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0. プロローグ
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小春日和の昼下がり。
「綾瀬哀香さん、1◯歳、大学生……ですね? 」
「はぃ。本日はよろしくお願いしましゅ」
「では、服を脱いでください」
住宅街の一角にある絵画教室で、男性がなんの前触れもなく私に信じられない言葉を放った。
彼の口から出た言葉にくらべたら、私が噛んだのなんてどうでも良くなった。
「……え? 何を言って……」
「聞こえませんでしたか? 服を脱いでください、と言いました」
「あ、いえ……どういう意味ですか……?」
「どうと言われましても。服を脱いで全裸になってほしいのですが」
聞き間違いでも、勘違いでもない。
「今、ここで、ですか……?」
「はい。何か脱げない理由でもあるんですか?」
「なんで脱がなきゃいけないんですか!?」
話が噛み合っていなかった。
彼との関係は他人。
恋人だとか好意を持っている人ではないし、昔から決まっていた婚約者でもない。目が合った瞬間ドキッとした一目惚れの相手、であるはずもない。
さっき初めて会った名前も知らない年上の男性。
裸を見せる筋合いなんてない。
「デッサンのモデルで来てくれた方ですよね? 」
「は、はい。そうですけど……」
たしかに私はモデルをしてくれと頼まれている。
大学の友人に、『立っているだけの簡単なバイト』と言われ、頼まれた。モデルなんて柄じゃないと思いつつも、半ば強引に引き受けるハメに。
そういえば、詳しい内容は聞かされていない……。
「ヌードデッサンのヌードモデルなんですから、全裸になるのは当然ですよね?」
「え、ええ……!? ヌードモデル? 全裸!? そんなの聞いてません!」
全く知らなかった。初めて聞いたバイト内容に驚いて、思わず声が大きくなってしまった。
「もう契約は済んでいます。モデル料も支払っていますよね? 違約金とか責任取れるんですか?」
男性が鋭い視線を向けてきた。
「あのお金って……」
事前にもらっていた数万円。こんなにもらっていいのかと疑問に思ってはいた。でも、これが理由だったなんて……。友人を恨んだ。
男慣れしているあの子なら、あっけらかんとしてお金のために裸になれるのだろう。しかし、私にはとんでもない出来事だった。
だって……男の人と付き合った経験はないし、処女だし……。そういう……えっちなのは……初めては、好きな人のためにとっておくって………お父さんが言っていた。だから、こんな見ず知らずの人に素肌を見せるなんて恥ずかしすぎる……。
しかも目の前の彼だけじゃなくて、教室には大人数が待機している。
だから……
──ヌードモデルなんて絶対に無理!!
私は、心の中で叫んだ。
10分後。
私は、服を脱いでいた。
──どうしてこんな事に!?
誰よりも私自身が聞きたかった。
押しに弱い性格だから? ハッキリと断るのが苦手で、いつも曖昧な返事をしてしまうから? 睨まれたから?
ブラウスとスカートを脱ぎながら、心の中で自問自答を繰り返していた。なのに、いくら考えても答えは出ない。たぶん頭がおかしくなっている。
「やっぱり……下着も脱がないとだめですか……?」
「もちろんです。さっきも言いましたよね?」
「ですよね……」
なんでこの人は私の脱ぐところを見てるのだろう?
──恥ずかしいよ……。
「あ……あまり見ないでください」
「早くしてください」
「はい……。ごめんなさい……。脱ぎます……」
パチンと音が鳴ってブラのホックが外れた。だらんとなった布を剥ぎ取ると、乳房があらわになった。
──乳首……見られちゃってる……。
男の人がじっと見ている。恥ずかしくて胸がドキドキした。思わず乳房を手で隠してしまう。
「手が邪魔です。次は下、早くして」
「は、はい」
ビクッとして両手を下ろした。乳房がぷるんと揺れ、先端にある蕾がツンと上を向いた。
そのまま離した両手をショーツの端に持っていくと、ぷるぷると震え始めた。
たぶん、どうしようもない恥ずかしさと屈辱のせい。だってこんな場所……誰にも見せた経験ない。
なのに私は操られたみたいに布を下げた。
すると、ぷりっと生のお尻が現れて、それから……女の子の一番恥ずかしいところが丸見えになった。
きゅっと割れ目を締めた。
──何の処理もしてないよ……。
陰毛を晒し、足からショーツを引き抜いた。
私は全裸になった。
──脱いじゃった。男の人の前で……。
ギッと唇を噛みしめながら脱ぎ捨てた服をたたむ。
「脱ぎました……」
私が報告すると「では、こちらに」と事務的な声が聞こえて、彼の背中が「来い」と語っていた。
──これは仕事、これは仕事。仕事だから大丈夫……。
ぺたぺたと素足で廊下を歩く。
やがて、扉の前に案内された。
彼が扉を開けるよう促して、私はおずおずと取っ手を掴んだ。ガヤガヤとした話し声。中にはたくさんの人がいる。気配がする。
ぞくり、と震えた。
なんだろう? 今の気持ち?
この扉の先には何が待っているのだろう?
なんだかとても恐ろしくて、イケナイコトの予感がした。
この扉を開けたら私は戻ってこれるのだろうか?
言いようのない恐怖を感じて、どきんっと心臓が大きくはねた。
──開けちゃダメだ。
でも、扉は開いてしまった。
「「「「「……」」」」」
部屋の中にいた数十人の視線が私の裸体に集まった。しかも全員男性。
裸体を隠すのは許されない。
そして、私は……。
「綾瀬哀香さん、1◯歳、大学生……ですね? 」
「はぃ。本日はよろしくお願いしましゅ」
「では、服を脱いでください」
住宅街の一角にある絵画教室で、男性がなんの前触れもなく私に信じられない言葉を放った。
彼の口から出た言葉にくらべたら、私が噛んだのなんてどうでも良くなった。
「……え? 何を言って……」
「聞こえませんでしたか? 服を脱いでください、と言いました」
「あ、いえ……どういう意味ですか……?」
「どうと言われましても。服を脱いで全裸になってほしいのですが」
聞き間違いでも、勘違いでもない。
「今、ここで、ですか……?」
「はい。何か脱げない理由でもあるんですか?」
「なんで脱がなきゃいけないんですか!?」
話が噛み合っていなかった。
彼との関係は他人。
恋人だとか好意を持っている人ではないし、昔から決まっていた婚約者でもない。目が合った瞬間ドキッとした一目惚れの相手、であるはずもない。
さっき初めて会った名前も知らない年上の男性。
裸を見せる筋合いなんてない。
「デッサンのモデルで来てくれた方ですよね? 」
「は、はい。そうですけど……」
たしかに私はモデルをしてくれと頼まれている。
大学の友人に、『立っているだけの簡単なバイト』と言われ、頼まれた。モデルなんて柄じゃないと思いつつも、半ば強引に引き受けるハメに。
そういえば、詳しい内容は聞かされていない……。
「ヌードデッサンのヌードモデルなんですから、全裸になるのは当然ですよね?」
「え、ええ……!? ヌードモデル? 全裸!? そんなの聞いてません!」
全く知らなかった。初めて聞いたバイト内容に驚いて、思わず声が大きくなってしまった。
「もう契約は済んでいます。モデル料も支払っていますよね? 違約金とか責任取れるんですか?」
男性が鋭い視線を向けてきた。
「あのお金って……」
事前にもらっていた数万円。こんなにもらっていいのかと疑問に思ってはいた。でも、これが理由だったなんて……。友人を恨んだ。
男慣れしているあの子なら、あっけらかんとしてお金のために裸になれるのだろう。しかし、私にはとんでもない出来事だった。
だって……男の人と付き合った経験はないし、処女だし……。そういう……えっちなのは……初めては、好きな人のためにとっておくって………お父さんが言っていた。だから、こんな見ず知らずの人に素肌を見せるなんて恥ずかしすぎる……。
しかも目の前の彼だけじゃなくて、教室には大人数が待機している。
だから……
──ヌードモデルなんて絶対に無理!!
私は、心の中で叫んだ。
10分後。
私は、服を脱いでいた。
──どうしてこんな事に!?
誰よりも私自身が聞きたかった。
押しに弱い性格だから? ハッキリと断るのが苦手で、いつも曖昧な返事をしてしまうから? 睨まれたから?
ブラウスとスカートを脱ぎながら、心の中で自問自答を繰り返していた。なのに、いくら考えても答えは出ない。たぶん頭がおかしくなっている。
「やっぱり……下着も脱がないとだめですか……?」
「もちろんです。さっきも言いましたよね?」
「ですよね……」
なんでこの人は私の脱ぐところを見てるのだろう?
──恥ずかしいよ……。
「あ……あまり見ないでください」
「早くしてください」
「はい……。ごめんなさい……。脱ぎます……」
パチンと音が鳴ってブラのホックが外れた。だらんとなった布を剥ぎ取ると、乳房があらわになった。
──乳首……見られちゃってる……。
男の人がじっと見ている。恥ずかしくて胸がドキドキした。思わず乳房を手で隠してしまう。
「手が邪魔です。次は下、早くして」
「は、はい」
ビクッとして両手を下ろした。乳房がぷるんと揺れ、先端にある蕾がツンと上を向いた。
そのまま離した両手をショーツの端に持っていくと、ぷるぷると震え始めた。
たぶん、どうしようもない恥ずかしさと屈辱のせい。だってこんな場所……誰にも見せた経験ない。
なのに私は操られたみたいに布を下げた。
すると、ぷりっと生のお尻が現れて、それから……女の子の一番恥ずかしいところが丸見えになった。
きゅっと割れ目を締めた。
──何の処理もしてないよ……。
陰毛を晒し、足からショーツを引き抜いた。
私は全裸になった。
──脱いじゃった。男の人の前で……。
ギッと唇を噛みしめながら脱ぎ捨てた服をたたむ。
「脱ぎました……」
私が報告すると「では、こちらに」と事務的な声が聞こえて、彼の背中が「来い」と語っていた。
──これは仕事、これは仕事。仕事だから大丈夫……。
ぺたぺたと素足で廊下を歩く。
やがて、扉の前に案内された。
彼が扉を開けるよう促して、私はおずおずと取っ手を掴んだ。ガヤガヤとした話し声。中にはたくさんの人がいる。気配がする。
ぞくり、と震えた。
なんだろう? 今の気持ち?
この扉の先には何が待っているのだろう?
なんだかとても恐ろしくて、イケナイコトの予感がした。
この扉を開けたら私は戻ってこれるのだろうか?
言いようのない恐怖を感じて、どきんっと心臓が大きくはねた。
──開けちゃダメだ。
でも、扉は開いてしまった。
「「「「「……」」」」」
部屋の中にいた数十人の視線が私の裸体に集まった。しかも全員男性。
裸体を隠すのは許されない。
そして、私は……。
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