、私の身体を舐め回すように見た。乳首、へそ、下腹部。そして貞操へ……視線が移動する。私はその視線を敏感に感じ取ってしまって、身体が熱くなり、じわっと汗が出てきた。
「……あ、あの……ゆうりちゃん? 本当にいいの?」
「い、いいから!早くして!」
何度も同じことを言わせるなってブチ切れそうになる。頭悪そうだし考えても無駄なんだから、そのオスの本能にしたがって私の要求に従えばいいのに。
鼻息の荒い男、見るからに私の裸に興奮している。それに、さっきからズボンを押し上げるもっこりとした膨らみが……チラチラ視界に映り込む。見たくないのに見てしまう。ゴキブリみたいだって思った。もし目を離して見失ってしまったら、ここで確実に仕留めなければ、気持ち悪い生物の存在を認識したまま一夜を過ごすことになってしまう。寝ているうちに身体を這いまわられたら……
ガッっと肩を掴まれた。
「きゃっ」
ビクッとして身構えてしまう。押し倒される! と思ったから甲高い声をもらしてしまった。ぎゅっと目をつぶって恥ずかしさと痛みにそなえる。
「ゆうりちゃん……」
男のねっとりとした声が聞こえて、肩にかかっていた手からじっとりとした湿り気を感じた。ぷーんと匂いが漂う。緊張状態によるストレス臭。くさい。
でも臭いだけで何も起こらない。
──押し倒されない……?
って思って、おそるおそる目を開けると、男が真剣な目で見つめていた。思わず見つめ合ってしまう。お互いにごくりと唾を飲み込んだ。そして、男の口が開く。
「君はもっと自分の身体を大切にしたほうがいい!!」
「は?」
予想外の言葉をかけられた。
「そんな身体を安売りしちゃだめだよ! いくら罰ゲームでもこんなことしちゃダメだ!」
男は悲痛の表情をしている。私の肩を握る手に力がこもる……強く握られて痛い。
──は?
え? もしかして私……説教されてる? え?
男はまだなにかぐちぐち言ってるけれど、何も聞こえなくなっていた。
ま、まさか誘いを断るつもりなの……? こんなヤツが? 童貞なのに? なんで私が説教されてるの!? こいつなんでまともなこと言ってるの!?
──え? どうしよう……?
それが私の思った素直な気持ちだった。正直言って断られるなんて思ってなかったから、本心から動揺してしまった。
「ご、ごめんね……でも君はまだ若いしこれからの人だから……こんなことしちゃ……」
男は憐れみながら私に説教を続けていた。
なんで? なんでなんで!? と、私はパニックになっていた。こんなはずじゃなかったって言葉が頭の中をぐるぐると回る。
──え? なにこれ? なんで私こいつとセックスできないの!? おかしいでしょ!?
焦って考えがまとまらない。どうしようって思いで頭がいっぱいになる。
あ、そういえば私……1人で露出活動するの初めてだ……。
ふと気づいた。
今までは隣に哀香がいたから、予想外の自体が起こっても彼女がなんとかしてくれるって安心感があった。でも私は露出狂でもないし、おっさんフェチでもない。
え? え? どうしよう? 別な男を探す? また誘惑して?
──そんなの無理っ!
心臓がバクバクする。身体が震えて、完全にパニックになっていた。
だってそんなのありえないから! 絶対無理だから!!
「あ、あの……ゆうりちゃん?」
男が不思議そうに私の顔をのぞき込んだ。
──ダメだ。こいつとセックスしないとダメだ。絶対こいつとセックスする!
私は完全におかしくなっていた。
無自覚に男の手を掴んで、自らの胸に導いた。膨らみと突起の感触に男がギョッとする。
「い、いいから……セックスして」
「いや……でも……」
「もう決めたの」
「……」
男は私の目を見て本気度を悟ったのか、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
何か言わなきゃと思った。
「本当は罰ゲームなんて嘘なの。本当は……アンタに抱かれたかったの……。去年、私の小さい胸で感動してくれて嬉しくてドキドキしたから。あれからアンタの顔が忘れられなくて……。えっとね、恥ずかしいんだけど……アンタのこと考えて何度もオナニーしちゃたから……。気持ちに気づいたの。あ、もしかしてアンタのこと好きなのかもって。だから、私の処女もらってほしいなって思って。でも素直になれなくて……だから罰ゲームってことにしてセックスしようって……好きなの……アンタのことが。一目惚れなの! 処女を捧げたいの!」
あれ? あれ? 何言ってんだ私? 自分の口から次々に溢れる嘘っぱちに自分でも意味がわからない。『罰ゲーム』っていう理由づけが断られた原因だと思って、その場で軌道修正を図ろうとした結果、嘘に嘘を重ねる結果になってしまった。
「ええ? 処女なの!?」
男が驚きに満ちた声を発した。ちなみに私が処女(男相手)だっていうは本当の事実。それだけは……。
動揺で震えた声、屈辱で潤んだ瞳。もしかしたら、それが私の言葉に真実味を持たせてしまったのかもしれない。
そして、男の意思が揺らいだのを感じ取った私の無意識が、勝手にとどめの言葉を口にする。
「……私じゃダメなの?」
か弱い女を装って首を傾げた。
うっと後ずさった男は少し考え込んでから、絞り出すような声を出した。
「……嬉しいよ。君みたいな美少女にそんなこと言ってもらえるなんて……本当に僕なんかでいいの?」
──いいわけないだろ! は? もしかして騙された? その気になったの!? やっぱり男ってバカばっか!
「う、うん。あなたに抱かれたいの……」
顔を熱くして俯く私。
──なんだこれ? なんだこれ? なんだこれ?
「じゃ、じゃあ……しようか?」
「うれしい」
──は? は? は? はぁ?
「童貞だけどいい……?」
「私も処女だから……そのほうが安心する」
──何言ってる? 何言ってる? 何言ってる?
人間っていうのは混乱すると自分でも思ってもいないことを口にする。こんなのが本心であるはずがない。デスゲームで参加者を追い込んで「人間の本性が知りたい」っていう頭のおかしい殺人鬼の主催者みたいなもの。人間は冷静な判断力を失うことがある。そんな状態で正常な判断はできない。自分自身の本性なんてわからないほうがいいんだから。
なのに当初の目的を達成しようとしているのは……なんで!?
そもそもの考えが異常だったのだ。出発点から間違っていた。
『男とセックスして哀香を嫉妬させてやろう』って考えが。私は自分で仕掛けたゲームに自分で嵌ってしまった。
深淵を覗こうとする時、深淵もまたこちらをのぞいているのだから。変態を覗く時、変態もまた見られて喜んでいる。……哀香。
──哀香たすけて。
心の中で何を思っても誰も察してはくれない。
「じゃ、じゃあ……い、いいよね……?」
男の目線が私の瞳から少しだけ下がった。不器用に唇を尖らせて、顔を近づけてくる。
「あ、あの……キスしていいかな?」
「…… あ、うん」
──は? なんで私、受け入れてんの? やっぱり嫌っ! キモい! ダメ!
ぶちゅ……。
でも男は私の肩を抱き寄せて、唇を奪った。
「ん……♡」
その日、私は男とのファーストキスをした。
「ねえ。悠莉、知ってる?」
「なに?」
「ある大学で行われた心理学の実験なんだけど……」
それは何気なく始まったある日の会話。哀香と普通に遊んで一緒にお茶したときの他愛もない雑談。
「えっとね『通りすがりの人に今からセックスしない?』ってお願いする実験」
「……は?」
唐突に哀香が口にした言葉に思わずぴくっと反応してしまった。くすっと笑った彼女が話を続ける。
「雰囲気とか関係なしにいきなり聞くの。どれぐらい成功するんだろう? ってそれを調べる実験。この実験の面白いところは男女によって成功率に大きな差がでたこと」
どういうことだろう? そんなお願いを誰も聞くわけがない。もし私が道端でそんなことを聞かれたら、そもそも立ち止まらないし、睨むか蹴りを入れるだろう。
ナンパだってもうちょっと言葉の量がある。言葉の薄っぺらさは同じくらいだけど。
「男性から女性にそのお願いをした場合の成功率はとても低かった。普通の容姿の人だとほぼ0%、イケメンの人でも3%しか成功しなかったの。性交だけに」
あたりまえの実験結果、3%でも多いくらいだ。面白くするためなのか哀香は容姿に似合わないくだらない冗談を言った。
「でもね。女性から男性にお願いする場合は全然違っていた。普通の容姿の人でも60%、美人の女性にいたっては80%の男性がYESと答えたの」
「そんなに?」
あまりの違いに驚いた。思いの外、面白いデータなのかもしれない。普通に驚いた。
「悠莉は、どう思う?」
「なにが?」
哀香は私の目を覗き込むようにじっと見つめた。
「この実験結果」
「……別に。やっぱり男って卑猥だなって。キモ」
「え、可哀想。お願いしただけなのに……。悠莉って男の人への当たり強いよね」
「当たり前でしょ。そんなお願いしてくるヤツ、絶対チャラいもん」
「もし悠莉がこのお願いを男性にして断られたら傷つくでしょ?」
「……そもそもするわけないでしょ!? 絶対に嫌!」
顔が熱くなった。想像した場面を振り払うように頭を振る。そんな場面は今後、絶対あり得ない! 仮に向こうから土下座で頼まれても「死ね」って言って蹴りを入れてやるつもり。私から男に『お願い』をする状況が起こるわけないのだ。絶対。天地がひっくり返っても。
なんで哀香はこんな話を始めたのだろう? って思って彼女を見ると、なぜかモジモジとしていた。恥ずかしそうに周りをチラチラしている。
「あのね。でもね……。私そういう命令されるの嫌いじゃないから、悠莉にいつでも命令してほしいなって思ってて。あの男性を誘惑してセックスしてこい!って言われて処女を失うのも悪くないかなって……成功率最低60%はあるから。だからあの約束忘れないでね?」
「……変態すぎない?」
私はドン引きした。
これは、哀香がまだ処女を失う前の話。
その時は、また彼女の悪趣味が始まったと思って適当に「はい、はい」と相槌をすると、いつのまにか話は流れて過去へ消えていった……。
はずだった。
でも、今。
私はその時の記憶が蘇っていた。
──どうしてこんなことになってしまったんだろう?
自分から男を誘ってセックスをする……。しかも……処女を……。
ハッとした。
私は変態。私は変態。私は変態。私は変態。私は変態。
正常な精神状態では耐えられないから必死に言い訳して、自分を騙そうとした。
強気にいけ。何も考えるな。
私が求めているのは『哀香を嫉妬させること』そのために男を利用するだけ。これからするセックス自体に深い意味なんてない。ない。たとえそれが処女でも……。
だから、呼び出した男にも深い意味があるわけじゃない。ただの道具だ!
ピンポーン!
と、インターフォンが鳴った。
心臓が飛び出すかと思った。
私がごちゃごちゃ考えながらワンルームの部屋を全裸で歩き回っていると、突然の音がした。
恐る恐るモニターを確認すると、その男が映っている。
なんで来たんだ! ってチッっと舌打ちをした。
……私が呼び出したからだった。
もう後戻りはできない。哀香が処女じゃなくなったあの瞬間、私の運命は確定してしまったのだ。
大丈夫。きっと大丈夫。
だって、高校生あたりから周りの友達や同級生が「ぜんぜん大したことなかったよー」とか「ちょっと痛いだけ」「すぐ終わっちゃた」とか、そんな経験談を話し始めていた。みんな当たり前にやっていること。
だから私も……。きっと大丈夫。
私は玄関に駆け出した。
勢いよくドアを開け放ち、男に向かって叫ぶ。
「遅い!!早く入れ!」
「うわぁ! 裸!」
間抜けな声で驚いた男をブチギレながら部屋に招き入れた。困惑する男の腕を引っ張りドアを閉めさせる。ガチャリと鍵を閉ざして余計な邪魔が入らないように密室を作った。
もう止まれない。全てを勢いに任せて押し切らなければダメだ。少しでもためらったら心が揺らぐ。
やりきらなければならない。事前に考えた計画どおりに……。
「……っ」
「……え?」
その男と目が合った。
私は今からこの男で処女を捨てる……。
***
「え? え? どういうこと!? 」
その男はドアが開いた瞬間、全裸の私を見て混乱していた。
「は、早く入れって言ってんの!」
男の毛むくじゃらで太い手を引っ張るとじっとりと汗で湿ってて、うげぇってなる。体重をかけているのに動かない。何キロあるんだろう。百キロはあると思う。腹がぽっこりと出てて、腕も足も丸太みたいに太い。
「……っ」
「……えっと……?」
困惑しながらもしっかりと私の恥ずかしい部分に視線が吸い込まれている。いじらしくていやらしい。
──またこいつに見られちゃった……。
「……ひ、久しぶりだね……ゆ、ゆうりちゃん」
男が私の名前を呼んだ。その唇がねっとりと噛み締めるように動いて、嫌悪感が全身を襲う。
「は? 名前おぼえてんのキモ」
「え、うん。そりゃぁ……あんなこと忘れられないよ」
私だってあれを忘れたわけじゃない。でも、この男が私の名前を憶えているなんて思わなかった。この男は……やま……おか? だ? 多分、山田? こいつに興味もなかったから記憶していない。
いずれにせよ私はこの男を知っていた。
こいつは配達員の男。去年の春このワンルームに荷物を届けに来た中年で小太りの男だ。すごくキモいだけでなんの変哲もないこいつをピンポイントで憶えている理由はかなり特殊。
かつて私と哀香はこいつに裸を見せつけた。
哀香が裸を見せたいって計画を立てて、それに付き合う形で私もこいつに全裸を晒した。……それに、見られるだけじゃなくて触るのを許してしまった。
今ならわかるけど、あの時、私は『哀香の胸を揉ませるために自分の胸を揉ませた』のだと思う。哀香を誘き寄せるために。
結局、この男を利用しただけ。
そして、今回もそう!
余計な関係値とか、余計な言葉はいらない。
──成功率60~80%
数字が頭に浮かんだ。
余計なことを考える前に本題に入ってしまおう。
「私とセックスしなさい!」
だから私は屈辱を押し殺して言葉をぶつけた。キッと男をにらむ。
──言っちゃった! 言っちゃった! 言っちゃった!
「……え!?」
男はわかりやすくギョッとした。
「な、なんで?」
「……し、したいから」
「え? いや、でも……え?……ご、ごめん、すごく気持ち悪い聞き間違いをしちゃったんだけど……シックス? ソックス?」
「顔だけじゃなくて耳まで悪いの? セックス!」
男は明らかに動揺していた。
「早く!」
私は男の手を両手で引いた。オドオドする男をワンルームの室内に連れ込むと、置かれたカメラに気づいたのかビクッとした。
「え? え? どういうこと?」
「罰ゲームなの。キモいおっさんとセックスしてハメ撮りするっていう……。証拠を撮らなきゃいけないの! だから仕方なくなの!」
「え? ええ!?」
「ほら、カメラの前で服脱いで。早く」
私は男に命令した。用意してきた嘘。さっさと納得しろ ってキレそう。
「あ、あの……ゆうりちゃん?」
「 な、なに? 気安く名前呼ばないでくれる?」
男が私の名前を呼んだ瞬間、全身に鳥肌が立った。気持ち悪い。吐き気がする。でも我慢しないと……。キレちゃダメだ。
「ご、ごめん。でも……最近の子ってエグい罰ゲームするんだね……えっと、その……本当にするの?」
「なに? 不満でもあるの? あんたなんかが?」
「そ、そういうわけじゃなくて! だって僕……ハゲたおっさんだし……ちょっと太ってるし……でも、ゆうりちゃんは若くて……美少女だし……。なんで僕なんかが選ばれたのかなって……」
「べ、別に誰でもよかっただけ。深い意味があってアンタを選んだわけじゃないから! 調子乗んな!」
それは本心だった。私が声を荒げると男はビクッとしてペコペコと謝りだす。「ごめん、ごめんねぇ」と。なんて無様な姿なのだろう。頭が禿げるのは仕方ないとしても、散らかすみたいな変な形で残すくらいなら、スキンヘッドにすればいいのに。それに太っているのは「ちょっと」じゃない「かなり」だ。それと私は意味もなく謝るヤツが大嫌い。あと熱くもないのに汗だくなのはなんで? 出汁でも絞ってんの?
──私は本当にこんなやつに処女を……?
油断すると絶望しそうになる。ダメダメダメダメダメダメ! 考えるな!
「それに……僕……その、童貞だし……」
「……アンタ何歳?」
つい聞いてしまった。
「今年で45歳……ゆ、ゆうりちゃんは?」
「1◯歳だけど……」
うげって思って正直に答えてしまった。見るからに童貞。こいつが年齢に見合わない子供ぽっさを醸し出すのはそのせいなのだろうか? 私だって処女だけどこいつよりは精神年齢が高い自信がある。(そういえばこいつ10年以上ひきこもってたって言ってたな……本当? 嘘でしょ?)
じつはこの男が童貞なのはすこし関係があった。
この1週間、誰で処女を捨てようかと考えていた。最初は哀香と同じ方法で、あの3人組を使おうかと思ったのだけど……、眠ったまま身体を自由にされるなんて怖ずぎるから嫌。そして、起きていたとしても私の処女を奪ったあいつらの得意げな顔なんて見たくなかった。初めてで勝手がわからないことをあいつらに教わるなんて私のプライドが許さない。
相手も初めてなら余計なことを思われなくて済む。今まで経験してきた女と比べられるとか最悪だ。
そう思って身近な「経験のない男」を考えたのだけど、知り合いなんてもってのほか。ネットとかアプリで探すなんて信用も確証もない。……じゃあどうする? って考えた時、この男の顔が浮かんでしまった。
1年前この男は聞いてもいないのに私に言った。
──「君みたいな美少女の裸を見れるなんて思わなかった。最近いいことなくって、中年童貞だし」と。
だから、こいつを使おう。そう思ったのだ。
こいつは道具こいつは道具こいつは道具こいつは道具こいつは道具こいつは道具こいつは道具。
頭の中を言葉で埋めて、自分が考えた最悪の計画を納得しようとする。
「さっさとアンタも脱ぎなさいよ!」
私は男の服を引っ張った。
「ほ、本気なの?」
男はこの後に及んでもぐだぐだして、オロオロしていたけど、こいつの事情なんて私は知ったこっちゃない。道具のくせに生意気だ。
私は有無を言わさずカメラの録画を開始した。
賽は投げられた。私の処女喪失が始まる……。
***
「早く抱いて」
自らの運命を男に委ね、だらんと腕を下げた。考えないようにしていたけど私は全裸だった。
「……っ」
とんでもないことをしているってことぐらいわかっている。
男はゴクリと生唾を飲み込むと、私の身体を舐め回すように見た。乳首、へそ、下腹部。そして貞操へ……視線が移動する。私はその視線を敏感に感じ取ってしまって、身体が熱くなり、じわっと汗が出てきた。
「……あ、あの……ゆうりちゃん? 本当にいいの?」
「い、いいから!早くして!」
何度も同じことを言わせるなってブチ切れそうになる。頭悪そうだし考えても無駄なんだから、そのオスの本能にしたがって私の要求に従えばいいのに。
鼻息の荒い男、見るからに私の裸に興奮している。それに、さっきからズボンを押し上げるもっこりとした膨らみが……チラチラ視界に映り込む。見たくないのに見てしまう。ゴキブリみたいだって思った。もし目を離して見失ってしまったら、ここで確実に仕留めなければ、気持ち悪い生物の存在を認識したまま一夜を過ごすことになってしまう。寝ているうちに身体を這いまわられたら……
ガッっと肩を掴まれた。
「きゃっ」
ビクッとして身構えてしまう。押し倒される! と思ったから甲高い声をもらしてしまった。ぎゅっと目をつぶって恥ずかしさと痛みにそなえる。
「ゆうりちゃん……」
男のねっとりとした声が聞こえて、肩にかかっていた手からじっとりとした湿り気を感じた。ぷーんと匂いが漂う。緊張状態によるストレス臭。くさい。
でも臭いだけで何も起こらない。
──押し倒されない……?
って思って、おそるおそる目を開けると、男が真剣な目で見つめていた。思わず見つめ合ってしまう。お互いにごくりと唾を飲み込んだ。そして、男の口が開く。
「君はもっと自分の身体を大切にしたほうがいい!!」
「は?」
予想外の言葉をかけられた。
「そんな身体を安売りしちゃだめだよ! いくら罰ゲームでもこんなことしちゃダメだ!」
男は悲痛の表情をしている。私の肩を握る手に力がこもる……強く握られて痛い。
──は?
え? もしかして私……説教されてる? え?
男はまだなにかぐちぐち言ってるけれど、何も聞こえなくなっていた。
ま、まさか誘いを断るつもりなの……? こんなヤツが? 童貞なのに? なんで私が説教されてるの!? こいつなんでまともなこと言ってるの!?
──え? どうしよう……?
それが私の思った素直な気持ちだった。正直言って断られるなんて思ってなかったから、本心から動揺してしまった。
「ご、ごめんね……でも君はまだ若いしこれからの人だから……こんなことしちゃ……」
男は憐れみながら私に説教を続けていた。
なんで? なんでなんで!? と、私はパニックになっていた。こんなはずじゃなかったって言葉が頭の中をぐるぐると回る。
──え? なにこれ? なんで私こいつとセックスできないの!? おかしいでしょ!?
焦って考えがまとまらない。どうしようって思いで頭がいっぱいになる。
あ、そういえば私……1人で露出活動するの初めてだ……。
ふと気づいた。
今までは隣に哀香がいたから、予想外の自体が起こっても彼女がなんとかしてくれるって安心感があった。でも私は露出狂でもないし、おっさんフェチでもない。
え? え? どうしよう? 別な男を探す? また誘惑して?
──そんなの無理っ!
心臓がバクバクする。身体が震えて、完全にパニックになっていた。
だってそんなのありえないから! 絶対無理だから!!
「あ、あの……ゆうりちゃん?」
男が不思議そうに私の顔をのぞき込んだ。
──ダメだ。こいつとセックスしないとダメだ。絶対こいつとセックスする!
私は完全におかしくなっていた。
無自覚に男の手を掴んで、自らの胸に導いた。膨らみと突起の感触に男がギョッとする。
「い、いいから……セックスして」
「いや……でも……」
「もう決めたの」
「……」
男は私の目を見て本気度を悟ったのか、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
何か言わなきゃと思った。
「本当は罰ゲームなんて嘘なの。本当は……アンタに抱かれたかったの……。去年、私の小さい胸で感動してくれて嬉しくてドキドキしたから。あれからアンタの顔が忘れられなくて……。えっとね、恥ずかしいんだけど……アンタのこと考えて何度もオナニーしちゃたから……。気持ちに気づいたの。あ、もしかしてアンタのこと好きなのかもって。だから、私の処女もらってほしいなって思って。でも素直になれなくて……だから罰ゲームってことにしてセックスしようって……好きなの……アンタのことが。一目惚れなの! 処女を捧げたいの!」
あれ? あれ? 何言ってんだ私? 自分の口から次々に溢れる嘘っぱちに自分でも意味がわからない。『罰ゲーム』っていう理由づけが断られた原因だと思って、その場で軌道修正を図ろうとした結果、嘘に嘘を重ねる結果になってしまった。
「ええ? 処女なの!?」
男が驚きに満ちた声を発した。ちなみに私が処女(男相手)だっていうは本当の事実。それだけは……。
動揺で震えた声、屈辱で潤んだ瞳。もしかしたら、それが私の言葉に真実味を持たせてしまったのかもしれない。
そして、男の意思が揺らいだのを感じ取った私の無意識が、勝手にとどめの言葉を口にする。
「……私じゃダメなの?」
か弱い女を装って首を傾げた。
うっと後ずさった男は少し考え込んでから、絞り出すような声を出した。
「……嬉しいよ。君みたいな美少女にそんなこと言ってもらえるなんて……本当に僕なんかでいいの?」
──いいわけないだろ! は? もしかして騙された? その気になったの!? やっぱり男ってバカばっか!
「う、うん。あなたに抱かれたいの……」
顔を熱くして俯く私。
──なんだこれ? なんだこれ? なんだこれ?
「じゃ、じゃあ……しようか?」
「うれしい」
──は? は? は? はぁ?
「童貞だけどいい……?」
「私も処女だから……そのほうが安心する」
──何言ってる? 何言ってる? 何言ってる?
人間っていうのは混乱すると自分でも思ってもいないことを口にする。こんなのが本心であるはずがない。デスゲームで参加者を追い込んで「人間の本性が知りたい」っていう頭のおかしい殺人鬼の主催者みたいなもの。人間は冷静な判断力を失うことがある。そんな状態で正常な判断はできない。自分自身の本性なんてわからないほうがいいんだから。
なのに当初の目的を達成しようとしているのは……なんで!?
そもそもの考えが異常だったのだ。出発点から間違っていた。
『男とセックスして哀香を嫉妬させてやろう』って考えが。私は自分で仕掛けたゲームに自分で嵌ってしまった。
深淵を覗こうとする時、深淵もまたこちらをのぞいているのだから。変態を覗く時、変態もまた見られて喜んでいる。……哀香。
──哀香たすけて。
心の中で何を思っても誰も察してはくれない。
「じゃ、じゃあ……い、いいよね……?」
男の目線が私の瞳から少しだけ下がった。不器用に唇を尖らせて、顔を近づけてくる。
「あ、あの……キスしていいかな?」
「…… あ、うん」
──は? なんで私、受け入れてんの? やっぱり嫌っ! キモい! ダメ!
ぶちゅ……。
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「ん……♡」
その日、私は男とのファーストキスをした。
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