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7"ひと夏のあやまち
41.お尻の穴を晒して気づいたこと
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(悠莉視点)
私たちは砂浜でチャラ男たちに全裸を撮影されていた。
「ほら、足開いて」
「……さすがに恥ずかしすぎますよぅ。そんなことしたら中まで見えちゃうじゃないですかぁ」
「顔以外はなんでも撮っていいって約束でしょ?」
「そうですけどぉ……うぅ、わかりました」
哀香は男達にしぶしぶ説得されたようなふりをして足を開いた。下品に、がに股に。
男達がスマホを構える。男の中には下からローアングルでスマホを向けるやつもいた。
「ほら手どけて、撮れないよ?」
「うう……これで許して下さい」
哀香の股間に置いていた手を二本指にした。人差し指と中指でスジを隠している。
「ダメ。はい、ピース!」
「ぴ、ぴーす」
男の押しに負けて哀香は下向きのピースサインをつくった。
指が開いて、膣がくぱぁと開かれた。
「おお!」
下品な歓声が上がって、男達のスマホがカシャカシャと鳴り響いた。
「えへへ、恥ずかしいですぅ」
哀香は男達に向かって、にへらと笑っている。
一番恥ずかしい部分を内部まで撮られているのに嬉しそうで、冗談みたいだった。
「ほら君も」
「……」
哀香の恥部に向いていた3つスマホが私の恥部に向いた。
「はい、ピース!」
「……」
男が命令してきた。私も哀香のように膣を拡げろということなのだろう。
でも私はその命令に素直に従うのが嫌で、ささいな反抗をした。
両手を割れ目に沿わせて、力を加えて左右に開く。これで中まで見えるだろう。ピースなんてしてやるもんか。
「おおお!!」
歓声が上がった。
それから、シャッター音が連続して鳴った。
──あつい……。
こんな姿を写真に収められるなんて屈辱的なはずなのに、私の体は火照っていた。
夏の日差しのせいだろうか? そうに違いない。
空を見上げて考えた。
巨大な入道雲が、夏の青空に浮かんでいた。
地平線まで伸びる水面がキラキラと光って綺麗。
遠くには、観光船が浮かんでいて陽炎で歪んで見える。
──私はなんてちっぽけなんだろう……。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャ……。
私が達観している間にも、何度も何度も下からシャッター音が鳴った。
「ケツ、突き出して」
「はぁい」
哀香に声がかけられて、彼女は素直に従った。ふりふりと生のお尻を振る哀香はニコニコだった。
「……」
私は命令されるのが嫌だから、自主的に屈んで膝に手を置いた。
お尻を突き出して頭を下げる姿はコイツ等に屈服しているみたいで、屈辱的で、唇をかみしめてしまう。ギリギリと歯が鳴るくらいギッ噛み締めて屈辱に耐えた。
──なんで私がこんな奴らに! 死ね! バカ!
心の中でいくら罵倒してもなんの抵抗にもならなかった。
生尻の写真も何枚も撮られた。
次はどんなポーズを要求されるんだろう……?
青空を見ながら男達の指示を待っていると、哀香が先に口を開いた。
「あのぅ、私のお尻の穴、見てもらえますか?」
常軌を逸したセリフに冷や汗が噴き出した。
その汗が、夏の日差しで一瞬で蒸発して体温を奪いとった。一瞬で全身に鳥肌が湧きたった。
「あのあの……私最近、お尻の穴の周り脱毛したんです。男性の感想を聞ける機会なんて……こんな時ぐらいしかないと思ったら……ちょっと気になって……」
「ああ、そうなんだ。いいの? 写真撮っちゃうけど」
「大丈夫です。顔以外はなんでもなので……その代わり感想を教えてくださいね」
「分かった、見てあげる。拡げて?」
「はぁい」
哀香はお尻を突き出した姿勢のまま、自分のお尻を掴んで拡げた。
見せつけるようにお尻が上がる。
「おお!」
歓声が上がった。
「きゅっと締まって可愛いね」
「こっちもピンク色で綺麗だよ」
「シワまでくっきり見えるよ」
男達が感想を言って、哀香の肛門が激写された。
「感想ありがとうございます! 自信つきました」
「それはよかった。どういたしまして」
私はお尻を突き出したまま哀香と彼らのやり取りを見ていた。
カメラは全部、哀香の穴に向けられている。私は放置されたみたいな孤独感に苛まれた。開放的な野外というシチュエーションがそれに拍車をかける。
──私は何をやっているのだろう?
お尻を見せながら談笑する哀香。隣にいるはずなのに、遠くの場所にいる気がする。
「君のケツ穴も撮らせて?」
そんな中、男の一人が私の心情を見透かしたように許可を求めてきた。
──は? キモ、何言ってんの? 頭おかしいんじゃない? 死ねば?
私はそう思いながら、哀香のようにお尻を開いて穴を見せつけた。
「……」
「はは、いい恰好だね」
裸で穴を晒す私を男が嘲笑する。
「恥ずかしいの? ケツ穴、ヒクついているよ」
「……っ」
私は屈辱で何も言えなかった。
カシャカシャと何度か音がして写真が撮られる。
「おっ!」
私の尻の穴を撮ったであろう男が声をあげた。
「ねぇ君、知ってた? 穴のすぐ右下にホクロがあるよ」
そんなこと知るわけなかった。
男が無遠慮に私の顔に画面を近づけてくるから、私は見てしまった。
どアップにされた肛門と確かに下にあるホクロ。
自分でも知らなかったことをこの男に把握されたと思うとプルプルと膝が震えた。
「おーい、この子ケツ穴にホクロあって可愛いぞ」
その男はすぐに他の男達にも言いふらして、私のホクロの存在が周知された。
カシャカシャカシャと鳴る音が増えた。
男達は撮った写真の感想をゲラゲラと言い合う。最悪の屈辱。
男達が笑っている間、私と哀香は指示があるまでお尻を拡げたそのまま状態で待機していた。
「楽しいね♡」
「……」
哀香が私にだけ聞こえるように囁いたけれど、無視した。何もかもがおかしい。間違っている。
やがて、
「1……2……」
何かのカウントが始まった。
後ろは見えないけれど、2人の男が数をカウントしている気配がする。
「3……4……」
その数字が増えていく時間がとても長く感じた。
前かがみの姿勢を維持するのは、意外と疲れる。
筋トレ不足かな? なんて、どうでもいいことを考えてしまった。
「5……」
目元にあるホクロを『涙ぼくろ』と言うのは知っているけれど、お尻の穴の周りのホクロに名前はあるのだろうか?
「6……」
カウントはなおも続いていた。
そして、ついに私はその意味に気づいてしまった。
彼らが数えているのは私達の『尻の穴の周りのシワの数』だったのだ。
くだらない遊びだと思った。指差し確認でもして数えているのだろうか?
私の穴に男の鼻息が当たった気がする。もしかして覗き込まれているのだろうか?
早く終わってほしくて、見やすいようにさらに拡げてやった。
「7……」
砂浜の砂を見下ろしながら、ぽうっと考える。
この場所の砂粒の数は、何億個くらいだろう? いや、億じゃ足りないかな……何兆? それとももっと……?
「8……9……」
途方もない数に比べたら私達のお尻のシワの数なんて、ちっぽけなものだ。
遥か上空から俯瞰したら、私達の姿はどう映っているのだろう?
この砂浜には、裸の女が2人いる。お尻を突き出して、シワの数をカウントされている変態が2人。
でも、それさえもきっと、ささいなことなのだろう。
──あ、カニだ。
一匹の蟹が砂浜を横切った。ひょこひょこ歩く蟹は可愛い。
結局のところ、お尻のシワの数は私の方が哀香より2本多かった。
多いほうがいいのか、少ないほうがいいのか、興味は無いから結果はどうでもいい。
「まさか君たちみたいな美少女達のケツのシワを数えられる日が来るとはね」
「俺一生の思い出にするよ。ありがとう」
「あ、もう閉じていいよ」
私と哀香は許可を得たからお尻から手を離した。
「えへへ、内緒ですよ?」
「……」
私は黙っていたけれど、哀香は男達に悪戯ぽっく舌を出した。
「はは、分かってるよ」
哀香の笑顔を見て男達も笑っていた。
とんでもないことをされたはずなのに、なぜか爽やかな雰囲気が漂っていた。
「じゃあ、これ返すね」
写真撮影に満足したのか私達に水着が返された。
そそくさと水着を着て、ようやく全裸じゃなくなった。
「あとこれ確認して」
男達3人は自分のスマホを私達に差し出してきた。
私と哀香は手分けして写真フォルダをチェックすることになった。
3人合わせると写真は100枚近くあったけれど、顔が映っているとまずいから入念に検査する。
私の乳首、哀香の乳首、お尻、お尻の穴、拡げられた恥部……何十枚もの写真が記録されていた。
「はい、問題ありません」
「こっちも大丈夫……」
顔が映っていた写真を何枚か消して、男達にスマホを返した。
男達は満足そうに笑いながら受け取ったスマホを自分の鞄にしまった。
「じゃあ俺達は帰るけど……。ありがとね、裸撮らせてくれて」
「はい、私達も楽しかったです……えっちな思い出が出来ました。えへ」
哀香は最後にペロッと舌をだして、水着をぺらっとめくって乳首を見せた。
その仕草にある気持ちが湧き上がった。
言いようのない不安。
喉の奥から悪魔がやってくる気がした。
「あぅ哀香!! はやく帰ろ!!」
私は突然声をあげて、強引に腕を引っ張って走り出した。
哀香は驚いた様子だったけれど、私は構わず走り続けた。
これ以上、あの男達と一緒にいるのが嫌だった。
更衣室に戻り無言で服を着て、彼女をひっぱりすぐにバイクに跨って逃げるように走り去った。
もう日も沈みかけて、辺りは薄暗くなっていた。
しばらく走らせて道路わきでバイクを止めた。
「はぁ……はぁ……」
ヘルメットを脱いで、大きく息を吸って吐いた。
「……悠莉、どうしたの?」
哀香が心配そうに私の顔を覗き込んできた。彼女の顔を見ると、さっきのことを思い出して、きゅんとアソコが締まる。
ここまでくれば大丈夫だと思って、ほっとした。
「疲れてない? どこかで休憩する?」
彼女の私を気遣う表情に、きゅんきゅんと無様にさらにアソコが疼く。
──ああ、哀香……。好きぃ♡
たぶんもう二度とあの男達に会うことはない。
これでよかったんだ……そう自分に言い聞かせた。
あのままだったら、私は言ってはいけないコトを男達に叫んでしまっていた。
あの時の哀香との約束が頭をループしていた。
あのままだったら、言ってしまっていた。言ってはいけないことを。
喉元まで出かかっていた。
あの時、私は……あの男達に懇願するところだった。
──哀香をめちゃめちゃに犯して!!
「あっ」
山道を登る海岸沿いの道路わき、眼下にあの砂浜が見えることに気づいた。距離はあるはずなのに遮るものがなくて肉眼でもはっきり視認できる。
青空の下、お尻を突き出して穴を撮影されたあの場所。
誰もいない砂浜、黄昏の海辺でカモメが鳴いていた。
ふと、子どもの頃の無邪気な情景が浮かんだ。
──そういうことか……。
私はあの忘れえぬヌードデッサンからずっとおかしいと思っていたことに気づいてしまった。
いや、薄々は気づいていた。気づかないフリをして自分自身に嘘をついていた。
私は本当は……。
もうすぐ日が落ちる。
私たちは砂浜でチャラ男たちに全裸を撮影されていた。
「ほら、足開いて」
「……さすがに恥ずかしすぎますよぅ。そんなことしたら中まで見えちゃうじゃないですかぁ」
「顔以外はなんでも撮っていいって約束でしょ?」
「そうですけどぉ……うぅ、わかりました」
哀香は男達にしぶしぶ説得されたようなふりをして足を開いた。下品に、がに股に。
男達がスマホを構える。男の中には下からローアングルでスマホを向けるやつもいた。
「ほら手どけて、撮れないよ?」
「うう……これで許して下さい」
哀香の股間に置いていた手を二本指にした。人差し指と中指でスジを隠している。
「ダメ。はい、ピース!」
「ぴ、ぴーす」
男の押しに負けて哀香は下向きのピースサインをつくった。
指が開いて、膣がくぱぁと開かれた。
「おお!」
下品な歓声が上がって、男達のスマホがカシャカシャと鳴り響いた。
「えへへ、恥ずかしいですぅ」
哀香は男達に向かって、にへらと笑っている。
一番恥ずかしい部分を内部まで撮られているのに嬉しそうで、冗談みたいだった。
「ほら君も」
「……」
哀香の恥部に向いていた3つスマホが私の恥部に向いた。
「はい、ピース!」
「……」
男が命令してきた。私も哀香のように膣を拡げろということなのだろう。
でも私はその命令に素直に従うのが嫌で、ささいな反抗をした。
両手を割れ目に沿わせて、力を加えて左右に開く。これで中まで見えるだろう。ピースなんてしてやるもんか。
「おおお!!」
歓声が上がった。
それから、シャッター音が連続して鳴った。
──あつい……。
こんな姿を写真に収められるなんて屈辱的なはずなのに、私の体は火照っていた。
夏の日差しのせいだろうか? そうに違いない。
空を見上げて考えた。
巨大な入道雲が、夏の青空に浮かんでいた。
地平線まで伸びる水面がキラキラと光って綺麗。
遠くには、観光船が浮かんでいて陽炎で歪んで見える。
──私はなんてちっぽけなんだろう……。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャ……。
私が達観している間にも、何度も何度も下からシャッター音が鳴った。
「ケツ、突き出して」
「はぁい」
哀香に声がかけられて、彼女は素直に従った。ふりふりと生のお尻を振る哀香はニコニコだった。
「……」
私は命令されるのが嫌だから、自主的に屈んで膝に手を置いた。
お尻を突き出して頭を下げる姿はコイツ等に屈服しているみたいで、屈辱的で、唇をかみしめてしまう。ギリギリと歯が鳴るくらいギッ噛み締めて屈辱に耐えた。
──なんで私がこんな奴らに! 死ね! バカ!
心の中でいくら罵倒してもなんの抵抗にもならなかった。
生尻の写真も何枚も撮られた。
次はどんなポーズを要求されるんだろう……?
青空を見ながら男達の指示を待っていると、哀香が先に口を開いた。
「あのぅ、私のお尻の穴、見てもらえますか?」
常軌を逸したセリフに冷や汗が噴き出した。
その汗が、夏の日差しで一瞬で蒸発して体温を奪いとった。一瞬で全身に鳥肌が湧きたった。
「あのあの……私最近、お尻の穴の周り脱毛したんです。男性の感想を聞ける機会なんて……こんな時ぐらいしかないと思ったら……ちょっと気になって……」
「ああ、そうなんだ。いいの? 写真撮っちゃうけど」
「大丈夫です。顔以外はなんでもなので……その代わり感想を教えてくださいね」
「分かった、見てあげる。拡げて?」
「はぁい」
哀香はお尻を突き出した姿勢のまま、自分のお尻を掴んで拡げた。
見せつけるようにお尻が上がる。
「おお!」
歓声が上がった。
「きゅっと締まって可愛いね」
「こっちもピンク色で綺麗だよ」
「シワまでくっきり見えるよ」
男達が感想を言って、哀香の肛門が激写された。
「感想ありがとうございます! 自信つきました」
「それはよかった。どういたしまして」
私はお尻を突き出したまま哀香と彼らのやり取りを見ていた。
カメラは全部、哀香の穴に向けられている。私は放置されたみたいな孤独感に苛まれた。開放的な野外というシチュエーションがそれに拍車をかける。
──私は何をやっているのだろう?
お尻を見せながら談笑する哀香。隣にいるはずなのに、遠くの場所にいる気がする。
「君のケツ穴も撮らせて?」
そんな中、男の一人が私の心情を見透かしたように許可を求めてきた。
──は? キモ、何言ってんの? 頭おかしいんじゃない? 死ねば?
私はそう思いながら、哀香のようにお尻を開いて穴を見せつけた。
「……」
「はは、いい恰好だね」
裸で穴を晒す私を男が嘲笑する。
「恥ずかしいの? ケツ穴、ヒクついているよ」
「……っ」
私は屈辱で何も言えなかった。
カシャカシャと何度か音がして写真が撮られる。
「おっ!」
私の尻の穴を撮ったであろう男が声をあげた。
「ねぇ君、知ってた? 穴のすぐ右下にホクロがあるよ」
そんなこと知るわけなかった。
男が無遠慮に私の顔に画面を近づけてくるから、私は見てしまった。
どアップにされた肛門と確かに下にあるホクロ。
自分でも知らなかったことをこの男に把握されたと思うとプルプルと膝が震えた。
「おーい、この子ケツ穴にホクロあって可愛いぞ」
その男はすぐに他の男達にも言いふらして、私のホクロの存在が周知された。
カシャカシャカシャと鳴る音が増えた。
男達は撮った写真の感想をゲラゲラと言い合う。最悪の屈辱。
男達が笑っている間、私と哀香は指示があるまでお尻を拡げたそのまま状態で待機していた。
「楽しいね♡」
「……」
哀香が私にだけ聞こえるように囁いたけれど、無視した。何もかもがおかしい。間違っている。
やがて、
「1……2……」
何かのカウントが始まった。
後ろは見えないけれど、2人の男が数をカウントしている気配がする。
「3……4……」
その数字が増えていく時間がとても長く感じた。
前かがみの姿勢を維持するのは、意外と疲れる。
筋トレ不足かな? なんて、どうでもいいことを考えてしまった。
「5……」
目元にあるホクロを『涙ぼくろ』と言うのは知っているけれど、お尻の穴の周りのホクロに名前はあるのだろうか?
「6……」
カウントはなおも続いていた。
そして、ついに私はその意味に気づいてしまった。
彼らが数えているのは私達の『尻の穴の周りのシワの数』だったのだ。
くだらない遊びだと思った。指差し確認でもして数えているのだろうか?
私の穴に男の鼻息が当たった気がする。もしかして覗き込まれているのだろうか?
早く終わってほしくて、見やすいようにさらに拡げてやった。
「7……」
砂浜の砂を見下ろしながら、ぽうっと考える。
この場所の砂粒の数は、何億個くらいだろう? いや、億じゃ足りないかな……何兆? それとももっと……?
「8……9……」
途方もない数に比べたら私達のお尻のシワの数なんて、ちっぽけなものだ。
遥か上空から俯瞰したら、私達の姿はどう映っているのだろう?
この砂浜には、裸の女が2人いる。お尻を突き出して、シワの数をカウントされている変態が2人。
でも、それさえもきっと、ささいなことなのだろう。
──あ、カニだ。
一匹の蟹が砂浜を横切った。ひょこひょこ歩く蟹は可愛い。
結局のところ、お尻のシワの数は私の方が哀香より2本多かった。
多いほうがいいのか、少ないほうがいいのか、興味は無いから結果はどうでもいい。
「まさか君たちみたいな美少女達のケツのシワを数えられる日が来るとはね」
「俺一生の思い出にするよ。ありがとう」
「あ、もう閉じていいよ」
私と哀香は許可を得たからお尻から手を離した。
「えへへ、内緒ですよ?」
「……」
私は黙っていたけれど、哀香は男達に悪戯ぽっく舌を出した。
「はは、分かってるよ」
哀香の笑顔を見て男達も笑っていた。
とんでもないことをされたはずなのに、なぜか爽やかな雰囲気が漂っていた。
「じゃあ、これ返すね」
写真撮影に満足したのか私達に水着が返された。
そそくさと水着を着て、ようやく全裸じゃなくなった。
「あとこれ確認して」
男達3人は自分のスマホを私達に差し出してきた。
私と哀香は手分けして写真フォルダをチェックすることになった。
3人合わせると写真は100枚近くあったけれど、顔が映っているとまずいから入念に検査する。
私の乳首、哀香の乳首、お尻、お尻の穴、拡げられた恥部……何十枚もの写真が記録されていた。
「はい、問題ありません」
「こっちも大丈夫……」
顔が映っていた写真を何枚か消して、男達にスマホを返した。
男達は満足そうに笑いながら受け取ったスマホを自分の鞄にしまった。
「じゃあ俺達は帰るけど……。ありがとね、裸撮らせてくれて」
「はい、私達も楽しかったです……えっちな思い出が出来ました。えへ」
哀香は最後にペロッと舌をだして、水着をぺらっとめくって乳首を見せた。
その仕草にある気持ちが湧き上がった。
言いようのない不安。
喉の奥から悪魔がやってくる気がした。
「あぅ哀香!! はやく帰ろ!!」
私は突然声をあげて、強引に腕を引っ張って走り出した。
哀香は驚いた様子だったけれど、私は構わず走り続けた。
これ以上、あの男達と一緒にいるのが嫌だった。
更衣室に戻り無言で服を着て、彼女をひっぱりすぐにバイクに跨って逃げるように走り去った。
もう日も沈みかけて、辺りは薄暗くなっていた。
しばらく走らせて道路わきでバイクを止めた。
「はぁ……はぁ……」
ヘルメットを脱いで、大きく息を吸って吐いた。
「……悠莉、どうしたの?」
哀香が心配そうに私の顔を覗き込んできた。彼女の顔を見ると、さっきのことを思い出して、きゅんとアソコが締まる。
ここまでくれば大丈夫だと思って、ほっとした。
「疲れてない? どこかで休憩する?」
彼女の私を気遣う表情に、きゅんきゅんと無様にさらにアソコが疼く。
──ああ、哀香……。好きぃ♡
たぶんもう二度とあの男達に会うことはない。
これでよかったんだ……そう自分に言い聞かせた。
あのままだったら、私は言ってはいけないコトを男達に叫んでしまっていた。
あの時の哀香との約束が頭をループしていた。
あのままだったら、言ってしまっていた。言ってはいけないことを。
喉元まで出かかっていた。
あの時、私は……あの男達に懇願するところだった。
──哀香をめちゃめちゃに犯して!!
「あっ」
山道を登る海岸沿いの道路わき、眼下にあの砂浜が見えることに気づいた。距離はあるはずなのに遮るものがなくて肉眼でもはっきり視認できる。
青空の下、お尻を突き出して穴を撮影されたあの場所。
誰もいない砂浜、黄昏の海辺でカモメが鳴いていた。
ふと、子どもの頃の無邪気な情景が浮かんだ。
──そういうことか……。
私はあの忘れえぬヌードデッサンからずっとおかしいと思っていたことに気づいてしまった。
いや、薄々は気づいていた。気づかないフリをして自分自身に嘘をついていた。
私は本当は……。
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