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13"旅の羞恥はかき捨て
60.壊れた女王様
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(哀香視点)
紅葉に染まった山々と湯気が立ち上る露天風呂。
青空の下、全裸の私と全裸の男性が2人、正座している。そして仁王立ちで腕を組む全裸の彼女。
「あの、悠莉……これは一体?」
私は恐る恐る威厳を放つ友人にお伺いを立てた。すると彼女は不機嫌そうに腰に手を当て一瞥した。
「あなたは黙ってなさい」
「あ、はい。わかりました……」
冷め切った声でピシャリと言い放たれて、思わず敬語で返事をしてしまった。
「あなたたち、私の親友に何したの?」
悠莉は怒りを露わにして男性たちを睨んだ。
「いや、俺たちはただ……」
「身体を洗ってもらって……」
男性たちは言い淀む。彼らがしてくてた事は私が1番わかっている。
私の裸を見てくれて、おっぱいを揉んでくれて、お尻を撫でてくれて、乳首を舐めてくれて、アソコまで舐めてくれた。
「その子がして欲しそうだったから……」
男性の1人がそう言うと「キモっ」と悠莉は冷たい目で侮蔑した。
実際彼らの言う通りだった。私が誘惑して半ばそう仕向けたようなもので、彼らだけが悪いわけじゃない。
「そ、そうだよ。気持ちよくしてもらったし、私も楽しんでたから……」
私は慌ててフォローした。異常な状況を作り出した責任は、低く見積もっても85%は私にその原因があると思う。
「言い訳はいらない」
悠莉は吐き捨てるように言って、怒気を隠さず男性たちを睨んだ。
私は彼女が何を言い出すのか不安に思いビクビクしていた。
そもそも悠莉は何に対して怒っているのだろう?
私が露出狂の変態なのは、彼女が1番よく知っていることのはず。
豹変の理由が分からなかった。分からないものは怖いくて、先の見えないのは恐怖だから。
「それで? あなたたちは哀香の身体を触ったり舐めたりした。 乳首だけじゃなくて、あんなところも。あんた達、仕事で来てるんでしょ? このまま警察に行ったらどうなると思う?」
悠莉は男性たちを脅した。男女の立場を利用した卑怯な交渉方法に、彼らは気まずそうな表情を浮かべて沈黙するしかなかった。
「ゆ、悠莉……もういいよ……」
彼女はキッと眼光を鋭くした。
「いいわけないでしょ! こいつら絶対許さないんだから!」
彼女は怒りを露わにして怒鳴った。その迫力に気圧されて彼らはさらに黙り込んでしまう。
彼らが感じる罪悪感と彼女の威圧感によって完全にこの場が支配されていた。
「なにそれ。穢らわしい」
そして悠莉は軽蔑の眼差しで彼らの下半身を指さした。そこにはいまだ元気を失わずに勃っているものがある。
「最低。まさかまだ興奮してるの?」
悠莉は冷たい声で言い放つ。彼らはバツが悪そうに目を逸らした。
「う!?」
突如、小太りのの男性が苦しげな声を上げた。
「はは、どう? 気持ちいい?」
悠莉は突如、男性の股間を足で踏みにじった。
ぐりぐりとモノを弄び、器用に親指の間を使いながらこねくり回すように刺激を与える。
「ゆ、悠莉……それは……」
私は思わず口を挟む。でも彼女は、私なんて眼中にないような意地悪な笑みを浮かべていた。
「こんなものを哀香は手で綺麗にさせられたんだ……」
口を歪めた悠莉は、小太りの男性のモノを足蹴にしてぐりぐりと弄ぶ。
正座する男性を片足で踏みつける悠莉。
足をあげているというのにバランスを崩さない平衡感覚は、贅肉のない綺麗なプロポーションに裏打ちされている。
「ほら、気持ちいいんでしょ? もっと踏んで欲しい?」
下から見上げる私たちには足を開く悠莉の股間が丸見えで、その奥にある中身もはっきりと確認できてしまう。でも彼女はもうそんな事は気にしていなかった。
「う……あ……」
男性は顔を歪めてうめき声を上げる。それが苦痛からくるものなのか、別の感情なのか私にはわからない。
「あなたたちは私の哀香を穢した。その罪を償ってもらう」
悠莉はそう言うと、男性たちを見下しながら指差した。
この場は完全に彼女の雰囲気に圧倒されていた。有無を言わさない覇気を纏っていて、言う事を聞かなければいけないような気にさせる。
「償い?」
男性の一人が悠莉に聞き返す。その声は少し震えていた。
「ええ、そう」
彼女は妖艶な笑みを浮かべていた。いつか見た悪魔のような笑みだった。
そして、命令した。
「舐めなさい」
悠莉は自分の股間を指さして示した。
「え!?」
男性たちは驚いて声を上げる。私も思わず彼女の方を見た。
でも、悠莉はそんな彼らを見てクスクスと笑った。
「どうしたの? できないの?」
彼女はそう言って挑発するように足を組み替えた。その仕草が妙に色っぽくてドキッとする。
男性たちは戸惑いの表情で顔を見合わせていたけれど。
「……わかったよ」
やがて、上司風の男性がおずおずと声をあげた。
悠莉の前に跪き、ゆっくりと股間に顔を近づける。控えめに舌をだして彼女の恥部にふれた。
チロチロと舌を動かして彼女の割れ目をなぞる。
「……ん♡ 最悪」
彼女の口から甘い吐息が漏れた。同時に心底不快そうな顔つきで、彼のハゲかけた頭皮にツバを吐きかけた。
「もっとしっかり舐めなさい」
悠莉は彼の頭を持って自分の股間に押し付けた。男性はそのまま、彼女の割れ目に吸い付く。
じゅるりと卑猥な音を立てながらベロベロと舐め回される。
「うわ、最悪ぅ♡ 夢中で私のアソコ舐めてる。犬みたい♡ 恥ずかしくないの?」
男性に口々に侮蔑の言葉を投げ掛けるけれど、その端々に甘い喘ぎを隠せていなかった。
「あはっ♡ もう、必死すぎでしょ……こんなハゲたデブオヤジに、私ここが舐められてるぅ。こんなやつに哀香も舐められて……あぁん♡」
彼女はビクンと身体をしならせた。その反応を見て男性はさらに激しく舌を動かすと、悠莉の口から甘い声が漏れ続ける。
私は思わずごくりと生唾を飲んだ。
──すごい……。
目の前の光景が信じられなかった。あの悠莉が男の人に自らアソコを舐められて感じている。
「んふぅ♡ あんたもういい。次はあんた!」
悠莉は乱暴にハゲた男性を振り払うと、今度は若い男性を指名した。
彼女は男性の眼前に、足を差し出した。
「足を舐めなさい」
「はい……」
男性は言われるままに彼女の足に口をつけた。そして、舌を出して丁寧に舐め始めた。
指の間から足の甲まで、余すことなく彼女の足を味わうように。
「あはっ♡ くすぐったい。なに素直に足舐めてんの? キモっ♡」
悠莉は楽しそうに笑い声を上げる。
右足を舐め終わった彼が、そっと左足に触れた。
「ダメ、終わり」
唐突に悠莉はそう言って足を引っ込めた。
「え?」
男性が意外そうな表情で悠莉を見上げる。
「なにその顔? 終わりって言ったでしょ」
悠莉は冷たく言い放って、自分勝手に打ち切ってしまった。
男性は困惑して悠莉を見上げる。彼女は意地の悪い笑みを浮かべたまま男性を見下していた。
「なに? もっと舐めたいの?」
悠莉は男性を見下ろしながらクスクスと笑う。
「いや、そういうわけじゃ……」
男性はしどろもどろになりながら答えるが、彼女の目は笑っていない。その姿は絶対遵守の威圧感を放っている。
まるで誰も逆らえない圧政のお姫様。
「次はここを舐めなさい!」
悠莉はそう言うと、くるりと後ろを向いて前屈みになった。そして、お尻を男性へと突き出した。
「は? え?」
「ほら、早く舐めなさいよ」
足をガニ股に開き臀部の肉を左右に拡げて、男性の視線をその「穴」へと導いた。
「あ……はい……」
男性は言われるままに彼女のアナルに舌を這わせる。その刺激に悠莉の身体がピクリと跳ねた。
「くっ 」
悠莉は何かに耐えるように歯を食いしばるが、すぐに口角を釣り上げた。
「うわ、本当に舐めた。ほんと最悪……。汚くないの? なんで私がこんなやつにケツの穴舐められなきゃいけないの。こんなやつに……哀香も♡」
悠莉は吐き捨てるようにそう言ったけど、その顔はどこか嬉しげだった。
苦痛に歪める顔と、快感で喘ぐ顔、相反するはずの両者が同時に混在しているように思えた。
そのどちらもが嘘ではない感情なのだと、悠莉の顔は訴えている。
とても不思議な感覚に襲われる。
私はようやく気づいた。
目の前の異常な光景に納得がいった。
悠莉は必死に『彼らを嫌いになろうとしている』のだ。
つまりは、『私を穢すため』に。
自分の大嫌いな存在が、大好きなものをぐちゃぐちゃに汚す。それが、彼女の性癖だった。
そのための下地として、彼らを嫌うためのロールプレイ。
──よかった。
私は心の底から安堵した。
いつの間にか男性たちは2人がかりで彼女を舐め回していた。1人はお尻の穴を、もう1人は彼女の性器を。
「く、屈辱……。なんで私がこんなこと……。哀香ぁ……♡」
快楽のためなら自分の身体でさえ悪魔に差しだす事さえ厭わない。
彼女がそうまでして穢したいほど好きなものが『私』だっていうのが、どうしようもなく嬉しくて、誇らしくて。
ぽかぽかした気持ちのまま、目の前の痴態を眺めていた。
しばらくして、ようやく悠莉は満足した。
「もういい! 離れなさい!調子に乗るな!」
彼女は男性たちを怒鳴りつけて足蹴にする。彼らは渋々といった様子で彼女から離れた。
「はぁ……最悪。オヤジたちのヨダレついた。こいつら大嫌い」
悠莉は肩で息をしながら呟いた。そして私を睨んだ。
「哀香……なにニヤニヤしてるのよ」
「だって……」
悠莉が愛おしくて仕方がなかった。可愛かった。
「次はあなたの番なのに余裕ぶっていていいの?」
「うん♡」
余裕綽々といった感じで頷いた。だって、私は変態だから。
悠莉がニヤついて2人の男性に指示を出す。
彼らに両手を引っ張られた。
──私も舐められるのかな? もしかして……まさかついに……。
ガッチリと身動きを封じられて、男性との体格差を思い知らされてもまだ余裕だった。
「悠莉ぃ、早くぅ♡」
これから起こる事が楽しみでさえあった。
でも、それは間違っていた。
私は彼女のことを舐めていたのだ。
「ふふ、私ね。まだ哀香の見てない顔があるの。それは心の底から恥ずかしがっている顔。私は最初のヌードデッサンに参加できなくて、あなたはそれで目覚めちゃったから……もう見れないのかもって残念だった。でも、気づいちゃった」
嫌な予感がした。
「今なら見れる。あなたが本当に恥ずかしがってるところを」
悠莉は妖艶に笑った。その笑顔を見て私は理解した。彼女は本気だ。本気で私を辱めようとしているのだと。
ハッとした。
──気づかれてる!?
「まって! やめて!」
私の叫びも虚しく、悠莉は言ってはいけないことをいった。
「その子、お尻を叩かれるのが好きなの。喜ぶから叩いてあげなさい!」
──だめ! それだけは!
私が本気の叫びをあげようとした時には、すでに男性の腕は振り上がっていて、押さえつけられて動けなかった。
パァン!と音が鳴った。
同時に鈍い痛烈な痛みが臀部に走る。
「きゃうんっ!」
思わず犬のような嬌声をあげてしまった。
パァン! パァン! パァン!
軽快な破裂音が何度も鳴り響く。
露天風呂で全裸で叩かれる生尻。
澄み切った空気が振動を伝え、紅葉色づく雄大な山々に反射して音となって返ってくる。
最悪なやまびこ。
「いやぁぁ! いやぁぁ!」
私は情けない声で叫んだ。でも、私のお尻を叩き続ける手は止まらない。
羞恥で顔が熱くなった。
全裸を見られることより、全身を舐められることよりも100倍恥ずかしかった。
「いやぁぁぁ。ダメぇ。私のお尻を叩いていいのは悠莉だけなのにぃ」
私のもう一つの性癖『お尻を叩かれて、怒られたい』はいつの間にか、『好きな人に、お尻を叩かれたい』に変わっていたのだ。
だから最近は彼女を怒らせることをして、後でお仕置きされるのを楽しみにしていたのだ。
「哀香、お尻を叩かれて喜んでるの?変態」
悠莉はクスクスと笑いながら私を見下す。
「違うのぅ。あなたに叩かれるのがいいの!」
自分の変性していた性癖を彼女に見抜かれていたことに絶望していた。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。
私のお尻が悠莉以外の人に叩かれちゃってる!
「なんでっ! 私と悠莉だけの秘密だったのに! 」
「その顔が見たかった……」
悠莉はうっとりとした顔で呟いた。
パァン!
「や、やめて! もう許して!」
私は必死に懇願した。でも、彼らは私の言葉など聞いていなかった。言いなりになってお尻を叩き続けるだけ。
「うむぅ!?」
突如、私の唇が悠莉に塞がれた。舌を入れられて口の中を蹂躙される。
好きな人とのキスなのに、同時に感じる屈辱的な痛み。
「ぷはっ……」
息継ぎのために唇が離れる。
「悠莉、なんで……」
「哀香が好きだから……きゅうぅ♡」
気づけは悠莉の乳首が男性に摘まれていた。
私が何度も虐めているうちにどんどん敏感になっていった突起。
私以外の人に乳首を許すなんて……。私が育てたのに……。
ちくりと胸を刺す痛み。
でも、同時に理解する。
──ああ、こういうことかぁ。
私たちは再びキスをした。舌を絡め合う濃厚なキス。
その間も私のお尻は叩かれ続けていたけれど、もう恥ずかしさはどこかに消えていた。
「あ、悠莉ぃ♡ 私も好きぃ♡」
私も同じだったのだ。
男の人に組み敷かれる2人の女。一方はお尻を叩かれ、もう一方は乳首を弄られながら、私達は幸せなキスをした。
異常だと、変態だと、どんなに罵倒されようともこれが私達の「愛の形」だ。
誰にも理解されなくたっていい。世界中の全てを敵に回しても、彼女だけは私と一緒にいてくれる。
どんなに穢れようとも私達はどこまでも一緒だ。
好きな人は目の前にいる。
「哀香♡ あ、きちゃう♡」
「悠莉♡ くる♡ くる♡」
私達はガッチリと両手を握り合った。
ラストスパートを感じ取った男性達の手が私と彼女の股間に伸びてきて、刺激を加えてくれる。
「「あんあん♡あんあんあんんんんあああああ!!!」」
2人の絶叫が山々に響き渡った。そして、私達は同時に絶頂を迎えた。
ぐったりとした私たちの身体を男性が綺麗にしてくれた。
その後、協力してくれた男性達とゆっくり温泉に浸かって雑談をした。「俺たちの部屋に来ない?」って誘われたけれど「私たちだけでセックスしたいから」って悠莉が断ってしまった。
旅館の夕食を食べて、夜は2人でいちゃいちゃした。
はだける浴衣と重なり合う肌。熱い夜。
爽やかな目覚めと共に温泉地を後にした。
終わってみれば一泊二日の小旅行。
これが、私達のとんでもない温泉旅行のあらまし。
……余談だけれど、あの温泉で撮った写真を確認すると、私のお尻は人の手形が張り付いて、まるで紅葉みたいに赤く腫れていた。
紅葉に染まった山々と湯気が立ち上る露天風呂。
青空の下、全裸の私と全裸の男性が2人、正座している。そして仁王立ちで腕を組む全裸の彼女。
「あの、悠莉……これは一体?」
私は恐る恐る威厳を放つ友人にお伺いを立てた。すると彼女は不機嫌そうに腰に手を当て一瞥した。
「あなたは黙ってなさい」
「あ、はい。わかりました……」
冷め切った声でピシャリと言い放たれて、思わず敬語で返事をしてしまった。
「あなたたち、私の親友に何したの?」
悠莉は怒りを露わにして男性たちを睨んだ。
「いや、俺たちはただ……」
「身体を洗ってもらって……」
男性たちは言い淀む。彼らがしてくてた事は私が1番わかっている。
私の裸を見てくれて、おっぱいを揉んでくれて、お尻を撫でてくれて、乳首を舐めてくれて、アソコまで舐めてくれた。
「その子がして欲しそうだったから……」
男性の1人がそう言うと「キモっ」と悠莉は冷たい目で侮蔑した。
実際彼らの言う通りだった。私が誘惑して半ばそう仕向けたようなもので、彼らだけが悪いわけじゃない。
「そ、そうだよ。気持ちよくしてもらったし、私も楽しんでたから……」
私は慌ててフォローした。異常な状況を作り出した責任は、低く見積もっても85%は私にその原因があると思う。
「言い訳はいらない」
悠莉は吐き捨てるように言って、怒気を隠さず男性たちを睨んだ。
私は彼女が何を言い出すのか不安に思いビクビクしていた。
そもそも悠莉は何に対して怒っているのだろう?
私が露出狂の変態なのは、彼女が1番よく知っていることのはず。
豹変の理由が分からなかった。分からないものは怖いくて、先の見えないのは恐怖だから。
「それで? あなたたちは哀香の身体を触ったり舐めたりした。 乳首だけじゃなくて、あんなところも。あんた達、仕事で来てるんでしょ? このまま警察に行ったらどうなると思う?」
悠莉は男性たちを脅した。男女の立場を利用した卑怯な交渉方法に、彼らは気まずそうな表情を浮かべて沈黙するしかなかった。
「ゆ、悠莉……もういいよ……」
彼女はキッと眼光を鋭くした。
「いいわけないでしょ! こいつら絶対許さないんだから!」
彼女は怒りを露わにして怒鳴った。その迫力に気圧されて彼らはさらに黙り込んでしまう。
彼らが感じる罪悪感と彼女の威圧感によって完全にこの場が支配されていた。
「なにそれ。穢らわしい」
そして悠莉は軽蔑の眼差しで彼らの下半身を指さした。そこにはいまだ元気を失わずに勃っているものがある。
「最低。まさかまだ興奮してるの?」
悠莉は冷たい声で言い放つ。彼らはバツが悪そうに目を逸らした。
「う!?」
突如、小太りのの男性が苦しげな声を上げた。
「はは、どう? 気持ちいい?」
悠莉は突如、男性の股間を足で踏みにじった。
ぐりぐりとモノを弄び、器用に親指の間を使いながらこねくり回すように刺激を与える。
「ゆ、悠莉……それは……」
私は思わず口を挟む。でも彼女は、私なんて眼中にないような意地悪な笑みを浮かべていた。
「こんなものを哀香は手で綺麗にさせられたんだ……」
口を歪めた悠莉は、小太りの男性のモノを足蹴にしてぐりぐりと弄ぶ。
正座する男性を片足で踏みつける悠莉。
足をあげているというのにバランスを崩さない平衡感覚は、贅肉のない綺麗なプロポーションに裏打ちされている。
「ほら、気持ちいいんでしょ? もっと踏んで欲しい?」
下から見上げる私たちには足を開く悠莉の股間が丸見えで、その奥にある中身もはっきりと確認できてしまう。でも彼女はもうそんな事は気にしていなかった。
「う……あ……」
男性は顔を歪めてうめき声を上げる。それが苦痛からくるものなのか、別の感情なのか私にはわからない。
「あなたたちは私の哀香を穢した。その罪を償ってもらう」
悠莉はそう言うと、男性たちを見下しながら指差した。
この場は完全に彼女の雰囲気に圧倒されていた。有無を言わさない覇気を纏っていて、言う事を聞かなければいけないような気にさせる。
「償い?」
男性の一人が悠莉に聞き返す。その声は少し震えていた。
「ええ、そう」
彼女は妖艶な笑みを浮かべていた。いつか見た悪魔のような笑みだった。
そして、命令した。
「舐めなさい」
悠莉は自分の股間を指さして示した。
「え!?」
男性たちは驚いて声を上げる。私も思わず彼女の方を見た。
でも、悠莉はそんな彼らを見てクスクスと笑った。
「どうしたの? できないの?」
彼女はそう言って挑発するように足を組み替えた。その仕草が妙に色っぽくてドキッとする。
男性たちは戸惑いの表情で顔を見合わせていたけれど。
「……わかったよ」
やがて、上司風の男性がおずおずと声をあげた。
悠莉の前に跪き、ゆっくりと股間に顔を近づける。控えめに舌をだして彼女の恥部にふれた。
チロチロと舌を動かして彼女の割れ目をなぞる。
「……ん♡ 最悪」
彼女の口から甘い吐息が漏れた。同時に心底不快そうな顔つきで、彼のハゲかけた頭皮にツバを吐きかけた。
「もっとしっかり舐めなさい」
悠莉は彼の頭を持って自分の股間に押し付けた。男性はそのまま、彼女の割れ目に吸い付く。
じゅるりと卑猥な音を立てながらベロベロと舐め回される。
「うわ、最悪ぅ♡ 夢中で私のアソコ舐めてる。犬みたい♡ 恥ずかしくないの?」
男性に口々に侮蔑の言葉を投げ掛けるけれど、その端々に甘い喘ぎを隠せていなかった。
「あはっ♡ もう、必死すぎでしょ……こんなハゲたデブオヤジに、私ここが舐められてるぅ。こんなやつに哀香も舐められて……あぁん♡」
彼女はビクンと身体をしならせた。その反応を見て男性はさらに激しく舌を動かすと、悠莉の口から甘い声が漏れ続ける。
私は思わずごくりと生唾を飲んだ。
──すごい……。
目の前の光景が信じられなかった。あの悠莉が男の人に自らアソコを舐められて感じている。
「んふぅ♡ あんたもういい。次はあんた!」
悠莉は乱暴にハゲた男性を振り払うと、今度は若い男性を指名した。
彼女は男性の眼前に、足を差し出した。
「足を舐めなさい」
「はい……」
男性は言われるままに彼女の足に口をつけた。そして、舌を出して丁寧に舐め始めた。
指の間から足の甲まで、余すことなく彼女の足を味わうように。
「あはっ♡ くすぐったい。なに素直に足舐めてんの? キモっ♡」
悠莉は楽しそうに笑い声を上げる。
右足を舐め終わった彼が、そっと左足に触れた。
「ダメ、終わり」
唐突に悠莉はそう言って足を引っ込めた。
「え?」
男性が意外そうな表情で悠莉を見上げる。
「なにその顔? 終わりって言ったでしょ」
悠莉は冷たく言い放って、自分勝手に打ち切ってしまった。
男性は困惑して悠莉を見上げる。彼女は意地の悪い笑みを浮かべたまま男性を見下していた。
「なに? もっと舐めたいの?」
悠莉は男性を見下ろしながらクスクスと笑う。
「いや、そういうわけじゃ……」
男性はしどろもどろになりながら答えるが、彼女の目は笑っていない。その姿は絶対遵守の威圧感を放っている。
まるで誰も逆らえない圧政のお姫様。
「次はここを舐めなさい!」
悠莉はそう言うと、くるりと後ろを向いて前屈みになった。そして、お尻を男性へと突き出した。
「は? え?」
「ほら、早く舐めなさいよ」
足をガニ股に開き臀部の肉を左右に拡げて、男性の視線をその「穴」へと導いた。
「あ……はい……」
男性は言われるままに彼女のアナルに舌を這わせる。その刺激に悠莉の身体がピクリと跳ねた。
「くっ 」
悠莉は何かに耐えるように歯を食いしばるが、すぐに口角を釣り上げた。
「うわ、本当に舐めた。ほんと最悪……。汚くないの? なんで私がこんなやつにケツの穴舐められなきゃいけないの。こんなやつに……哀香も♡」
悠莉は吐き捨てるようにそう言ったけど、その顔はどこか嬉しげだった。
苦痛に歪める顔と、快感で喘ぐ顔、相反するはずの両者が同時に混在しているように思えた。
そのどちらもが嘘ではない感情なのだと、悠莉の顔は訴えている。
とても不思議な感覚に襲われる。
私はようやく気づいた。
目の前の異常な光景に納得がいった。
悠莉は必死に『彼らを嫌いになろうとしている』のだ。
つまりは、『私を穢すため』に。
自分の大嫌いな存在が、大好きなものをぐちゃぐちゃに汚す。それが、彼女の性癖だった。
そのための下地として、彼らを嫌うためのロールプレイ。
──よかった。
私は心の底から安堵した。
いつの間にか男性たちは2人がかりで彼女を舐め回していた。1人はお尻の穴を、もう1人は彼女の性器を。
「く、屈辱……。なんで私がこんなこと……。哀香ぁ……♡」
快楽のためなら自分の身体でさえ悪魔に差しだす事さえ厭わない。
彼女がそうまでして穢したいほど好きなものが『私』だっていうのが、どうしようもなく嬉しくて、誇らしくて。
ぽかぽかした気持ちのまま、目の前の痴態を眺めていた。
しばらくして、ようやく悠莉は満足した。
「もういい! 離れなさい!調子に乗るな!」
彼女は男性たちを怒鳴りつけて足蹴にする。彼らは渋々といった様子で彼女から離れた。
「はぁ……最悪。オヤジたちのヨダレついた。こいつら大嫌い」
悠莉は肩で息をしながら呟いた。そして私を睨んだ。
「哀香……なにニヤニヤしてるのよ」
「だって……」
悠莉が愛おしくて仕方がなかった。可愛かった。
「次はあなたの番なのに余裕ぶっていていいの?」
「うん♡」
余裕綽々といった感じで頷いた。だって、私は変態だから。
悠莉がニヤついて2人の男性に指示を出す。
彼らに両手を引っ張られた。
──私も舐められるのかな? もしかして……まさかついに……。
ガッチリと身動きを封じられて、男性との体格差を思い知らされてもまだ余裕だった。
「悠莉ぃ、早くぅ♡」
これから起こる事が楽しみでさえあった。
でも、それは間違っていた。
私は彼女のことを舐めていたのだ。
「ふふ、私ね。まだ哀香の見てない顔があるの。それは心の底から恥ずかしがっている顔。私は最初のヌードデッサンに参加できなくて、あなたはそれで目覚めちゃったから……もう見れないのかもって残念だった。でも、気づいちゃった」
嫌な予感がした。
「今なら見れる。あなたが本当に恥ずかしがってるところを」
悠莉は妖艶に笑った。その笑顔を見て私は理解した。彼女は本気だ。本気で私を辱めようとしているのだと。
ハッとした。
──気づかれてる!?
「まって! やめて!」
私の叫びも虚しく、悠莉は言ってはいけないことをいった。
「その子、お尻を叩かれるのが好きなの。喜ぶから叩いてあげなさい!」
──だめ! それだけは!
私が本気の叫びをあげようとした時には、すでに男性の腕は振り上がっていて、押さえつけられて動けなかった。
パァン!と音が鳴った。
同時に鈍い痛烈な痛みが臀部に走る。
「きゃうんっ!」
思わず犬のような嬌声をあげてしまった。
パァン! パァン! パァン!
軽快な破裂音が何度も鳴り響く。
露天風呂で全裸で叩かれる生尻。
澄み切った空気が振動を伝え、紅葉色づく雄大な山々に反射して音となって返ってくる。
最悪なやまびこ。
「いやぁぁ! いやぁぁ!」
私は情けない声で叫んだ。でも、私のお尻を叩き続ける手は止まらない。
羞恥で顔が熱くなった。
全裸を見られることより、全身を舐められることよりも100倍恥ずかしかった。
「いやぁぁぁ。ダメぇ。私のお尻を叩いていいのは悠莉だけなのにぃ」
私のもう一つの性癖『お尻を叩かれて、怒られたい』はいつの間にか、『好きな人に、お尻を叩かれたい』に変わっていたのだ。
だから最近は彼女を怒らせることをして、後でお仕置きされるのを楽しみにしていたのだ。
「哀香、お尻を叩かれて喜んでるの?変態」
悠莉はクスクスと笑いながら私を見下す。
「違うのぅ。あなたに叩かれるのがいいの!」
自分の変性していた性癖を彼女に見抜かれていたことに絶望していた。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。
私のお尻が悠莉以外の人に叩かれちゃってる!
「なんでっ! 私と悠莉だけの秘密だったのに! 」
「その顔が見たかった……」
悠莉はうっとりとした顔で呟いた。
パァン!
「や、やめて! もう許して!」
私は必死に懇願した。でも、彼らは私の言葉など聞いていなかった。言いなりになってお尻を叩き続けるだけ。
「うむぅ!?」
突如、私の唇が悠莉に塞がれた。舌を入れられて口の中を蹂躙される。
好きな人とのキスなのに、同時に感じる屈辱的な痛み。
「ぷはっ……」
息継ぎのために唇が離れる。
「悠莉、なんで……」
「哀香が好きだから……きゅうぅ♡」
気づけは悠莉の乳首が男性に摘まれていた。
私が何度も虐めているうちにどんどん敏感になっていった突起。
私以外の人に乳首を許すなんて……。私が育てたのに……。
ちくりと胸を刺す痛み。
でも、同時に理解する。
──ああ、こういうことかぁ。
私たちは再びキスをした。舌を絡め合う濃厚なキス。
その間も私のお尻は叩かれ続けていたけれど、もう恥ずかしさはどこかに消えていた。
「あ、悠莉ぃ♡ 私も好きぃ♡」
私も同じだったのだ。
男の人に組み敷かれる2人の女。一方はお尻を叩かれ、もう一方は乳首を弄られながら、私達は幸せなキスをした。
異常だと、変態だと、どんなに罵倒されようともこれが私達の「愛の形」だ。
誰にも理解されなくたっていい。世界中の全てを敵に回しても、彼女だけは私と一緒にいてくれる。
どんなに穢れようとも私達はどこまでも一緒だ。
好きな人は目の前にいる。
「哀香♡ あ、きちゃう♡」
「悠莉♡ くる♡ くる♡」
私達はガッチリと両手を握り合った。
ラストスパートを感じ取った男性達の手が私と彼女の股間に伸びてきて、刺激を加えてくれる。
「「あんあん♡あんあんあんんんんあああああ!!!」」
2人の絶叫が山々に響き渡った。そして、私達は同時に絶頂を迎えた。
ぐったりとした私たちの身体を男性が綺麗にしてくれた。
その後、協力してくれた男性達とゆっくり温泉に浸かって雑談をした。「俺たちの部屋に来ない?」って誘われたけれど「私たちだけでセックスしたいから」って悠莉が断ってしまった。
旅館の夕食を食べて、夜は2人でいちゃいちゃした。
はだける浴衣と重なり合う肌。熱い夜。
爽やかな目覚めと共に温泉地を後にした。
終わってみれば一泊二日の小旅行。
これが、私達のとんでもない温泉旅行のあらまし。
……余談だけれど、あの温泉で撮った写真を確認すると、私のお尻は人の手形が張り付いて、まるで紅葉みたいに赤く腫れていた。
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主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
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