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間話 2’
63.あのときあれから(全裸イラスト18枚)
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(ある男子大学生の視点)
15分のインターバル後。
「再開します」
講師の男がそう言って、休憩を終えた哀香さんが教室に戻ってきた。
前回は全裸でこの部屋に入ってきた彼女だったけれど、今回はバスローブを羽織って裸体を隠していた。
しかし男が「お願いします」と声をかけると、すぐに彼女はバスローブを脱がなければならなくなった。実質「大勢の前で全裸になれ」って命令だったけど、ヌードモデルという業務だから仕方ない。
「は、はい」
指示された哀香さんはためらいながら、バスローブの腰紐をハラリと解いた。
この気持ちをなんて言えばいいんだろう?
目の前でバスローブを脱ごうとしているその姿に欲情を煽られた。彼女の全裸はさっきも堪能したはずなのに、はだける様子を見たくて仕方ない。脱ぐ瞬間が見たくてたまらない。
あっけなく僕の期待は叶った。
バスローブは簡単に左右に開かれた。
再び彼女の純白の肌が晒され、乳首から下半身の恥部まで隠すことなく晒してくれた。バスローブは男に明け渡された。
いまだに恥ずかしそうにしている彼女だけれど、上目遣いで周りを伺う余裕が生まれていた。
前半戦を経て少しは慣れたのだろうか?
「君、ヌードデッサンは初めて?」
オーナーと呼ばれている男が全裸の哀香さんに話しかけた。
「えっと……その。は、はい」
「大丈夫だよ。リラックスして力抜いてごらん?」
「ありがとうございます。私……男の人の前で服を脱いだのも今日が初めてで、すごく緊張してて……でも、頑張るのでよろしくお願いします……」
「そうなんだ。えらいね。なんで今日は来てくれたの? 恥ずかしかったんでしょ?」
「えっと、モデルをやれって言われて……でもヌードだなんて聞いてなくて驚いたんですけど……でも迷惑かけたくなかったので……脱ぎました。すごく恥ずかしいです……でもお仕事なので」
「え、そうなの? 悠莉ちゃんの代打で来たんだよね? ヌードって伝えた気がするけどなぁ」
「え? そんなこと一言も……。でも、ここまで来ちゃったので私……やります。もう脱いじゃったので」
哀香さんは健気だった。バスローブを脱いで全裸になったのに、恥ずかしいところを隠さずに男の質問に答えていた。男がニチャニチャと股間を見ながら話していたというのに。
── 今日が初めてだったんだ。
僕はその事実に驚いた。どうりであんなに可哀なくらい恥ずかしがっていたんだ。二人の話を聞いて納得した。
大勢の前で全裸になるっていう大変なことを一生懸命やろうとしている彼女に尊敬の気持ちを抱く。
それに今まで誰にも見せていなかったものを僕が初めて見れたんだ、という優越感も一緒に湧き上がってきた。もちろん僕一人だけじゃなくて、この場にいる十数人の男たちの一人という意味でだけれど。
僕たちは哀香さんの初めてのヌードモデルの立会人なのだ。
「では、そろそろ続きを……ポーズは先ほどと同じで」
講師の男が咳払いをして、哀香さんとオーナーとの会話を打ち切ろうとした。
「あーちょっと待って。せっかく来てくれたのに同じポーズじゃ退屈だよね。君もそう思うでしょ?」
だけど男は認めず、哀香さんの乳首を見ながら首を傾げた。
「え? そんなことは……」
「退屈でしょ?」
「あ……は、はい」
「ほら。彼女もこう言っていることだし、いろんなポーズを取らせてあげようよ。初めてなんだし色々経験させてあげなくちゃ」
オーナーの男は講師の男に同意を求めた。
僕は少し嫌な予感がした。男の態度は初めてなのを気づかうのではなく、利用しようとしているように思えたのだ。そんな僕の不安なんて彼らは気にすることなく話を進めていく。
「はあ。では10分ごとにポーズを変えていきましょうか。速度重視で数をこなしましょう」
講師の男が面倒そうに答えた。周りの中年男たちもそれに同意して色めき立つ。
「え、えっと……」
哀香さんは不安そうな表情を浮かべている。話し合いは彼女と関係のないところで行われていた。
卑怯な連中だと思った。おそらく彼女が大人しくて真面目でハッキリと断るのが苦手なタイプの人間だと見抜いてゴリ押ししようとしているのだ。
「わ、わかりました……」
彼女は明確に否定しなかった。出来なかったのだろう。
僕にはその気持ちがよく分かった。僕も同じタイプの人間だから。
「……」
しかし彼女に同情しながら何も言わない僕はこいつらと同じ卑怯者なのだろう。
「じゃあ、まずは前屈みになって」
「……はい」
指示はこれからオーナーの男が出すことになった。哀香さんは恥ずかしがりながらも大人しく従う。
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彼女が全裸のまま膝に手を置いて前屈みになると、やわらかくて重そうな乳房が重力で垂れ下がり、腕に挟まれて強調された。重力に抗うようにピンッと上を向うとする乳首がいじらしい。
友人が高速で鉛筆を動かした。
それを横目に僕は哀香さんに釘付けだった。僕はもう真面目を装うのをやめていた。目のやり場に困ったりなんかしない。ただ純粋に彼女の乳首を凝視した。
こんな美少女の裸を見ないなんて逆に失礼に決まっている。
もはや真面目にデッサンをしているのは講師の男と友人だけだった。
大勢の視線に恥じらう哀香さんに僕は生唾を飲み込む。なんて美しいんだろう? やっぱりこれは芸術だ。
あっという間に、10分がたった。
「次は、尻を見せてくれる?」
「お尻ですか……は、はい」
男が言って、彼女は従う。
立ったままこちらに背中を向けてくれた。
その白い桃はハリがあって僕の視線を釘付けにする。女の子のパンツでさえ昨日までリアルに見たこともなかったのに……生尻で、尻の割れ目まで丸見えで、哀香さんで、横乳も魅惑的で、乳首もツンと天井を向いている。
くらくらした。
「そのまま壁に手をついて」
「……はい」
すぐに次の指示がされた。哀香さんは少し戸惑ったけど、逆らうことができないようにこくりと頷く。
彼女が壁に手をつくとそのお尻が突き出され、強調されて、その柔らかそうな曲線に視線が集まる。
「あ、……っ」
一瞬、肉付きのいい太ももの付け根からチラッとナニかが見えた。でもすぐに足が閉じられてキュッとお尻が締められる。彼女は見せてはいけない内側に気づいたのだろう。
その恥じらいが可愛かった。
そして、僕はそのお尻を10分間鑑賞した。
「じゃあ、次は……」
男が口をひらく。
周りの男たちもニヤニヤと期待のこもった眼差しで見つめている。僕も自分のいやらしい感情に従ってワクワクしていた。
言いなりになって全裸でポーズをとる哀香さん。
それに気をよくした男は口元がニヤついていた。無理もない。彼女のような美少女が男の操り人形になっているのだから。
しかし、調子に乗った男は、とんでもないことを口にした。
「次は、お尻を拡げてみよっか」
その言葉に哀香さんはビクッと硬直した。あまりにも常軌を逸した言葉に僕もおもわず目を見開く。
「え……そんな」
「ん? どうしたの? できないの?」
「あ、当たり前です……そんなことしたら見えちゃいます……」
「なにが?」
「なにがって……あの、お尻の……穴とかまで……」
「うん。それを見せて欲しいんだけど」
「え、あ、あの……流石にそれは恥ずかし過ぎます……」
「なんで?」
「な、なんでって……そんなところ誰にも見せたことないですし……」
「もう裸は見せちゃってるよね。それにお尻の穴だから大丈夫だよ?」
「だ、大丈夫って……なにがですか……」
「だって性器を見せろって言ってる訳じゃないからね。お尻の穴は排泄器官であって性器じゃないから、アダルトビデオとかでもモザイクは必要ないんだよ。だから大丈夫」
「え」
哀香さんが絶句する。僕は周りの男たちと息を飲んだ。オーナーという名のこの場の支配者の言葉は、まるで悪質な冗談のようで、現実味のない言葉を当たり前のように口にしている男にゾッとした。
「それに今回のヌードデッサンは仕事だよ? 裸を見せるのが君の仕事なんだから、出来ないなんて……おかしいよね? ヌードモデルの人のことバカにしてるの? 大変な仕事なんだよ?」
やさしく諭すような声色だったのに、突然、厳しく責めるような口調に男は変わっていた。緩急をつけるような男の口撃に彼女はひるんでしまう。
「バカにだなんてしてません……ごめんなさい」
哀香さんがかわいそうだと思った。なんて悪趣味なんだろうとも思った。すごく恥ずかしいのに全裸を見せてくれている彼女に追い討ちをかけるようなその言葉に怒りを覚える。
でも、同時に僕は期待していた。
周りの男たちも戸惑っていたけど、少しずつ興味が勝り始めたのか、彼女の尻の割れ目に視線が集中している。
みんな期待している。あの美しい曲線がどんな風に歪むのか見てみたい。その奥に何があるのか確かめたい。
その好奇心に誰も勝てなかった。
「じゃあ、できるよね? やっぱりバカにしてるの?」
男が言って、僕たちは一斉に彼女に厳しい眼差しを向けた。見せるのが当然のことだと言わんばかりの最低の視線。無言の圧力。
「「「「「「……」」」」」」
「うぅ」
涙目になってオロオロした彼女はやがて部屋中の視線に屈して、言ってはいけないことを言った。
「は、はい。み、見せます……」
僕は哀香さんが心配になった。どう考えてもおかしいことなのに、断るのが苦手で、押しに弱い彼女は騙されてしまった。屈辱的な行為にも頑張って耐えようとしている。これからの人生、変な男に騙されないといいけれど。
そして、彼女はお尻に手を伸ばした。
左手で尻たぶを掴むと、あっさりとその純白の桃を割り開いた。
「くぅ。こ、こんな姿勢……」
尻たぶで隠れていた搾りがゆっくりと花が開くように顔を出す。その菊門は、きゅっと締まっていて美しい。
僕はごくりと息を呑んだ。あまりにも恥ずかしいのだろう。その穴はぴくぴくとヒクついていた。
美少女がお尻の穴を見せてくれるという経験を僕はこれからの人生でもう一度、味わうことができるのだろうか?
いや、ニ度となくたっていい。僕は目の前の奇跡の光景を一生忘れないつもりだから。
哀香さんは不安そうに後ろをチラチラと覗っている。
「あ、あの……これ、お尻の穴以外も見えちゃってませんか……!?」
お尻の穴が見えているという状況がそもそもおかしいって事を気にしなければ、彼女の予感は当たっていた。
鮮やかなピンク色をした、一筋のスジ。哀香さんの割れ目が後ろから丸見えになっている。
「大丈夫。お尻の穴しか見えてないよ。よく出来たね。小さくて可愛い穴だよ」
男は平然と嘘をついた。もちろん可愛いって言うのは、僕も思った事で嘘じゃない。
「ほ、ほんとですか? 本当に見えてませんか!?」
「うん! 可愛いよ!」
「頑張ったね! えらいぞ!」
「えらい! えらい!」
周りの男たちも誤魔化すような褒め言葉を送りつけて、大袈裟なくらいに彼女を褒めた。僕もその声に紛れて「ありがとう!」を伝えた。
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち
いつしか教室中に謎の拍手が鳴り響いていた。当然、僕も彼女の美しさを讃えるために手が痛くなるくらい叩いている。
哀香さんは耳まで真っ赤になって恥ずかしがっていた。
「あの……ありがとうございま……す?」
雰囲気に流された彼女はお尻を拡げながらお礼を言った。
お礼を言うのは僕たちの方だった。こんな美少女がお尻の穴を見せつけてくれている。しかも大勢の前で、全裸で。
そして、彼女はそのままの姿勢を10分間維持してくれた。
「大丈夫? お尻の穴、冷えてない?」
「あ、はい。大丈夫です。心配していただいてありがとうございます」
男の下劣な発言にも彼女は律儀に答える。
「じゃあ、次はシーツの上に座ってみようか」
「……はい」
お尻の穴を見せつけるっていうとんでもないことをした後なのに、彼女は本当に恥ずかしそうに、お淑やかに、シーツがかけられた台に腰掛けた。
恥じらいを忘れないその姿にドキッとさせられた。
「じゃあ、次は四つん這いになって」
「……はい」
彼女は全裸で四つん這いになった。両手をついて膝をつく。
「……っ」
誘うようにうるうるとした瞳で見つめる姿に、思わず股間が反応してしまう。子猫のような守ってあげたくなる可愛さ。
先ほどの過激さはなくなったけれど、依然として晒しているたわわな乳房はぷるぷると揺れて僕を釘付けにする。乳首も最高のアクセントだ。
僕は立ち上がることができなくなっていた。ギンギンだった。
「うーん」
でも男は満足しなかった。
人はどこまでも傲慢な生き物なのだと思う。僕よりも二回り以上長生きしているからだろうか? 刺激にどんどん鈍感になって、馴れ馴れしくなっていくのだろう。僕は痛いくらい膨らんでいるというのに……。
「じゃあ次は、寝転んで足を開いてみようか。ぱかっと」
男はとんでもない要求をした。
「え……」
「できないの?」
「見えちゃいます。……恥ずかしいです」
「最初は手で隠していいから、ほら、やってみて!」
「え、あ」
強引に押された彼女は泣く泣く、M字に股を開いた。手でお椀のような形を作って大事なところを隠しているけど、そのポーズが逆にいやらしく見えた。
「よくできたね。じゃあ、手どかしてみようか。ほら、頑張って!」
男はどうしてもその手の奥を見たいようだった。ごくりと僕の喉も鳴った。
「あの……本当に?」
哀香さんは流石に戸惑いを隠せないようだった。
「お尻の穴は見せてくれたでしょ? 大丈夫だよ」
「でも、お尻の穴は性器じゃないって……ここは間違いなく性器ですよね!? こんな格好で手をどけたら……中まで見えちゃいます……」
「うーん。わがままだなぁ。どうしても出来ない?」
「え、すみません……。でも、恥ずかしくって……決心がつきません」
彼女は謝る必要もないのに謝った。その態度に男が付け込んでいるというのに。
「うーん。困ったなぁ……あっ! そうだ!」
男は、わざとらしく何かアイデアを思いついたような素振りをした。
「前貼りを貸してあげる。これなら恥ずかしくないよね?」
「え、前貼り? ですか?」
男はそう言ってポケットから数枚のシールのような物を取り出した。
「これ、知ってる? ニプレスと前貼りなんだけど。映画とか撮影で乳首とかアソコを隠すためのやつなんだ。スポーツとかで擦れるのを防ぐためにも使われるんだよ」
なんでそんなものがポケットに入っているのかは疑問だった。もしかしてこの男はいつも持ち歩いているのだろうか? あるなら初めから渡せばいいのに。
「……それを貼るんですか?」
「うん。これなら股を開けるよね? こっちも妥協してるんだから、やってくれないと困るよ」
「え……」
「できるよね?」
「は、はい。それなら……」
哀香さんは、また押しに負けた。
しぶしぶとシールを受け取った。
「じゃあ、まず右乳首に貼ってみようか」
「……はい」
「次は左」
「……はい」
いちいち行動を指示する男のいいなりなって、彼女は僕たちの前で左右の乳首にシールを貼り付けた。
「次はお股に貼ろうか」
「……はい」
彼女は前貼りを受け取ると少し横を向き、股を隠しながら、それを女性の大事なところ貼った。
「それでもう恥ずかしくないよね? さっさと股を開いて、手は頭の上」
「は、はい……」
哀香さんは恥ずかしさでしばらく震えていたけど、やがて観念した。手を頭の上で組んで足を広げてくれる。
女の子が大きく足を広げる姿なんて初めてみた。彼女にとっても人前でこんな格好をするのは初めてのことに違いない。
しかも大勢の男が見守る前で。
「うん。いいね。エロいよ。ただ服を脱ぐだけだったら豚にもできるからね。豚の乳首にニプレスつけたって何も感じないけど、女性につけるとエロスを感じるのは、人間が知的な生命体である証明だよ。興奮するね」
男は講釈を垂れた。もしかして、股を開かせようとしたのはニプレスと前貼りを貼らせるための口実だったのではないか? そう思わせるほど男は満足げだった。
安っぽい質感のシールは乳首の膨らみを隠してくれないし、時間を追うごとにスジの形を転写しようとしていた。
「え……? エロ……? 興奮する……? お仕事だからいやらしい気持ちなんてないはずじゃ? さっきから、なにを言って……」
「いや。そんなわけないでしょ? 女性の裸体に興奮しない男なんていないよ。そもそも、そういう情熱を捨ててしまった芸術家は三流だよ。湧き上がるリビドーを表現してこその芸術なんだから」
「あの……えと……私の裸をいやらしい目で見てたってことですか……?」
「うん」
男が即答した。僕も心の中でうなずく。
「そ、そうだったんだ……いやらしい目で見られてたんだ……こんな多くの男の人に……いやらしい目で」
哀香さんは半分涙目になって同じ言葉を繰り返した。
「恥ずかしい?」
「……はい。すごく」
「その恥ずかしさの先にエロスがあるんだよ。僕たちはそれを表現するために何世紀に渡って技術を磨いてきたんだ。だから恥ずかしがってもいいんだよ。むしろそれがいい」
男の理屈は滅茶苦茶だった。彼女を言いくるめるためのデタラメなのかもしれない。でも、さっきまで見えていた乳首が隠された姿に、説明できないエッチさを僕が感じたのも事実だった。
「あ、その……」
自分に邪な感情が向けられていると知った彼女は何かを言い淀んでいた。
「なに?」
「その……私、男の人に裸を見られるのが恥ずかしくて……。だから、こんなポーズはしたくなかったんですけど……皆さん芸術に真剣なんですね……」
「ん?」
「あの……言いづらいんですが……」
哀香さんは恥ずかしそうにモジモジとしていた。何を言おうとしているのか僕もわからずに彼女の言葉を待った。
「なんだか恥ずかしがっているほうが、恥ずかしい気がしてきて……これ、剥がしていいですか?」
「え?」
男は困惑した。僕も驚いた。だって、一度つけたものをわざわざ剥がすなんて……。哀香さんが何を考えているのかわからなくなった。
「ま、まぁ。君が剥がしたいって言うなら……止めはしないけど」
「他のモデルさんも付けないで頑張ってるんですよね? ちゃんと隠さずに足を広げるので……お願いします。つけてるほうが恥ずかしい気がしてて。逆に」
「そ、そういうことなら……特別に」
「ありがとうございます」
なぜかわからないけれど、この教室の空気が変わった気がした。
彼女に思い通りのポーズをとらせて悦に浸っていた男が、実は逆にコントロールされていたかのような? でも、哀香さんが恥ずかしい姿を晒すっていう事実は変わらなくて?
混乱しながら彼女を見守った。
まず彼女は、乳房に貼られていたニプレスを剥がした。隠されていたピンク色の突起と乳輪が数分ぶりに姿を見せる。
剥がしたモノは講師の男が受け取った。
次に、股間に貼られていた前貼りに手を伸ばした。彼女の大切なところのシールがぺりぺりと剥がされていく。その様子を彼女は見せてくれた。
「……っ」
哀香さんが痛そうに顔を歪めた。
その意味を察する前に、隠されていたスジが姿を見せたから僕はそこに釘付けになった。
「捨てておきます」
「あっ……えっと、お願いします」
哀香さんが剥がしたモノは、講師の男に受け渡された。彼女の一瞬のためらいの意味を僕はそのとき察した。
シールにちぢれた毛がくっついていたのだ。それがどこの毛なのか言うまでもない。
講師の男はそれを部屋のゴミ箱に捨てた。僕はそれを見逃さなかった。
そして彼女は全裸で股を開いて、全てをさらけ出した。
「これで……いいでしょうか?」
こんな姿勢……多分、服を着た男の僕でも恥ずかしい。足を開いたことで股間のスジまで拡がってしまっていた。
初めて見た無修正の女性の割れ目はあまりにもエロティックだった。目を背けそうになるけれど、記憶に焼き付けるために見続けなければならない。
「あ、ああ」
男はその素直な姿勢に顔を引きつらせていた。
「あ、あの……恥ずかしいので……早く終わらせてください……うぅ、恥ずかしいですぅ」
哀香さんは顔を真っ赤にしていた。
「そ、そうだね」
なぜか全裸の彼女に主導権を握られたような謎の空気が部屋に充満していた。
そして10分間、彼女は股を開いた姿勢を維持した。
そのポーズをとる彼女を眺めているだけで、僕の股間は痛いほどに膨らんでしまっていた。
「じゃあ……体を起こしてくれるかな? そのまま、後ろに手をついて」
「はい」
言われるがまま体を起こした哀香さんは、控えめにちょこんと膝を立てて座っていた。
最初は体育座りのようにヒザを抱えていたが、男の指示を思い出して後ろに手をついた。
足の間からチラチラ見える彼女の股間が僕の情動を刺激した。
あまりにも純情だった。
だが男は指示を出す。
「足は開いたまま!」
「あ、はい! すみません!」
あわてた彼女は股を開いた。
その時、光が差し込んだ。午後から始まったヌードデッサンは休憩を挟んですでに3時間が経過しようとしていて、西陽が入り込んできた。
彼女の肌が照らされた。
それは信じられない光景だった。何度思い返してもそう思うに違いない。
儚げで純情な美少女が全裸で股を開いている。下品な姿にも見えるはずなのに、品性を失わない恥じらいがあった。
まるで天空から舞い降りた天使に思えた。少なくとも僕にとっては。女神かもしれない。
「あ、えっと……君、好きな食べ物なに?」
男は急な話題を振った。おそらく彼女の姿に魅入られていたのは僕だけじゃなくて、この男もだったのだろう。反応を伺って楽しんでいたはずの男は動揺していた。
「みかんゼリーです」
「可愛いね」
「……ありがとうございます」
哀香さんは褒められて照れた。そして、クスッと笑う。彼女のイタズラな笑顔に目を奪われる。たまらなく魅力的だった。
男も雰囲気に気をよくしたのだろう。彼女へ質問攻めが始まった。まるでインタビューのような。
「家族構成は?」
「父と母。妹が1人の4人家族です。祖父母は別なところに住んでます」
「出身はどこ?」
「◯◯県です」
「将来の夢は?」
「まだ決めてません。お母さんが決めるらしいので」
「趣味は?」
「読書です」
「オナニーは週に何回ぐらいする?」
「あんまり一人ではしません。月に1~2回くらいで……あっ」
男がニヤリと笑った。とんでもない体勢の哀香さんに投げかけられていた言葉。たわいもない内容の中に紛れていたとんでもない質問に彼女は答えてしまった。
「そうなんだ」
「いえ、あの……私ったらつい正直に……わ、忘れてください!」
彼女はあわてて胸の前で手を振って照れていた。しかしニタニタした男のセクハラ発言はまだ終わりはしなかった。
「最近はいつオナニーしたの?」
「あ、あの……」
「答えろ!」
「ひ! えっと……ついさっき、じゃ、なくて! つい昨日です!」
ビクッとした彼女は、とんでもない言い間違いをした。訂正した先にも驚かされた。僕も昨日していたから。
「わ、忘れてください! あ、あの……次はどんなポーズを取ればいいですか?」
「ああ。じゃあ、だらしなく足を開いて、顔を向こうへ」
照れ隠しのように彼女は男に自分のとるポーズを求めた。
「は、はい!」
そして、ためらうことなく胡座をかいて片方の膝を立てた。
「そういえば、まだちゃんと名前聞いてなかったよね」
「……私ですか?」
「そうそう」
「えっと……哀香です」
彼女は少し困惑したような表情を浮かべつつも、本名を教えてくれた。もちろん僕は知っていたけど、改めて聞くと興奮するものがあった。
「じゃあ哀香ちゃん……寝そべって足を持ち上げてくれるかな?」
「はい」
哀香さんは従順に男に従う。もはや従わない方がおかしいことのように。
そして、彼女の秘めたる部分が丸見えになった。その姿はまるでこの場にいる男達に恥部を見せつけているみたいだった。いや、実際に見せつけている。
僕は何度目かの生唾を飲んだ。
「あ、あの……」
「ん? なに?」
「えっと……このポーズも……すごく恥ずかしいですね……でも、みなさんのお役に立てるなら……」
哀香さんは顔を真っ赤にしながら言った。
その顔がどこか楽しそうに見えたのは、あまりの光景に頭がくらくらした僕の幻覚なのだろう。
しかし、ギラつきを取り戻した男の要求は終わってはいなかった。
「もっと恥ずかしいポーズもあるけどやってみる?」
「……え、これよりもですか……?」
「うん。すごく恥ずかしいよ」
男は悪質な笑みを浮かべながら、哀香さんに語りかける。
「……そう……ですか……」
彼女は恥ずかしそうに俯いた。少しのためらい。
「……やってみます。ここまで頑張ったので……せっかくなので……」
まるで、もったいないからおまけをもらうようなノリだった。きっと、あまりの恥ずかしさで自分の行為を正当化する防衛本能が働いているんじゃなかろうか?
「えっと、足を抱えるんですよね……」
「うん。足はできるだけ高く上げて、お尻の穴もちゃんと見せて」
「はい」
哀香さんは男の指示にしたがって体勢を変えた。それはあまりにもはしたない姿だった。
「あの……流石にこれは……あまりにも下品じゃないですか? 恥ずかしすぎます……」
そう言いつつも、その姿勢を崩さないままの彼女は、足の間からチラチラとこちらを伺っていた。
当然のようにおっぱいは丸出しで、自分の足を抱えて股を開きながら待機するその姿は、まるでナニかを待っているようで……僕の股間は張り裂けそうなほど膨らんだ。
「まだだよ?」
「え?」
──え?
男が発した言葉で驚いたのは、哀香さんだけじゃなくて僕もだった。
「そのまま指で拡げてみようか」
ニタっと笑って男は言った。
「ひ、拡げるって……そんなことしたら……中まで見えちゃいます」
「うん。見せてほしい。芸術のためだよ。ネットとかだと規制されるから、実際のモデルさんに見せてもらわないと参考にならないから仕方ないんだ。恥ずかしいだろうけど我慢してくれない?」
「で、でもぉ」
「お尻の穴は見せてくれたよね?」
「お尻の……穴は性器じゃないって言われたので……ここは間違いなく性器ですよね!?」
流石に今回の指示をすぐに行動に移せない彼女だった。
「こんなところ……誰にも見せたことないのに……自分でだってちゃんと見たことないのに……」
「もしかして哀香ちゃんは処女?」
「え!? あの……はい」
何度も繰り返された常軌を逸したセクハラ発言。今回は特に限度を超えていた。驚いた彼女はまた素直に答えてしまったようだ。
──やっぱりそうなんだ。
僕はなぜか安心した。彼女の今までの恥じらいが嘘じゃなかったような気がして、誰にも触れられたことがない清純さを感じた。
「へぇ、珍しいね。こんなに可愛いのに」
「そ、そんな……可愛いだなんて……」
「ねぇ。お願いだからやってみてくれない?」
「……でも、あまりに……それに、汚いですし……」
「大丈夫。きっと綺麗だよ」
「でも……」
「頑張るって言ったよね?」
「言いましたけど……」
哀香さんは両足を抱えた姿勢のまま男に説得されていた。それが異常だとはその時の僕はなぜか思っていなかった。感覚が麻痺して常識を歪められていた。だから、煮え切らない彼女の態度がまるで「アソコを見せるための理由探し」に思えたのもきっと僕の思い違いなのだろう。
「それに……私のここなんて……誰も見たくないと思います……」
彼女がそう言った時、僕と目が合った。
「そんなことない!!」
気づけば僕は立ち上がって叫んでいた。
その叫びは教室中に響いた。哀香さんが目を丸くしてビクッと身を震わせた。
「あ……えっと……」
体と口が勝手に動いたから何も考えていなかった。自分の行動が信じられずにカッと顔が熱くなる。どもどもと何も言えなくなってしまった。
「ほら! 彼もこう言ってるよ! 皆さんもそう思いますよね」
助け舟はオーナーの男が出した。僕のためじゃなくて邪な欲望のためなのだろうけれど、部屋の空気が変わってくれた。
「せっかくだし、皆さんにも聞いてみようか。哀香ちゃんのアソコが見たい人は手をあげてください」
男がそう言うと、部屋中の男たちがこぞって手をあげた。「はい! 俺も! 俺も見たいです!」と僕の友達も声をあげて、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。この部屋で手を挙げていないのは、やれやれと呆れる講師の男だけだった。もちろん僕も……天高く右手を掲げていた。
「ほら、こんなに言われてるよ」
男は満足そうに笑う。
「あ、あのあの。そ、そんなに!? 私なんかにその……申し訳ないです……」
今までで一番顔を真っ赤にした哀香さんは、自分の足の間から僕たちを見渡していた。自分が美少女だと分かっていないのは彼女のどうしようもない罪だった。
「だから、見せてよ。お願い」
男が代表してダメ押した。
「……はい……えっと……じゃあ、皆さんに喜んでいただけるなら……でも、ちょっとだけ、ちょっとだけ、ですから……ね?」
彼女は僕たちの空気に流されて承諾した。
足を上げたままの姿勢から左手をそっと股間のスジに沿わせた。ぴとっと指が触れて止まる。一瞬のためらい。そして彼女は僕を見た。僕たちは目が合った。ちゃんと見ていることを確認するような視線。大勢の前なのにまるで僕のために見せてくれるんじゃないかって、錯覚した。
くにゅりと肉が拡がった。
彼女の割れ目が拡がって、鮮やかなピンク色をした膣内が衆人の前に晒された。それはビラビラとした襞に彩られた花びらのようで、鮑のように湿り気を帯びている。内部にはぷくっとした小まめがあって、深淵の奥へと続く穴。その入り口がぱっくりと開いていた。
ごくっと喉が鳴った。
初めて見た女性の無修正の性器。こんなえっちなものがこの世に存在していたなんて知らなかった。
部屋が静まり返った。
「あの……? ちゃんと見えているでしょうか……。恥ずかしいのですぐに隠したいんですけど……」
哀香さんが不安げに言った。
だけど誰も返事をしなかった。僕もできなかった。この瞬間があまりにも刺激的すぎたからだ。
「うーん、よく見えないなぁ……両手で拡げてくれない?」」
しかし、オーナーの男は口を開いた。どんなふうに歳を重ねて経験を積めばこの状況で何かを言うことができるのだろう。しかもとんでもない内容。くやしいけど、尊敬に似た謎の感情が湧いた。
「あ……はい」
なぜそれに哀香さんが素直に従うのかも分からない。でもどうでもいい。僕たち下々の民は神様から与えられた幸運を享受するしかない豚なのだから。僕は違和感を考えるのをやめた。
哀香さんは右手と左手のそれぞれの指を割れ目の両サイドに沿わせて、開いてくれた。僕は天を仰ぎたかった。でも目は反らせない。哀香さんの大事な部分を両手で見せてくれているのだから。
「あの、これで中まで見えるでしょうか?」
美少女の膣内が丸見えになっていた。
ぱち……ぱち……ぱち。
再び、自然と拍手が沸き起こった。僕は手のひらが痛くなるまで拍手した。
「よくできたね。丸見えだよ。おめでとう」
「おめでとう!」「おめでとう!」「おめでとう!」
「おめでとう!」「おめでとう!」「おめでとう!」
「おめでとう!」「おめでとう!」「おめでとう!」
「ありがとう!」
全裸で膣を広げる哀香さんを取り囲んだ男達はスタンディング・オベーションをしていた。僕も友達もその輪に加わっている。
昔、父に見せられたロボットアニメでこんなシーンがあった気がする。
最低の悪ふざけだった。
「え? え? あの? これは、どういう?」
意味がわかっていない哀香さんは周りをキョロキョロ見回した。無理も無い。意味がわかっている人間などこの場にはいないのだから。
「みんな哀香ちゃんの大事なところが見れてうれしいんだよ。だから……君もお礼が言えるよね?」
「?? お礼ですか……?」
「『私のお◯んこ見てくれてありがとうございます』って言ってごらん?」
「なっ!?」
「ちゃんと言ってくれないとお返しできないよ。皆さんわざわざお金払ってきてくれてるんだよ?」
「で、でも……そんな卑猥な……」
「できるよね?」
「……」
「ね?」
「……はい」
オーナーの男の圧力に屈して、哀香さんは口をひらく。
「本日は……わざわざ私の処女お◯んこを見にきていただいてありがとうございます……♡」
くぱぁ
秘密の場所がめいっぱい広がった。
僕たちは慈愛に満ちた気持ちでピンクの深淵を見つめていた。
「うう、恥ずかしすぎますぅー」
彼女が満面の笑みを浮かべているように見えたのは、この異常な空間を象徴する僕たちの幻想に違いない。耳までおかしくなって彼女の恥じらいのセリフが棒読みに聞こえた。
「よし。じゃあそのポーズを10分間維持しようか」
「え……」
「約束したよね? できるよね?」
「でも……恥ずかしいです……」
「ね?」
「はい……」
結局、哀香さんはその姿勢を10分間、僕たちに晒してくれた。
ぱっくりと開かれた女陰はひくひくと震えていた。たぶん、空調の風が当たってむず痒かったのだと思う。
そして、90分を告げるタイマーが鳴った。
ヌードデッサンが終わったのだ。
***
終わってみればあっというまで、夢のような時間だった。本当にあれは現実だったのだろうか? 疑いたくなるような異常事態。
でも確かに僕の脳裏には鮮明に焼きついている。
僕は椅子から立ち上がった。彼女に何か言わなければいけないと思った。謝りたかったのかもしれない。
哀香さんは中年オヤジたちに囲まれて好奇の的にされていた。
「お願い! 最後に立った状態からM字開脚してくれない?」
「そんなー恥ずかしいですよー」
「次はいつ来れるか分からないんでしょ? それに恥ずかしいポーズならもういっぱいしてくれたじゃん」
「えーもう仕方ないですねー特別ですよ?」
おお! っと歓声が上がった。どうやら彼女はまた言いなりになってポーズをとったらしい。
「下品だけど可愛い!」
「えへへ、褒めてくれてありがとございますぅ」
人の隙間を抜けて、全裸の彼女の前に到着しても言葉は何も思いつかなかった。彼女のご両親が見たら卒倒するような姿勢(M字開脚)に思考を邪魔されて声がうまく出てこない。
「あ、あの……」
「……え!?」
しかし、哀香さんは近くに来た僕と目が合った瞬間、そのとんでもない姿勢(全裸M字開脚)のままなにかに気づいたように目を丸くした。
「佐々木くん……?」
──!???!!!
彼女の口からこぼれた名前を聞いて、その声色に浸るまもなく驚愕した。
「ええ! 僕のこと知って……!?」
「だって……必修のクラス一緒だよね……。自己紹介したことあったじゃない……」
それは確かにそうだったけれど、彼女が僕なんかのことを憶えているわけがないと思っていた。
「誰かに似てるって思ってたけど……私……同じ大学の知り合いに裸……見られちゃってたんだ……あんなポーズとかセリフまで」
というか今もとんでもない姿を見下ろしているわけだけど。僕は何をすればいいのか完全に分からなくなっていた。
おっぱいおっぱいお◯んこおっぱい。僕は猿だ。「おっぱい?おっぱい?おっぱい?お◯んこ!お◯んこ!」おっぱい語かお◯んこ語しか喋れない。人間の言葉はどこかへ捨ててきた。
意識を失いそうで何も考えられない。
ぎゅっと僕の腕が掴まれて引っ張られた。
立ち上がった哀香さんがすぐそばにいる。
「ええ!?」
「ちょっと……いい?」
困惑する僕を教室の角に連れて行った彼女は体を寄せてヒソヒソ話を始めた。ふわっと女の子のいい匂いがする。
「あの、私……ヌードモデルだなんて知らなくて……流されるうちにとんでもないポーズまでしちゃった。バカで本当に恥ずかしいの……このこと大学で言いふらしたりしないでほしくて……」
「そんなことしないよ……」
「本当!? 約束してくれる……?」
「う、うん。約束する……」
「ありがとう! 佐々木くん!」
正直、僕はなにも考えられていなかった。
全裸の哀香さんが吐息もかかりそうなほど近くにいる。僕の腕には彼女の生のおっぱいが当たっていて……その気になったら摘めそうな距離に乳首がある。
彼女は僕が頷くと安心したように離れて後ろを向いた。
ぷりっとした生のおしりの割れ目。僕は今日、この人の肛門まで見せてもらったのだ。
「あ、佐々木くん……」
帰ろうとした哀香さんがくるりとこちらを向いた。もう見せてしまったから意味がないと思っているのか、どこも隠していない。
そして、彼女は笑った。
ぞくりとするほど小悪的な笑みで鳥肌がたった。ギンギンだったモノが一瞬で縮み上がった。
「今日のことは内緒だよ?」
釘を刺された。
もう一生口を開くなと言われた気がした。
彼女は去って行った。
友人が僕に何かを問いただしている。でもそんなこと何も聞こえない。
世界は無音になってしまった。
僕は自分のやるべきことを思い出した。
そっと隅に置かれたゴミ箱からあるものを盗み出す。
思った通り、それには一本のちぢれた毛がついていた……。
***
あの日から、大学構内で彼女を見かけるたびあのヌードデッサンを思い出す。
たぶん僕はあの日のことを一生忘れない。
押し花で栞を作るように保存した彼女の一部と共に……。
15分のインターバル後。
「再開します」
講師の男がそう言って、休憩を終えた哀香さんが教室に戻ってきた。
前回は全裸でこの部屋に入ってきた彼女だったけれど、今回はバスローブを羽織って裸体を隠していた。
しかし男が「お願いします」と声をかけると、すぐに彼女はバスローブを脱がなければならなくなった。実質「大勢の前で全裸になれ」って命令だったけど、ヌードモデルという業務だから仕方ない。
「は、はい」
指示された哀香さんはためらいながら、バスローブの腰紐をハラリと解いた。
この気持ちをなんて言えばいいんだろう?
目の前でバスローブを脱ごうとしているその姿に欲情を煽られた。彼女の全裸はさっきも堪能したはずなのに、はだける様子を見たくて仕方ない。脱ぐ瞬間が見たくてたまらない。
あっけなく僕の期待は叶った。
バスローブは簡単に左右に開かれた。
再び彼女の純白の肌が晒され、乳首から下半身の恥部まで隠すことなく晒してくれた。バスローブは男に明け渡された。
いまだに恥ずかしそうにしている彼女だけれど、上目遣いで周りを伺う余裕が生まれていた。
前半戦を経て少しは慣れたのだろうか?
「君、ヌードデッサンは初めて?」
オーナーと呼ばれている男が全裸の哀香さんに話しかけた。
「えっと……その。は、はい」
「大丈夫だよ。リラックスして力抜いてごらん?」
「ありがとうございます。私……男の人の前で服を脱いだのも今日が初めてで、すごく緊張してて……でも、頑張るのでよろしくお願いします……」
「そうなんだ。えらいね。なんで今日は来てくれたの? 恥ずかしかったんでしょ?」
「えっと、モデルをやれって言われて……でもヌードだなんて聞いてなくて驚いたんですけど……でも迷惑かけたくなかったので……脱ぎました。すごく恥ずかしいです……でもお仕事なので」
「え、そうなの? 悠莉ちゃんの代打で来たんだよね? ヌードって伝えた気がするけどなぁ」
「え? そんなこと一言も……。でも、ここまで来ちゃったので私……やります。もう脱いじゃったので」
哀香さんは健気だった。バスローブを脱いで全裸になったのに、恥ずかしいところを隠さずに男の質問に答えていた。男がニチャニチャと股間を見ながら話していたというのに。
── 今日が初めてだったんだ。
僕はその事実に驚いた。どうりであんなに可哀なくらい恥ずかしがっていたんだ。二人の話を聞いて納得した。
大勢の前で全裸になるっていう大変なことを一生懸命やろうとしている彼女に尊敬の気持ちを抱く。
それに今まで誰にも見せていなかったものを僕が初めて見れたんだ、という優越感も一緒に湧き上がってきた。もちろん僕一人だけじゃなくて、この場にいる十数人の男たちの一人という意味でだけれど。
僕たちは哀香さんの初めてのヌードモデルの立会人なのだ。
「では、そろそろ続きを……ポーズは先ほどと同じで」
講師の男が咳払いをして、哀香さんとオーナーとの会話を打ち切ろうとした。
「あーちょっと待って。せっかく来てくれたのに同じポーズじゃ退屈だよね。君もそう思うでしょ?」
だけど男は認めず、哀香さんの乳首を見ながら首を傾げた。
「え? そんなことは……」
「退屈でしょ?」
「あ……は、はい」
「ほら。彼女もこう言っていることだし、いろんなポーズを取らせてあげようよ。初めてなんだし色々経験させてあげなくちゃ」
オーナーの男は講師の男に同意を求めた。
僕は少し嫌な予感がした。男の態度は初めてなのを気づかうのではなく、利用しようとしているように思えたのだ。そんな僕の不安なんて彼らは気にすることなく話を進めていく。
「はあ。では10分ごとにポーズを変えていきましょうか。速度重視で数をこなしましょう」
講師の男が面倒そうに答えた。周りの中年男たちもそれに同意して色めき立つ。
「え、えっと……」
哀香さんは不安そうな表情を浮かべている。話し合いは彼女と関係のないところで行われていた。
卑怯な連中だと思った。おそらく彼女が大人しくて真面目でハッキリと断るのが苦手なタイプの人間だと見抜いてゴリ押ししようとしているのだ。
「わ、わかりました……」
彼女は明確に否定しなかった。出来なかったのだろう。
僕にはその気持ちがよく分かった。僕も同じタイプの人間だから。
「……」
しかし彼女に同情しながら何も言わない僕はこいつらと同じ卑怯者なのだろう。
「じゃあ、まずは前屈みになって」
「……はい」
指示はこれからオーナーの男が出すことになった。哀香さんは恥ずかしがりながらも大人しく従う。
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彼女が全裸のまま膝に手を置いて前屈みになると、やわらかくて重そうな乳房が重力で垂れ下がり、腕に挟まれて強調された。重力に抗うようにピンッと上を向うとする乳首がいじらしい。
友人が高速で鉛筆を動かした。
それを横目に僕は哀香さんに釘付けだった。僕はもう真面目を装うのをやめていた。目のやり場に困ったりなんかしない。ただ純粋に彼女の乳首を凝視した。
こんな美少女の裸を見ないなんて逆に失礼に決まっている。
もはや真面目にデッサンをしているのは講師の男と友人だけだった。
大勢の視線に恥じらう哀香さんに僕は生唾を飲み込む。なんて美しいんだろう? やっぱりこれは芸術だ。
あっという間に、10分がたった。
「次は、尻を見せてくれる?」
「お尻ですか……は、はい」
男が言って、彼女は従う。
立ったままこちらに背中を向けてくれた。
その白い桃はハリがあって僕の視線を釘付けにする。女の子のパンツでさえ昨日までリアルに見たこともなかったのに……生尻で、尻の割れ目まで丸見えで、哀香さんで、横乳も魅惑的で、乳首もツンと天井を向いている。
くらくらした。
「そのまま壁に手をついて」
「……はい」
すぐに次の指示がされた。哀香さんは少し戸惑ったけど、逆らうことができないようにこくりと頷く。
彼女が壁に手をつくとそのお尻が突き出され、強調されて、その柔らかそうな曲線に視線が集まる。
「あ、……っ」
一瞬、肉付きのいい太ももの付け根からチラッとナニかが見えた。でもすぐに足が閉じられてキュッとお尻が締められる。彼女は見せてはいけない内側に気づいたのだろう。
その恥じらいが可愛かった。
そして、僕はそのお尻を10分間鑑賞した。
「じゃあ、次は……」
男が口をひらく。
周りの男たちもニヤニヤと期待のこもった眼差しで見つめている。僕も自分のいやらしい感情に従ってワクワクしていた。
言いなりになって全裸でポーズをとる哀香さん。
それに気をよくした男は口元がニヤついていた。無理もない。彼女のような美少女が男の操り人形になっているのだから。
しかし、調子に乗った男は、とんでもないことを口にした。
「次は、お尻を拡げてみよっか」
その言葉に哀香さんはビクッと硬直した。あまりにも常軌を逸した言葉に僕もおもわず目を見開く。
「え……そんな」
「ん? どうしたの? できないの?」
「あ、当たり前です……そんなことしたら見えちゃいます……」
「なにが?」
「なにがって……あの、お尻の……穴とかまで……」
「うん。それを見せて欲しいんだけど」
「え、あ、あの……流石にそれは恥ずかし過ぎます……」
「なんで?」
「な、なんでって……そんなところ誰にも見せたことないですし……」
「もう裸は見せちゃってるよね。それにお尻の穴だから大丈夫だよ?」
「だ、大丈夫って……なにがですか……」
「だって性器を見せろって言ってる訳じゃないからね。お尻の穴は排泄器官であって性器じゃないから、アダルトビデオとかでもモザイクは必要ないんだよ。だから大丈夫」
「え」
哀香さんが絶句する。僕は周りの男たちと息を飲んだ。オーナーという名のこの場の支配者の言葉は、まるで悪質な冗談のようで、現実味のない言葉を当たり前のように口にしている男にゾッとした。
「それに今回のヌードデッサンは仕事だよ? 裸を見せるのが君の仕事なんだから、出来ないなんて……おかしいよね? ヌードモデルの人のことバカにしてるの? 大変な仕事なんだよ?」
やさしく諭すような声色だったのに、突然、厳しく責めるような口調に男は変わっていた。緩急をつけるような男の口撃に彼女はひるんでしまう。
「バカにだなんてしてません……ごめんなさい」
哀香さんがかわいそうだと思った。なんて悪趣味なんだろうとも思った。すごく恥ずかしいのに全裸を見せてくれている彼女に追い討ちをかけるようなその言葉に怒りを覚える。
でも、同時に僕は期待していた。
周りの男たちも戸惑っていたけど、少しずつ興味が勝り始めたのか、彼女の尻の割れ目に視線が集中している。
みんな期待している。あの美しい曲線がどんな風に歪むのか見てみたい。その奥に何があるのか確かめたい。
その好奇心に誰も勝てなかった。
「じゃあ、できるよね? やっぱりバカにしてるの?」
男が言って、僕たちは一斉に彼女に厳しい眼差しを向けた。見せるのが当然のことだと言わんばかりの最低の視線。無言の圧力。
「「「「「「……」」」」」」
「うぅ」
涙目になってオロオロした彼女はやがて部屋中の視線に屈して、言ってはいけないことを言った。
「は、はい。み、見せます……」
僕は哀香さんが心配になった。どう考えてもおかしいことなのに、断るのが苦手で、押しに弱い彼女は騙されてしまった。屈辱的な行為にも頑張って耐えようとしている。これからの人生、変な男に騙されないといいけれど。
そして、彼女はお尻に手を伸ばした。
左手で尻たぶを掴むと、あっさりとその純白の桃を割り開いた。
「くぅ。こ、こんな姿勢……」
尻たぶで隠れていた搾りがゆっくりと花が開くように顔を出す。その菊門は、きゅっと締まっていて美しい。
僕はごくりと息を呑んだ。あまりにも恥ずかしいのだろう。その穴はぴくぴくとヒクついていた。
美少女がお尻の穴を見せてくれるという経験を僕はこれからの人生でもう一度、味わうことができるのだろうか?
いや、ニ度となくたっていい。僕は目の前の奇跡の光景を一生忘れないつもりだから。
哀香さんは不安そうに後ろをチラチラと覗っている。
「あ、あの……これ、お尻の穴以外も見えちゃってませんか……!?」
お尻の穴が見えているという状況がそもそもおかしいって事を気にしなければ、彼女の予感は当たっていた。
鮮やかなピンク色をした、一筋のスジ。哀香さんの割れ目が後ろから丸見えになっている。
「大丈夫。お尻の穴しか見えてないよ。よく出来たね。小さくて可愛い穴だよ」
男は平然と嘘をついた。もちろん可愛いって言うのは、僕も思った事で嘘じゃない。
「ほ、ほんとですか? 本当に見えてませんか!?」
「うん! 可愛いよ!」
「頑張ったね! えらいぞ!」
「えらい! えらい!」
周りの男たちも誤魔化すような褒め言葉を送りつけて、大袈裟なくらいに彼女を褒めた。僕もその声に紛れて「ありがとう!」を伝えた。
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち
いつしか教室中に謎の拍手が鳴り響いていた。当然、僕も彼女の美しさを讃えるために手が痛くなるくらい叩いている。
哀香さんは耳まで真っ赤になって恥ずかしがっていた。
「あの……ありがとうございま……す?」
雰囲気に流された彼女はお尻を拡げながらお礼を言った。
お礼を言うのは僕たちの方だった。こんな美少女がお尻の穴を見せつけてくれている。しかも大勢の前で、全裸で。
そして、彼女はそのままの姿勢を10分間維持してくれた。
「大丈夫? お尻の穴、冷えてない?」
「あ、はい。大丈夫です。心配していただいてありがとうございます」
男の下劣な発言にも彼女は律儀に答える。
「じゃあ、次はシーツの上に座ってみようか」
「……はい」
お尻の穴を見せつけるっていうとんでもないことをした後なのに、彼女は本当に恥ずかしそうに、お淑やかに、シーツがかけられた台に腰掛けた。
恥じらいを忘れないその姿にドキッとさせられた。
「じゃあ、次は四つん這いになって」
「……はい」
彼女は全裸で四つん這いになった。両手をついて膝をつく。
「……っ」
誘うようにうるうるとした瞳で見つめる姿に、思わず股間が反応してしまう。子猫のような守ってあげたくなる可愛さ。
先ほどの過激さはなくなったけれど、依然として晒しているたわわな乳房はぷるぷると揺れて僕を釘付けにする。乳首も最高のアクセントだ。
僕は立ち上がることができなくなっていた。ギンギンだった。
「うーん」
でも男は満足しなかった。
人はどこまでも傲慢な生き物なのだと思う。僕よりも二回り以上長生きしているからだろうか? 刺激にどんどん鈍感になって、馴れ馴れしくなっていくのだろう。僕は痛いくらい膨らんでいるというのに……。
「じゃあ次は、寝転んで足を開いてみようか。ぱかっと」
男はとんでもない要求をした。
「え……」
「できないの?」
「見えちゃいます。……恥ずかしいです」
「最初は手で隠していいから、ほら、やってみて!」
「え、あ」
強引に押された彼女は泣く泣く、M字に股を開いた。手でお椀のような形を作って大事なところを隠しているけど、そのポーズが逆にいやらしく見えた。
「よくできたね。じゃあ、手どかしてみようか。ほら、頑張って!」
男はどうしてもその手の奥を見たいようだった。ごくりと僕の喉も鳴った。
「あの……本当に?」
哀香さんは流石に戸惑いを隠せないようだった。
「お尻の穴は見せてくれたでしょ? 大丈夫だよ」
「でも、お尻の穴は性器じゃないって……ここは間違いなく性器ですよね!? こんな格好で手をどけたら……中まで見えちゃいます……」
「うーん。わがままだなぁ。どうしても出来ない?」
「え、すみません……。でも、恥ずかしくって……決心がつきません」
彼女は謝る必要もないのに謝った。その態度に男が付け込んでいるというのに。
「うーん。困ったなぁ……あっ! そうだ!」
男は、わざとらしく何かアイデアを思いついたような素振りをした。
「前貼りを貸してあげる。これなら恥ずかしくないよね?」
「え、前貼り? ですか?」
男はそう言ってポケットから数枚のシールのような物を取り出した。
「これ、知ってる? ニプレスと前貼りなんだけど。映画とか撮影で乳首とかアソコを隠すためのやつなんだ。スポーツとかで擦れるのを防ぐためにも使われるんだよ」
なんでそんなものがポケットに入っているのかは疑問だった。もしかしてこの男はいつも持ち歩いているのだろうか? あるなら初めから渡せばいいのに。
「……それを貼るんですか?」
「うん。これなら股を開けるよね? こっちも妥協してるんだから、やってくれないと困るよ」
「え……」
「できるよね?」
「は、はい。それなら……」
哀香さんは、また押しに負けた。
しぶしぶとシールを受け取った。
「じゃあ、まず右乳首に貼ってみようか」
「……はい」
「次は左」
「……はい」
いちいち行動を指示する男のいいなりなって、彼女は僕たちの前で左右の乳首にシールを貼り付けた。
「次はお股に貼ろうか」
「……はい」
彼女は前貼りを受け取ると少し横を向き、股を隠しながら、それを女性の大事なところ貼った。
「それでもう恥ずかしくないよね? さっさと股を開いて、手は頭の上」
「は、はい……」
哀香さんは恥ずかしさでしばらく震えていたけど、やがて観念した。手を頭の上で組んで足を広げてくれる。
女の子が大きく足を広げる姿なんて初めてみた。彼女にとっても人前でこんな格好をするのは初めてのことに違いない。
しかも大勢の男が見守る前で。
「うん。いいね。エロいよ。ただ服を脱ぐだけだったら豚にもできるからね。豚の乳首にニプレスつけたって何も感じないけど、女性につけるとエロスを感じるのは、人間が知的な生命体である証明だよ。興奮するね」
男は講釈を垂れた。もしかして、股を開かせようとしたのはニプレスと前貼りを貼らせるための口実だったのではないか? そう思わせるほど男は満足げだった。
安っぽい質感のシールは乳首の膨らみを隠してくれないし、時間を追うごとにスジの形を転写しようとしていた。
「え……? エロ……? 興奮する……? お仕事だからいやらしい気持ちなんてないはずじゃ? さっきから、なにを言って……」
「いや。そんなわけないでしょ? 女性の裸体に興奮しない男なんていないよ。そもそも、そういう情熱を捨ててしまった芸術家は三流だよ。湧き上がるリビドーを表現してこその芸術なんだから」
「あの……えと……私の裸をいやらしい目で見てたってことですか……?」
「うん」
男が即答した。僕も心の中でうなずく。
「そ、そうだったんだ……いやらしい目で見られてたんだ……こんな多くの男の人に……いやらしい目で」
哀香さんは半分涙目になって同じ言葉を繰り返した。
「恥ずかしい?」
「……はい。すごく」
「その恥ずかしさの先にエロスがあるんだよ。僕たちはそれを表現するために何世紀に渡って技術を磨いてきたんだ。だから恥ずかしがってもいいんだよ。むしろそれがいい」
男の理屈は滅茶苦茶だった。彼女を言いくるめるためのデタラメなのかもしれない。でも、さっきまで見えていた乳首が隠された姿に、説明できないエッチさを僕が感じたのも事実だった。
「あ、その……」
自分に邪な感情が向けられていると知った彼女は何かを言い淀んでいた。
「なに?」
「その……私、男の人に裸を見られるのが恥ずかしくて……。だから、こんなポーズはしたくなかったんですけど……皆さん芸術に真剣なんですね……」
「ん?」
「あの……言いづらいんですが……」
哀香さんは恥ずかしそうにモジモジとしていた。何を言おうとしているのか僕もわからずに彼女の言葉を待った。
「なんだか恥ずかしがっているほうが、恥ずかしい気がしてきて……これ、剥がしていいですか?」
「え?」
男は困惑した。僕も驚いた。だって、一度つけたものをわざわざ剥がすなんて……。哀香さんが何を考えているのかわからなくなった。
「ま、まぁ。君が剥がしたいって言うなら……止めはしないけど」
「他のモデルさんも付けないで頑張ってるんですよね? ちゃんと隠さずに足を広げるので……お願いします。つけてるほうが恥ずかしい気がしてて。逆に」
「そ、そういうことなら……特別に」
「ありがとうございます」
なぜかわからないけれど、この教室の空気が変わった気がした。
彼女に思い通りのポーズをとらせて悦に浸っていた男が、実は逆にコントロールされていたかのような? でも、哀香さんが恥ずかしい姿を晒すっていう事実は変わらなくて?
混乱しながら彼女を見守った。
まず彼女は、乳房に貼られていたニプレスを剥がした。隠されていたピンク色の突起と乳輪が数分ぶりに姿を見せる。
剥がしたモノは講師の男が受け取った。
次に、股間に貼られていた前貼りに手を伸ばした。彼女の大切なところのシールがぺりぺりと剥がされていく。その様子を彼女は見せてくれた。
「……っ」
哀香さんが痛そうに顔を歪めた。
その意味を察する前に、隠されていたスジが姿を見せたから僕はそこに釘付けになった。
「捨てておきます」
「あっ……えっと、お願いします」
哀香さんが剥がしたモノは、講師の男に受け渡された。彼女の一瞬のためらいの意味を僕はそのとき察した。
シールにちぢれた毛がくっついていたのだ。それがどこの毛なのか言うまでもない。
講師の男はそれを部屋のゴミ箱に捨てた。僕はそれを見逃さなかった。
そして彼女は全裸で股を開いて、全てをさらけ出した。
「これで……いいでしょうか?」
こんな姿勢……多分、服を着た男の僕でも恥ずかしい。足を開いたことで股間のスジまで拡がってしまっていた。
初めて見た無修正の女性の割れ目はあまりにもエロティックだった。目を背けそうになるけれど、記憶に焼き付けるために見続けなければならない。
「あ、ああ」
男はその素直な姿勢に顔を引きつらせていた。
「あ、あの……恥ずかしいので……早く終わらせてください……うぅ、恥ずかしいですぅ」
哀香さんは顔を真っ赤にしていた。
「そ、そうだね」
なぜか全裸の彼女に主導権を握られたような謎の空気が部屋に充満していた。
そして10分間、彼女は股を開いた姿勢を維持した。
そのポーズをとる彼女を眺めているだけで、僕の股間は痛いほどに膨らんでしまっていた。
「じゃあ……体を起こしてくれるかな? そのまま、後ろに手をついて」
「はい」
言われるがまま体を起こした哀香さんは、控えめにちょこんと膝を立てて座っていた。
最初は体育座りのようにヒザを抱えていたが、男の指示を思い出して後ろに手をついた。
足の間からチラチラ見える彼女の股間が僕の情動を刺激した。
あまりにも純情だった。
だが男は指示を出す。
「足は開いたまま!」
「あ、はい! すみません!」
あわてた彼女は股を開いた。
その時、光が差し込んだ。午後から始まったヌードデッサンは休憩を挟んですでに3時間が経過しようとしていて、西陽が入り込んできた。
彼女の肌が照らされた。
それは信じられない光景だった。何度思い返してもそう思うに違いない。
儚げで純情な美少女が全裸で股を開いている。下品な姿にも見えるはずなのに、品性を失わない恥じらいがあった。
まるで天空から舞い降りた天使に思えた。少なくとも僕にとっては。女神かもしれない。
「あ、えっと……君、好きな食べ物なに?」
男は急な話題を振った。おそらく彼女の姿に魅入られていたのは僕だけじゃなくて、この男もだったのだろう。反応を伺って楽しんでいたはずの男は動揺していた。
「みかんゼリーです」
「可愛いね」
「……ありがとうございます」
哀香さんは褒められて照れた。そして、クスッと笑う。彼女のイタズラな笑顔に目を奪われる。たまらなく魅力的だった。
男も雰囲気に気をよくしたのだろう。彼女へ質問攻めが始まった。まるでインタビューのような。
「家族構成は?」
「父と母。妹が1人の4人家族です。祖父母は別なところに住んでます」
「出身はどこ?」
「◯◯県です」
「将来の夢は?」
「まだ決めてません。お母さんが決めるらしいので」
「趣味は?」
「読書です」
「オナニーは週に何回ぐらいする?」
「あんまり一人ではしません。月に1~2回くらいで……あっ」
男がニヤリと笑った。とんでもない体勢の哀香さんに投げかけられていた言葉。たわいもない内容の中に紛れていたとんでもない質問に彼女は答えてしまった。
「そうなんだ」
「いえ、あの……私ったらつい正直に……わ、忘れてください!」
彼女はあわてて胸の前で手を振って照れていた。しかしニタニタした男のセクハラ発言はまだ終わりはしなかった。
「最近はいつオナニーしたの?」
「あ、あの……」
「答えろ!」
「ひ! えっと……ついさっき、じゃ、なくて! つい昨日です!」
ビクッとした彼女は、とんでもない言い間違いをした。訂正した先にも驚かされた。僕も昨日していたから。
「わ、忘れてください! あ、あの……次はどんなポーズを取ればいいですか?」
「ああ。じゃあ、だらしなく足を開いて、顔を向こうへ」
照れ隠しのように彼女は男に自分のとるポーズを求めた。
「は、はい!」
そして、ためらうことなく胡座をかいて片方の膝を立てた。
「そういえば、まだちゃんと名前聞いてなかったよね」
「……私ですか?」
「そうそう」
「えっと……哀香です」
彼女は少し困惑したような表情を浮かべつつも、本名を教えてくれた。もちろん僕は知っていたけど、改めて聞くと興奮するものがあった。
「じゃあ哀香ちゃん……寝そべって足を持ち上げてくれるかな?」
「はい」
哀香さんは従順に男に従う。もはや従わない方がおかしいことのように。
そして、彼女の秘めたる部分が丸見えになった。その姿はまるでこの場にいる男達に恥部を見せつけているみたいだった。いや、実際に見せつけている。
僕は何度目かの生唾を飲んだ。
「あ、あの……」
「ん? なに?」
「えっと……このポーズも……すごく恥ずかしいですね……でも、みなさんのお役に立てるなら……」
哀香さんは顔を真っ赤にしながら言った。
その顔がどこか楽しそうに見えたのは、あまりの光景に頭がくらくらした僕の幻覚なのだろう。
しかし、ギラつきを取り戻した男の要求は終わってはいなかった。
「もっと恥ずかしいポーズもあるけどやってみる?」
「……え、これよりもですか……?」
「うん。すごく恥ずかしいよ」
男は悪質な笑みを浮かべながら、哀香さんに語りかける。
「……そう……ですか……」
彼女は恥ずかしそうに俯いた。少しのためらい。
「……やってみます。ここまで頑張ったので……せっかくなので……」
まるで、もったいないからおまけをもらうようなノリだった。きっと、あまりの恥ずかしさで自分の行為を正当化する防衛本能が働いているんじゃなかろうか?
「えっと、足を抱えるんですよね……」
「うん。足はできるだけ高く上げて、お尻の穴もちゃんと見せて」
「はい」
哀香さんは男の指示にしたがって体勢を変えた。それはあまりにもはしたない姿だった。
「あの……流石にこれは……あまりにも下品じゃないですか? 恥ずかしすぎます……」
そう言いつつも、その姿勢を崩さないままの彼女は、足の間からチラチラとこちらを伺っていた。
当然のようにおっぱいは丸出しで、自分の足を抱えて股を開きながら待機するその姿は、まるでナニかを待っているようで……僕の股間は張り裂けそうなほど膨らんだ。
「まだだよ?」
「え?」
──え?
男が発した言葉で驚いたのは、哀香さんだけじゃなくて僕もだった。
「そのまま指で拡げてみようか」
ニタっと笑って男は言った。
「ひ、拡げるって……そんなことしたら……中まで見えちゃいます」
「うん。見せてほしい。芸術のためだよ。ネットとかだと規制されるから、実際のモデルさんに見せてもらわないと参考にならないから仕方ないんだ。恥ずかしいだろうけど我慢してくれない?」
「で、でもぉ」
「お尻の穴は見せてくれたよね?」
「お尻の……穴は性器じゃないって言われたので……ここは間違いなく性器ですよね!?」
流石に今回の指示をすぐに行動に移せない彼女だった。
「こんなところ……誰にも見せたことないのに……自分でだってちゃんと見たことないのに……」
「もしかして哀香ちゃんは処女?」
「え!? あの……はい」
何度も繰り返された常軌を逸したセクハラ発言。今回は特に限度を超えていた。驚いた彼女はまた素直に答えてしまったようだ。
──やっぱりそうなんだ。
僕はなぜか安心した。彼女の今までの恥じらいが嘘じゃなかったような気がして、誰にも触れられたことがない清純さを感じた。
「へぇ、珍しいね。こんなに可愛いのに」
「そ、そんな……可愛いだなんて……」
「ねぇ。お願いだからやってみてくれない?」
「……でも、あまりに……それに、汚いですし……」
「大丈夫。きっと綺麗だよ」
「でも……」
「頑張るって言ったよね?」
「言いましたけど……」
哀香さんは両足を抱えた姿勢のまま男に説得されていた。それが異常だとはその時の僕はなぜか思っていなかった。感覚が麻痺して常識を歪められていた。だから、煮え切らない彼女の態度がまるで「アソコを見せるための理由探し」に思えたのもきっと僕の思い違いなのだろう。
「それに……私のここなんて……誰も見たくないと思います……」
彼女がそう言った時、僕と目が合った。
「そんなことない!!」
気づけば僕は立ち上がって叫んでいた。
その叫びは教室中に響いた。哀香さんが目を丸くしてビクッと身を震わせた。
「あ……えっと……」
体と口が勝手に動いたから何も考えていなかった。自分の行動が信じられずにカッと顔が熱くなる。どもどもと何も言えなくなってしまった。
「ほら! 彼もこう言ってるよ! 皆さんもそう思いますよね」
助け舟はオーナーの男が出した。僕のためじゃなくて邪な欲望のためなのだろうけれど、部屋の空気が変わってくれた。
「せっかくだし、皆さんにも聞いてみようか。哀香ちゃんのアソコが見たい人は手をあげてください」
男がそう言うと、部屋中の男たちがこぞって手をあげた。「はい! 俺も! 俺も見たいです!」と僕の友達も声をあげて、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。この部屋で手を挙げていないのは、やれやれと呆れる講師の男だけだった。もちろん僕も……天高く右手を掲げていた。
「ほら、こんなに言われてるよ」
男は満足そうに笑う。
「あ、あのあの。そ、そんなに!? 私なんかにその……申し訳ないです……」
今までで一番顔を真っ赤にした哀香さんは、自分の足の間から僕たちを見渡していた。自分が美少女だと分かっていないのは彼女のどうしようもない罪だった。
「だから、見せてよ。お願い」
男が代表してダメ押した。
「……はい……えっと……じゃあ、皆さんに喜んでいただけるなら……でも、ちょっとだけ、ちょっとだけ、ですから……ね?」
彼女は僕たちの空気に流されて承諾した。
足を上げたままの姿勢から左手をそっと股間のスジに沿わせた。ぴとっと指が触れて止まる。一瞬のためらい。そして彼女は僕を見た。僕たちは目が合った。ちゃんと見ていることを確認するような視線。大勢の前なのにまるで僕のために見せてくれるんじゃないかって、錯覚した。
くにゅりと肉が拡がった。
彼女の割れ目が拡がって、鮮やかなピンク色をした膣内が衆人の前に晒された。それはビラビラとした襞に彩られた花びらのようで、鮑のように湿り気を帯びている。内部にはぷくっとした小まめがあって、深淵の奥へと続く穴。その入り口がぱっくりと開いていた。
ごくっと喉が鳴った。
初めて見た女性の無修正の性器。こんなえっちなものがこの世に存在していたなんて知らなかった。
部屋が静まり返った。
「あの……? ちゃんと見えているでしょうか……。恥ずかしいのですぐに隠したいんですけど……」
哀香さんが不安げに言った。
だけど誰も返事をしなかった。僕もできなかった。この瞬間があまりにも刺激的すぎたからだ。
「うーん、よく見えないなぁ……両手で拡げてくれない?」」
しかし、オーナーの男は口を開いた。どんなふうに歳を重ねて経験を積めばこの状況で何かを言うことができるのだろう。しかもとんでもない内容。くやしいけど、尊敬に似た謎の感情が湧いた。
「あ……はい」
なぜそれに哀香さんが素直に従うのかも分からない。でもどうでもいい。僕たち下々の民は神様から与えられた幸運を享受するしかない豚なのだから。僕は違和感を考えるのをやめた。
哀香さんは右手と左手のそれぞれの指を割れ目の両サイドに沿わせて、開いてくれた。僕は天を仰ぎたかった。でも目は反らせない。哀香さんの大事な部分を両手で見せてくれているのだから。
「あの、これで中まで見えるでしょうか?」
美少女の膣内が丸見えになっていた。
ぱち……ぱち……ぱち。
再び、自然と拍手が沸き起こった。僕は手のひらが痛くなるまで拍手した。
「よくできたね。丸見えだよ。おめでとう」
「おめでとう!」「おめでとう!」「おめでとう!」
「おめでとう!」「おめでとう!」「おめでとう!」
「おめでとう!」「おめでとう!」「おめでとう!」
「ありがとう!」
全裸で膣を広げる哀香さんを取り囲んだ男達はスタンディング・オベーションをしていた。僕も友達もその輪に加わっている。
昔、父に見せられたロボットアニメでこんなシーンがあった気がする。
最低の悪ふざけだった。
「え? え? あの? これは、どういう?」
意味がわかっていない哀香さんは周りをキョロキョロ見回した。無理も無い。意味がわかっている人間などこの場にはいないのだから。
「みんな哀香ちゃんの大事なところが見れてうれしいんだよ。だから……君もお礼が言えるよね?」
「?? お礼ですか……?」
「『私のお◯んこ見てくれてありがとうございます』って言ってごらん?」
「なっ!?」
「ちゃんと言ってくれないとお返しできないよ。皆さんわざわざお金払ってきてくれてるんだよ?」
「で、でも……そんな卑猥な……」
「できるよね?」
「……」
「ね?」
「……はい」
オーナーの男の圧力に屈して、哀香さんは口をひらく。
「本日は……わざわざ私の処女お◯んこを見にきていただいてありがとうございます……♡」
くぱぁ
秘密の場所がめいっぱい広がった。
僕たちは慈愛に満ちた気持ちでピンクの深淵を見つめていた。
「うう、恥ずかしすぎますぅー」
彼女が満面の笑みを浮かべているように見えたのは、この異常な空間を象徴する僕たちの幻想に違いない。耳までおかしくなって彼女の恥じらいのセリフが棒読みに聞こえた。
「よし。じゃあそのポーズを10分間維持しようか」
「え……」
「約束したよね? できるよね?」
「でも……恥ずかしいです……」
「ね?」
「はい……」
結局、哀香さんはその姿勢を10分間、僕たちに晒してくれた。
ぱっくりと開かれた女陰はひくひくと震えていた。たぶん、空調の風が当たってむず痒かったのだと思う。
そして、90分を告げるタイマーが鳴った。
ヌードデッサンが終わったのだ。
***
終わってみればあっというまで、夢のような時間だった。本当にあれは現実だったのだろうか? 疑いたくなるような異常事態。
でも確かに僕の脳裏には鮮明に焼きついている。
僕は椅子から立ち上がった。彼女に何か言わなければいけないと思った。謝りたかったのかもしれない。
哀香さんは中年オヤジたちに囲まれて好奇の的にされていた。
「お願い! 最後に立った状態からM字開脚してくれない?」
「そんなー恥ずかしいですよー」
「次はいつ来れるか分からないんでしょ? それに恥ずかしいポーズならもういっぱいしてくれたじゃん」
「えーもう仕方ないですねー特別ですよ?」
おお! っと歓声が上がった。どうやら彼女はまた言いなりになってポーズをとったらしい。
「下品だけど可愛い!」
「えへへ、褒めてくれてありがとございますぅ」
人の隙間を抜けて、全裸の彼女の前に到着しても言葉は何も思いつかなかった。彼女のご両親が見たら卒倒するような姿勢(M字開脚)に思考を邪魔されて声がうまく出てこない。
「あ、あの……」
「……え!?」
しかし、哀香さんは近くに来た僕と目が合った瞬間、そのとんでもない姿勢(全裸M字開脚)のままなにかに気づいたように目を丸くした。
「佐々木くん……?」
──!???!!!
彼女の口からこぼれた名前を聞いて、その声色に浸るまもなく驚愕した。
「ええ! 僕のこと知って……!?」
「だって……必修のクラス一緒だよね……。自己紹介したことあったじゃない……」
それは確かにそうだったけれど、彼女が僕なんかのことを憶えているわけがないと思っていた。
「誰かに似てるって思ってたけど……私……同じ大学の知り合いに裸……見られちゃってたんだ……あんなポーズとかセリフまで」
というか今もとんでもない姿を見下ろしているわけだけど。僕は何をすればいいのか完全に分からなくなっていた。
おっぱいおっぱいお◯んこおっぱい。僕は猿だ。「おっぱい?おっぱい?おっぱい?お◯んこ!お◯んこ!」おっぱい語かお◯んこ語しか喋れない。人間の言葉はどこかへ捨ててきた。
意識を失いそうで何も考えられない。
ぎゅっと僕の腕が掴まれて引っ張られた。
立ち上がった哀香さんがすぐそばにいる。
「ええ!?」
「ちょっと……いい?」
困惑する僕を教室の角に連れて行った彼女は体を寄せてヒソヒソ話を始めた。ふわっと女の子のいい匂いがする。
「あの、私……ヌードモデルだなんて知らなくて……流されるうちにとんでもないポーズまでしちゃった。バカで本当に恥ずかしいの……このこと大学で言いふらしたりしないでほしくて……」
「そんなことしないよ……」
「本当!? 約束してくれる……?」
「う、うん。約束する……」
「ありがとう! 佐々木くん!」
正直、僕はなにも考えられていなかった。
全裸の哀香さんが吐息もかかりそうなほど近くにいる。僕の腕には彼女の生のおっぱいが当たっていて……その気になったら摘めそうな距離に乳首がある。
彼女は僕が頷くと安心したように離れて後ろを向いた。
ぷりっとした生のおしりの割れ目。僕は今日、この人の肛門まで見せてもらったのだ。
「あ、佐々木くん……」
帰ろうとした哀香さんがくるりとこちらを向いた。もう見せてしまったから意味がないと思っているのか、どこも隠していない。
そして、彼女は笑った。
ぞくりとするほど小悪的な笑みで鳥肌がたった。ギンギンだったモノが一瞬で縮み上がった。
「今日のことは内緒だよ?」
釘を刺された。
もう一生口を開くなと言われた気がした。
彼女は去って行った。
友人が僕に何かを問いただしている。でもそんなこと何も聞こえない。
世界は無音になってしまった。
僕は自分のやるべきことを思い出した。
そっと隅に置かれたゴミ箱からあるものを盗み出す。
思った通り、それには一本のちぢれた毛がついていた……。
***
あの日から、大学構内で彼女を見かけるたびあのヌードデッサンを思い出す。
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